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2013年9月22日 (日)

塩そば 2013年08月に印象に残った料理

8月に記憶に残った料理は、塩そばです。
季節感がなくて、ごめんなさい。
この店、いつか紹介しようと思いつつ、今は凄い人気店で、行くのが大変です。

その人気店とは、Japanese Soba Noodles 蔦(つた)です。
あえて自分がここで賞賛しなくとも、巷で十分賞賛を受けている店ですけどね。

自分がこの店に初めて行ったのは、2012年3月21日。
現在、ツイッターを休止しているcapristageさんの紹介だったように思います。

どうでも良い話ですが当時、食べログポイントは3.54と、ラーメン屋としてまあまあの評価でした。
食べログで、最初に評価するレビュアーの問題は、ここでは書きませんが、相変わらず「インパクトがない」と低評価する人も、少なからずいました。
それが2012年末、ラーメン評価の最高権威と言われるTRYで、醤油部門1位に輝きました。
そして現在の食べログポイント3.98と、ラーメン屋としては神評価のポイントです。
相変わらず自信たっぷりに、「インパクトがない」とか、どうして高評価なのか分からないと、低評価する人もいますけどね。



美味い料理とは・・・

美味い料理とは、食材の質×調理法=料理・・・そんなのを作る人です。
ちなみに食材の質+調理法=料理ではありません。

料理は・・・理(ことわり)ですので、料理を作る上で考え(コンセプト)があり、それを実現する手段(食材と調理法)があります。
理のない料理人、または理を理解していない料理人は、意味不明な調理をします。

ある飲食企業の社長によると、世の7割が味の分からない人なのだそうです。
自分が、あんたの店の料理は不味いと言うと、自分の店は、味の分からない7割のために料理を作っているんだと言いました(笑)。
料理人にも恐らく、7割味の分からない人がいる事でしょう。

そして自分が作った料理が、美味いか不味いか分からない料理人は、美味い料理など作り出すのは不可能です。
自分の味覚を客観的に考えて見る人は、ほとんどいませんので、7割の味の分からない側にいる人は、自覚症状もないのです。



無化調のスープ

無化調とは、化学調味料を使っていないと言う事です。
ラーメンフリーク、ラオタ(同義語?)の中には、無化調にこだわる人もいますが、大部分は化学調味料に寛容です。
無化調のラーメン屋は、全体の2、3パーセントしかないであろうと思われますので、ラーメンフリーク、ラオタなんて成立しなくなるでしょう。

化学調味料は、グルタミン酸・・・和食の旨味成分と同じ成分です。
しかし恐らく、グルタミン酸ばかりではないでしょう。
化学調味料を大量に摂取すると、神経が麻痺して体調を崩す、チャイニーズ・レストラン・シンドロームになります。
化学調味料が人体に及ぼす影響については、化学調味料を使わなければ成り立たない、様々な初期品企業の意向もあり、何も進んでいません。
(ラットが神経麻痺を起こしたと言う、アメリカの研究報告もあったそうですが、現在因果関係なしと言う事になっています)
妊娠した女性は、化学調味料の摂取には、気をつけるべきですね。

体への悪さばかりでなく、化学調味料が入ると、旨味は増したような気になりますが、味の輪郭はボケ、平板なつまらない味になります。
化学調味料には、常用性もあると言われ、一度化学調味料の味に慣れると、化学調味料が入っていなければ、物足りなくなります。
化学調味料の呪縛を断ち切るには、一定期間化学調味料を断つ必要があります。
まるで、麻薬患者のようですね(苦笑)。
それでも、特定食品企業を儲けさせたいと思う人は、今まで通りの食生活を続けて下さい。

一度、ちゃんと美味いダシを取って味見した後、化学調味料を入れて味見すると良く分かります。
無化調のダシは、味がクリアで、入っている食材が各々、存在感を主張します。
そこに化学調味料を入れると、映像でモザイクをかけたかのような、ぼんやりとした味わいになります。

本来美味い料理とは、その味付けのバランスの妙を評価するべきなのに、化学調味を入れたりして、何を評価するつもりなんでしょうか?

この店のスープの味付けは、店側の能書きをそのまま書き写すと・・・

①フランスの海塩と内モンゴルの岩塩をブレンドした、たっぷりの浅蜊ダシなどの旨味の余韻残る塩ダレ。
②2種の丸鶏の清湯に生の浅蜊や白身魚と羅臼昆布・秋刀魚節などを野菜ブイヨンと合わせたじっくり抽出したスープ
ご提供しているもの全て化学調味料は使用しておりません。全ては自然の食材のおかげです。

質の良い食材さえ使えば、美味いスープが取れる訳ではありませんが、少なくとも質の良い食材なしに、美味いスープを取る事は不可能です。
そして、体に悪い上、料理を不味くする化学調味料は使わない事。



店主、大西裕貴氏の味覚は・・・

ラーメンを食べて思うのは、優れた味覚の持ち主でなければ、こんな凄いスープは作れないでしょう。

スープの旨味のベースである鶏は、質の良いものでも、独特の鶏臭さがあります。
自分は初めてこの店のスープを飲んだ時に、これだけ鶏のクセがないのは、トンコツの清湯(透明なスープ)をブレンドしていると思い込んでしまいました。
鶏臭さを出さずに、ここまでのダシを取るのは、驚異的でもあります。

一時期、これ見よがしにカツオ節や煮干しの味を強く出すラーメンが流行りましたね。
白濁したラーメンが、旨味が強いのではありません。
スープが白濁するのは、沸騰させて煮出したからです。

スープの旨味とはあくまで、スープを取る水分と、食材の量によるものです。
白濁して美味いスープを取るには、それは大変な手間がかかりますが、多くのラーメン屋では何の計算もなく、強い火力で煮出しているのみです。

逆に透明なスープは、スープが濁らないよう、スープを煮出す温度を87度以下に保たなければなりません。
温度を保つために、スープを取り終えるまで何時間も、寸胴の前から離れられません。
温度が上がると、スープが濁り、味も濁ってしまいます。

この店のラーメンのスープには、素晴らしいコンセプト(計算)を感じます。
この店の場合、あくまでオーソドックスに、主役の鶏の旨味を補うために、浅蜊、白身魚、羅臼昆布、秋刀魚節を使っています。
両者の間を取り持ち、優しい旨味を出しているのが、野菜ダシ。
塩ダレも、海塩はミネラル豊富で塩気は強くないが、旨味が豊富なのに対し、岩塩は塩の結晶だけに、不純物は少なく、ミネラルが少ないので、旨味より塩気を出す目的でしょう。
そして、アサリダシの海の香り、タウリンの旨味で、複雑な旨味を出しています。

大西裕貴氏は、ダシや塩ダレを何度も変更していますが、美味くこそなれ、不味かった事がありません。
これらを計算して作っているとしか思えません。





麵質について

1990年代以前は、ラーメンの主役はスープで、あまり麺自体の美味さについて省みられていませんでした。
しかし近年、自家製麺するラーメン屋が増え、ラーメン屋で出す麺質は飛躍的に向上しています。

ラーメンは、少なくとも麺とスープで成り立っています。
チャーシューや味玉を始めとする、他の具材は、あくまで脇役です。
もしラーメン評価の際に、スープ評価を偏重するのは、とんでもない間違えです。
同じくらいのウエイトで、麺の評価もするべきです。

製麺所から、麺を仕入れても、高価な麺なら美味いです。
料理人をしている友人から聞いた話ですが、食材問屋経由で、某有名製麺所の仕入れ値400円の麺を取り寄せて、ダシを取りラーメンを作ったら、絶品だったそうです。
安い麺だと、仕入れ値1玉5円と言うのがあり、加水率高く、小麦の風味がほとんどしない混ぜものだらけで、味も悪く食感も悪く不味いそうです。

ラーメン屋は一般に、原価(材料費)35%が損益のライン(つまり35%を越えると赤字になる)と言われています。
ここから考えると、仕入れ値400円の麺なんか使ったら、スープおよびチャーシューなどの具の原価を考えると、ラーメンの出し値は1600円くらいか、それ以上になってしまいます。
製麺所から仕入れた麺は、製麺所も儲けるため利益を乗せていますので、どうしても割高になります。
その点、自家製麺だと、製麺所ほど高い利益を求めないでも良く、より高品質な小麦粉が使えます。
前述の仕入れ値400円の麺も、自家製麺すると、200円かからずに作れるのではないでしょうか?

つまり、作り手の腕とか経済事情にもよりますが、自家製麺の方が、より高価で美味い麺が出て来る可能性があります。

この店の麺は、店側の能書きをそのまま書き写すと・・・

北海道強力粉、栃木県産中力粉に長野県産石臼挽き全粒粉を独自ブレンドし、全卵・天然内モンゴルかんすいを使用しています。
*多加水のため麺固はオススメしていません

強力粉は、ラーメン向きで、特に加水率が高くなると、強いグルテンが出ます。
中力粉はうどんに使われます。
もちもちした食感があり、加水率を高くし、寝かせるとグルテンが出ます。
恐らく、このままよりもっと小麦の香りを出したかったのでしょう。

全粒粉とは、小麦を精製した時に出るカスを交えた小麦粉の事。
全粒粉だけだと、グルテンが少なく、ボソボソした食感となります。
食感は悪いですが、小麦の香りは強いです。

小麦の香りを足す目的で、全粒粉を混ぜたのでしょう。
玉子を入れるのは当然。
天然かんすいだと、麺の香りが違うそうです。
個人的には、いずれにせよ麺にかんすいの香りは不要ですけどね。





ラーメンの具について

この店の主要な具を、店側の能書きをそのまま書き写すと・・・

・チャーシュー
醤油ベースのタレで2日間マリネし低温ローストで旨味を閉じ込めた肩ロース焼豚と
高温と低温で香ばしくローストしたトロける脂のバラ肉の焼豚の2種類

・メンマ
醤油などの調味料で味付けしたコリコリした歯ごたえの極上メンマ

・味玉
スープと一体になるよう和ダシと醤油ベースでの味付け玉子
隠し味に長崎県産麦焼酎を使用

・薬味
九条葱・シブレット・黄柚子・三つ葉・揚げネギなど
メニューごとに料理を引き立てる薬味を使用(季節により変更あり)

この店、スープも麺も絶品ですが、これら具材もとんでもない高品質です。
あえて言うと、肩ロースと言う脂肪の多い部位は、低温ローストと言う調理法は適さないと思いますけどね。



ラーメンは、ジャンキーな食べ物と言う人がいますけどね。
それは99%正しいですが、残り1%は真面目に作っていて、ジャンキーではありません。
真面目に作ったなら、ほとんどの料理はジャンキーではありません。
それどころか、世界中のどんな料理(もちろんフランス料理、イタリア料理、日本料理、中国料理等)とも比肩しうる、オンリーワンの料理となります。

この店の塩そばは、それを教えてくれます。

Japanese Soba Noodles 蔦(つた)
東京都豊島区巣鴨1-14-1
電話非公開

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コメント

10月下旬の土日に上京する予定で醍醐さん大絶賛の蔦のラーメン食べたいと思っていますが、行列を考えると・・・?その上、塩か醤油かで悩みますね。日曜日は宝塚観劇で土曜日しかチャンスがありません。とんかつやビーフシチューも食べたいし・・・厳しい選択ですな(笑)。

投稿: シーバード | 2013年9月23日 (月) 11時43分

シーバードさん、コメントありがとうございます。

>塩か醤油かで悩みますね

どっちも絶品です。
一般論として、醤油は食べられても、塩はイマイチと言う店がほとんどですよね?
その意味では、塩をお奨めします。

土曜で、並ぶのが嫌なら、夜をお奨めします。
よく突然休むので、ツイッターのチェックをお忘れなく。

投稿: 魔神 | 2013年9月25日 (水) 00時01分

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