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2011年9月の記事

2011年9月30日 (金)

Led Boots / Hiromi's Sonicbloom

予め断っておきますが、今回はいつにも増して、音楽用語たっぷり、しかもギター、キーボード、ベース、ドラムについて、掘り下げて語り、難易度高いかもです。
ご注意を。

Led Bootsと言うと、ギターの神様、ジェフ・ベックのロック・インストロメンタルの名曲と言うイメージが強いでしょうが、作曲者はローズ・ピアノの名手、マックス・ミドルトンです。
当時、ジェフ・ベックのアルバム「ワイアード」にキーボーディスととして参加していたマックス・ミドルトンが、ジェフ・ベックに曲を提供したのです。

原曲は、当時マックス・ミドルトンが所属していたロックバンド、ハミングバードの1979年のアルバム「ダイアモンド・ナイツ」に収録されている「Got My "Led Boots" On」です。

ジェフ・ベック・グループがアルバムを出して、ツアーが終わって、事実上の解散状態となっていたために、ジェフ・ベック・グループのメンバー、キーボードのマックス・ミドルトン、ベースのクライヴ・チャーマン、ボーカルのボブ・テンチが中心になって、1972年に別途結成したのがハミングバードです。
ダイアモンド・ナイツの際のメンバーは、以下の通りです。

Bobby Tench - guitar, vocals
Bernie Holland - guitar
Clive Chaman - bass
Max Middleton - keyboards
Conrad Isidore - drums

以前紹介した、リンダ・ルイスの「I do my best of impress」とキーボード、ベースは一緒です。

余談ですが、2007年秋に、ハミングバードが、紙ジャケで初CD化されました。
自分は知っていましたが、のんびり構えていて、2007年の年末に注文しようとしたらビックリ!?3枚のアルバムとも、売り切れでした。
調べると、何と3枚とも、発売後1週間くらいで売り切れたんだそうです(涙)。

もしもジェフ・ベックの「Led Boots」を知っていて、この曲を初めて聴く人は、ビックリでしょうね。
ボーカルが入った曲なんです。

さて曲に行きましょう。
全般的にFunkyでカッコ良い曲ですね。
雄大なホーンセクションのフレーズに、スラップ奏法のベースのオブリガード(助奏)が素敵ですね。
この曲全般に、ホーンセクションのフレーズは好きです。

マックス・ミドルトンは、この曲では、ローズ・ピアノではなく、クラビネットと言うピアノの元となった鍵盤楽器を弾いています。
クラビネットは、コードを刻むフレーズが多いですが、この曲でもセオリー通り、細かくコードを刻んでいます。
ジェフ・ベックの「Led Boots」でもお馴染のリフをクラビネットとギター、一部ユニゾンでベースが弾いています。
クライヴ・チャーマンのフレーズは、リフ→スラップ奏法と言う感じで、カッコ良いですね。
ちょっとシャウトな声の、ボビー・テンチの歌声も良いです。
ギターは・・・ギターの神様と比べると、見劣りしちゃいますが・・・アタリマエカ。

学生バンド時代に、バンドのメンバーに、今度「Led Boots」やるよと言ったら、ベーシストが、「それってどんな曲?」
自分「♪赤い靴履いてた、女の子~」
ベーシスト「そうなんだ。」
自分「・・・」
そこ突っ込むとこだろ、ふつー!それに「Red Boots」じゃないし(苦笑)。

ジェフ・ベックの経歴は、こちらを見て頂きましょう。
ロック史上に大きな足跡を残すエリック・クラプトンジェフ・ベックジミー・ペイジの3人のギタリストを日本では、3大ギタリストと呼んでいますね。

1960年代から、エリック・クラプトンクリームデレク・アンド・ザ・ドミノス、またソロ活動で、ジミー・ペイジレッド・ツェッペリンで商業的成功を収めていましたが、ジェフ・ベックだけは、それほど売れていませんでした。
ジェフ・ベックが大きな成功を収めるのは、1975年のソロアルバム「ブロウ・バイ・ブロウ」からで、当時流行の兆しを見せていたフュージョン(当初クロスオーバーと呼ばれていた)を先取りしたアルバムでした。
1976年「ワイアード」、1980年「ゼア・アンド・バック」と、独特のジェフ・ベックのサウンドを展開します。

ジェフ・ベックのバックを務めるミュージシャンは、昔から現在まで超一流ばかりで、そんなミュージシャン達が、テクニックを前面に出し、ロック色の強いフュージョンのインストゥルメンタルを演奏しました。
ジェフ・ベックのライブで、新アルバムの曲以外は、この3枚のアルバムからの選曲が多いです。

「Led Boots」は、「ワイアード」の1曲目で、高校時代ドラムを叩いていた自分は、この曲を聴いてぶっ飛びました。
めちゃくちゃカッコ良い反面、どんな風に叩いているのか、さっぱり分かりませんでした。

ドラマーは、ジャズ/フュージョン系の有名ドラマー、後に大ブロデューサーとして幾多のヒット曲を手掛けるナラダ・マイケル・ウォルデン
自分なりに、この曲のドラムをコピーしましたが、恐らく完成度は70%くらいだったと思います。
この曲のドラミングは、ドラム教室の先生でさえ、コピーするのは無理・・・とか公言してますからね(笑)。

ジェフ・ベックのバックを務める幾多の有名ドラマー達も、この曲を演奏しましたが、ほとんどがイマイチで聞くに堪えませんでした。
唯一、ナラダ・マイケル・ウォルデンに次いで凄いなぁと思ったのは、自分的に現在世界一のドラマーと思っている、ヴィニー・カリウタくらいです。

もし興味があるなら、ナラダ・マイケル・ウォルデンが叩く原曲も聞いてみて下さい。
http://www.youtube.com/watch?v=JqV97z0tzus

この曲はもう一つ、7/8拍子と言う変拍子が入っています。
下のYouTubeで、1:13からのリフがそうです。

ドラムは、テーマリフは超難曲なんですが、この7/8拍子は難しくなく、2小節つなげて7/4拍子みたいにして叩きます。
むしろ演奏するギター、ベース、キーボードは、2番目(偶数小節目)の演奏の際に、シンバルの裏の拍子に入るよう演奏しますので、めちゃくちゃリズムが取りにくいです。
良くスタジオで、余興にこの曲をやってましたが、この7/8拍子が合わなくて、普通に4/4拍子で演奏してみたら、何とも締まらない、間抜けなフレーズになりました。
7/8拍子には、ちゃんと意味があったんですね。

さて、肝心のジェフ・ベックのギターについて、語らねばなりませんね。
エリック・クラプトンジミー・ペイジの現在の演奏は、年と共に衰えたなぁと言う感じですが、ジェフ・ベックのギターは、老いてますます盛ん・・・と言う感じです。

ジェフ・ベックは、速弾きもしますが、そんなのをウリにはしていません。
元々ギターの表現力が素晴らしく、「ブロウ・バイ・ブロウ」、「ワイアード」、「ゼア・アンド・バック」なんかで弾いているフレーズで、音符上コピーするのは造作ないのですが、この音のニュアンスは、どうやって音出してるんだろうな?って言う謎のフレーズがいくつもありました。
ここまでは、ピック弾きだったのですが、この後指弾きになり、早弾きが減った半面、指の微妙なニュアンスの演奏が、以前にも増して表現力の幅を広げました。

特に、ストラトキャスターシンクロナイズド・トレモロ・ユニットで細かく音程を変化させて演奏するのは、まさに神ですね。
自分は、ここまで素晴らしいシンクロナイズド・トレモロ・ユニットの使い手は、現役ギタリストでは知りません。
これに指弾きの微妙なタッチ(爪を使うとか指の腹を使う/ポンと弾くとかこするように弾く)、音の強弱で、現在の演奏は、どんな風に弾いているのか、皆目見当もつかないフレーズのオンパレードです。

ギタリストのCharが、ジェフ・ベックの自宅に遊びに行った時、そばで弾いているのを見ても、どうやって弾いてあの音を出しているのか分からなかったと、言っているくらいです。

そして、アドリブ演奏のフレーズの素晴らしさ!
通常、アドリブ演奏は、こんな風な展開で弾こうと言うのは、予め決めますので、元曲のフレーズのニュアンスは残ります。
ジェフ・ベックのアドリブは、アドリブに入った途端、何の曲?ってぐらい元曲のフレーズのニュアンスは微塵もありません。
まさに、感情のまま演奏しているのです。
これって、プロですらこんなアドリブをすると、グダグダ演奏に陥りやすいです。

さて曲に行きましょう。
まあ、ポイントは上で語ってしまってますけどね(笑)。
この映像は、「ライヴ・ベック3」からですね。メンバーは下記の通りです。

Jeff Beck - guitar
Jason Rebello - keyboads
Tal Wilkenfeld - bass
Vinnie Colaiuta - drums

ベースのタル・ウィルケンフェルド、可愛い♪・・・って言うのは置いておいて(笑)

ヴィニー・カリウタの超絶に手数の多い、複雑なドラムソロから、テーマリフに入りますが、ヴィニー・カリウタにしては珍しく、1回目のリフのフィルイン(ドラムをドコドコ叩くヤツですねw)で、頭真っ白になっちゃったみたいですね(笑)。
すぐにジェフ・ベックが気が付いて、プッと吹いて、次のフレーズの時に、問題ないよと、親指をあげて見せます。
ジェフ・ベックは、バックの演奏が気に入らないと、コンサートの途中で帰っちゃった事もあるのですが、年と共に丸くなったんですかね。
ヴィニー・カリウタは神経質な性格なのか、このミスのダメージを、3回目のリフくらいまで感じます。その後は落ち着きましたが。

ヴィニー・カリウタは、ナラダ・マイケル・ウォルデンの演奏とは違い、スネアドラムとシンバル、細かいバスドラムで、上手にテーマリフを叩いています。
テーマメロに入ると、ドラムのフレーズを少しシンプルにします。

テーマメロは、ギターとシンセがハミングします。
ジェイソン・リベロって、ジェフ・ベックとの共演しか、映像で見た事がないのですが、いつも楽しそうに笑顔で演奏していて良いですね。
良く、キーボーディストから、ジェイソン・リベロのシンセの音を、ヤン・ハマー(「ワイアード」のレコーディングの際のキーボーディスト)の、音を真似するな!って書かれているのを見受けます。
この場面のシンセの音色は、このギターっぽい音色・・・ヤン・ハマーみたいな音色が一番合うと思います。
そんな事言ったら、ジェイソン・リベロが可哀想ですよ。

この曲のギターソロは、アドリブでやろうとすると、実は簡単そうで難しいんです。
テーマリフの上で、アドリブするので、1コード上のアドリブで、これってかえってやりにくいんですね。
それに、フレーズが単調になり易いんです。

ギターの神様は、どうしたかと言うと、これぞ神様の本領発揮!
ブルース・ペンタトニック(音階の名称です)のほぼ1本と言う、シンプルなフレージングなのに、まるでギター界のサルバドール・ダリとか、パブロ・ピカソみたいに、メロディがあってないよう、解釈の難しいフレーズを奏でます。
これって、「ブロウ・バイ・ブロウ」の当初から賛否両論だったんですが、これが神様のフレーズの味って事で、現在このフレージングに文句をつける人は、いないんじゃないですかね?

指引きならではの、細かいギターの音の表情、音の強弱、シンクロナイズド・トレモロ・ユニットの繊細な使い方を聞き逃さないで下さい。
ジェフ・ベックの演奏の音符を拾う事は、造作ありませんが、奏でる音まで正確に再現となると、1/3かそれ以上の音は、どうやって出しているのか、見当もつきません。さすが神様!
自分はこのジェフ・ベックのギターの音を聴くと、ギターがまるで生を受け、活きる喜びを叫んでいるように聞こえます。

ちなみに、自分はスタジオの余興で、この曲をツーファイブ(コード進行の名称です)解釈でアドリブしたところ、こんなジャズなフレーズは、ジェフ・ベックの曲じゃないみたいと言われました(笑)。

ヴィニー・カリウタは、さすがです!ギターソロでは、ドラムを押さえた、シンプルな演奏で、ギターソロを守り立てています。
超絶テクニックがありつつ、こんな細かい心使いが出来るので、あまたの一流ミュージシャンに、信頼されているんですね。

ジェイソン・リベロの、ジェフ・ベック並に、難しい歌わせ方のシンセソロで、エンディングとなります。

ジェフ・ベックは、2010年の途中からのツアーメンバーのドラマーを、ナラダ・マイケル・ウォルデンにしました。
これって、凄いビックリですよね。日本で言ったら、つんく♂を単なるセッションギタリストとして、バックの伴奏させると言う事に等しいのです。
つんく♂が、セッションギタリストとして、使い物になるかは、別にして(笑)。

やはり、ナラダ・マイケル・ウォルデンの叩く「Led Boots」は最高です。
絶妙のハイハット(シンバル)ワーク、スネアドラムの入れ方や、ツーバス(バスドラムが2つ)ならではの、細かいバスドラフレーズ、適度に入るフィルイン(ドラムをドコドコ叩くヤツですねw)等々。
ヴィニー・カリウタのフレーズでも、これはこれで良いと思っていましたが、こと「Led Boots」のドラミングに関しては、世界一のドラマーも、ナラダ・マイケル・ウォルデンには敵いません。
逆な言い方をすると、ドラマーにとって、それほど難曲なのです。

映像は、日本でのコンサートで、メンバーは以下の通りです。

Jeff Beck - guitar
Jason Rebello - keyboads
Rhonda Smith - bass
Narada Michael Walden - drums

映像では出ていませんが、キーボードは前のと変わらずジェイソン・リベロです。
録音状態は悪いですが、ナラダ・マイケル・ウォルデンのドラミングを聴くだけなら、これでも十分かと。

元映像が消されましたので、別途同じ日の演奏を貼り付けます。6:28からがLed Bootsになります。

スタンリー・クラークのところで、上原ひろみさんの事を紹介していると思ったのですが、長くなるので、紹介を省いていましたね(笑)。
自分があれこれ書くより、こちらに上手にまとめられていますので、一読をオススメします。
16歳のまだプロじゃない時、かの神様のようなチック・コリアと共演したとか、バークリー音楽大学では、ピアノ科ではなく、作曲を学び、しかも首席で卒業したとか、凄まじい天才的エピソードですね。

日本人の平均的な、ミュージシャンのレベルは、世界的に見てもかなり高いと思うのですが、トップミュージシャンの頂点のレベルと比べると、見劣りしていました。
彼女こそ、日本人演奏家で、世界のトップミュージシャン中の、トップを取れる可能性のある逸材だと思います。

作曲を学んだと言うのも、彼女の進むべき道が、間違っていない事を裏付けています。
RADWIMPSのところでも書きましたが、「音楽にとって、テクニックは手段であって、表現する事こそが目的」、そしてそのためには良い曲が必要なのです。
良い曲は、人の曲を待っていても、いつ良い曲に出会えるか分かりません。
もしも作曲の才能があるならば、自分で作るに限ります。

でもこの曲は、彼女の作曲した曲ではありませんけどね。
しかし曲のアレンジの中心は、恐らく上原ひろみさんだと思います。

メンバーは、2007年のアルバム、「Time Control」の「Hiromi's Sonicbloom」のメンバーです。

Hiromi Uehara - piano,keyboads
David Fiuczynski - guitar
Tony Grey - bass
Martin Valihora - drums

すいませんが、自分はこのブログを書くまで、このメンバーの誰一人知りませんでした。
しかし演奏を聴く限り、彼らが一流である事は、疑いがないです。

ベースのトニー・グレイは、上原ひろみさんのバークリーの後輩だそうです。
ベースは、5弦ベースですね(通常は4弦)。
たまに、ゲロが出そうな素敵な重低音が響きますので、5弦目にローBの弦を張ってるのでしょうか?

ギターのデビッド・フュージンスキーのダブルネックギターですが、上のギターはフレットレス(フレットがない!)の12弦ギターと言う、変態な構成です。
特注ギター?

「Led Boots」は名曲だけに、あまたのロックミュージシャンが演奏していますが、ジェフ・ベックと同じアレンジで演奏しているので、ドラムがダメですし、ギターもジェフ・ベックっぽく弾いたところで、表現力が追いつかず、魅力を感じませんでした。
上原ひろみさんは、テーマだけもらって、8ビート(8分音符で2拍目と4拍目にアクセントをつけるリズム・・・普通のロックのリズムですねw)のリズムを採用しています。
ジャズミュージシャンらしい発想ですね。
これならば、ドラムは難曲ではありません。

このブログでは、あまりネガティブな事を発言しないルール(勝手な自分ルールw)のつもりでしたたが、実は上原ひろみさんの演奏に、半分ダメ出しするつもりで、取り上げました。

イントロとエンディングのシンセ音ですが、クラビアのNord Lead、バーチャル・アナログ・シンセサイザーを使っていますね。
上原ひろみさんのテーマは、機械的に聞こえるが、音程があるかないか分からない、ギリギリの音・・・と言うところじゃないかと推察します。
シンセ単体音としては、良い音なのですよ。でも、曲になると、良い音ですかね?

例えば、もっと金属感のある、歪んだ音色とか・・・ご自分で作った音なのか、プロのシンセプログラマー(それともマニュピレーター?)が作った音なのか、分かりませんが、シンセの音作りを間違えていると思います。
自分には、この音色が良いとは思えません。

クラビアのNord Piano・・・世界のあまたのミュージシャンが使っている、ピアノ系のシュミレート音では、デファクト・スタンダードと言っても良い機種です。
音色は、ローズ・ピアノ・・・これまでも、やまがたすみことか、スタンリー・クラークアレン・ヴィズィッティリンダ・ルイスなんかで、紹介していますね。
ソロに入って(1:42)、おお!!いい感じのローズ・ピアノのソロ・・・と思ったのもつかの間、9小節目(1:59)くらいから、横転してしまいました(笑)。

リンダ・ルイスでも書いていますが、オールド・ローズ・ピアノの名機は、ピアノ線が切れやすいので、あまり強く弾く事が出来ません。
弱々しいタッチで弾くので、雰囲気が気だるい感じとなり、それがこの楽器の味でもあります。

もうひとつ、強く弾いたり、和音では音が濁るという特徴もあり、ミュージシャンによって、音の濁りを嫌い、和音の音数を減らす人もいれば、逆に濁りを活かした演奏をする人もいます。

しかしローズ・ピアノのソロ9小節目(1:59)から、ただでさえ音色が濁り易いクローズドボイシング(和音配列の1種)の和音で、物凄いタッチの強さ・・・本物のオールド・ローズ・ピアノなら、とっくにピアノ線が切れているでしょうが、ピアノ音をシュミレートした機種なので、ぶっ叩いたってピアノ線は切れません。
この9小節目以降は、ピアノソロだったら良かったのですが、ローズ・ピアノのソロとしては駄演奏です。
ソロを取る時、なぜチョイスがローズ・ピアノ音色なのでしょうか?音色に合ったフレーズを弾くべきです。
ローズ・ピアノで、ピアノソロみたいなフレーズを弾くのなら、ローズ・ピアノの音色である必要を感じません。

もう一度、リンダ・ルイスの「I do my best of impress」ローズ・ピアノソロと聞き比べて下さい。
残念ながら、かなり劣ると言わざるを得ません。

師匠のチック・コリアとか、巨匠ハービー・ハンコックなんかは、ピアノ、ローズ・ピアノ、シンセどれにも名演があります。
上原ひろみさんだって、やれば出来るはずです。

それにしても、左手にピアノ、右手にクラビアのNord Pianoのユニゾン演奏(2:30)は、凄いですね。
しかもこれでアドリブで早弾きをする・・・この演奏、難易度高いのですよ。

そしてピアノソロ(3:45)・・・これは凄まじく良いですね。めちゃくちゃ神演奏です。
上原ひろみさんのピアノは、音の強弱のダイナミクスが凄い。圧倒される表現力です。
この曲では、特に一心不乱に弾いていて、フレーズに単調さはあるものの、パワーで持って行かれる・・・そんな感じです。

のだめカンタービレの野田恵も、その表現力に千秋真一がいつも舌を巻いていますが、ジャズとクラッシックの違いはあれど、このダイナミクスと表現力は、野田恵もかくあらんと思わせるものです。

それにしても、バックの安定した疾走感・・・聞いてて気持ち良いですね。
フレーズの変わり目のユニゾンが、またかっこ良いです。
突然ブレイクしてみたり・・・凝ったアレンジですね。プロでも練習大変だったでしょう。

ドラムのマーティン・ヴァリホラが、上原ひろみさんのピアノソロが盛り上がるところで、フレーズを変えて、盛り上がりを支援しているのを聞き逃さないで下さい。

ピアノソロが終わると、ユニゾン演奏→テーマリフのユニゾン演奏となり、これもかっこ良いアレンジですね。
これまたブレイクしたりと、凝ったアレンジです。

エンディングのデビッド・フュージンスキーのギターソロは・・・ごめんなさい!って出来です。
でも、この曲でソロを取る難しさは、伝わるのではないかと思います。

駄演奏なんて書いて、失礼しましたが、それを補って余りあるピアノソロは圧巻で、ジェフ・ベックの大ファンである自分は、興味深く聴かせてもらいました。
上原ひろみさんは、この難曲で、これだけセンスの良いアレンジなんで、これからも素晴しい曲を聞かせてくれるものと、確信しています。


Hiromi Uehara - Led Boots 投稿者 m_a_k_

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2011年9月29日 (木)

隠蔽捜査 / 今野敏

今野敏は、かなりの多作作家、ジャンルも、警察小説、テレビドラマで有名な安積班ものとか、空手・格闘技系の小説、SF、伝奇もの、超能力もの等々。
ちなみに、このブログで取り上げた、東直己佐々木譲今野敏、いずれも北海道出身作家ですが、これは単なる偶然です。
たまたま最近読んで面白かった作家に、北海道出身が多かっただけの事です。

特に最近よく出版され、売れている警察小説も、ブームになる遥か前から手がけていました。
TBSのドラマで放送している「ハンチョウ〜神南署安積班〜」なんかは、最初の作品「東京ベイエリア分署」が、1988年ですから。

警察小説とは、警察組織、警察機構を背景に、警察官が事件に当たる小説の事です。
その内容は、勧善懲悪的な、単純なストーリーではなく、警察組織、警察機構の矛盾と戦いつつ、事件の解決に当たるストーリーがほとんどです。
ただ、今野敏の警察小説は、警察組織、警察機構の矛盾と戦いつつ・・・と言う点は、それほど強くありません。
この作品は、2005年に発表され、それまで賞には縁がなかった今野敏に、吉川英治文学新人賞をもたらします。

東大卒で警察庁長官官房、総務課長の竜崎伸也の業務の1つは、マスコミ担当でもある。足立区綾瀬で起こった、暴力団員殺人事件の報告が来ない事に、いらだっていた。
しかも、殺害された暴力団員は、かつて1980年代末に足立区で起きた、誘拐、監禁、強姦、殺人、死体遺棄事件の実行犯の1人。
マスコミに嗅ぎつけられ、あらぬ方向で大騒ぎになったら、官房長官に対して、知りませんでしたでは済まない。

所轄の警視庁刑事部長、竜崎の幼馴染で同期の伊丹俊太郎に食ってかかったが、伊丹はちゃんと警察庁刑事局へは報告していた。
刑事事件の縄張り意識で、長官官房に情報を寄越さなかったのは、刑事局課長の坂上だった。

2件目、同じ足立区の事件の逮捕者が、さいたま市内の潰れたスナック跡地で、発見された。
同一犯の事件として、綾瀬に捜査本部を設置した。
刑事局からは、何の情報も来ず、幼馴染のよしみなのか、伊丹から連絡して来た。

そんな矢先、東大を目指し、浪人していた息子の邦彦が、部屋でタバコの先にヘロインを付着させて、吸っているのを発見した。
官僚本人ではなく、家族の事とは言え、監督不行き届きで、自分に処分が下る事は間違いない。
伊丹にどうした良いか相談したら、もみ消せと言う。
竜崎がこれまで築いたものが台無しになり、警察評判も落ちる。だれも事件を公にして、喜ばないと。
竜崎は、もみ消すと言う事は念頭にはなかったが、事件が発覚した際に、もっと悪い事態になるため、納得出来ない処置であった。

大森署で、多数の打撲傷のある変死体が発見された。被害者は、過去にホームレスの傷害、殺人で逮捕された。
一見犯行現場も、手口も異なる3件の殺人だが、いずれも凶悪な少年犯罪で、当時の少年法の元、量刑が軽かった事件だ。

3件の事件をカレンダー上で見て、所轄警察官の3交代制、日勤、第一当番、第二当番、非番のシフトと一致している事を発見した。
伊丹もその事に気付いていて、警察官を調査して、被疑者を特定しつつあった。

被疑者が非番の時、被疑者を監視していた警察官が、被疑者の行動を誤解して、捜査本部の指示なく、逮捕してしまった。
逮捕された警察官は、すぐに全面自供。
しかし、証拠が見つかるまで、発表は控えていた。

警察官が犯した殺人事件で、大騒ぎになるかと思われたが、様子がおかしい。
自供したにも関わらず、凶器の発見に、無為に手間取っている。
どうやら、現場捜査の上層部で、事件の隠蔽が指示されているように思えた。

東日新聞編集長、福本が、警察がこの事件を隠蔽しようとしているのではないかと、疑義を表明した。
事件の隠蔽をやめさせようと、竜崎は、伊丹の捜査本部へ向かった。

今野敏は、名前は知っていたものの、2007年頃読んだ、この作品が初めてです。

まず、凡人は、こんな設定の主人公にはしないでしょう。
雑草のような、現場たたき上げの主人公は数あれど、東大卒、バリバリのエリート官僚、警察庁の長官官房総務課長。
この総務課長ってのが、直接捜査に関係ないので、主人公にしにくいですよね。
自分がこの作品を読もうと思ったのも、この小説として成立しにくい、この主人公です。

主人公の竜崎は、地位に汲々としている小役人なんかではなく、常に正しいと信じる原則に沿って行動する、いわば痛快な人物なんですね。
地位もあるわけですから、もっと楽に、部下に丸投げして仕事をする事も可能なんでしょうが、2件目の殺人事件の際は、日曜にも関わらず、マスコミ対応に出勤して、伊丹をあきれさせます。
妻も、伊丹も、そんな竜崎を変人扱いします。
こんな、強烈な主人公を考え出したら、小説としては半分成功したものでしょう。

足立区綾瀬、誘拐、監禁、強姦、殺人、死体遺棄事件と来れば、モデルは、1989年「女子高生コンクリート詰め殺人事件」ですよね。
自分はこの事件詳細を途中まで読んで、あまりの酷さに読了せず、今でもトラウマになっています。

ホームレスの傷害、殺人の方は、1983年「横浜浮浪者襲撃殺人事件」ですね。

小説タイトルからと、1/3くらい読了して、自分はストーリーが大体見えました。
底の浅い作品でしょうか?・・・さにあらず。
ストーリーは骨太で、シンプルなんですが、登場人物のヒューマンストーリーで読ませる作品なんです。
だからこそ、この強烈な主人公。

事の軽重はともかく、だれでも失敗をやらかした事はあるでしょう。
そして簡単に考え、隠蔽しようとした事も。
そして、隠蔽した事で、事実が発覚した後、もっと悪い事態になった事はありませんか?

この小説は、そんな誰しも経験するであろう事柄を、事件に絡めて訴えかけているのです。
恐らく、ほとんどの人は、息子の邦彦の麻薬も、殺人事件も隠蔽しようとするんじゃないですかね?

結末は、読んでもらえば、予想通りだった事が分かります。
そして読み終えて、あなたは言うでしょう、この作品は面白かったと。

この作品、土曜ワイド劇場で映像化したようですが、自分は見ていません。

最後に、態度の悪い大森署の刑事、戸高が出て来ます。
この戸高は、次作、「隠蔽捜査2 果断」で大活躍します。
遠からず、「隠蔽捜査2 果断」の書評もアップ予定です。

空手道今野塾を主宰していまして、空手を題材にした小説も凄いんですよ。
こちらもそのうち、紹介したいと思います。

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2011年9月27日 (火)

Om Natten / Kayo

今回は、またまた珍しいスゥエーデン音楽を紹介します。
カヨ(もしかしてキャヨが正しい?)は、アフリカ系スゥエーデン人で、エキゾチックなルックスの元人気ファッションモデル。
歌も出してヒットし、人気者だったらしいです(良く知りませんw)。
モデルでは、カヨ・セルモニ(Kayo Shekoni)、歌のときのみカヨ名義です。

日本で言うと、ぴったりハマるタレントはいませんが、藤原紀香が歌も出して、ヒットしてるみたいな?
関係ないですが、以前モデルの平子理沙がテレビ番組で歌を披露して、めちゃくちゃ上手くて驚きました。
平子理沙はCD出してたんですね、知らなかった(汗)

最初、ユーロビートみたいなディスコチックな曲を出していましたが、次に1993年に出したアルバム(Kärleksland/邦題:愛の楽園)が、当時ヨーロッパを席巻していたアシッド・ジャズなアルバムでした。
1996年までには、アシッド・ジャズは下火になり、カヨもこんなアシッド・ジャズな雰囲気の曲は、このアルバム1枚となってしまいました。

このアルバム、当時のアシッド・ジャズ系のプロ、アマ含めたDJが、カヨのアルバム聞いた?え!?まだ聞いてないの?みたいな感じで、有名でしたが、一般にはさほど売れなかったんじゃないですかね?
自分はまだ、カヨがそれほど有名じゃない頃に聞いて、このアルバムは名盤だなと思いましたね。
当時カヨって知らなかったので、もしかして日本人?とか思ったりしました。

自分が知り合いのアマチュアDJに教え、その直後、彼がクラブでカヨを流して、この曲誰?って問い合わせが殺到して、ドヤ顔してたの見て、笑いました(笑)。
当時日本では、スウェーデンの音楽と言うと、世界的に有名だったアバくらいで、積極的に聞いていたのは、多かれ少なかれ、音楽関係者のみだったように思います。

しかしスウェーデン音楽を草の根で紹介する人の甲斐もあり、日本でも1995年にスウェディシュ(スウェーデン音楽)ブームになりました。
カヨは、ひと足違いで、日本のスウェディシュブームにも乗れませんでしたが、後のスウェディシュのコンピレーション・アルバムなんかには、カヨの曲が取り上げられる事もあります。

この曲は、シングルカットされた曲で、「静かな夜」って意味のタイトルらしいです。
実は5年前に、レコーディング会社のHPで、この曲のMVを見つけ、MVがあったのにビックリしました。
アルバムジャケット写真も、この曲のMVから取っています。
かなりエロいセクシーなMVで、会社PCのスクリーンセーバーで流すのを泣く泣く断念しました。
007を意識したと言うMVは、何度見てもどこが007やねんと思います(笑)。
むしろ、カヨとのデート映像(笑)。

ところが2年くらい前から、日本からこのMVを公開しているサイトへのアクセスが出来なくなりました。
海外の串経由なら、見れるような気がしますが、試していません。

YouTubeの映像は、スウェーデンの音楽番組なんでしょうね。
スウェーデンの大木凡人(似てませんw)がじゃまくさいです。
海外の音楽番組は、口パクが多いですが、この映像も残念なながら口パクです。
まあ、美しいカヨが見れるって事で(笑)。

イントロや曲中で、ビヨンビヨン言っている音は、インド楽器シタールです。
バッキングのオルガンの音が、クールです。
確証はありませんが、ハモンド・オルガンじゃないですかね?
間奏は、オルガンソロと、アナログシンセソロが、旋律、対旋律として絡んで来ます。
一種類は、オルガンのドローバー(ドローバーで音色を作ります)を適度に引いた厚みのある音、もうひとつは口笛のようなアナログシンセ音。
このシンセ音はもしや・・・ミニモーグでしょうか?

http://www.youtube.com/watch?v=RJE5n4Dykxk

この曲のセクシーなPVが、見れるようになりましたので、画像を張っておきます。

http://www.youtube.com/watch?v=lWi93yC5OiQ

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2011年9月25日 (日)

2011年 神戸新聞杯

すいませんが、これ予想ではありません。
中央競馬のレースを伝えるカテゴリが、これしかなかったもので(笑)。

9月25日に、3着まで菊花賞優先出走権がある、菊花賞トライアルレース、神戸新聞杯GⅡがありました。
ここを叩いて本番菊花賞に臨むべく、3戦無敗のフレールジャック、ダービー2着馬ウインバリアシオンが、賞金は足りていますが、出走して来ました。
しかし何と言っても、皐月賞、ダービーの2冠馬、オルフェーブルの出走が、最大の注目ですね。
ここをすんなり勝って、7頭目の牡馬3冠へ向けて、好発進するのか?

スマートロビンが逃げ、中団やや前気味にオルフェーブル、マークするようにウインバリアシオン、フレールジャックは後ろから足を溜めます。
3-4コーナ中間に、やや引っかかり気味にウインバリアシオンが仕掛け、合わせてオルフェーブルも前に進出します。フレールジャックも前に進出を開始します。
4コーナーを回り、直線を向いた時には、オルフェーブルは先頭で逃げているスマートロビンまで1馬身半、1馬身半後くらいにウインバリアシオン、さらに1馬身後くらいにフレールジャック。
オルフェーブルは気合を入れると、スマートロビンを並ぶ間なく交し、馬の加速のレベルが違い、楽々後ろを引き離しました。最後は手綱を緩める余裕。
ウインバリアシオンは懸命に追って2馬身半差2着、勝負所でズブく最後に加速してフレールジャックが2馬身半差3着でした。

菊花賞では、一本かぶりの人気になるんでしょうね。

血統的にも、天皇賞春2着したステイゴールドと、母父が菊花賞を勝ち、天皇賞春2連覇したメジロマックイーン。

サンデーサイレンス系種牡馬は、競争で活躍した馬は、種牡馬でも成功しています。
ステイゴールド(父サンデーサイレンス)くらいの実績の馬は、他にもいますが、自身の競争成績以上に、種牡馬で頑張ってますね。

ステイゴールドの母父には、へそ曲がり血統、ディクタスが入っています。
ディクタスは、こてこてのステイヤー血統なのですが、自身はマイルのレースで、レコード連発。
ディクタスの子、サッカーボーイ産駒は、マイラーもステイヤーも出しています。
ステイゴールドはGⅠ2着が多い、ナマクラな切れ味で、メジロマックイーンも切れ味よりスタミナと言う印象ですが、オルフェーブルのあの切れ味はサンデーサイレンスの血と、ディクタスの血のような気がします。
先祖に、ネアルコが少ない血統と言うのも、血のバランスが取れて、良いような気がします。

競馬ファンとしては、オルフェーブルに3冠取って欲しいですが、馬券的には自分は菊花賞で、オルフェーブルを1着じゃない予想にしようかな?と考えています。
決定ではないですが。
むしろ、逃げたスマートロビンの方に、魅力を感じたりします(笑)。

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2011年9月24日 (土)

2011年 日本テレビ盃

9月23日、大井競馬場で、JBCクラッシックのステップレース、統一GⅡ交流競走の日本テレビ盃(ダート1800m)がありました。

現在、日本のダートの強豪と言うと、地方所属船橋競馬のフリオーソ(GⅠ6勝)、JRAのトランセンド(GⅠ2勝)、スマートファルコン(GⅠ3勝)、エスポワールシチー(GⅠ5勝)です。
このレースには、地方所属船橋競馬のフリオーソ(GⅠ6勝)とスマートファルコン(GⅠ3勝)が出走を予定し、直前に屈腱炎でフリオーソが回避してしまいました。

ゲートが開いて、スマートファルコンが先頭に立ち、手綱は持ったまま。それでいて後続は、ついて行くのがやっとの状態です。
スマートファルコンは、直線向いて、少し気合を入れただけ。それでいて、着差以上の大楽勝、重賞16勝目。
JRA所属馬では最多、公営も含めると、重賞17勝している今は無き宇都宮競馬のブライアンズロマンに、あと1つとなりました。

余談ですが、ブライアンズロマンは、ホクトベガアブクマポーロメイセイオペラと同時期に活躍しました。全く歯が立ちませんでしたけどね(笑)。

フリオーソの屈腱炎は、高齢馬だけに、心配ですね。
スマートファルコンの次走は、11/3の大井競馬場、JBCクラッシックでしょうか?

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探偵は吹雪の果てに / 東直己

またまた東直己の書評で申し訳ありませんが、この作品大傑作です。
自分はおおよその出版順、「探偵はバーにいる」、「バーにかかって来た電話」、「消えた少年」、「向こう側にすわった男」、「探偵はひとりぼっち」と読了しました。
そして次の作品が、この作品です。もちろん長編小説。

これはハードボイルド小説ですが、ハードボイルドについては、拙著の最初の部分をご覧下さい。

北栄会花岡組の組頭補佐、芳野達に袋叩きにされ、やっとの事で、高田の店までたどり着いた俺は気を失い、池谷の病人に入院した。
そこで、死んだはずのかつての恋人、純子に再会する。
芳野達の袋叩きの際、何度も立ち上がった俺に感銘したのか、芳野の手下が、芳野達が病院に襲撃に行くと教えてくれた。
そんな矢先、純子から手紙を預かり、斗己誕(とこたん)町の奥寺雄一まで届けて欲しいと言う。

斗己誕は、JRが廃線になり、深川駅からバスで行かなければならない。バスの本数は、2時間に1本程度。
そんな田舎町だが、昨年の秋の終わり、高校生が同級生をバットで殴り重症を負わせ、家に帰って姉をバットで殴り殺した事件があり、ワイドショーで盛んに放送されるなど、有名になった。
犯人の高校生は、目下行方不明。

もっけの幸いと、純子との約束を果たすべく、入院を切り上げ、着替えて斗己誕に向かった。
斗己誕の奥寺雄一邸は豪邸で、本人は東京にいて不在。
町の人間は、自分に対して、よそよそしい。
自分をマスコミ関係者だと、勘違いしている。

斗己誕は、長年町長を務めた奥寺に牛耳られており、その手先が森一族。
森一派が、わが世の春を謳歌し、斗己誕の多くが森/奥寺の言いなり。
殴られて重症を負った高校生は、森の息子で、親の威光を笠に着て、陰惨ないじめをしていたんだそう。

俺は、奥寺雄一が斗己誕に戻るまで待つ事にしたが、外出中に宿泊していた部屋が荒らされていたりと、歓迎されていないようだ。
注意していたのだが、入浴中に純子からの手紙を盗まれてしまう。
俺は、好むと好まざるとに関わらず、森一派と相対しなくてはならなくなった。

斗己誕は実在の町ではありません。実在だったら、大騒ぎになるでしょう(笑)。
バスに乗った深川駅は実在します。
オチアイに送られた、鷹栖インターも実在します。
深川駅からバスで1時間半、名寄から1時間。地理的には、国道275号沿いと思われますが、該当する場所には町はありません。
しかし、深川市と名寄市の間に幌加内町があり、幌加内町にはかつて深名線があり、現在は廃線・・・位置的には異なりますが、この辺が斗己誕のモデルだと思われます。

JRの民営化で、北海道のかなりのローカル線が、廃線になりました。
自分の祖母の家への路線も、廃線になりましま。
2時間に1本くらいしか走ってなく、場合によっては車両に客1人なのに、なぜか10両以上の編成とか・・・地域住民の方には申し訳ありませんが、そんな路線は、民営化したら廃線になっても仕方ありませんよね。

知らない町に行って、町のごたごたに巻き込まれる(自ら巻き込む?)有名な作品に、ハードボイルド創生期の大作家、ダシル・ハメットのコンチネンタル・オプシリーズの長編、「血の収穫」があります。
黒澤明監督の名作、「用心棒」は、「血の収穫」を時代劇に書き直したもので、ストーリーは一緒です。
ハヤカワですから、小説の裏側に書かれているストーリーを読んだ時、すぐに「血の収穫」を思い浮かべました。
ハヤカワのあらすじ・・・ネタばれさせ過ぎ!

ビックリです!?これまで、1年から2年おきに年を取りながら作品となったススキノ探偵が、一気に年を取り、この作品では45歳です。
まず、ススキノ探偵のプライベートですが、「バーにかかって来た電話」で出会った中学教師の春子と、「消えた少年」の事件で付き合うようになり、「探偵はひとりぼっち」の後、春子と結婚し子供を持ちます。
その後離婚、その息子も現在中学一年生。
太くなったのを気にしていましたが、この作品ではデブと呼ばれています。

ちなみに同じ名なしの探偵である、コンチネンタル・オプも、デブです。

作品に登場する音楽もUAの「青空」とか、現在に近づいて来ています。
余談ですが、個人的には、「温度」が好きです。

これまで、作品中で度々語られていた、昔大事な人を亡くした・・・と言う、大事な人が、今回驚きの再会をした純子。
純子は、どうしてススキノ探偵の前から、死を装うっていなくなったのか?・・・は、ストーリーで語られています。
こんな経験をした事がある人なんて、ほとんどいないでしょうが、ヤバい世界にも片足突っ込んでいるススキノ探偵ですから、アリとしましょう。

今までの作品と違い、高田の登場は冒頭のみで、高田の格闘シーンは皆無です。
高田は、北大大学院を卒業して、小さな飲食店をやっていますので、昔のように無鉄砲に格闘とは行かないでしょうね。

ストーリーの展開のさせ方が、秀逸ですね。
手紙を渡すだけの、簡単な任務・・・ススキノ探偵もそう考えて斗己誕に乗り込みますが、町が色々とおかしい・・・様々な謎が提起されます。
正直、ストーリーの半分くらいまでは、色々な謎を、ここまでとっ散らかせて、どうすんだろう?って思いましたね。

斗己誕ほど腐敗した町は、現実にはないと思いますが、事の軽重はともかく、地方でも中央でも、政治によって甘い汁を吸おうとする人、その甘い汁に群がる人はいるでしょう。
また観光地でもない田舎は、閉鎖的なところもありますからね。

その時点(ってどの時点?)まで、純子に手紙を託された意味が分かっていなかった、ススキノ探偵ですが、次々と気に食わない出来事が起こります。
遂には、必死にならなくてはならない事態が起こり、吹雪の中、スノーモービルに乗って、森一派と対決に向かいます。

余談ですが、映画「探偵はBarにいる」で、スノーモービルを使用したのを、散々リアリティがないと書きましたが、それは交通の発達した札幌近郊の事。
斗己誕のように、交通の便の悪い場所・・・ましてや斗己誕郊外なら、大雪が降ると、除雪車が来ない限り、雪に閉じ込められる恐れがあり、金持ちならスノーモービルを持っていても、不思議ではありません。
さらに目的地に、より早く着くために、道なき原野を行きますので、それは車では不可能で、スノーモービルでないと行けません。

田舎の人で、同じ言葉を何度もリフレインする人はいますが、ここまではひどくないでしょう。
面白かったんで、良いですけどね。

伏線に気付けば、予想通りのストーリー展開・・・でも伏線はうまく隠されています。
バタバタと畳み込むようにラストに向かい・・・パズルのように謎が解け、ラストは甘く、切ない。

ストーリーは、「血の収穫」と全然違い、むしろもっとリアリティと親近感があり、「血の収穫」よりこの作品の方が好きです。
ロス・マクドナルドのリュウ・アーチャーシリーズは言うに及ばず、レイモンド・チャンドラーの「長いお別れ」より、甘く切ないこの作品が好きです。
コンチネンタル・オプ、フィリップ・マーロウ、リュウ・アーチャーよりはるかに間抜けで、何の役にも立ちませんが、ススキノ探偵の方が、良い酒飲みでしょう。
あえて難点を言えば、もっとシンプルかつ骨太なストーリーだったら、更に良かったと思います。

日本では、古典ハードボイルド御三家と呼ばれるダシル・ハメットレイモンド・チャンドラーロス・マクドナルドが、この作品を読んで、天国で歯ぎしりしているかも知れません(笑)。

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2011年9月23日 (金)

Destination / AB'S

今回も、日本のバンドAB'S(エービーズ)を紹介します。
プラスチック素材にABS(エービーエス)ってのがありますが、関係ありません(笑)。

1970年代後半から、ジャズやロック、ラテン音楽等、様々な音楽を融合させた、フュージョンが世界的にブームになります。
フュージョンでは、演奏力が問われる難曲が多く、演奏者のテクニックで聞かせる音楽が多かったです。
その結果、これまでボーカルの後ろで演奏していた、スタジオミュージシャンが、表にメインとして出て、ソロアルバムがヒットしていました。
自分がこれまで紹介した中で言えば、ラリー・カールトンはそうですし、ロビン・フォードのファーストアルバムとか、イエロージャケッツは、フュージョンブームの中、ヒットしました。

その流れは、日本にも来て、このフュージョンブームで商業的に成功したのが、渡辺香津美高中正義カシオペアT-SQUARE等であり、その他当時にはパラシュートプリズムナニワエキスプレス等があり、活躍していました。
別な流れとして、新田一郎率いる、スタジオミュージシャンのホーンセクション(つまりラッパ集団ですね)、ホーン・スペクトラムから、本格的な日本語で歌うブラスロックバンド、スペクトラムが誕生しました。
同じく、スタジオミュージシャンが組んだバンドとして、SHOGUNがあり、ドラマ「俺達は天使だ!」の主題歌がヒットしました。

1980年代になると、フュージョンブームも下火になり、スペクトラムSHOGUNも解散しました。
AB'Sは1982年、SHOGUNのギタリスト/ボーカルの芳野藤丸、スタジオミュージシャン兼ソロ活動中のギタリスト/ボーカルの松下誠、元スペクトラムのベーシスト/ボーカルの渡辺直樹、元スペクトラムのドラマー/ボーカルの岡本郭男、元パラシュートのキーボードの安藤芳彦によって結成されたロックバンドです。
バンド名の由来は、メンバーの血液型が、AB型またはA型ばかりだったから・・・なんちゅーネーミングやねん!

「両雄成り立たず」のことわざもありますが、腕のあるギタリストを2人擁するバンドは、そうそうありません。
このバンドの魅力は、腕があり、個性が違う芳野藤丸、松下誠のギターアンサンブルで、それを支えるキーボード、ベース、ドラムも腕利き揃い。
さらに素晴しいのは、キーボードの安藤芳彦以外、全員ボーカルが取れます。
曲やパートによってボーカルを変えるとか、コーラスワークも素晴しいです。
ハードボイルドチックな歌詞で、落ち着いた大人の雰囲気のロック(AORとはあえて呼ばないぞ!w)を歌うバンドは、当時の日本にはないものでした。

1983年、ファーストアルバム「AB'S」はロンドン録音したので、ロンドンで1曲目の「Deja-vu」を12インチシングルを発売したところ、けっこう売れてロンドンのヒットチャートにランクインしますが、日本では何の話題にもならず。
まあ当時の日本は、まだまだアイドル全盛で、洋楽を聴くのは少数派、世界の音楽界からすると、ガラパゴス状態でしたからね。
ましてや、ロンドンのチャートなんて、チェックする人・・・いたの(笑)?

1984年、ロンドンでレコーディングしたアルバム、「AB'S-2 倫敦粋句(ロンドンシック)」を発表します。
この2枚のアルバムは、名盤ですね。

残念ながら、このアルバム後、松下誠が脱退し、残りのメンバーで1985年「AB'S-3」を出しますが、このアルバムはあまり良くありませんでした。
さらに芳野藤丸以外全員、バンドを脱退し、新たなメンバーで1988年「AB'S-4」を出しましたが、これはもうかつてのAB'Sからは、ほど遠かったです。
2003年に初期のメンバーで、活動を再開します。
これはこれで嬉しいですが、皆年を取って衰えもあり、かつての輝きはありません。

「Destination」は「AB'S-2 倫敦粋句」のオープニングを飾る曲です。
選曲は例えば、ギターソロで選ぶなら、芳野藤丸、松下誠のギターソロバトルが聞ける「Dee-Dee-Phone」なんかも良いですが、自分はAB'Sの曲としては「Destination」が一番好きです。
自分が学生の頃の学園祭に、ギターでこの曲を演奏した事があります。

この曲は、今話題の新人バンドの曲と言って聞かせたら、皆信じます。
それはこの曲が、年を経ても輝きを失っていないと言う事なのでしょう。

さて、曲に行きましょう。

出だしのドラムとスラップ奏法(昔風に言うとチョッパーベース)のベースが、かっこ良いですね。
この曲のノリが素晴しいのは、元スペクトラムのリズムセクション、岡本郭男のシャープなドラミングと、終始かっこ良いフレーズを奏でる、渡辺直樹のベースのスラップ奏法と、長くコンビを組んで息があっている事ですね。
そしてその後に、芳野藤丸のシャキーンとした、白玉(2分音符以上の長く伸ばした音)のコードストロークがかっこ良いです。

歌は、Aメロ(0:41)が松下誠、A'メロ(1:09)が芳野藤丸、Bメロ(1:37)は渡辺直樹が歌い、サビは皆のコーラスとなります。
歌のバッキングギターの、かっこ良い事・・・1コーラス目A'メロ以降2人のギタリストが別々のフレーズを弾き、これがまたかっこ良いです。
間奏では、イントロと同じ芳野藤丸のシャキーンとしたギターに、松下誠のボリューム奏法のギターが絡みます。

エンディングのギターソロは、芳野藤丸。
このギターソロは、(ギター)→コンプレッサー/リミッター→(ディストーション)→ディレイ→リバーブ→(ギターアンプ)と言う風に接続しているはずですが、自分が学園祭で弾いた当時、リバーブ(デジタル・リバーブ/ギターの残響音を出すエフェクター)は数十万と高価で、買えませんでした(涙)。
自分はAB'Sでは、松下誠のギターソロの方が好きなんで、彼にソロを取って欲しかったですけどね。

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2011年9月21日 (水)

向こう端にすわった男 / 東直己

またまた東直己で、ごめんなさい。
実は別の作家の、別の作品を予定していたのですが、ススキノ探偵の紹介したい作品が溜まったんで、急遽変更しました。

これはハードボイルド小説ですが、ハードボイルドについては、拙著の最初の部分をご覧下さい。

この本は現在のところ、東直己のススキノ探偵シリーズ唯一の短編集です。

世の中面白いもので、長編小説ばかり読んでいる人は、偏見で、内容が薄いんだろうと、短編小説を読まない人が多いです。
一方、短編好きな人は、いつでもどこでも読み始められる手軽さがないため、長編小説には手を出しにくくなります。
かく言う自分も、短編ばかり読んでいた時、次に読んだ長編小説が、読むのが苦痛でしたね。現在は、克服しましたが。

短編小説が内容が薄いと思っているなら、それは偏見です。
小説とは、小説家が表現したいストーリーを文章で描く事であって、文の長短は作品の面白さとは関係ありません。

ハードボイルドで言うならば、創生期の大作家、ダシル・ハメットコンチネンタル・オプシリーズやサム・スペードシリーズの多くは短編です。
例えばカート・キャノン/エド・マクベインの「酔いどれ探偵街を行く」のシリーズも短編集です。
この中には、傑作も何篇かあります。
小説を読むのが好きなのに、短編を読まないのは、読書の楽しみを半分捨てているようなものです。

短編集では、1冊に1編面白い作品があったら、もうけものと言う感覚で読んで下さい。
その1編が、大傑作なら、下手な長編なんて、読んでられるか!ってぐらい、お得です。

ちなみに作家によって、短編が得意、長編が得意、両方得意とカラーが分かれます。

この短編集は、1992年から1996年にかけて書かれたもので、恐らくは長編の1992年年5月「探偵はバーにいる」以後、1993年1月「バーにかかって来た電話」、1994年10月「消えた少年」、1998年4月「探偵はひとりぼっち」のススキノ探偵の間隙を埋める作品です。


向こう端にすわった男

ゲイター」、「ロンググッドバイ」、「さらば愛しき人よ」の3本のハードボイルド映画を見て、ケラー・オオハタで気分良く酒を飲んでいると、30代後半、あるいは40代の大柄な男が入って来て、自分の向こう側にすわった。
ケラー・オオハタの先代からの客らしく、珍しいドイツのジン、「シンケンヘーガー」を静かに飲んでいた。
バーに電話がかかり、その男・・・フジタ宛に電話がかかって来た。
電話の様子から、フジタはトラブルに巻き込まれているようで、俺はススキノ探偵の面子から、協力を申し出た。

初出「ミステリィマガジン」1992年7月号。

短編小説は、短い枚数で全てを表現しなければらなず、無駄な文章なんて書けません。
前半の、伏線に気がつけは、オチは想像通り。

ドイツのジン、「シンケンヘーガー」って、この小説で知りました。
今度飲んでみようかな。

でもお茶目な事が好きな自分・・・こんな事やっちゃいそうだなぁ。
やり遂げて、10分間位大爆笑だったでしょう。


調子のいい奴

途方に暮れた中年サラリーマン(実は32歳)、岡崎から、22歳の恩師の娘、池田美佐子が結婚詐欺に遭っているかもしれないから、調査して欲しいと言うもの。
池田美佐子の相手は、いかがわしい会社が集まる場所にある、「メディア・アソシエイツ」の伊野田と言う、20代後半の社長。
伊野田は、元一流商社マンだったが、脱サラして会社を興した。
それほど儲かっていそうでもないのに、伊野田は高級クラブに通い、ホステスの美佐子に高価なプレゼントをし、ソウル旅行にも連れて行っている。

「メディア・アソシエイツ」岡崎から提示された調査方法は、伊野田の会社に、ススキノ探偵が就職して、伊野田を調べると言うもの。
ススキノ探偵の大学時代の同級生の経歴を脚色して履歴書を書き、知人の会社、「さっぽろへんてこ通信」にも在籍した事にし、口裏を合わせてもらうよう依頼した。
予想に反して、破格の待遇で簡単に「メディア・アソシエイツ」に入社出来、しかも伊野田の仕事について回る事になったが、仕事をもらえるはずの、大手の担当者から相手にされておらず、会社は何で収入にしているのか、怪しい状況。
一流商社在籍時代も評判が良くなく、その事実を岡崎告げ、依頼は簡単に終了するはずだったのだが・・・

3日後、岡崎から助けて欲しいと、依頼があった。美佐子にこの事を話したら、聞く耳もたない美佐子が怒りまくった。
それでも気になった美佐子は、伊野田に問いただし、逆に伊野田に丸め込まれたそうなのだ。
再度調査をしたススキノ探偵は、くだらない奴らに辟易(へきえき)しながらも、核心に迫る。

初出「イエローページ」1994年1月~7月号。
イエローページって、小説載せるんでしたっけ?

この作品は、大傑作です。
次に紹介予定の「探偵は吹雪の果てに」、「バーにかかって来た電話」に次いで傑作です。
短編でも、長編でも傑作が書けるとは、素晴しい!

どこの世界にでも、ほら吹きはいますし、中には大風呂敷を広げ、ビジネスにつなげている人もいます。
これって、場合によっては、詐欺すれすれなんですね。
自分もそんな人に出会った事がありますが、あの情熱的なまでに熱心な様は、引き込まれる人がいても、不思議ではありませんね。
自分は、運よく引き込まれはしませんでしたけどね。

仕事で夢を描き、もしもそれが1つずつ実現して行くなら、素晴しい事ですよね。
そんな人達は、その辺を突いて来ます。

ですので、ススキノ探偵の調査対象の伊野田社長には、とてもリアリティを感じます。
世の中には、あり得ないような嘘で騙される、ダメンズ好きの女性もいますよね。
美佐子と言う女性もリアリティを感じます。

この作品の面白さは、ススキノ探偵の依頼人岡崎、伊野田社長、美佐子のごたごた振り、ラストに至るまでストーリーのプロットです。
ススキノ探偵は、この作品で、初の就職をします。

ラストは、爽快に苦笑します。
現実の女にも、こんなに強い生き物はいますよね。
美佐子の場合、相も変わらず、ダメンズをつかんじゃうんだろうなって、思いますけど。

ネアンデルタール人友の会に、入会したいです(笑)。


秋の終わり

薄野の客引きノブが、幼なじみが北二十四条のホンサロで働いているので、助けて欲しいと。
小学校の同級生で、少々知恵遅れ気味な女で、いじめられてもへらへら笑っていたが、ノブが理由もなく殴られて、鼻血を出した時、ちり紙をくれた事があるんだそう。
女は、中学の時に妊娠したらしく、学校に来なくなった。
ヤクザに、監禁状態のホンサロから助け出して、婦人相談所に入れるべく、ススキノ探偵、高田、ノブの3人は、北二十四条に向かった。

初出「ミステリィマガジン」1994年7月号。

この短編では、高田初登場、そして唯一の登場作です。

北二十四条から数駅先に、自分の友人が住んでいて、何度も行った事があり、土地勘があります。
関係ないですが、北二十四条には、自分が札幌に行った時、必ずと言って良いほど行く、居酒屋がありました。
もう、15年くらい行っていませんが、まだあの店はあるんでしょうか?

これまた関係ありませんが、その友人は、北二十四条のかわいいお姉ちゃんに、入れあげた事があります。
今思うと、相手が良い人だったんで、犯罪に巻き込まれるような事はなかったんですけどね。

まともな判断の持ち主なら、こんな相談を受けて、どうしたら良いか分かりますよね?
しかしある意味、東直己の筆力で、自然に北二十四条へ行くのを良しと、しちゃいますね(笑)。
ホンサロの実態はリアリティがあり、東直己の想像だけではないと思います。

これ以上書くと、ネタばれは避けられませんので、この話は、ここで筆(キーボード)を置きます。


自慢の息子

俺は、「木村さん」に、まだ夜は冷え込む春先に出会った。
「木村さん」は、いつも夏場に、札幌に流れて来る、半分浮浪者で、建具の修繕みたいな事をやって、日銭を稼ぐ。
この季節の夜は辛かろうと、ごみ場をあさっていた「木村さん」を、ごみ場のようなススキノ探偵のアパートに連れて来た。
「木村さん」は、息子が小学3年の頃、会社の使い込みがバレ、女房と離婚して、人生を転落した。
春に新聞で、息子が大学に合格したのを知って、故郷の札幌に、いつもより早く来たのだそう。
俺は、「木村さん」から、別れた女房の行方探しを依頼された。
最初断りながらも、自分が先に奥さんに会って、意思を確認してから引き合わせれば良いと、俺は簡単に考え、引き受けた。

初出「ミステリィマガジン」1995年11月

ズレている人は、どこにでもいるもので、しかも本人は全然ズレていると思っていないから、ずっとズレ続けますよね。
ここまで迷惑な人ではないですが、ズレている人には心当たりがあり、「木村さん」にはリアリティを感じますね。

もしも人に情がないなら、世の中は、何と計算通りに運ぶ事でしょう。
でも、情があるからこそ、素晴らしいとも、ばかばかしいとも言えますよね。

こんなはずじゃなかったのに・・・と「木村さん」は思ったでしょうが、良く考えれば、事前に結果は分かるでしょう?
自分とすれば、この短編では2番目に好きですね。


消える男

俺はディスコ(設定がバブル前なんでw)を起業しようとしている森中社長に、池田と組むのをやめるよう、池田のいる前で進言した。
池田はかつて、参加していたガキ向けのイベントを企画していた際、俺がスポンサーから集めた金を持ち逃げした。
池田は、札幌の飲食関係者から小金を借りっぱなしにしていて、イベントに首を突っ込んでは、金をかすめ取っている。

森中社長は俺の進言通り、池田を通さずに、池田の下請け予定だった、飲食店の設計、企画、コンサルタント会社、「ヘパイトス80」と直接やり取りする事にした。
腹を立てた池田は、「ヘパイトス80」のスタッフ、そして俺に嫌がらせを仕掛けて来た。
ところが「ヘパイトス80」の井林社長は、なぜか、池田と正面から事を構えるのに消極的だ。
学生運動の頃からの井林社長の盟友、「ヘパイトス80」のデザイナー桑田さんは、一人行動を開始した。

書下ろし1996年9月

自分が、人生の寄り道をしていた頃、ひょんな事からイベント屋と出会いました。
池田のような人ではなかったですが、それほど親しくしていた人ではないので、実際は分かりませんね。
人種的には、先の伊野田社長と、似たり寄ったりです。

少ない紙数に、森中社長とのやり取りから、池田の嫌がらせ、そして井林社長と桑田の学生運動時代と、色々な話を詰め込んでいます。
いくら何でも詰め込み過ぎで、もう少し1つ1つを丁寧に書いて欲しかったですね。
ある意味、短編小説では、あまりこんなに手を広げるのは、良くないでしょう。
一応、きれいにさばいて、終わらせていますが、何だかスッキリしません。

学生運動については、自分はさっぱり分からないので、機会があったらその時代にどっぷり漬かっていた人に、意見を聞いてみたいですね。

近日、傑作の「探偵は吹雪の果てに」の書評をアップ予定です。

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2011年9月18日 (日)

With This Love / Chickenshack

今回は、まず曲を聴いて下さい。

この曲は、1987年に発売された、Chickenshackのアルバム、ChickenshackⅢに収録された、「With This Love」と言う曲です。
Chickenshackは、日本人のバンドです・・・と聞いて、驚くでしょうかね?

1980年代始め頃、自分のバンドで、当時としては少数派だった、ブラコン風なオリジナル曲をやっていた頃、決まってベーシストやドラマーに、日本人に黒人みたいなノリは無理だと反対されました。
当時の、日本の曲にありがちな、タテノリの方が、日本人に合っていると。

無理だなんて言う人が、事を成就出来た試しはなく、どっちが正しかったかは、皆さんの判断に委ねるとしましょう。

Chickenshackは、ソウルフルな曲が、日本人にも出来るぞって言う、さきがけみたいなバンドでしたね。
この曲のメンバーは、以下の通りで、当時日本にいたトップミュージシャン達です。
個人的には、アルバムジャケットの写真がセクシーで、思わせぶりで好きです(笑)。

Sax:土岐英史
Guitar:山岸潤史
Keyboards:続木徹
Bass:DAREK JACKSON
Drums:MARVIN BAKER

実はドラマーと、ベーシストは黒人ですね(笑)。
Chickenshackは、2枚目のアルバムまでは、ドラマーが日本人、3枚目のアルバムから黒人のマーヴィン・ベーカーに変わり、ノリが一変しました。

これは黒人だからでしょうか?自分は違うと思います。
それが証拠に、5枚目のアルバムのドラマーは、日本人になりましたが、ドラムは素晴らしいグルーブです。

日本でも1990年以降に、ブラコン風な曲が多くなり、それまでバンドマンと言えば、猫も杓子もヘヴィメタル/ハードロックでしたが、やがて少数派になりました。
そしてファンキーなグルーブを得意とするベーシスト、ドラマーが増えるにつれ、黒人に匹敵する・・・場合によっては上回るノリのミュージシャンが、日本人にも出て来ました。
1990年以前に出来なかったのは、単に、ファンキーなグルーブへの勉強不足だと思います。
グルーブに、黒人とかモンゴロイドとかなんて、関係ないですよ。楽器を持ったら、いちミュージシャンに過ぎません。

この曲ですが、Chickenshackは、ボーカル前面フューチャーとか、インストロメンタル(以後インスト)の曲がある一方、ボーカルとインストが半々みたいな曲もあります。
ボーカルとインストが半々みたいな曲は、日本人としては珍しいですね。

イントロのピアノは、続木徹。続木徹はこの曲の作曲者でもあります。

続いて先攻の土岐英史のサックスは、ソプラノサックスです。
ソプラノサックスは、クラリネットみたいに、まっすぐで、下のライブ映像で吹いているのが、ソプラノサックスです。
アレン・ヴィズィティのような、超絶高音ではありませんが、吹いている音は高く、音色がきれいです。
余談ですが、土岐英史の娘は、元Cymbalsのボーカルで、現在ソロボーカルの土岐麻子です。

間奏のギターソロは、好きなギタリスト山岸潤史で、上のアルバム音源は、ギブソンES-347のフロントとリアのフェーズインの音じゃないですかね?
フェーズインとは、フロントとリアのピックアップの、電流の流れを逆にして電磁SN極を反転させ、同時出力する、中音がカットされたような音色の事です。
山岸潤史の演奏は、チョーキング(ギターの弦を引っ張って音程を上げる)だけで説得力のある音で、わざともたったようなフリをしたり、クドいくらいの繰り返しフレーズとか、いかにも山岸らしいです。

Chickenshackは、最近まで、YouTubeにはほとんどアップされていませんでしたが、最近色々アップされているのに気付きました。

その中には何と!ライブ映像もあったのですが・・・残念ながら、演奏はイマイチです。
かつて自分が六本木で、Chickenshackのライブに行った時は、皆の演奏が素晴らしく、涙が出そうなくらい感動的なライブだったのに・・・
狭いライブ会場のせいなのか、演奏が合っていなく(ライブ会場が狭いと、音が回り込んだり、モニタースピーカーの音が聞こえにくかったり、タイミングが合わせにくいです)、かつミキシングは超下手くそ音作りがもうひとつです。
自分の20代のバンド時代に、こんなミキシングしたヤツがいたら、やがて手が出る足が出る・・・かな(笑)。

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2011年9月15日 (木)

I do my best of impress / Linda Lewis

今回は、UKソウルの歌姫、リンダ・ルイスの曲を紹介しますが、本当のネライは、ローズ・ピアノの名演の紹介です。

リンダ・ルイスは、1950年ロンドン生まれ。
10代にビートルズの映画、「ヘルプ!」に端役で出演し、バンド活動、セッションボーカリストの後、1971年にソロボーカリストとしてデビュー。
常人の声域は、1.5オクターブもあれば、広い方ですが、リンダ・ルイスは5オクターブもの広い声域で、特に高音はヒバリのさえずりにも例えられるほどの美声です。
1971年「セイ・ノー・モア」、1972年「ラーク」、1973年「ファゾムス・ディープ」、1974年「ハート・ストリングス」は名盤と言われています。
この辺が、リンダ・ルイスの人気のピークで、徐々にアルバムの売れ行きも落ち、1980年代には活動を停止し、消息も分からなくなりました。

しかし1993年、突然、ジャミロクワイのファーストアルバム、「エマージェンシー・オン・プラネット・アース」にバックコーラスで参加すると、当時のアシッド・ジャズのブームやレア・グルーブブームから、1970年代の曲が良質のグルーブとして見直され、ロンドンやアメリカ、日本の多くのDJに取り上げられ、またサンプリングがラッパーに使われたりしました。
それがきっかけかどうか、1995年に、久々のソロアルバム「セカンド・ネイチャー」を出し復活、その後来日公演もしました。

この曲は、1975年の「Not A Little Girl Anymore」と言うアルバムに収録されている曲です。
アルバムジャケットは、米国版と英国版で異なります。

関係ないですが、このアルバムの「It's In His Kiss」、「Rock And Roller Coaster」に無名時代のルーサー・ヴァンドロス(故人/合掌)、「This Time I'll Be Sweeter」には同じくデニス・ウィリアムスが、バックコーラスで参加してます!?

冒頭にも述べましたが、この曲は大好きではありますが、リンダ・ルイスの5オクターブの音域を活かした曲だから、選んだのではありません。
ローズ・ピアノ(当時だとフェンダー・ローズ?)の名演だから選んだのです。
1980年代に、ベストアルバム(最初はコンピレーションだったかも)でこの曲を知り、その際には「Not A Little Girl Anymore」は入手困難。
これほどの名演ですが、初めて聞いて以来、永らく誰が演奏しているのか、謎でした。

Flute:Lenny Pickett
Congas:Darryl Lee Que
Bass:Clive Chaman
Drums, Percussion:Gerry Conway
Electric Piano, Synthesizer:Max Middleton
Guitar:Robert Ahwai

「Not A Little Girl Anymore」がCD再版され、判明した時にはビックリでした。
ローズ・ピアノの名演ではありますが、弾いていたのは、自分の大好きなローズ・ピアノの名人、マックス・ミドルトンだったとは!

マックス・ミドルトンは、1946年イギリスのアマシャム生まれ。1971年にキーボードとしてジェフ・ベック・グループ(日本では、第2期ジェフ・ベック・グループと呼ばれています)に参加し、名を上げます。
1974年には自らのバンド、ハミングバードを結成して、その後3枚のアルバムを出します。
セッションキーボーディスとしても、1975年に、ロックインストロメンタルの最高峰と言われた銘盤、ジェフ・ベックの「ブロウ・バイ・ブロウ」、「ワイアード」に参加し、ケイト・ブッシュ、クリス・レア、ナザレス、ストリートウォーカーズ、アレンピーコック等、多くの有名アーティストのアルバムに参加しました。
マックス・ミドルトンは、鍵盤楽器全般・・・ピアノ、クラビネットチェンバロ、シンセサイザーを弾きますが、中でも当時から、ローズ・ピアノの名人と言われていましたね。

ローズ・ピアノの先駆者で成功者と言う事もあり、当時からマックス・ミドルトンのフレーズの真似をする人が多く、実はこの曲も、「なんちゃってマックス・ミドルトン」が弾いているのかと思いました(笑)。

「Not A Little Girl Anymore」がCD再版されて知ったのですが、レコーディング会社をリプリーズからアリスタに移籍、それまで自分で曲を書いて歌っていたのが、このアルバムでは他の人が曲を書いたりしています。
名盤「ハート・ストリングス」の後のこのアルバムは、リリース当時駄作とされ、商業的にも失敗したのだそうです。
なんだか、こんな話をやまがたすみこのところでも書いたような・・・(笑)。
時代の流れも見据え、良い曲を書き続け、何年にもわたり商業的にも成功するのは、ほんのごく一部の人達です。

何が良いのかは時間が解決する事で、現在ではこのアルバムは再評価され、むしろリンダ・ルイスアルバムの中で、最も好きと言う人もいるほどです。
この文を書くに当たり、インターネットで調べると、この「I do my best of impress」を好きと言う人が多いのに、ビックリしますね。
ちなみに、ベースとギターは、ハミングバードのメンバーで、このアルバム制作に、マックス・ミドルトンが深く関わっていた事が、伺えます。

さて、曲に行きましょう。
出だしのチープなユニゾン(同じ音律での演奏)は、古臭くもあり、しかし普遍的にかわいいフレーズですね。

ノリの良い曲ですが、ベースの跳ねるようなリズム感が、この曲のリズムを素晴らしいものにしています。
ギターのロバート・アーワイのバッキングフレーズも、地味ながら、味わいのあるものです。
ギターは一部、オーバー・ダビング(音の重ね録り)していますね。

しかしこの曲では、何と言ってもマックス・ミドルトン。
以前にも書いていますが、オールド・ローズ・ピアノの名機は、ピアノ線が切れやすいので、あまり強く弾く事が出来ません。
弱々しいタッチで弾くので、雰囲気が気だるい感じとなり、それがこの楽器の味でもあります。

もうひとつ、強く弾いたり、和音では音が濁るという特徴もあり、ミュージシャンによって、音の濁りを嫌い、和音の音数を減らす人もいれば、逆に濁りを活かした演奏をする人もいます。
マックス・ミドルトンは、どちらかと言えば、前者のタイプですかね?

例えば、リンダ・ルイスの歌のローズ・ピアノのバッキングで、歌メロに絡むオブリガート(メロディに対する助奏)の妙。
時には白玉(2分音符以上の長く伸ばすフレーズ)、リズムを刻んでみたり、アルペジオ(分散和音)と縦横無尽ですね。
それでいて、フルートソロには、自身を目立たせず、フルートを活かすよう、リズムを刻みます。

エンディングのローズ・ピアノのソロは、まさに、お見事!!としか言いようにない、神演奏です。
フレーズを弾く時の、素晴らしいタッチの強弱を聞き逃さないで下さいね!

最初曲メロを受けて、ゆったりしたフレーズなんですが、例えば左手の低音部とかは、裏のリズムを刻んだりして、早いパッセージ(フレーズ)を意識させます。
そうして、右手のメロディも、跳ねるように16分音符を引っかけたりして、徐々に少し速いテンポの曲であるかのように、耳を麻痺させますね。
で、2:46頃から、ここぞという時に、流れるようなフレーズを畳み込むように披露します。
でもまたフレーズはゆっくり、もたったり、引っかけたり、じらしてみたり、刻んでみたり、畳み込んで来たり・・・セクシーで、聞いていて身もだえしそうです。

不思議なのは、この曲のローズ・ピアノでは、トレモロを使っていません。
トレモロとは、以前も書いていますが、奏法としてのトレモロではなく、別名ビブラート・ノブとも言われる、ローズ・ピアノの音をスピーカに左右に、回転するように揺らして出力する機能です。

音楽的に、トレモロを使わない理由が、説明出来ません。
同じアルバムの、「Not A Little Girl Anymore」では、思いっ切りトレモロを使っています。
パッと考えられるのは、以下の理由でしょうか?
①トレモロを使うのを忘れて、録音した(マサカネ・・・)
②トレモロは、MTR(マルチ・トラック・レコーダー)で左右2ch使いますが、何らかの理由でチャンネルが不足した

アドリブに使っているスケール(音階)や音使いも独特で、素晴らしいのですが、ここまでの話になると、アドリブ演奏者しか分からないでしょうから、書くと長くなりますし割愛します。
フェードアウトしちゃいますが、もっと聞かせて!!

http://www.youtube.com/watch?v=KFuVQl3TLa4&feature=player_embedded

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2011年9月12日 (月)

虎ノ門・神谷町界隈食べ歩き(第六回)

日本のカレーと、インド料理のカレーは、根底から異なりますが、ここではあえて述べません。
実は、虎の門・神谷町界隈では、一番のオススメが、インド料理とネパール料理です。
特に東京、いや日本を代表する、南インド料理と、ネパール料理の名店があります。

南インド料理・・・インド料理に、北とか、南があるの?と思われる方もいるでしょうね。
日本では、分かり易く、南インド料理、北インド料理の2つに分類していますが、実際はもっと複雑です。
ウィキペディア英語版では、東西南北33地区に分類されています。
さらに、ムガール帝国時代の宮廷料理の文化があります。
話者が百万人以上いる言語が30くらいあり、主な宗教はヒンズー教、イスラム教、キリスト教、シーク教、仏教、ジャイナ教、ゾロアスター教等々。
言語、宗教・宗派で食べるものが異なります。
さらに、ベジタリアン、ノンベジタリアンがあり、ベジタリアンではネギ類の摂取もNGと言う場合もありますので、これらを加味すると、さらに多くのパターンになります。

以前は、南インド料理が食べられる店は、都内でも数軒しかありませんでしたが、ITや宝石商等の仕事で、日本に訪れる金持ちのインド人が増えました。
それに伴い南インド料理店も増えて、現在都内には20軒前後あります。
金持ちのインド人の、プライベートレストランのような店も、多くあります。
また都内に3軒の、ベジタリアンのインド料理店があります。

良く、中国4千年の歴史と言いますが、インドはインダス文明から数えると、5千年の歴史で、中国料理に劣らない、豊かな食文化があります。
インド料理と言うと、カレーとナン、せいぜいタンドリーチキンとか、シークケバブが思い浮かぶでしょうが、これは膨大な料理数のあるインド料理の、九牛の一毛に過ぎません。
カレー、ナン、タンドリーチキン、シークケバブを食べなくとも、食事として成立します。
ちなみに一般的インド人は、めったにナンは食べません。



ニルヴァナムは、日本トップクラスの南インド料理店です。
メニューには、ナンもありますが、ナンは北インド料理で食べられるものです。
同様に、タンドリーチキンも、北インド料理です。
この店では、せっかくですから、南インド料理のメニューを味わって下さい。
オーナーは、ケララ州出身のお金持ちの女性で、メニューにはケララ州のメニューがいくつかあります。
南インド料理と言うと、ティファンと言う軽食、ドーサワダイドゥリウッタパムパニヤラムがあります。
また、元々王侯貴族しか食べられなかった、物凄く手間のかかる炊き込みご飯、ビリヤニも食べられます。
カレーは、南インド料理の定番野菜カレー、サンバルを筆頭に、アヴィアル、チキン・チェティナード・カレー、アンドラ・マトンカレー、ベジタブル・ハイドラバディ、マラバー・フィッシュ・カレー、ケララ・チキンカレー等、他多数あります。
南インド料理のカレーは、油の使用量が少なく、ヘルシーで、胃にもたれません。
南インド料理は、主に米を食べます。特にこの店では、インドの高級米、長粒米のバスマティ・ライスが食べられます。
米以外に、米粉から作ったパンのアッパムや、麺のヌール・プットゥと共に、カレーを食べます。
あり得ないくらい甘い、インドデザートも豊富です。
ランチタイムには、1200円で、ビュッフェをやっています。
ちなみに、上の写真で、カレーと呼ばれるものは1品のみです。

現在東京には、500件くらいのインド料理店があり、大部分は北インド料理店です。
ミタールは、5月にオープンしたばかりの、北インド料理店です。
パキスタン料理店の従業員は、イスラム教徒ですが、インド人のイスラム教徒が運営するインド料理店は珍しいです。
インドのイスラム教徒は、およそ15パーセントくらいだからです。
イスラム教徒は、イスラム法で許された決まりごとで生産(または屠殺)された食品(ハラール認証の食品)しか、口に出来ません。
この店の食品は、100パーセント、ハラール認証の食品を使っています・・・と言っても、我々日本人には関係ありませんけどね。
北インド料理でも、前菜にあたる料理、サモサ、パコラ、タンドリーチキン、チキン・ティッカ、マライ・ティッカ等があり、カレー類もバターチキンを始めとして、ポピュラーなものは一通りあります。
その他、食べて健康になる、スパイスアレンジをしたカレーもあります。
昼には、千円でランチビュッフェをやっています。

マンダップは、日本トップクラスのネパール料理店です。
料理人は、ネパール人、インド人各々いて、どちらの料理も美味いです。
しかしこの店では、せっかくですので、ネパール料理を頂いて欲しいですね。
ランチタイムには、ネパールランチと言うのがありまして、ネパールでポピュラーな定食、ダル・バート(ダル・バート・タルカリ)が千円で食べられます。
都内の多くの店が、作り置きのダル(豆のスパイシー煮込み)やタルカリ(スパイシーなおかず)を出しますが、この店では朝作りたてのダルやタルカリを出します。
アチャールと言う、ダル・バートに添えられる漬物も、毎日違ったものを出します。
ネパールでは、ダルとバート(ごはん)はお代わり自由ですが、この店も同様です。
ディナーのダル・バートは、ベジタリアンか、ノンベジタリアンか選べます。
しかしディナーは、ダルとバートのお代わりは出来ません。

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2011年9月11日 (日)

2011年 ニエル賞

3歳限定GⅡ、凱旋門賞(10/2)の前哨戦です。
日本から、ナカヤマナイトが出走しました。
無敗で仏ダービーを制したリライアブルマン、そのリライアブルマンを前走パリ大賞典で破ったメアンドレ、重賞未勝利ながら3連勝中のキングオブアルノール等が出走しています。
キングオブアルノールが逃げ、2番手コロンビアン、3番手リライアブルマン、最後方メアンドレ、後ろから2番目をナカヤマナイトが追走します。
直線に入って、リライアブルマンが仕掛け、しぶとく伸び、メアンドレが追い込んで来ますが、リライアブルマンはむしろ引き離す楽勝。
ナカヤマナイトは、後方のまま良いところなく、離されてしまいました。

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2011年 フォワ賞

凱旋門賞(10/2)の前哨戦です。
日本から、ヒルノダムールとナカヤマフェスタが、出走しました。
4頭立ての競馬で、他には昨年の仏オークス優勝、凱旋門賞3着、今年のサンクルー大賞(仏の宝塚記念みたいなレース)優勝のサラフィナ。
もう1頭は、今年のコロネーションカップを優勝したセントニコラスアビー。
レースは、ナカヤマフェスタが逃げて引っ張り、セントニコラスアビー、ヒルノダムール、サラフィナの順で追走。
直線に入って、ヒルノダムール勝った!と思ったら、狭い馬群をこじ開け、サラフィナが差して優勝。
ヒルノダムール2着、ナカヤマフェスタは最下位4着でした。

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探偵はbarにいる(その4)

昨日、映画を見て来ましたが、脳をクールダウンして、冷静に映画の感想を書くために、一日置きました。
結論を言うと、原作を知っていても、面白かったです。
原作を知らなければ、もっと楽しめそうです。

もしも、原作ガチガチに、一緒でないと気に入らない人は、この映画は見ない方が良いでしょう。
以前も書きましたが、主演が大泉洋の時点で、すでに東直巳の物語でなく、橋本一(この映画の監督)の物語なんです。

細部は変えていますし、細かいところを端折っていますが、ストーリーの大筋は、ほぼ小説通りです。
原作のストーリーも面白いですし、その意味ではストーリーが面白い映画だと言えるでしょう。

自分は、事前予想では、ススキの探偵の名前をつけるんじゃないかと思いましたが、素晴しい事に名なしの探偵のまま。
それでいて、映画では、不都合は感じません。

主演の大泉洋は、例によっての演技で、自分はあの演技のテイストが嫌いじゃなく、この映画の主演で良かったと思います。
しかし相棒の松田龍平は、登場も台詞も少ないですが、茫洋としたボケっぷりが、大泉洋を食ってる感があるくらい、ハマり役ですけどね。
ボヤっとしているようで、空手の師範と言う役どころで、弱っちい大泉洋に対して、乱闘シーンでは終始大活躍です。

個人的には、大泉洋と松田龍平のコンビを、もっと見たかったですね。
牛の毛布も、もっと登場させてほしかった(笑)。

でも演技で凄いと思ったのは、高嶋政伸で、予告編でも出ている、気持ち悪いくらい残忍な笑顔の人物がそうなんですね。予告編では気がつきませんでした。
それほど、出演が多くはありませんが、とても存在感がありました。

ヒロインの小雪は、最も難しい役です。
①クラブのホステスの雰囲気
②手を差し伸べたくなるようなか弱さ
③男を手玉に取るようなしたたかさ
かつ映画のヒロインですから、映画の顔となるべき、格が必要です。

自分には、小雪に①のイメージは感じませんし、③もイメージには弱いような気がします。
試写会を見た人は、小雪の演技を良かったと書いていましたが、自分の感想は、無難にこなしたです。
この難しい役を、違和感なくこなせた事は、評価して良いかも知れません。
他に適役の女優がいたかと言えば、難しいところです。
あえて言えば、藤原紀香でしょうか?

大柄でヤクザ顔が特徴の個性派俳優、松重豊が桐原組の若頭、相田役で出ています。
個人的には、桐原組長役をやって欲しかったですね。
相田は、もっと若い人・・・例えば山根和馬とかが良かったです。

相田と一緒に食っていたジンギスカン屋は、だるま本店ですかね?
ご存知の方、ご教示願えると幸いです。
「おまる商店」のようです

チョイ役ですが、プロレスファンなら皆知っている、三冠ヘビー級王者、諏訪魔がホモ役で出ているのは、ビックリでした。

映画で端折っているストーリーは、多くがススキノ探偵が、真相に迫るストーリーです。
例を挙げると、則天道場に潜り込むのに、右翼の思想家の大物みたいな人から渡りをつけ、則天道場の人を信用させると言うのが、小説にありますが、映画ではいきなり則天道場に乗り込みました。
また、則天道場から逃げて来た少年が、警察に自首させて真相を話させる時、新聞記者の松尾にこっそり教えると言うのが、小説にありますが、映画では単に自首するのみです。
もしかすると、上演時間(約2時間)に入り切らず、泣く泣くシーンをカットしたのかも知れませんが、表現の細部に粗さを感じます。

苦労して真相にたどり着きそうに見えて、最後にどんでん返しって方が、もっと効果があったように思います。

関係ないですが、大泉洋が携帯で電話して、教えてもらわなければ、手紙のありかは分かりませんでしたね。
電話しなかったら、どうするつもりだったんでしょう?
それ以前に、どうやって沙織(小雪)の携帯番号を知ったのかも、謎です。

スノーモービルは、自分の想像通り、札幌近郊で乗り回しましたね。
車道じゃない場所を走って逃げると言う意味では、ストーリーには意味がなくありませんが、山中の交通の不便な場所ならいざ知らず、平地の札幌近郊で、スノーモービルを買う人はいないでしょう。
北海道→雪→スノーモービルと言う安易な発想にしか見えません。
自分には、リアリティを感じません。

一方、予告編で大泉洋が小雪に、拳銃を向けるシーンがありましたが、拳銃の入手については、悪くないストーリー展開でした。
予告編でもうひとつ言うと、あの電話の声はないだろうと思っていましたが、映画では、コンドウキョウコが誰だか分からない声色でしたね。

写真の女性は、近藤小百合(吉高由里子)でした。
吉高由里子は、この写真だけの登場となります。
どうりで、近藤京子より目立っている訳ですね。

小説では、北海道弁がふんだんに登場して、北海道らしさを現していますが、映画で気に留まったのは「はんかくさい」くらいでしょうか?
どんな意味だか、調べて見てください(笑)。

映像には、何気ないですけど、北海道らしさが良く出ていて、嬉しいやら、なつかしいやら。
一例をあげると、駅の待合室にあるストーブとか、北海道の冬の海に、カモメが飛ぶシーン。
ポイントポイントの絵が美しく、銃で撃たれる際に、後にある飾られた花が飛び散るシーンなど、絵が美しいです。
映画は、絵が美しくてこそだと思います。

映画館で見る映画は、2007年の「バブルへGO!」以来で、「バブルへGO!」はとても面白く、満足して映画館を出ましたが、残念ながら「探偵はbarにいる」は、そこまでの満足感ではありませんでした。
「バブルへGO!」は、娯楽映画に徹していましたし、バブル期の雰囲気を小道具にいたるまで、凝り性なくらい忠実に再現していました。

「探偵はbarにいる」は、せっかく、コメディ向きの大泉洋を使っているのですから、少しストーリーから外れてでも、ラストシーンまでは娯楽映画路線でも良かったのでは?
そうすれば、ラストシーンはもっと印象的となり、この映画の満足度も、もっと高かったかも知れません。

映画を観終わって思うのは、この予告編、色々な意味で良く出来ています。

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2011年9月 9日 (金)

笑う警官 / 佐々木譲

佐々木譲は、様々なジャンルの小説を書いていますが、特に最近評判になっているのは、警察小説と言われるジャンルです。
警察小説とは、警察組織、警察機構を背景に、警察官が事件に当たる小説の事です。
その内容は、勧善懲悪的な、単純なストーリーではなく、警察組織、警察機構の矛盾と戦いつつ、事件の解決に当たるストーリーがほとんどです。

小説は、実在の北海道警察(以後道警)の稲葉事件を背景に、書かれています。
稲葉事件とは、道警で、拳銃摘発に功績大だった稲葉警部の情報提供者が、覚醒剤を所持して自首して判明した事件です。
稲葉警部は、拳銃摘発のエースと呼ばれ、物凄い数の拳銃を摘発しましたが、実はそのほとんどが、別の事件を見逃す事で仕込んだもの、または予め拳銃を隠しておいて、さも発見したように見せるヤラセでした。

ところが稲葉事件は、事件を起こした原因が、警察に長年囁かれていた暗部、警察の裏金に飛び火し、ついには道警が裏金の存在を認めざるを得なくなりました。
警察の裏金とは、本来現場警察官に渡るはずの必要経費が、現場には一切渡らず、警察組織や上層部への裏金として不正に税金が蓄財、配分されている事です。
そしてその決着は、1つところの同じ所属に、警察官を置くと腐敗するので、数年置きに異動させると言う、裏金とは違った次元のとんちんかんな対策でした。
そしてそれは、土地勘もあり、事件の専門性を持った警察官が、異動先で全く経験のない事件を担当する事を意味し、道警の機能不全につながる訳です。

この小説では、稲葉事件は、郡司警部事件と言う名前で、背景として登場します。

札幌市内のアパートで発見された、女性の変死体は、婦人警官だった。
道警はいち早く、道警本部がこの事件を所轄から取り上げ、婦人警官の交際相手の、津久井巡査部長を指名手配する。
郡司警部事件で、覚醒剤が出て来た事もあり、本人も覚せい剤使用の疑いあり、抵抗するなら拳銃を使用しても構わないと。
これは、事実上の射殺命令に等しい、異常な指示だ。

津久井はかつて郡司警部と同じ部署に所属し、郡司事件についても、警察の組織としての関与をほのめかしていた。
密かに翌日午前には、北海道議会で、津久井が郡司事件と道警の裏金についての証言をする事も、予定されていた。

かつて、津久井と組んで潜入捜査をした事がある佐伯警部補は、津久井の無実を信じ、道警の信頼出来る、捜査のプロの現場警察官を集めて、事件の調査を始めた。
事件の担当は、道警本部が担当し、犯人は津久井と決めつけているので、もう公式な捜査は出来ない。
佐伯率いる、佐伯が声をかけた警察官は、勤務時間外・・・夕刻から翌朝までの、夜間にしか活動出来ない。

しかも佐伯の活動が、どこからか情報が漏れて行き、協力したいと言う現場警察官が出て来る一方、津久井の潜伏予定場所が特殊急襲部隊(道警のSATみたいなもの)に襲撃された。
翌日の北海道議会の証言までに、婦人警官殺しのホシ(犯人)を挙げ、無事津久井を議会まで送り届けられるだろうか?

48時間と言う映画がありまして、ニック・ノルティ扮する刑事が、刑務所からエディ・マーフィ扮する犯罪者を48時間期限で出所させ、一緒に犯罪捜査をするストーリーです。
しかしこの小説では、48時間どころじゃなく、14時間くらいしかありません。
捜査メンバーの婦人警官、小島百合のセリフ「真犯人を挙げるためには、ずいぶん短いし、津久井さんを守り通すには、けっこう長い時間ですね。」

メンバーには、例えば、札幌の大通り署で15年盗犯係のスペシャリストで、現在は千歳署の総務課に移動した、諸星警部補と言う人もいます。
本来得意な盗犯捜査で、神がかり的な力を発揮します。
道警の捜査のプロが、佐伯の元に集結する一方、道警本部・・・ひいては道警全体としては、是が非でも津久井を捕らえようと躍起になります。

この作品は、今から2年少々前に読みましたが、ここ5年以内に読んだ中でも、ナンバーワンの面白さでしたし、警察小説の中でも群を抜く面白さ、今まで読んだ小説の中でも、トップクラスの面白さです。
特にラストシーンは、騙し合いとカーチェイスの派手なものとなり、結末には快哉を叫ぶ事でしょう。

2008年、角川で映画化されましたが、客の入りはサッパリ、一般には駄作と酷評されてしまいました。
原作は傑作ですので、そのまま映画化すれば、面白くない訳がありませんが、角川春樹監督ですし・・・ね。
キャスティングは、重大に疑問ながらも、映画は残念ながら見ていませんので、本当に駄作かどうか分かりません。

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2011年9月 6日 (火)

Gravity / John Mayer

今回は、比較的新しいミュージシャンを紹介します。
ギターを弾く人なら、少なくとも名前くらいは知っているでしょう。ジョン・メイヤーです。

ジョン・メイヤーの経歴は、こちらを見て頂きましょう。
自分がジョン・メイヤーを知ったのは、2004年のグラミー賞、最優秀楽曲賞の受賞がきっかけです。
知らないミュージシャンなんで、いっちょう聞いてみようか・・・ってノリでした。
で、スゲェなこの人は・・・と思いましたね。

RADWIMPSのところで、「演奏のテクニックとは、音楽を通して伝えたい事が伝わるレベルで十分なのです。」と書きました。
ジョン・メイヤーのギターは、超絶な早引きなどありませんが、圧倒されるような表現力があります。
楽曲も、歌声も魅力的でした。

2007年、米ローリング・ストーン誌上にて、New Guitar Gods(日本では新3大ギタリストとも言われる)が選出されました。
デレク・トラックス・・・誰それ?(オールマン・ブラザーズ・バンドのギタリスト)
ジョン・フルシアンテ・・・ああレッチリ(Red Hot Chilipeppers)のギタリスト!
そしてもう一人が、今回のジョン・メイヤーでした。
ジョン・メイヤーは、ギタリストとしては、派手さはないので、渋い選出だと思いましたね。
その内、残りの2人も、取り上げたいと思います。

さて曲に行きましょう。
Gravity・・・重力と言う意味です。
2005年のライブアルバム、Try!で披露された曲ですね。
本人もとても気に入っている曲のようで、数多くコンサートで演っているみたいです。
ファンにも好まれているようで、YouTubeでいくつかのバージョンが見受けられます。

歌詞を見て、体が重く、起き上がれないほどの悲しみを、重力に引っ掛けて歌ったのかな?と思いましたが、どうやら違うみたいですね。
ウィキペディアの英語版にジョン・メイヤー自らの解説が載っています。

自ら作詞作曲しますが、この曲も、グラミー賞を取った事はまぐれなんかではなく、ジョン・メイヤーの才能は素晴しいです。
歌声も、この曲に良く合い、ボーカルとしても素晴しい才能です。
そしてイケメン・・・天はどんだけ、ジョン・メイヤーに才を与えるのでしょうか?

この演奏は、DVDのライブ演奏の映像じゃないかと思うのですが、自分は持っていないので、確証はありません。
世の中に名演奏、神演奏数あれど、これほどまでの神演奏は、めったにあるもんじゃありません。
初めて聞いた時は、鳥肌が立ちっ放しで、最後には鶏肉になりました(笑)。

使用ギターは、フェンダー社の1996スティーヴィー・レイ・ヴォーン・シングネチャー・ストラトキャスターです。

ストラトキャスター(以後ストラト)は、ネック側からブリッジ側に、フロント、センター、リアの3つのピックアップ(弦の振動を拾うマイク/以後PU)がついていなます。
音の特徴は、特にセンターとリアのPUで、カラッとしたヌケの良い音がします。
特に、PUはブリッジに近いほど、高音が利いたカラッとした音になり、それはストラト独特な音であるため、ほとんどのミュージシャンが、ギターソロの際、リアPUを好んで使います。

逆に、フロントPUは、音の抜けはさほどでもなくなりますが、太い甘い音色となります。
ジョン・メイヤーは、リスペクトしているスティーヴィー・レイ・ヴォーン(故人/合掌)が好んだように、ストラトとしては少数派のフロントPUでギターソロを取っています。

自分は、ギターでは、自らも持っているセミ・アコースティック・ギター(以後セミアコ)が大好きで、特にセミアコのフロントPUの太く、甘い音色は、他のギターには出せない魅力的な音です。

自分はストラトも持っていますが、フロントPUの太く甘い音を比較しても、セミアコには全くかないません。
セミアコに比べると、一般にストラトの音は深味がなく、ペラペラの薄い音です。

ところがです、ジョン・メイヤーストラトの音は、今まで聞いた事がないほど、色っぽく、セミアコとは違った意味で、魅力的なのです。
アンプは、映像から、スティーヴィー・レイ・ヴォーンラリー・カールトンロベン・フォードが愛用する名機、DumbleのOver Drive Specialじゃないかと思います。
このアンプで、ギターの音は、ほんの少ししか歪ませていませんが、それでもなおの音の太さ、甘さは、このアンプも一役買っていると思います。
自分は、これほど繊細で魅力的な音色の、ストラトのフロントPUの演奏を知りません。
フレージングも、曲に合っていて、ギターが良く鳴いています。

恐らく演奏していて、ジョン・メイヤーの脳内に、ドーパミンが出ていた事でしょう。
プロの演奏家の気持ち良さとは、楽曲での絶妙なタイミング、音色、フレージング、これらが重なった際だと思います。
1人の感動は、しばしば伝染します。
演奏者、リスナー、皆の脳内は花畑・・・気持ち良さが伝わって来ます。

https://www.youtube.com/watch?v=MUhmXKmHHd0

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2011年9月 5日 (月)

9月に食べたい料理(2011/09)

9月に旬の料理は、鰻重です。
うなぎの旬は、初夏の土用の丑の日じゃないの?って言われそうですね。

土用の丑の日に、うなぎを食べるようになったのは、諸説ありますが、有名なのは平賀源内説です。
うなぎ屋が平賀源内に、夏場は、うなぎの夏痩せ(夏場はうなぎの脂の乗りが悪い)で、うなぎが売れないと相談しました。
平賀源内は、「土用の丑の日、うなぎの日。食すれば夏負けすることなし」と言うキャッチコピーを考え、うなぎ屋が看板を立てたところ、大繁盛したのが起源だそうです。
つまり、当時天然うなぎしかなかった訳ですが、土用の丑の日の頃が、一番脂の乗りが悪く、天然うなぎが不味い時期って事なんですね。

現在は、うなぎの幼魚を海で捕獲して養殖する、養殖うなぎが大部分ですので、理屈上夏痩せはしないと思います。
しかし自分が食べ歩いていて、何となく夏場に痩せたうなぎに当たる事が多く、今は夏場にうなぎを食べるのを控えています。
もしかすると、養殖うなぎも、自然状態のサイクルを覚えていて、脂肪を溜めない時期があるのかも知れません。
もちろん、単なる思い過ごしかも知れませんけど。

うなぎは、夏場水温が上がると、海から自分が生まれた川を遡上し、川上のエサが豊富な場所(主に湖や沼)で夏を過ごします。
冬に備え、脂肪を蓄えたうなぎは、秋に水温が下がると、川を下ります。
この下りうなぎが、一年の内脂の乗りが最も良く、美味いと言われています。
関東ですと、9月中旬から10月中旬頃に獲られます。

うなぎの蒲焼の調理法は、大別して3種類あります。

【関西風】
捌き→串打ち→白焼き→タレを付けて焼く
所要時間 20~30分

【関東風】
捌き→串打ち→白焼き白蒸し→タレを付けて焼く
所要時間 35~45分

【生蒸し】
捌き→串打ち→白蒸し→タレを付けて焼く
所要時間 約45分

関西のうなぎは、蒸さずしっかり焼いて、魚の食感が残っています。
関東で、白焼きしたうなぎを蒸すようになって、蒸す事でうなぎの身が柔らかくなるため、関西でも好まれるようになりました。
関西で繁盛している店の中では、関東風の蒲焼を出す店があります。
生蒸しをするうなぎ屋は、ごく一部です。

上記に、注文してからうなぎを捌いた場合の、所要時間の目安を書きましたが、現実にそんな店はほとんどありません。

関東風の調理だと仮定しまして、うなぎを注文してから、10分未満に料理が出て来るようなら、蒲焼まで作り置いて、電子レンジで温めて来た事を疑うべきでしょう。
うなぎを注文してから、10分少々で料理が出て来るようなら、白蒸しまで済ませ、注文を受けてからタレを付けて焼いているでしょう。
うなぎを注文してから、20分前後で料理が出て来るようなら、白焼きまで済ませ、注文を受けてから白蒸し→タレを付けて焼いているでしょう。

巷の大部分のうなぎ料理店では、うなぎを途中まで作り置いているのです。

45分も待っていられるかい!って方もいるでしょうね。
うなぎの脂は、常温で液化するほど融点が低いため、蒲焼の途中工程まで作り置くと、うなぎの身から脂がどんどん流出します。
うなぎの身は乾燥に弱く、すぐに固くなってしまいます。
注文を受けてから捌いたうなぎと比べると、著しく脂の乗りも、身の柔らかさも異なります。

もうひとつ重要な事は、うなぎを焼くのには、炭火焼がベストです。
ガスの燃焼をを化学式で表すと「メタン(CH4)+酸素(2O2)=二酸化炭素(CO2)+水(2H2O)」となります。
つまりうなぎをガスで焼くと、燃焼によって水蒸気が発生し、水っぽくなり易い。
一方、炭の燃焼は、「炭素(C)+酸素(O2)=二酸化炭素(CO2)」となり、燃焼に水蒸気は発生しません。

うなぎ焼き専用のガス火の温度は、800度から900度くらいです。火に近いところと、遠いところで焼きムラが発生します。
炭火は、うちわであおぐ事で、焼きの温度が800度から1000度以上、時には1200度くらいにもなり、炭の遠赤外線効果で、均等に火が通ります。
炭火焼には、炭の余計な香りが付くと言う難点はあるものの、うなぎの身は水っぽくならず、ガス特有の臭味も付かず、うなぎに均等に火が通り、余計な脂が落ちて、カラッと焼き上がります。

まとめると、うなぎは注文を受けてから捌き、炭火で焼くことが重要です。
これで、うなぎの質が良く、泥臭くなく、うなぎのタレの味が薄味で、うなぎの美味さをストレートに伝えるならば、言う事がありません。

ですが、これら全て揃っている、うなぎ料理店を自分は知りません。
そこで、最も良心的にうなぎを調理している店を紹介します。

この店は、日本全国の有名うなぎ料理店を、150軒以上食べ歩いた自分が知る、注文を受けてからうなぎを捌く、唯一の店です。
何せ、うなぎを注文したら、調理するうなぎを見せに来ます。

この店の唯一のウィークポイントは、タレの味が甘目な事でしょうか。でも、薄味で悪くない味です。
まれに、天然うなぎが入荷している事もあります。でも、値段は凄く高いです。

芳野屋
千葉県柏市東1-1-10
04-7164-0160

この店、生蒸しと、通常の蒲焼、両方あるのですが、自分のオススメは通常の蒲焼です。
生蒸しでは、不必要にうなぎの身が水っぽくなる(その分身は柔らかく感じますが)ように思います。

場所が柏で、駅からかなり離れた場所って事もあるのでしょうが、食べログの評価が低く、ちょっとかわいそうになりますね。
そして都内の取るに足らない味のうなぎ料理店が、高評価されている現実。
柏は遠いでしょうけど、本物がどんなものか、一度食べに行って欲しいですね。

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2011年9月 4日 (日)

2011年 新潟2歳ステークス:結果

ハハハ・・・全然ダメでしたね。

馬券に絡んだのは、11.ジャスタウェイのみで、他はその辺にいませんでした。
昨夜は、きれいに1点予想出来たと、ほくそ笑んでいたのですが・・・

三連複 10-11-14 8,840

まあ、どのみちジャブ程度のつもりだったので、こんなもんでしょう。
めったに当たらない予想、これからもよろしくお願いいたします。

現在の収支:-168,000

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2011年 新潟2歳ステークス

突然に。久々ですが競馬します。
別に、GⅠにしか賭けない訳じゃないんで。
面白そうと思ったら、平場でも賭けます。

予想は簡単に・・・

条件が、芝1600mになってから9年。3着までに1番人気が絡んだのが、8回・・・って事で、このレースの一番人気
は。
11.ジャスタウェイ

このメンバーの唯一のオープン勝ち
16.メイショウハガクレ

上がり3ハロン(600m)最速
3.ヴェルデバンダム

3連複 3-11-16 \5,000

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