インド料理全般について考えるべき事
これは以前も書いていますが、忘れないよう改めて、ここでも述べます。
インド料理を理解する上で、以下の事を念頭に置かなければなりません。
・ベジタリアンとノンベジタリアン
ノンベジタリアンの中にも、ネギ類は食べない等、様々あるようです。
・宗教における食べられない食材
代表的なのはヒンドゥ教徒は牛肉を食べない、イスラム教徒は豚肉を食べないと言うものですね。
他にも様々、忌諱(きい)する食材はあるようですよ。
・狭い地域内でコミュニティ毎に文化が異なる
インドの憲法に記された言語は22。
話者が100万人以上いる言語は50を越えます。
言語が異なれば、仲間として食事を共にする事はあまりないでしょう。
さらに同じ地域でも、宗教が異なれば交流は少ないです。
流通は発達しておらず、同じ地域でも、村毎に方言が違います。
インドの料理に限定しても、どれほど地域による食文化の違いがあるのか、想像もつきません。




・・・ほとんど幻



・・・特注すればあるいは


・・・専門店でもめったにない

・・・専門店のメニューなら
・・・たまに見かける
・・・ポピュラー
全て、関東近郊で食べる事が出来るものばかりです。
ケララ料理

ケララ料理は、南インド4州の南西にあるケララ州の料理です。
東にタミル・ナードゥ州、北にカルナータカ州に接しています。
この地は日本で卑弥呼が生まれる前、2000年以上前からスパイス貿易で、中東やアフリカと取引して、繁栄していました。
他の地域では貴重だった胡椒、カルダモン、クローブ、生姜、シナモン等を輸出していました。
伝説によると、古代イスラエルのソロモン王も寄港した事があるとか。
マルコ・ポーロがインドに最初に上陸した地が、ケララ州のマラバールです。
インド独立前は、北部マラバールと南部トラヴァンコール、コチに行政地が分かれていて、料理にも各々地域的特徴が異なります。
マラバール海岸は、風光明媚な世界的観光地です。
ケララ料理の地理的考察
ケララ州の公用語、マラヤーラム語は、タミル語から変化したものと考えられています。
タミル語との類似点はありますが、文字はマラヤーラム文字なので、タミル・ナードゥ州の人はマラヤーラム文字の文章は読めません。
住民の多くはヒンズー教徒ですが、やや多目のキリスト教徒と、少数ながらイスラム教徒がいて、各々の食文化が融合していいます。
ムガール帝国時代にヨーロッパからパンが伝わりました。
その後イギリスの植民地となりましたので、ヨーロッパスタイルのパンやケーキを良く食べ、パン屋が数多くあります。
ケララ料理の特徴
南インド全般そうですが、そこかしこにヤシが生えています。
料理におろしたココナッツ、ココナッツミルクを多用します。
料理に使われる油は、ココナッツオイルが良く使われます。
多くの川と、長い海岸線があり、魚介類の料理が多いです。
ココナッツミルク入りのフィッシュカレーなんかは名物。
一方、山側に行くと、鳥獣、キノコ、山菜の料理があります。
ノンベジタリアン料理には、鶏肉、牛肉(ヒンズー教以外?)、羊肉、魚が使われます。
デザートは、種類は多くないが、特徴的なものがあります。
ティータイム、または軽食としてしか、デザートを食べません。
恐らく18世紀頃、アメリカ大陸からトマトやジャガイモが入って来て、良く料理に使われます。
料理によく使われるスパイスは、ターメリック、シナモン、カルダモン、生姜、青唐辛子、赤唐辛子、クローブ、ニンニク、クミンシード、コリアンダー、ターメリック等。
フレッシュハーブとしては、カレーリーフ、コリアンダーリーフ、ミントが良く使われます。
他の南インド料理と同じく、酸味のある料理が多く、タマリンド、特にガルシニア・カンボジアとして知られるマラバールタマリンド・・・コダムプリとライムが使われます。
チャトニーとして、プリ・インチ(Puli-Inchi)と言う、タマリンド・ジャッガリー・ジンジャーチャトニーが良く使われます。
マラバールでは、料理にニンニクを使わないのが、南のトラヴァンコールとコチではニンニクを使います。
ケララ・フィッシュ・カレー
・・・たまに見かける

この料理、マラヤーラム語でMeen Mulakittathuと言います・・・が、自分はこれを発音できません。
ミーン・ムラキッタトゥ?ミーン・ムラキッタスー?
Cthulhu並みの発音の難しさです(苦笑)。
インド全国的に有名な料理です。
インドに移住して来た、中国人の魚料理から、この料理が誕生したと考えられています。
ミーンは、タミル語の言葉にもありますが、魚の事。
Mulakittathuは、様々な料理を見て総合的に、赤い色をしたトマトとココナッツ入りの、汁気の多いスパイシー煮込み(≒カレー)のようです。
レシピ一例は、玉ネギ、唐辛子、ターメリック、クミン、コリアンダー、カルダモン、シナモン、タマリンドを炒めます。
カレーリーフ、おろしたココナッツ、魚を加え炒め、火が通ったらトマト、水を加えます。
煮立ったら追加のパウダースパイス、タマリンドを加え煮込み、ココナッツミルク、塩で味を調えます。
マラバール・フィッシュ・カレー

・・・専門店のメニューなら

ケララ・フィッシュ・カレーの、ケララ州北部のマラバールのバリエーション。
違いは何か調べたのですが、レシピのバリエーションが多く、サッパリ分かりませんでした(苦笑)。
名前が違うと言うのは、何か明確な定義の違いはあると思うのですが・・・
レシピ一例は、玉ネギ、ニンニク、生姜を炒め、ターメリック、唐辛子、クミン、コリアンダー、カルダモン、シナモン、カレーリーフを入れて炒め、魚を入れて炒め、水、ココナッツミルクで煮込み、タマリンド、塩で味を調えます。
イドゥリ
以前ティファンで説明しています。
ドーサ
以前ティファンで説明しています。
イディアッパン
以前ティファンで説明しています。
サンバル
以前ミールスで説明しています。
アヴィアル


・・・専門店でもめったにない

日本で知られるアヴィアルは、別名ヨーグルト・シチューと言われる、汁気の多い白いカレーです。
これは、アーンドラ料理とかタミル料理のアヴィアル。
アヴィアルは、ケララ州が発祥で、ケララ料理では汁気の少ない料理です。
茹で野菜に、スパイシーに味付けしたヨーグルト、またはココナッツミルクを合わせ和えた・・・または軽く煮た、汁気のほとんどない料理です。
東京にも数は少ないですが、ケララ料理を出す店があり、お願いすればケララ料理のアヴィアルを作ってもらえると思います。
ティーヤル
以前ミールスで説明しています。
トーラン
以前ミールスで説明しています。
オーラン


・・・専門店でもめったにない

ココナッツミルク、おろしたココナッツ、ココナッツオイルベースの、野菜の煮込み料理です。
茹でた野菜に、ココナッツミルク、おろしたココナッツ、ココナッツオイル、塩、青唐辛子、カレーリーフを加えて作ります。
アッパム

・・・専門店のメニューなら

米の粉、牛乳、ココナッツミルク、イースト、砂糖で生地を作り、中華鍋のような深底の鍋に、薄く伸ばして焼く、米粉のパンです。
各種スパイシー煮込み(カレー)、チャトニー等を付けて食べます。
チャパティ
・・・たまに見かける

インド人は、めったにナンは食べませんが、チャパティはインド全土でポピュラーに食べられているパンです。
インド人女性は、上手にチャパティを焼けないと、嫁に行けないと言われるほどです。
ナンと違って発酵させませんし、雑穀を入れたりして、初めて食べる人は風味にビックリするかも知れません。
中には、雑穀風味が好きになれないかも知れません。
しかし全粒粉のパンが美味しいのと同様、チャパティもナンより味わい深く、噛むほどに深みがあります。
ポロタス
・・・たまに見かける

インド人は、めったにナンは食べませんが、ポロタス(パラタ)もまたインド全土でポピュラーに食べられているパンです。
ポロタスは、生地を何層にも重ねて焼いたもの、雑広を加えたり、ジャガイモを加えたりと、様々なバリエーションがあって、ここでは語り切れません。
写真は、雑穀入り小麦生地を渦巻き状に成形したもの。
ビリヤニ


・・・専門店でもめったにない

ビリヤニは、インドの王侯貴族に食べられていた、豪勢な炊き込みごはんです。
パッと見、チャーハンに見えるかも知れませんが、実は物凄く手間がかかります。
マトン・ビリヤニを例にとりますと・・・マトンをスパイシーに味付けして、ヨーグルトでマリネします。
普通にカレーを作ります。
長粒米(バスマティ・ライス等)を炊きます。
同じ米で、サフラン・ライスを炊きます。
炊いた白飯2/3にカレー、マトンを加え、様々なスパイスを加え、炊き上げます。
残りの白飯、サフラン・ライス、炊き込んだ米を混ぜ合わせます。
カレーのスパイシーさ、マトンのスパイシーさとグレービー(旨味のある肉汁)、ごはんに加えたスパイスの香りの三段攻撃が来ます。
残念ながら、写真のビリヤニは、そこまで手間をかけたものではありませんが。
ちなみに、ビリヤニ自体は、多くのインド料理店のメニューにありまして、現在ではポピュラーです。
しかし大部分が、カレーでご飯を炒めたカレー・チャーハンです。
それはビリヤニではありません。
炊き込んで作るビリヤニを出す店は、ほんのごく一部です。
パヤサム
・・・たまに見かける

パヤサムは、様々なナッツで、香ばしさを付けたミルクデザートです。
牛乳に何を入れるかで、様々なバリエーションがあります。
写真は、デュラムセモリナ小麦の細麺・・・セミヤを入れた、セミヤ・パヤサム。
他に日本でポピュラーなのは、米を入れたライス・・パヤサム。
次回は、アーンドラ料理について書きます。
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