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2015年4月の記事

2015年4月30日 (木)

食材と調理法 第八回 体菜(たいさい)

 食べ歩きの企画を止めたので、代わりに食材と調理法について、思うところを書いて行きたいと思います。
 不定期更新ですが、最低1ヵ月1回くらいは、更新したいですね。
 これまでとは、読者層が異なり、クックパッドに投稿している人なんかが嬉しいでしょうか?

 しかし実はこのような考えも、食べ歩きする人にも持ってもらいたいものです。
 料理や食材の事を知らずして、美味い不味いの判断は、本来出来ないはずです。


目的

 ・食材について知る
 ・食材の特徴について知る
 ・食材への調理法の考察
 ・食材の定番料理の紹介
 ・食材の栄養の考察

 さらに以下の事柄についても、記載したいと思います。

 ・調理法や料理の紹介
 ・伝統的料理の紹介
 ・ソースや調味料の紹介
 ・調理器具の紹介

 ぶっちゃけ、料理に関する全ての事柄ですね。

 今回は料理についての珍しさを、以下のマークで記します。
 まあ、いつも通りの使い回し(苦笑)。

 ・・・ほとんど幻
 ・・・特注、または産地に行けばあるいは
 ・・・専門店でもめったにない
 ・・・専門店にならある
 ・・・季節食材
 ・・・ポピュラー


 ちなみに、かのサイトの記事をそのままコピペしますので、文体はですます調ではなく、体言止めで書きます。



体菜(たいさい)

 ・・・ポピュラー



概要

 明治初期に、日本に入って来た結球しない白菜の仲間の野菜の事。
 一般論としては、パクチョイ、チンゲン菜を総称したものと考えられているが、体菜、パクチョイ、チンゲン菜を並列に並べた文献もあるため、別種の可能性もある。
 パクチョイは、チンゲン菜の一種で、軸が白いものの事。
 ウィキペディアのチンゲンサイでは、和名がタイサイと書かれている。

 体菜は雪白体菜だと言う説もある。
 タイ王国で食べられているパク・グァン・トン(ผักกวางตุ้ง/直訳すると広東の野菜)は、体菜とする記述も見られる。

 とどのつまり、専門家でも体菜が何か?と言う答えを出せていないように思う。
 詳細不明のため、体菜の記述は以上とする。

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2015年4月23日 (木)

ポリリズム / Perfume

これまでの音楽レビューは、AORとか、フュージョンが多く(もちろんそれ以外もありましたけど)、いきなりPerfumeはビックリされた人も多いのでは?
かのサイトでPerfume好きをカミングアウトした事もありますし、このブログでも、数少ない自分がコメント書き込みする別のブログでも、Perfume好きは公言していました。
たまにはおっさん臭い、AORとか、フュージョンではなく、華のある最近の(でも8年前の曲ですけどw)テクノも良いかな・・・と。

実は自分、1970年代の紅顔の美少年(本当かw)だった頃、シンセサイザーの音が嫌いでした。
1980年代に入り、シンセサイザーがシーケンサーで自動演奏出来るとか、ギターシンセとか、サンプラーとか進化して行くにつれ、一転シンセサイザー好きになりました。
特に、生楽器の音に近い音を出せるようになり、シーケンサー(後にコンピューター)で、楽譜を打ち込むと自動演奏出来るのは、作詞、作曲、アレンジしていた自分にとって、キリスト教徒の福音のようでした(ちなみに自分はキリスト教徒ではありませんw)。
それ以前に比べ、デモテープ作りが楽になったばかりでなく、これによって今後テクノが流行る事を確信しました。

1980年代当時のバンドメンバーには、これが不満だったようです。
バンマス(つまりバンドのリーダー)だった自分が、コンピューターで自動演奏なんて話しをすると、バンドメンバーは「じゃあ俺達みんなクビ?」だなんて思ったそうです。
そのせいかどうか、自分の持論の、今後テクノが流行るは、YMOの解散後と言う事もあり、皆懐疑的でした。

その後、待てど暮らせど、テクノブームは来ません。
ちょっと面白い事をするミュージシャンはいましたが、自分が納得するようなテクノは全然出て来ませんでした。
自分が思うに、テクノをしていた人の中に、音楽性が高い人がいなかったように思います。
自分にしてみれば、ハービー・ハンコックがテクノに手を出した曲に、全く歯が立たないものばかりでした。

それから10数年・・・もうテクノブーム予言なんて忘れていた1998年。
テクノ第一の福音・・・Boom Boom Satellitesが来ました(くどいようですが、自分はキリスト教徒ではありませんw)。
Boom Boom Satellitesは、ヨーロッパのテクノファンから熱狂的に受け入れられましたが、でも残念ながら、日本ではテクノブームにはなりませんでしたねぇ。
それ以前に巷では、Boom Boom Satellitesって何?って人が多かったです。

そして2007年暮れ、テレビCMを見て、飛び上がりました。
「テクノブーム来た!」
そのCMとは、公共広告機構「だからはじめよ、エコ」篇で、曲はこの「ポリリズム」でした。




Perfumeについて

Perfumeを知らない人はいるのか?・・・と言う感じですが、でも自分と同じ年齢くらいのおっちゃんの中には、いるでしょうね。
日本の女性3人組テクノポップグループです。
グループと言っても、バンドではなく、女性3人が歌って踊ります。

メンバーは以下の通りです。
大本彩乃(のっち)
樫野有香(かしゆか)
西脇綾香(あーちゃん)

声はボコーダー(音声フォルマウントにシンセ音をミックス)で変調させていますが、中でもあーちゃんの歌唱力は素晴しく、生声で十分勝負になるほどです。
ダンスは3人とも相当な腕前で、2006年イベント「RHYTHM OF FEAR」にゲスト出演して、本格的なヒップホップダンスを踊って、拍手喝采を浴びたと言う伝説があります。

2000年、12歳で3人とも今では全国的に有名になったアクターズスクール広島に入り、2002年広島のローカルアイドルから、活動をスタート。
ちなみに理由は良く分からりませんが、かしゆかとあーちゃんは、下のランクの扱いだったそう。
のっちは最初からのメンバーではなく、抜けたメンバーの代わりに途中から加入。
2002年に、広島のレーベルからファーストシングルをリリース。

2003年春上京し、BEE-HIVEレコードと言うインディーズレーベルから「スウィートドーナッツ」をリリース。
サンストリート亀戸や秋葉原の路上ライブ、日本各地の催し物に、度々登場。

2005年9月21日シングル「リニアモーターガール」で、メジャーデビュー。
この曲から中田ヤスタカが、楽曲の担当をする。
その後、「コンピューターシティ」、「エレクトロ・ワールド」とリリースの度に注目は集まりましたが、まだまだ世間では無名。
2006年12月、「Twinkle Snow Powdery Snow」を、ネット配信限定でリリースし、mora winで、5日間連続売り上げ1位を記録、1つのブレイクのきっかけと言われています。
2007年3月に、木村カエラのラジオ番組「OH! MY RADIO」において、Perfumeの曲がヘヴィー・ローテーションされ、これも1つのブレイクのきっかけと言われています。
2007年9月に、「ポリリズム」リリースされ、公共広告機構のCMで使われ、これがきっかけで一気にブレイクしました。
以後、2008年にアルバム「GAME」が、「日本レコード大賞 優秀アルバム賞」 受賞、楽曲「love the world」が「日本レコード大賞 優秀作品賞 」受賞。
2008年から、年末の紅白にも出場。
以後、シングルがリリースされる毎に歌番組に呼ばれ、さらに海外からも注目され、何度も海外ツアーを行っています。

まあ、めっちゃ端折りましたが、Perfumeの紹介はこんなところで。



中田ヤスタカについて

Perfumeって、アイドルなのでしょうか?アーティストなのでしょうか?
どっちでも良いですが、Perfumeの作詞、作曲、アレンジの中田ヤスタカの音楽性は相当高いです。

自身は音楽ユニット、CAPSULEとしてのアーティスト活動していますが、その他音楽プロデューサーとしてPerfume、きゃりーぱみゅぱみゅを始めとして、様々なアーティストを手がけています。
テレビドラマ「ライアーゲーム」のサウンドトラックや、MEG、SMAP、m-flo、青山テルマ、鈴木亜美、リア・ディゾンへの楽曲提供をします。

Perfume、きゃりーぱみゅぱみゅのプロデュースは、日本のみならず、海外でも評価が高いです。
レコーディングを含めた楽曲制作は、全て中田自身のプライベート・スタジオで実施。

その他、クラブイベントやファッションショー、アパレルブランドパーティー、ロックフェス等で、年間60本以上のDJ活動もしています。



「ポリリズム」について

さて、曲に行きましょう。
今回のテーマは、コード進行とメロディの関係性です。
難しいテーマではありますが、作曲、アレンジをする人にとって、避けて通れない事柄です。
またリスナーの方も、ここに書いている事を会得して、ここのコード進行がツーファイブの偽終止で・・・なんて語ると、尊敬される事請け合いです(キモがられたらご容赦w)。

ポリリズムとは音楽用語で、1つの楽曲に2つ以上の異なるリズムが存在する曲、またはフレーズの事です。
この曲、間奏には本当にポリリズムが出て来ますが、曲メロはポリリズムではありません。

間奏のポリリズムのアレンジを絶賛する人もいますが、今回は間奏は取り上げません。

バッキングは、全てシンセの打ち込みです。
情報によると、中田ヤスタカは、著名なシーケンスソフト、Cubaseを使っているそうです。
DTMにいそしんでいる方は、あれね・・・とすぐにピンと来るくらい、スタンダードなソフトです。
確認していませんが、シンセの音色エディットも、PCソフトなんでしょうね。

テンポは、♩=125くらい。
人間の心臓のリズムは通常=60(つまり1分間の心拍数60回)ですので、テンポが60の倍数に近いのは、人間が生理的に気持ち良いテンポと言えます。
60の倍数より、少し心臓がバクバクしているので、恋をした人(笑)?



「ポリリズム」の曲の形式

曲の形式は、AA'BB'CC'。
厳密には、サビの繰り返しのメロディは一様ではありませんし、サビの繰り返しを1くくり、サビ後の繰り返しを1くくりで考えると、AA'BCと言う考え方もありますね。
・・・と書いても、ちんぷんかんぷんな方も多いでしょうから、歌詞と曲の形式を以下に記します。

[A]
とても大事なキミの想いは
無駄にならない世界は廻る

[A']
ほんの少しの僕の気持ちも
巡り巡るよ

[B]
くり返す このポリリズム
あの衝動は まるで恋だね
くり返す いつかみたいな
あの光景が 甦るの

[B']
くり返す このポリリズム
あの反動が うそみたいだね
くり返す このポリループ
ああプラスチックみたいな恋だ

[C]
(恋だ)
またくり返す
このポリリズム
[C']
このポリリズム
このポリリズム


曲形式をあえて小分けにしているのは、メロディの繰り返しが多く使われていると言う事を、理解して欲しいとの意図もあります。
これだけ、繰り返しが使われているのに、作曲やアレンジが非凡、メロディも少しずつ変化させ、最後まで飽きが来ません。

PCのシーケンスソフトを使えば分かりますが、アレンジのコピー&ペーストなんてお手のもの。
それでは単純になりますので、心得があれば、ちょっと手を加えると深味のあるアレンジに作れちゃいます。

自分は恥ずかしながら、鍵盤は少ししか弾けませんので、クオンタイズをかけてリアルタイム入力した後、数値入力でまとめて補正するクチでした。
なので自分にはCubaseは、不向きですね。
めんどうだから、専門用語の解説は省きますが、知らない人は宇宙人の会話のようでしょうね。
DTMをした事があるなら、当然分からなければいけない事です。
でも自分のDTMは20年位前までなので、用語が古かったらご容赦。

自分は最終的に生音で演奏する曲のデモと言う事もあり、音の強弱とか、タイミングの揺らぎなんかを1音ずつエディットで修正したりして、結構面倒でした。
特にクローズド・ハイハット音なんて、打点の違いやスティックの角度を意識して、1曲につき4音色くらいを使い分けていましたし、オープン・ハイハットも数種の音色、シンバルも10種くらい使い分けていました。
ツーバスの曲の場合、通常人間は左右で足の力が違うので、別の音色にしましたし(笑)。
おかげで良く、自分が作ったデモテープ(昔の事なので本当にカセットテープw)を、生演奏と勘違いする人も多かったです。
バンドメンバーからは、そこまで凝らなくても・・・なんて言われましたね。

まあ話が脱線しましたが、とにかくPCのシーケンスソフトを使うと、繰り返しを多用するテクノ向きと言う事です。
またテクノの場合、自分がかつてしていたような、こまめなエディットは不要でなので、音楽編集も楽です。

ちなみに、音楽形式でABCとくると、Cの部分は通常サビとなるのですが、そうでないところもこの曲の非凡さに思えますね。
まあ、こう言うパターンも無数にありますけど。

ビックリは、間奏の後の形式です。

[A]
ほんの少しの 僕の気持ちが
キミに伝わる そう信じてる

[A]
とても大事な キミの想いは
無駄にならない 世界は廻る

[A']
ほんの少しの 僕の気持ちも
巡り巡るよ

AAA'BB'CC'の形式で、Aが3回出て来ます。
通常2コーラス目は、むしろサビまで最短に行くよう、例えばA'BB'CC'のように、Aを減らすのがスタンダードです。
自分は最初聴いた時、ビックリでしたが、変ではないと思います。
皆さんはこれをどう思うのでしょうか?



「ポリリズム」のアレンジ

アレンジも、基本的にはテクノ定番の4つ打ち。
4つ打ちは別名タテノリとも言いますが、通常の音楽4/4の楽曲で、1小節に4分音符が4つだから4つ打ち・・・4分音符のリズムと言う事ですね。

4つ打ちはセンスのない人がアレンジすると、数秒で単調で飽きが来ます。
アジア某所の音楽を聴けば、良く分かりますよね(苦笑)。
全部ダメ・・・なんて暴論を吐くつもりはありませんけど。
ちなみに自分、テクノに限らず世の99%の曲はすぐ飽きて、1、2秒で聴くのを止めます。

以前、miwaの「ヒカリへ」のアレンジをカオス状態と評しましたね。
ここでアレンジに軽くだけ触れますが、中田ヤスタカのアレンジはセンシティブです。

miwaの「ヒカリへ」のアレンジは、意味不明な音の渦でしたが、この「ポリリズム」のアレンジは、1音1音に意味があり、個性と言う点を考えても無駄な音がありません。
1音1音に意味があり、無駄な音がない(まるで誰かの料理レビューのセリフみたいですがw)のは、作曲やアレンジの理想です。

この曲の場合、リズムマシンのバスドラムは、4つ打ちなのですが、特にサビなんかのシンセは裏のリズムを刻んで、リズムに複雑さをもたらせ、味わい深いです。
サビで、16分音符で入るシンセ音が、闇からの光明の様で素敵ですね。
作曲やアレンジを一生懸命した事のある者なら分かると思いますが、中田ヤスタカのアレンジの素晴しさは、畏敬さえ抱くほどです。

アレンジについて1つだけ。
初めてこの曲を聴いた時、サビの終わり、(ああプラスチック)みたいな恋だ・・・のところで、ドラムがブレイク(つまり休み)するのが、センスあるなぁ・・・と感心しました。

自分かつて、ドラムもやっていましたが、このブレイクは、ドラマーならあまりしないフレーズです。
ブレイクする前にスネアやハイハットを入れたりして、いかにもブレイクしますよ・・・的なフレーズにします。
それが、何の前触れもなくブレイクするので、無機質な印象を与え、テクノには良いな・・・と。

今回は、アレンジは主題から外れますので、今回はこれくらい軽くの取り上げとします。



「ポリリズム」のメロディとコード進行

この曲では、従来のアイドルの曲では考えられない、ジャズのコード進行を使っています。
どんなコード進行でも良いんですけどね、とにかくメロディが素晴しいです。

以下、ポリリズムのコード進行と曲メロの譜面です。

ちなみにこの譜面、ネットを漁ったら、フルのバンドスコアを発見しまして、そこからのほぼ転記となります。
ギターソロの譜面化と違い、歌メロ譜面化はかなり楽ですけどね。
それでも怠惰な自分は、楽をさせてもらいました(笑)。

コードは、ネット上にあるものから、自分なりにも響きを検討して、アレンジの響きだと思われるコードネームを決定しています。
ネット上にある、全ての情報を当たった訳ではないので、同じコード進行を書いたサイトがあっても、驚きません。

音階を表す時、C=ド、D=レ、E=ミ、F=ファ、G=ソ、A=ラ、B=シ(クラッシックではH)。

コード譜は、バッキング・アレンジのヴォイシング(和音の配列)ではありません。
ルート音(A♭M7ならA♭=ラ♭)から、上に和音を積み上げたのみです。
ここのテーマはあくまでコードであって、ヴォイシングがどうのこうの書くつもりはありません。

バッキング・アレンジのヴォイシングは、ご自分でコピーされるか、ネット上のフルのバンドスコアを探して下さい。
これはこれで、とても重要なアレンジの勉強になりますが・・・今回そこまで取り上げますと長くなるので、割愛します。
今回はあくまで、コードに対するメロディの音使いがテーマです。

1小節に異なる2コードある場合は、タイミングも書いていますが、細かいタイミングや音符の長さに突っ込まないで下さい。



「ポリリズム」の音階

音階は、E♭調。
クラッシック的な言い方だと、変ト長調(伝わらねぇw)。

音階の構成は、E♭-F-G-A♭-B♭-C-D
ちなみにこの順番、度数で書くとⅠ-Ⅱ-Ⅲ-Ⅳ-Ⅴ-Ⅵ-Ⅶ。
音の間隔は言わずもがなですが、Ⅰ(1音)Ⅱ(1音)Ⅲ(半音)Ⅳ(1音)Ⅴ(1音)Ⅵ(1音)Ⅶ(半音)となります。
自ブログでもよく書いている、E♭メジャー・スケールと同じ構成音です。

E♭調のⅠ度の音はE♭、Ⅱ度の音はF、Ⅲ度の音はG、Ⅳ度の音はA♭・・・と言うと、分かりますかね?



カデンツ

コード理論におけるコードの役割に、トニック(以後T)、ドミナント(以後DT)、サブドミナント(以後S)と言うのがあります。
ドミナントの略称は一般にはDとしますが、このブログではコードネームや音階のDと区別するため、DTとします。
カッコは、E♭からコードのルート音が、何度の音なのかを書きます。

E♭調の、ルート音がⅠ度からⅦ度までの和音で分類すると・・・

T=E♭(Ⅰ)、Gm(Ⅲm)、Cm(Ⅵm)
曲の始まり、曲の終止に使用するコード

DT=B♭(Ⅴ)、Dm-5(Ⅶm-5)
曲をトニックへと導く(解決するという表現をします)コード

S=Fm(Ⅱm)、A♭(Ⅳ)
DTに、豊かな響きを加えるコード

ちなみに、上記のコードに7thが付いても、分類は変わりません。

どうしてT-DT-Sの分類になるかと言いますと、「ポリリズム」のTを例に取ります。
Ⅲm7=Gm7のコード構成音は、G-B♭-D-F。
ⅠM7=E♭M7のコード構成音は、E♭-G-B♭-D。
G-B♭-Dが共通しており、Ⅲm7とⅠM7は響きが近い・・・コードとして代用出来る事が分かります。

ついでに、Sを例に取ると・・・
ⅣM7=A♭M7のコード構成音は、A♭-C-E♭-G。
Ⅱm7=Fm7のコード構成音は、F-A♭-C-E♭。
A♭-C-E♭が共通しており、ⅣM7とⅡm7は響きが近い・・・コードとして代用出来る事が分かります。

これらのコードを使って、曲を作る際の組み合わせ・・・コード進行の終始形には代表的な3つのパターンがあります。
これを音楽用語でカデンツと言います。

カデンツ1=T-DT-T
カデンツ2=T-S-DT-T
カデンツ3=T-S-T

多くの曲はカデンツ1から3のパターンの、コード進行です。
またはコードを代用したり、転回(≒ヴォイシング)したコードの進行になります。



1小節目-9小節目のコード進行

譜面の、歌初めから8小節のコード進行を度で書きますと、以下のようになります。

ⅣM7-Ⅲm7-Ⅱm7-Ⅲm7/Ⅵ-Ⅱm7-Ⅲm7-Ⅱm7/Ⅴ-Ⅲm7/Ⅵ

度で書くのは、他の調であってもコード進行パターンが分かりやすいためです。

一般に、単調な和音が良く使われるテクノにおいて、見る人が見ると、このコード進行は複雑でオシャレだなと感じます。
全ての和音に7th音が付与されていて、和音構成が4音以上です。
これは、ジャズやフュージョン、AORなんかのオシャレな楽曲に使われる和音です。
つまりは音なんか聞かなくとも、複雑な響きである事が分かります。

メジャーの音階(つまり明るい雰囲気の曲)ですが、Ⅰ度から始めずⅣ度から始めるのはおしゃれです。
こんなⅣ度から始める曲を自分も作った事がありますが、ハッとする華やかな始まりになります。

ポリリズムのコード進行、ⅣM7-Ⅲm7-Ⅱm7-Ⅲm7/Ⅵ-Ⅱm7-Ⅲm7-Ⅱm7/Ⅴ-Ⅲm7/Ⅵをカデンツに当てはめると・・・
S-T-S-T-S-T-S-T-S
カテンツ3のシンプルな、コード進行である事が分かります。
DTは出て来ません。

ところで、この解釈で良いの?・・・と言いますと、半分しか正しくありません。
Ⅲm7/ⅥとⅡm7/Ⅴの和音の役割を知る必要があります。

実際に付与されているコードは、Ⅲm7/Ⅵ=Gm7/C、Ⅱm7/Ⅴ=Fm7/B♭。
実はこのようなコード、これまでのブログでも出て来ていましたが、本筋と関係ないので、説明をスルーしていました。
このコード表記は別名、分数コードと呼ばれる和音です。
多くの場合、分母がベース音で、その上に分子の和音が乗ります。
アッパー・ストラクチャー・トライアドも、同じ表記をしますが、今回は関係ありませんので、説明を割愛します。

重要なのは、Fm7/B♭で、ベース音がB♭、上にFm7=F-A♭-C-Eの和音が乗った、B♭-F-A♭-C-Eの和音構成となります。
キーのE♭から数え、Ⅴ度の音B♭音が加わる事で、B♭をルートとする和音、B♭7=ドミナントの役割を果たします。

Gm7/Cを例に取りますと、ベース音がキーのE♭から数え、Ⅵ度の音C、上にGm7=G-B♭-D-Fの和音が乗ったものです。
つまり音の低い順に並べると、和音構成はC-G-B♭-D-F。
このコード、4小節目、8小節目、12小節目と4小節目の節目に出て来ています。
つまり4小節のコードのパターンにおいて、次のパターンの解決(つまり終止に向かわせる)をしています。

上にちらっと書きましたが、ジャズのポピュラーなコード進行にツーファイブと言うのがあります。
ツーファイブは、きれいに曲を解決出来る(曲を終止に向かわせる)コード進行として知られています。

ツーファイブの基本形のコード進行は、このようなメジャー(明るい雰囲気の曲)のコード進行の場合、Ⅱm-Ⅴ-Ⅰで、Ⅰで終止する形です。
ちなみにこのコードに7thがついても、同じ形です。

以前miwaの「ヒカリへ」で、偽終止っぽいと書きましたが、ここでもまた偽終止が出て来ました。
偽終止とは、「Ⅱm7-Ⅴ7-Ⅰ」とⅠに至るところを、「Ⅱm7-Ⅴ7-Ⅵm7」のように、Ⅵm7につなぐ事で、終わるのではなく、次のフレーズにつながる雰囲気を出すコード進行です。

7小節目、8小節目を見ますと、Fm7/B♭はB♭7の役割、Gm7/CのⅥ度の音Cと併せて考えますと、Ⅴ-Ⅵ・・・ツーファイブの偽終止です。
同じく、4小節目、12小節目は、サブドミナント(Ⅴ)を通らない、解決感の希薄な偽終止ではないでしょうか?

この曲では、明確なドミナントが出て来ませんが、このようなコード進行は疾走感があり、J-POPで定番のコード進行です。
上の和音はS-T-S-Tと繰り返し、疾走感を与え、ベース音の動きで偽終止の次のフレーズにつながる雰囲気を出し、ますます疾走感が出ているように思います。

自分、この曲を初めて聴いた時、すぐにツーファイブと思いました。
以前アマチュアバンドで作曲やアレンジをしていた時、いやと言うほど、ツーファイブ、そして発展系フレーズを手がけました。
この曲のように、カデンツ3と見せかけて、分数コードでコード進行を解決するのは、常套手段です。

もし作曲やアレンジする方なら、この辺を知っていて当然・・・英語で言ったらアルファベットを覚えると言うくらい、基礎的な知識です。
しかし実際は、作曲者の多くは譜面の読み書きも出来ず、この辺の音楽理論も勉強おらず、ちんぷんかんぷんだったりします。
音楽理論を知って、減るもんじゃなく、むしろ音楽ライフを豊かにしてくれるものですので、押さえておきたいものです。



17小節目-24小節目のコード進行

この曲がヒットしていた頃、会社の後輩が、この曲のサビを根拠なく、何か特別なコード進行だと思い込んでいました。
AA'のメロディには、少し閉塞感があるのに対し、サビで一気に解放感が高くなります。

この辺が音楽の面白いところで、コード進行の考え方は、AA'もサビのBB'も大差ないです。
サビで盛り上がるのは、アレンジの妙と、メロディの音使いによるものです。
雰囲気が変わったからと言って、特別なコード進行などではありません。

サビのコード進行は、ⅣM7-Ⅲm7-Ⅱm7-Ⅲm7-Ⅱm7/Ⅴ-Ⅲm7/Ⅵ-Ⅱm7-ⅠM7-Ⅱm7-ⅠM7-Ⅱm7-ⅠM7-Ⅱm7-Ⅲm7
コードを細かく刻んでいるので、8小節と言えども、コードが多い!
和音を刻んでいるのが、疾走感と、盛り上がりの一因ですが、それが全てではありません。

21小節目から、コードが変わりますが、これはなんて事ありません。
Ⅱm7はⅣM7、ⅠM7はⅢm7で代用出来るのは、前述の通りです。
コードを代用して、響きに変化を付けたに過ぎません。

上のカテンツの形式に直すと、表面上はカテンツ3です。
Ⅱm7/Ⅴ-Ⅲm7/Ⅵが、偽終始のような使い方と言うのは、前述の通りです。

23-24小節目のⅡm7-Ⅲm7ですが・・・ここでは分数コードを使っていませんね。
でも不思議な事に、偽終始っぽい雰囲気です。
同じメロディなんで、前のフレーズで出て来た幻のⅤ-Ⅵが聞こえる気がするのでしょうか?

自分なら確実に、Ⅱm7/Ⅴ-Ⅲm7/Ⅵを使っているところです。
しかしあえてⅡm7-Ⅲm7とした事で、和音の響きが単調に感じません。
こんな使い方もあるのか・・・と、目から鱗です。



コードアレンジについて

自分は度々、曲のメロディに対して、アレンジで付与するコード進行と、メロディの調性感の良いコードは異なると書いています。
逆な言い方をすると、コード理論さえ理解していれば、同じメロディでも、いくつもの異なるコードを付ける事が可能です。
コードの付与はアレンジの第一歩で、多彩なコードのの引き出しは、曲への豊かな和音の響きとなり、縦横無人なアレンジが出来ます。

[Example 1]

コード進行の初歩の初歩、3コード進行ですね。
Ⅰ-Ⅳ-Ⅰ-Ⅴとかが代表的な例ですが、この曲の場合、メロディと合いませんので、Ⅳ-Ⅰ-Ⅳ-Ⅴとしなくてはなりません。
これもまた立派な3コード進行です。

テクノでは、このような単純なコード進行が使われるのを、良く耳にします。
和音の響きも単調で、飽きが来ないようにアレンジするのは難しいですね。

ちなみにブルースなら、全て7thコードになりますが、この曲にはもちろん合いません。


[Example 2]

3コード進行を、Example 1よりもう少しおしゃれな響きにしたものです。
A♭メジャーだと、あまりに調性感の良い3和音ですので、メジャー7thコードにして、複雑な響きにしました。

8小節目ですが、メロディがⅤ7とは合いません(この場合Aの音がメロディと相性が悪い)ので、Aを下げたB♭7sus4としました。
Example 1よりは、響きがオシャレですが、ⅣM7-ⅠM7と繰り返すところが、聴き続けると飽きそうです。


[Example 3]

3コード進行ではありますが、メジャーコードばかりでは、響きの質が似かよるので、Ⅲ度のマイナー7thコードを代用して、Example 2よりオシャレな響きにしました。
ちょっと、原曲の響きに近くなりましたが、それでもなおⅣM7-Ⅲm7と繰り返すところが、聴き続けると飽きそうです。

なお、A♭M7をFm7で代用する事も可能ですが、メロディがメジャーですので、少なくとも初めのコードはより調性感の良いA♭M7にするべきです。


[Example 4]

Example 1から3・・・これらを加味して、ちゃんと考えてアレンジしたコード進行です。
Example 1から3まで、いずれもこのメロディには合います。
そうなると、コードを代用する事で、飽きの来ない響きとなります。

Gm7はE♭M7の代用。
Fm7はA♭M7の代用。

4小節のパターンに、異なる4つのコードですので、複雑な響きです。
このコードパターンのキモは、コードのルート音がA♭-G-F-E♭と1音ずつ下がって行く事。
音楽を知る人が聞けば、意図的だと分かります。

また8小節目は、B♭7sus4-B♭7とする事で、本来はメロディに合わないはずのB♭7を、コード進行に合うようにはめました。
これにより、8小節のパターンに、終止感が生まれます。
疾走感のあるメロディに、終止感ってどうよ?・・・と言う話はありますが(笑)。

このコード進行は、一般に良く使われるものです。
試すと分かりますが、このコード進行の方が、メロディにはハマりますが、このコード進行の方が優れているのか?・・・そうは思いません。
コードを決めるのも、コードの響きが1つの音楽表現で、必ずしもよりハマるコード進行が良いとは限りません。
Example 4は、一般に良く使われるコード進行だけに、これではありきたり・・・とも言えます。
どんな音楽クリエーターも、どうやって自分らしさを出すのか?・・・と言う事を、日々意識しているはずです。
それに、疾走感のあるメロディなのに、終止感が強いのは、矛盾があります。


他人の曲をアレンジする際、作曲者がコードを指定して、変更するのを許さない事があります。
その手の作曲者は、コード進行から作曲する人が多く、コードまで作曲者の作曲の一部と考えているのでしょう。
アレンジの都合で、コードを変更すると、その曲も否定されたかのごとく、反発したりします。
まったく○鹿馬○しい事です。
この解説でも分かるように、コードの決定から、アレンジは始まっているのです。

しかも、音楽知識がない人が付けたコードは、実際にはめちゃくちゃ(つまり調性感が悪い)な事が良くあります。
なまじっか作曲出来るもんだから、自分の音楽知識のなさを、認めたがりません。



「ポリリズム」のコード進行の結論

カテンツ3と見せかけているのは、コード進行をワンパターンの無機質な感じにするため。
しかし代用コードや分数コードを用い、響きに複雑さを出して、飽きが来ないようにしています。

こうして見ると「ポリリズム」は、先にメロディを作って、コード進行を無理やりハメて(つまりコードを決めながら)、アレンジしたように感じます。
それが本当かどうかは分かりませんが、自分にはコードを決めた後、Cubaseで8小節パターンのコピー&ペーストを繰り返す、中田ヤスタカの姿が見える気がします(笑)。

ちなみに、ちゃぶ台(死語?)をひっくり返すような発言をすると、曲のアレンジをする際、コードネームの決定が先か、ヴォイシングが先かは重要な問題です。

ヴォイシングが先・・・と言うのは、コードネームでアレンジを決定するのではなく、頭の中で響いている、かっこ良いと思う和音をアレンジすると言う事です。
この方法でアレンジすると、時にアバンギャルドなコード、またはコード進行になる事があります。
コードにとらわれず作るので、アレンジの自由度が高くなりますが、反面難易度が高いです。

曲によって、どちらが適しているか・・・そしてどちらが好みか・・・あるでしょう。
一例を挙げると、かっちりした曲で、原曲のコード進行を活かしたければ、代用コードや展開コードを使うとしても、コードの決定から。
浮遊したようなメロディで、コード感が希薄なら、ヴォイシングを先にしてみると、メロディの浮遊感を活かした個性的なコードアレンジが可能です。

手前味噌になりますが、自分は曲によって両方しましたし、自分がアレンジした曲では、ヴォイシングを先にして、結果としてコードネームが付けられない(無理やり付けましたけど)複雑なコードもありました。
「何なんだ、このコードは!」と、バンドメンバーには嫌がられました・・・が、音楽表現が良い方を選ぶのは当たり前。
バッキングの楽器が弾きやすいために、コードアレンジなんてしません。
優先順位ちゃうやろ!



「ポリリズム」の曲のメロディについて

コードの理解が出来たら、ここは楽勝(本当か!?)です。

2小節目の1-2拍目、Dから突然B♭にメロディが上るのが素敵です。
Ⅴ度のB♭ですので、2小節と言う短い範囲で、これまたメロディがツーファイブっぽい音の流れです。

4小節目のGm7/Cのコードのところで、メロディは3拍目C。
Gm7とGm7/Cの2つのコードを試せば分かりますが、Gm7/Cの方が、メロディに対して響きが良い事が分かります。
Gm7/Cの意味は、前述の通り。

7小節目のFm7/B♭では逆に、メロディにはB♭は使わず、メロディの解決を希薄にする(偽終止)事で、次のフレーズにつなげて、疾走感を生み出しています。
8小節目のGm7/Cも同様です。
14小節目の最後の音がB♭で、15小節目のコードはFm7/B♭。
これはドミナントコードではないのですが、Fm7/B♭のコードにメロディB♭を乗せる事により、曲にドミナントの雰囲気を出し、サビへと解決しています。

サビのコードは、A♭M7で、メロディの最初の音はG。
A♭M7のコードでは、Ⅶ度の音です。
A♭の和音構成は、A♭-C-E♭。
A♭M7の和音構成は、A♭-C-E♭-Gで、違いはこのルート音A♭から半音低いGが、きらびやかな響きにします。
メロディにGを使った事で、よりA♭M7との調性感が良くなり、曲がきらびやかになり、サビを盛り上げています。

サビに入った17小節目。
メロディに16文音符を入れる事で、メロディのリズムに変化を与え、飽きの来させないものにしています。
リズムに対して、メロディのリズムがシンコペーション(リズムとずらしている)しています。
これまた、4つ打ちエレクトロの曲で、良く使われる節回しですね。

この辺は、miwaの「ヒカリへ」も同様でした。

18小節目、3拍目の裏で、Gm7のコードに、メロディではC音をぶつけています。
つまりここも、Gm7/Cっぽい響きとなります。

24小節目も、3拍目の裏で、Gm7のコードに、メロディではC音をぶつけています。

自分はこの曲に、無駄がないと書きましたが、中田ヤスタカが全体を見通して、作曲、アレンジしているのがお分かり頂けますでしょうか?



最後に

Perfumeは他の曲も、こんな感じのツーファイブの応用のコード進行で、偽終止もたくさん出て来ます。
この曲でも書いたように、他の曲も繰り返しパターンで無機質な感じを出しつつ、パターンを微妙に変化させ、飽きが来にくい曲にしています。

Perfumeに限らずですが、2000年代に入ってから(いや1990年代あたりから?)、アイドルも可愛いだけじゃダメで、歌も踊りも傑出しているアイドルが増えました。
楽曲も、それ以前とは異なり、凝っている曲が多くなったように思います。
昔のアイドルの曲は、分数コードでのツーファイブのコード進行なんて珍しかったです。

中でも、中田ヤスタカの楽曲は、特にプロデュース作品・・・Perfume、きゃりーぱみゅぱみゅで光り輝いているように思います。
これは中田ヤスタカが作曲ばかりでなく、アレンジが非凡なのが、大きくモノを言っているように思います。

ちなみに、コード進行のパターン分かったからって、作曲が出来るようになったりしません。
少しメロディが浮かんでも、後が続かないでしょう。
作曲は、例えば神の助けのような、自分でどうしようもない力がほんの少しだけ必要です。

もし、後が続くようなら、神様に愛されています。
逆にどんどん作曲しちゃって下さい(笑)。


http://grooveshark.com/#!/s/Polyrhythm/7hwqJQ?src=5
Polyrhythm by Perfume on Grooveshark

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2015年4月19日 (日)

2015年 皐月賞

4月19日は、3歳牡馬クラッシックGⅠレース、皐月賞(中山GⅠ芝2000m)が行われました。

1-1 ブライトエンブレム(牡3、田辺裕信・小島茂之)
2-2 ドゥラメンテ(牡3、M.デムーロ・堀宣行)
2-3 スピリッツミノル(牡3、酒井学・本田優)
3-4 ワンダーアツレッタ(牡3、柴田大知・河内洋)
3-5 リアルスティール(牡3、福永祐一・矢作芳人)
4-6 タガノエスプレッソ(牡3、菱田裕二・五十嵐忠男)
4-7 キタサンブラック(牡3、浜中俊・清水久詞)
5-8 サトノクラウン(牡3、C.ルメール・堀宣行)
5-9 ミュゼエイリアン(牡3、柴山雄一・黒岩陽一)
6-10 ベルーフ(牡3、戸崎圭太・池江泰寿)
6-11 ダノンリバティ(牡3、岩田康誠・音無秀孝)
7-12 ベルラップ(牡3、三浦皇成・須貝尚介)
7-13 コメート(牡3、嘉藤貴行・土田稔)
8-14 クラリティスカイ(牡3、横山典弘・友道康夫)
8-15 ダノンプラチナ(牡3、蛯名正義・国枝栄)

単勝人気は、以下の通りです。

①サトノクラウン 3.1
②リアルスティール 3.8
③ドゥラメンテ 4.6
④キタサンブラック 9.7
⑤ダノンプラチナ 10.3

父サンデーサイレンス系は8頭!?内ディープインパクト系2頭、全兄のブラックタイド系3頭。
ブラックタイドは賢弟ほど活躍しなかったので、種付け料安いでしょうしね・・・競馬はブラッドスポーツ、こうして活躍馬を出すのは素晴しい事です。

母父サンデーサイレンス系は3頭で、出走馬15頭中、11頭にサンデーサイレンスの血統が入っています。
普通なら、キングカメハメハ産駒2頭(母父含むと3頭)と言うのも凄いんですけどね。

個人的には、ミュゼエイリアンの父、スクリーンヒーローと言うのが渋くて良いですね。

ワンダーアツレッタの父、エンパイアメーカーはアメリカで活躍しましたが、2011年から日本軽種馬協会静内種馬場で供用されています。
日本軽種馬協会の場合、種付け料が安い利点がありますが、そのため良い牝馬が集まらず、種馬の評価を下げてしまうように思います。
エンパイアメーカー産駒には、活躍して欲しいものです。
ワンダーアツレッタの母父、キンググローリアスも日本軽種馬協会静内の種牡馬でした。

ちなみにキンググローリアスは、サンデーサイレンスと同期で、イージーゴア、オウインスパイアリングと共に、この年代の4強の1角と目されていました。
キンググローリアス産駒が活躍しなかったのは、日本軽種馬協会と言うのもあったでしょうが、サンデーサイレンスの種牡馬成績が凄過ぎて、良い牝馬がサンデーサイレンス系に集まっちゃったせいでしょう。

小雨は降ったものの、馬場に影響を与える程でなく、良馬場。
素人目には、全く雨の影響はないように見えました。
しかしレース後の、岡部元騎手の弁によると、これくらいの雨量でも、切れを身上とする馬には切れを鈍らせるんだとか。

ゲートが開いて、サトノクラウンはダッシュがつかず後方。
逃げると思われていたスピリッツミノルもダッシュがつかず。
馬なりにワンダーアツレッタが先頭に立つかと思いきや、行き脚の良いキタサンブラックが交し、その外から強引にクラリティスカイが交して逃げました。
2番手キタサンブラック、3番手ワンダーアツレッタ。
1番人気サトノクラウンは後方、2番人気リアルスティールは中団前目、3番人気のドゥラメンテは後ろから3頭目。

スタートの3F(600m)は35.2、1000m通過が59.2。
先週の桜花賞とは異なり、ハイペースです。
しかしレースのペースを見ると、800m過ぎくらいから1F(200m)12秒台に落とし、クラリティスカイは逃げ切る気満々だったのが伺えます。
そのせいか、馬群はそれほど長くならず、3コーナー手前には馬群が詰まって来ました。
3番人気のドゥラメンテは、進出して中団馬群に入れました。
それでも1番人気サトノクラウンは、行き脚が良くなく、まだ後方のまま。

4コーナー手前には、後方にいた馬が仕掛けて前に進出しました。

4コーナー回る際に、後方馬群が割れた事もありますが、追い出したドゥラメンテが大きく外に振られ斜行。
ドゥラメンテ自体は、他馬に接触しませんでしたが、タガノエスプレッソ、ベルラップ、ダノンプラチナの進路を妨害してしまいました。
サトノクラウンも影響があったように思いますが、審議対象ではなかったので、問題なしと判断されたのでしょう。

万全の乗り方のリアルスティールとキタサンブラックが伸びて、逃げるクラリティスカイを交して先頭に立ちました。
リアルスティールとキタサンブラックが競り合い、リアルスティールが競り潰したところ、後方から凄い脚で鹿毛の馬が飛んで来て、リアルスティールを並ぶ間なしに交し、1馬身1/2差をつけ勝ちました。
一瞬何が起こったか分かりませんでしたが、アナウンスで斜行したドゥラメンテが優勝したと、やっと気づく始末(苦笑)。

2着は完璧な乗り方も、豪脚に屈したリアルスティール、3着はこちらも完璧な乗り方だったキタサンブラック。

ドゥラメンテは、未勝利、セントポーリア賞と、ぶっちぎり圧勝で共同通信杯(東京GⅢ芝1800m)で1番人気になりましたが、リアルスティールに敗れ人気を落としていました。
皐月賞を勝った後、調べて気付いたのですが、共同通信杯は道中気負っていたそうで、本来のレースが出来なかったんだそうです。

レースのビデオを見ると、道中は鞍上ミルコ・デムーロが、馬の行く気に任せ、リラックスさせて走らせているように見えます。
それが最後の、笑っちゃうような鬼脚になったのでしょう。
通常あんな脚は、実力の劣る相手でなければ見せられないものですけどね。
この馬は気難しいのが難点だそうですが、母系は3代がGⅠホース、父は人気種牡馬のキングカメハメハと超良血。

2着のリアルスティールも立派で、もしこのまま勝ったなら、強い勝ち方だったのですが、それを子ども扱いして勝つ馬がいるなんて・・・
ドゥラメンテにまともに走られて敵(かな)う相手はいるのでしょうか?
次走のダービーも制して、凱旋門賞に駒を進めて欲しいものです。

サトノクラウンは行き脚悪く、直線も弾けず6着。
どうしちゃったのでしょうか?
脚質はダービー向きと思いますので、巻き返して欲しいものです。

1着 ドゥラメンテ 1:58.2
2着 リアルスティール 1 1/2
3着 キタサンブラック 2 1/2


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2015年4月17日 (金)

You are the flower / TOTO


TOTOについて

TOTOは1970年代後半から活躍する、アメリカ西海岸のロックバンドです。
結成のきっかけは、Then She Walked Away / Boz Scaggsでも書きましたが、1976年のボズ・スキャッグスの「Silk Degrees」にバックとして参加した、ドラムスのジェフ・ポーカロ、キーボードのデヴィッド・ペイチ、ベースのデヴィッド・ハンゲイトを中心に結成されました。
TOTOの情報は早くから、音楽雑誌でも取り上げられていました。
ドラムスのジェフ・ポーカロの兄弟、ベースのマイク、キーボードのスティーブが参加すると噂されていた事から、バンド名が決まる前は仮名で「ポーカロ・ブラザーズ・バンド」なんて書かれていました。

バンド名が国際的便器メーカーと同じですが、バンド名の由来は分かっていません。
日本では、エジプトのトート神が由来・・・なんて情報もありましたが、実はスペルが違います。
ジェフ・ポーカロの死後、バンドのリーダーとなるスティーブ・ルカサーによると、スティーブ・ルカサーの加入時にはすでにバンド名が決まっていたそうです。
スティーブ・ルカサーは、このバンド名が嫌いだそうです。

TOTOは1977年、デビューアルバム「TOTO」をリリースしました。
「Silk Degrees」の雰囲気がありつつ、ロック色が強いこのアルバムは、当時ブームが翳ったハードロックファン、当時ブームだったフュージョンファンにも好意的に迎えられました。
もちろん、中間的な作品なので、めちゃめちゃ嫌う人もいましたけどね。

ボズ・スキャッグスの「Silk Degrees」の色合いが強く、後にこのような音楽ジャンルがAORと呼ばれるようになります。
TOTOも、AORを代表するバンドです。
ちなみにAORと言う言葉は、アメリカから発生しましたが、今は使われてなく、現在アメリカではアダルト・コンテンポラリィなんて言ったりします。

TOTOは2008年の解散まで、12枚のオリジナルアルバム(ベストやライブ除く)をリリースし、1982年リリースのTOTO IV(邦題:聖なる剣)でグラミー賞、レコード・オブ・ザ・イヤーやアルバム・オブ・ザ・イヤー含む6部門に受賞。
公式には解散状態のはずですが、2010年以降にもコンサートをしています。



アルバム「TOTO(邦題:宇宙の騎士)」について

このアルバムの際のメンバーは、以下の通りです。

ジェフ・ポーカロ:ドラムス
デヴィッド・ペイチ:ボーカル、キーボード
スティーヴ・ルカサー:ボーカル、ギター
スティーヴ・ポーカロ:キーボード、ボーカル
デヴィッド・ハンゲイト:ベース
ボビー・キンボール:ボーカル

ベースは噂とは違い、マイク・ポーカロではなく、デヴィッド・ハンゲイトとなりました。
後にデヴィッド・ハンゲイトは抜け、その後マイク・ポーカロがこのバンドのベーシストになります。

このアルバムは、ビルボードの最高が9位でしたので、商業的には成功でした。
シングルカットされた「Hold the Line」、「I'll Supply the Love」、「Georgy Porgy」はいずれもビルボードトップ50以内に入りました。

当時はTOTOのように、ドラマチックにシンセサウンドを取り入れたロックは珍しかったため、当初は批評家ウケが悪かったと記憶しています。
批評家なんぞ、分かりきったものの批評は得意でも、新しいものを理解出来る人は少ないものです。
1980年代半ば頃から、ヘヴィ・メタルブームとなりますが、ハードロック時代とは異なり、TOTOのようにドラマチックなシンセサウンドが入る曲もありました。
TOTOの影響が、少なからずあったのではないかと思われます。



You are the flowerについて

TOTOのファーストアルバムだと、Georgy porgy、Hold The Line、I'll Supply The Loveなんかは、定番曲として、後々もコンサートで演奏されました。
このアルバムで言うと、Takin' it backとかこの曲なんかは今から考えても、異質な曲です。
バンドとしての方向性を模索して、このような曲を入れたのでしょうが、TOTOらしくない曲です。
でも自分、これらの曲も好きです。

この曲のメンバーは、下記の通りとなります。

ジェフ・ポーカロ:ドラムス
デヴィッド・ペイチ:ボーカル、キーボード
スティーヴ・ルカサー:ボーカル、ギター
スティーヴ・ポーカロ:キーボード、ボーカル
デヴィッド・ハンゲイト:ベース
ボビー・キンボール:ボーカル
ジム・ホーン:サックス
チャック・フィンドレー:ホーン

テンポは、♩=85(1分間に四分音符が85回)あたりでしょうか?
いわゆるミドルテンポで、実は演奏でこれくらいのテンポが、雰囲気を出すのが難しいです。

例えば「Misty」のように、ジャズでは何度も転調する曲があり、そのような曲の場合、xx調と規定する事が出来ません。
フュージョンやロックで、このようなケースは珍しいですが、この曲はそうです。

弱起で始まる曲メロのパターンは、AA'B型。
Aのパターンを2パターンひとくくりと解釈しています。

ついでに、自分なりに拾ったアレンジのコードも掲載します。

[A]
Gm7             Gm6
You never lose a minute, if in it there is love
Gm7                A#aug7     C7
And "old man time" always pulls you through
Gm7             Gm6
It's better not to depend on the morning dew
Gm7                 A#aug7     C7
For the rose you plant in your bed tends to you, honey you

[A']
Gm7            Gm6          Gm7          A#aug7 C7
Some folks take money, some take their life,some take forever to see
Gm7           Gm6
Blind faith, blind love, they're no mystery to me
A#7
You must take the time, for that's the fee

[B]
A#M7                  C7
It's worth the pain that makes the tears
CM7                    D7
It's worth the light of a million years
Bm7-5             E7
Only your love I can't explain,
Am7              D9 A#aug7 G#aug7
you are the flower for my rain

音階を表す時、C=ド、D=レ、E=ミ、F=ファ、G=ソ、A=ラ、B=シ(クラッシックではH)。

ジャジーでオシャレなコード進行、ジャジーなメロディラインで、アレンジはロックなのですが、面白いバランスで成り立っています。
この曲は、自分が作曲する際も、アレンジの際もとても参考になりました。
・・・がしかし、このコード進行の理論的背景は、さっぱり分かりません。

サビについてあえて言うなら、本来は曲の解決をするC7とかD7、E7のドミナント7thコードを当てて、むりやり(しかしスムーズに)転調させているように思います。
コードのルート音がA#M7(ルート音ラ#)→C7(ルート音ド)と完全Ⅰ度です。
C7を基点に、別の調のコードCM7に転調。
CM7(ルート音ド)→D7(ルート音レ)と完全Ⅰ度です。

D7からBm7-5にコードが進行しますが、Bm7-5の和音構成は、B-D-F-A。
これまでのコード進行だと、コードの期待値はDM7。
DM7の和音構成は、D-F#-A-C#。
DとAは和音構成が共通しています。
Bm7の和音構成なら、B-D-F#-A。
DM7の代用コードと想定されます。

Bm7-5(ルート音シ)→E7(ルート音ミ)だと、新たなコード進行のように見えますね。
しかしDM7(ルート音レ)だと→E7(ルート音ミ)と、ルート音が完全Ⅰ度なのです。
次に来るAm7は、曲の解決に向かわせるためで、ルート音はEの4度上です。
コード進行は、Ⅱm7-V7-Ⅰがジャズのポピュラーな解決法です。
Ⅱm7の代用コードはⅣ。
Eの4度上はAです。
最後のD7はEからするとルート音は7度上で、DはEメジャーのドミナント7th音です。
このコードを当てて、このサビを解決しているのかな・・・と。

この曲が、コードから作曲したのか、楽器を何も使わないで作曲したのか興味がありますね。
自分の予想は、コードから作曲した・・・です。
経験則で、このようなコード進行が成り立つと知っていて、この曲で使ったのではないかと予想します。

難点は、サビが盛り上がらないと言うか、この後にサビが来るのか?と言う感じのところですかね。
結局、ギターソロに入って、Bがサビだったのか!と気付く始末です。
AA'もBも同じリズムのリフと言うのは、アレンジとして単調なきらいがあります。
アレンジでがんばっても、Bを盛り上げるのは無理だと思いますので、この後に新たにサビをつけるべきだったと思います。

人間は、4小節とか8小節とかで循環する音楽に、予定調和的な心地よさを感じます。
Aは9小節、A'は7小節と、小節数が変則なのをお気づき頂けましたでしょうか?
Aのように、アレンジの要求で1小節多くなるのはたまにありますが、自分は初めて聴いた時A'は7小節でサビに入ってビックリしました。

2コーラス目はA'Bとなり、1コーラス目より短くするのは、曲の常道ですので、良いですね。
エンディングは、この当時こんな風に、曲メロと関係ない雰囲気で終わると言うアレンジがありましたが、自分は気に入らないです。
個々の曲のパーツは良い線行っているのに、もったいないと思います。

イントロは、ジャジーで美しいピアノ。
すぐに、ユニゾンのロック的なリフが来ます。
これだけオシャレなコード進行なのに、このリフがロックを感じさせます。

刻んでいるだけのはずの、ジェフ・ポーカロのハイハットが、ハネたように聞こえる気がするのが、素敵です。
ジェフ・ポーカロはこの時、全盛時な訳で、まさに唄うドラムが聴けます。
ギターソロで、やたらハイハットオープンを入れるのですが、自分はこのフレーズ好きではないですね。

サビで後ろにさざめく、シンセストリングスが美しいです。

ボーカルは、当時もあまり評判が良くなかった、スタジオミュージシャンボーカルのボビー・キンボール。
特に高温になると、金属的な、キンキンした声ですね。
自分も、それほど好きなボーカルではありません。



You are the flowerのギター・ソロについて


スティーブ・ルカサーのギターの音作りについて

2:09から2:53が、スティーブ・ルカサーのギター・ソロです。
1980年代後半くらいから、レコーディングでもライブでもライン撮り(ギターアンプを介さず直接ミキサーにつなぐ)となったと記憶しています。
ライン撮りは、ミキサーが、音を調整しやすいです。
反面、ギターの音は本来、ギターアンプで増幅したのが本来の音であって、ライン撮りはくぐもったような音になり、ギターの良さが出にくいと言う難点があります。
ギターの音作りに興味がないのでしょうか?
自分は、現在のスティーブ・ルカサーのギターの音が嫌いです。

この頃はまだ、ライン撮りじゃないと思いますが、今聞くと、それほど良い音とは思いませんね。
この曲のミキシングですが、全体的に高音がキンキンして、ミキシング自体も上手ではないと思います。
アンプも何か分かりません。
初期の頃は、マーシャルを使っていたような気もしましたが、エフェクター掛け過ぎて良く分からないです。

ギターはギブソンSGか、レスポールで、リアPUの音じゃないかと推察します。
エフェクターはコンプレッサー、コーラス、ディレイ、リバーブで、アンプで歪ませていると思われます。
コーラスの音にクセを感じるので、コーラスではなく、フェイザーを使っている可能性もあります。
音抜けが良くないですね。

コンプレッサー(ギターのアタックをまろやかに音を伸ばすエフェクター)をかけると、ギブソンSGとレスポールの違いは分かりにくくなります。

ちなみに、ギブソンでボディの木がメイプルトップ(上部の木が固い材質のメイプル)じゃないギター、ギブソンSG、フライングV、フアイアーバード、エクスプローラー等は、音の傾向は一緒で、音を聴いただけでは区別が付きません。
スティーブ・ルカサーは当時、レスポールもギブソンSGも両方持っていたはず。
レスポールはメイプルトップなので、コンプレッサーをかけないナチュラルな音ならば、音の立ち上がりがシャープになり、区別が付けやすくなります。

Gibson Les Paul

Gibson Les Paulの構造

Gibson SG

Gibson Flying V

Gibson Firebird

Gibson Explorer

Gibson Moderne



ギター・ソロのフレーズ全体について

スティーブ・ルカサーは確か、ジェイ・グレイドンの弟子的な存在だと記憶しています。
ぱっと思いつく限り、ボズ・スキャッグスのアルバムやAirplayのアルバムでも共演していますし、調べれば共演アルバムはもっとあるだろうと思います。

この曲のギターソロは、ジェイ・グレイドンっぽい、音使いが凝った、練り込まれたものです。
一方スティーブ・ルカサーは、ライブでアドリブをガンガンやる人です。
ただアドリブで、ここまで凝った音使いをするかな?・・・と。
このソロが、アドリブじゃない可能性もあります。

全体フレーズとしての特徴は、オシャレなスケールチェンジ、休符使いと3連符使い、前の小節からフレーズを始める・・・ですね。

ギターソロに入って、1音転調しますし、ギターソロが始まって8小節後にもう1度1音転調、ギターソロの終わり、17小節後にもう1度1音転調します。
コード進行を知らないと、とてもアドリブは出来ませんね。
このように、転調が頻繁な場合、プロの方でも多少アドリブ展開を練らないと難しいのでは?・・・と思います。

フレーズの出だしから、休符です。
音を出さないのも、音楽の重要なポイントで、この辺にセンスの差が出ます。
1小節目、5小節目、11小節目の音の頭を抜く、抜きフレーズがオシャレです。

前にレビューした、Then She Walked Away / Boz Scaggsでは、音の分布が揃っていたのに対し、3小節目、8小節目、12小節目のように、前の小節からフレーズを始めるとか変幻自在です。

3連符の多用も、センシティブでオシャレですね。
この曲からばかりではありませんが、良いギターソロはしばしば、上手に3連符を使います。
この辺は自分も影響を受けています。

2小節目、4小節目、6小節目、8小節目、10小節目、12小節目、14小節目と、きれいに偶数小節目の最後のフレーズは、次の小節に続くフレーズです。
こんなに予定調和的に、アドリブでこんな風なフレーズを弾けるものかな?・・・と。
アドリブだと凄技のプロでも、フレーズがもっと乱れます。
この辺も、このギター・ソロが、アドリブではないのでは?と思うゆえんです。

このギター・ソロを理解するためには、アベイラブルノートスケールを学ぶ必要があります。
しかも、アベイラブルノートスケールでも、音楽理論として難易度が高いです。
バッキングのコードと併せ、スケール展開していますので、コードが凝っているのと相まって、自分の解釈では8回スケールチェンジしていると考えます。
しかし構成音から、少ない回数なら3回のスケールチェンジとも解釈出来ますので、この辺は人の解釈によるでしょう。

素晴しいスケールチェンジで、これを会得すれば、アドリブを志すギタリストは大きな財産になります。
個々のスケールの話しは、各小節のコメントに書きます。

この曲のギター・ソロでは、自然にスケールチェンジしていますので、とてもオシャレです。
音楽に詳しくない方なら、気付かないと思います。

人間は、4小節とか8小節とかで循環する音楽に、予定調和的な心地よさを感じます。
先日の記事の、Then She Walked Away / Boz Scaggsのギター・ソロも、8小節のパターンでしたね。
また、By the Way / Red Hot Chili Peppersの譜面を見ても、4小節とか8小節で1つのパターンになっている事がお分かり頂けますでしょうか?

フレーズの展開は多彩ですが、4小節毎に上手にフレーズ展開して、流れに無理がありません。
小節の拍子も数えやすく、先日レビューしたSave Your Nights For Me / Kazu Matsui Projectのギター・ソロと比べ、ずっと整然としたものです。
必ずしも、整然としているから良いと言う訳ではありませんが。

以下、ギターソロの譜面となります。
転調が頻繁なので、ハ長調(C調)表記です。
和音の解釈については、サビのコードを転調しているだけなので、サビのコードに準じています。



1小節目-2小節目(2:08~2:14)

ソロ出だしが、ドラマチックで素敵ですね。
歌から、ギターソロの入りで、1音転調しているのは前述の通りです。

自分はアドリブと言えども、ソロの始まりと終わりは、だいたいどんな風にフレーズ展開するか決めていました。
プロの方は、どうなんでしょうか?
2小節目の終わりの、次の小節に続く3連符がオシャレです。

1小節目-2小節目は、Cリディアン・スケールです。
スケールとは音階の事で、Cリディアン・スケールとは、Cから始まるリディアン・スケールと言うタイプの音階の事です。
メジャーコード(コード=和音)に合わせる音階です。
スケールとコードは、表裏一体です。

Cリディアン・スケールが使われるのは、メジャー・コード、コード表記はCまたはC△(他にもCM、Cmaj)、和音はⅠ-Ⅲ-Ⅴ、C-E-G。
いわゆる、ドミソの和音ですね。
またはメジャー7thコードにも使われ、コード表記はCmaj7、CM7、C△7、和音はⅠ-Ⅲ-Ⅴ-Ⅶ、C-E-G-B。
この小節のアタマのコードがCM7ですので、コードとスケールは調和します。

リディアン・スケールの音階のタイプは、Ⅰ-Ⅱ-Ⅲ-Ⅳ#-Ⅴ-Ⅵ-Ⅶ。
音の間隔は、Ⅰ(1音)Ⅱ(1音)Ⅲ(1音)Ⅳ#(半音)Ⅴ(1音)Ⅵ(1音)Ⅶ(半音)となります。
メジャース・ケールの音階のタイプは、Ⅰ-Ⅱ-Ⅲ-Ⅳ-Ⅴ-Ⅵ-Ⅶですので、違いはⅣ度の音が半音上ると言う事です。
ⅠをCに当てはめると、C-D-E-F#-G-A-Bとなります。
もうこの辺で、付いて行けない人、多数でしょうね(苦笑)。

リディアン・スケールのⅣ#音をメジャー・コード、メジャー7thコードで演奏すると、ふわっとした響きになります。

2小節目は、コードに嵌めると、Dミクソリディアン・スケールも使えますが、Cリディアン・スケールで通していますね。

このドミナント7thコードは、転調させるためのものなので、従来のドミナント7thコードからトニックコードにいたる解決の役割は薄いと思います。
それに、次に来るのはトニックコード(D7の場合だとGまたはGm)ではありませんし。
ドミナント7thコードっぽくないので、Dミクソリディアン・スケールを使わなくて正解と考えます。



3小節目-4小節目(2:15~2:19)

3小節目のコードは、2小節単位目のD7を受け、DM7。
これも1種の転調でしょうね。
そのため、スケールもDリディアン・スケールになります。
スケールの構成音は、D-E-F#-G#-A-B-C#。
ちょうど3小節目に起承転結の転をもってくるあたり、整然としたフレージングです。

4小節目は、コードに嵌めると、Eミクソリディアン・スケールも使えますが、Dリディアン・スケールで通していますね。
音も高音から下がって行き、4小節目にパターンを解決します。
4小節目の終わりのつなぎも、3連符。



5小節目-6小節目(2:20~2:24)

5小節目のコードは、響きからC#m7-5じゃないかと思います。
和音はⅠ-Ⅲ-Ⅴ♭-Ⅶ、C#-E#-G-A#。
例えば、C#ロクリアン・スケールなんかが、このコードでもポピュラーなスケールです。

ロクリアン・スケールの音階のタイプは、Ⅰ-Ⅱ-Ⅲ-Ⅳ#-Ⅴ-Ⅵ-Ⅶ。
音の間隔は、Ⅰ(半音)Ⅱ♭(1音)Ⅲ♭(1音)Ⅳ(半音)Ⅴ♭(1音)Ⅵ♭(1音)Ⅶ♭(1音)となります。
ⅠをC#に当てはめると、C#-D-E-F#-G-A-Bとなります。
ロクリアン・スケールを使う場合、注意するべきは、Ⅱ度の音、この場合D音がアボイド・ノートだと言う事です。

アボイド・ノートは、アドリブの際、調性が悪いので忌諱すべき音と言う意味です。
使っていけないと言う訳ではなく、上手に使えば個性的な効果を上げる事も出来ます。

譜例では、D音を経過音として使っていますので、問題ありません。

またはC#m7-5を、C#m7と考えると、C#フリジアン・スケールとかC#ドリアン・スケールも使えます。
C#m7をEM7の代用コードと解釈すると、Eメジャー・スケールとかEリディアン・スケールも使えます。
ここも1種の転調でしょうね。

コードから類推するに、C#ロクリアン・スケールと解釈しました。

C#m7コードとの違いは、C#m7コードではⅤ度G#なのに対し、Ⅴ度の音が半音下がりG♮。
2拍目の16文音符に、G#音が出て来ますが、経過音ですし、この音使いはC#m7のもの。
4拍目にⅤ♭、G音が出て来て、しっかりC#m7-5とマッチします。
この辺の音使いは、素晴しいです。
フレーズ途中の3連符がオシャレです。

6小節目もそのまま、C#ロクリアン・スケールで通します。
6小節目のの終わりの4拍目も、前のフレーズの流れを受け、3連を使っています。



7小節目-8小節目(2:25~2:30)

7小節目も、8小節目も、大きな音階の変化はありませんので、そのままC#ロクリアン・スケールと解釈します。

7小節目のコードはBm7に思われ、他にBフリジアン・スケールとかBドリアン・スケールも使えます。
Bm7をDM7の代用コードと解釈すると、Dメジャー・スケールとかDリディアン・スケールも使えます。
ここも1種の転調でしょうね。

今度は、音が上って行きながらフレーズの解決をしていますね。
ここでもオシャレに3連符を使っています。
8小節目の終わりには、変化を持たせ、今度は16分音符で次の小節につなげています。



9小節目-10小節目(2:31~2:35)

前の小節のD7コードを受け、この小節の頭ではDM7に転調します。
大きな流れで言うと、ギターソロの8小節パターンで、次のパターンに1音転調しちゃいました。

スケールはコードから、Dリディアン・スケール。

9小節目から、10小節目にかけて、フレーズの音を下げて行きます。
10小節目の終わりから、次の小節にかけ、急に音を高く、弦飛びフレーズでドラマチックに展開させます。



11小節目-12小節目(2:36~2:41)

11小節目も、音階に大きな変化はなく、Dリディアン・スケール。

最初の頭抜きフレーズがカッコ良いです。
音が高いところから、低いところに展開してフレーズの解決を図っています。

12小節目は、F#7コードを受け、再びスケールチェンジします。
F#7コードの和音はⅠ-Ⅲ-Ⅴ♭-Ⅶ、F#-A#-C#-E。

ここのスケールはコードから、F#ミクソリディアン・スケールと解釈します。

ミクソリディアン・スケールの音階のタイプは、Ⅰ-Ⅱ-Ⅲ-Ⅳ#-Ⅴ-Ⅵ-Ⅶ。
音の間隔は、Ⅰ(1音)Ⅱ(1音)Ⅲ(半音)Ⅳ(1音)Ⅴ(1音)Ⅵ♭(半音)Ⅶ♭(1音)となります。
ⅠをF#に当てはめると、F#-G#-A#-B-C#-D#-Eとなります。
ミクソリディアン・スケールを使う場合、注意するべきは、Ⅳ度の音、この場合B音がアボイド・ノートだと言う事です。
実際のプレイでも、B音を避けていますね。

12小節目の終わりは、3連符ではありませんが、3連符っぽいフレーズではあります。



13小節目-14小節目(2:42~2:46)

13小節目のアタマのコードは、5小節目のコードの完全Ⅰ度上のコード、D#m7-5。
スケールも、5小節目の完全Ⅰ度上、D#ロクリアン・スケール。

スケールの構成音は、D#-E-F#-G#-A-B-C#となります。

このあたりから、ギターソロの終わりを意識しているのか、畳み込むようなフレーズですね。



15小節目-17小節目(2:47~2:54)

15小節目も、音階に翁変化はなく、D#ロクリアン・スケール。
C#m7ですので、使える音階は上記参照願います。

16小節目は、音階云々ではなく、クロマティック(半音ずつ)上るフレーズとかがあり、難しく考える必要はないでしょう。
使える音階は、これまでの流れだと、Eミクソリディアン・スケール。
スケールの構成音は、E-F#-G#-A-B-C#-Dとなります。

16小節目のコピーは、あまり自信がありません。
またフレーズも正確に5連符とかではなく、拍とか小節に無理やりねじ込む感じで弾きます。

17小節目には16小節目のE7コードを受け、EM7となります。
コードの構成音、G#音でフィニッシュです。


自分はTOTOのファーストアルバムでは、このギターソロが1番好きでしたが、仲間のギタリストに「1番はHold The Line」でしょう・・・と笑われました。
まあ、分かりやすさでは「Hold The Line」は、一番ですけどね。
今回これを書くに当たり、Webでこの曲のギターソロが、スティーブ・ルカサーの最高峰と絶賛している人が少なからずいて、ビックリしました。

譜面のギターソロは、短い範囲で自分のアドリブに利用させてもらうとか、そうじゃなくとも響きが面白いと思う箇所を真似、アドリブでやってみると、新しい世界が広がるでしょう。
コードについてもユニークなもので、勉強になるのでは?と思います。


今回の記事は、今までの中でも、もっとも難解だと思います。

ちなみに自分の音楽理論は、独学です。
耳コピーも大したことがありませんし、音大出とか、バークレイ卒の人が見ると、噴飯ものかも。

自分の音楽理論、20数年前に購入したスケールブック、スケール理論、コード理論の本がベースです。
スケールブックはイケてましたが、現在と違って理論書なんて使えねぇシロモノでしたが、それでも当時出版されてたものの中ではマシなものでした。
そこに、曲を耳コピーして解析したり、色々な人が言う音楽理論の断片をつなぎ合わせて、自分なりの理解をしました。

今ではWebに、もっと有用な情報が載っています。
でも音楽理論って・・・結局、全て理詰めでは説明出来ず、キモの部分は感性だったりしますけどね。



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2015年4月15日 (水)

まほろ駅前多田便利軒 / 三浦しをん

新たな作家の書評となります。
思えば、すすきの便利屋探偵シリーズ隠蔽捜査シリーズビブリア古書堂の事件手帖シリーズの書評も書かなくちゃいけないんですが、先にこの本をチョイスしました。
この作品、映画化され、ドラマ化されましたので、ご存知の方も多いと思います。
自分がこの作品を知ったのは、映画探偵はBarにいるで、主役大泉洋の相棒、松田龍平の演技が、映画まほろ駅前多田便利軒の演技と似ている・・・と言うものでした。

この作品、短編なのに135回直木賞を受賞。
かなり以前は、直木賞作品って面白いと思った事がありませんでしたが、近年面白い作品が受賞するようになりましたね。
しかし自分、賞を取った作品かどうかなんて興味はありませんでしたので、本を買うまで知りませんでした。

文は三人称なのですが、ストーリーの視点は主人公の多田啓介を追う形で進みます。
読んですぐ、ハードボイルド小説みたいだなと思いました。
ハードボイルドとは何か?・・・と言う事につきましては、拙著の最初の部分を読んで頂きましょう。

文体はハードボイルドでも、内容は便利屋の日常の事ですので、殺人事件は出て来ません。
少しだけ、暴力も出て来ますが、可愛いものです。

小説の舞台、まほろ市の説明が本文に出て来ますが、東京の南西部に神奈川に突き出すように存在する・・・これはもう東京都町田市がモデルとすぐに分かります。
作者は、町田市で生まれ育ったそうですね。
町田駅界隈の飲食店を食べ歩いた事はありますが、町田の洋食屋に、映画「まほろ駅前多田便利軒」のポスターが貼ってありました。
少しその街で食べ歩いたくらいで、街が分かる訳ではありません。
知らない町がテーマになると言うのは、それだけで興味深いものです。
あえてまほろ市と言う名前なので、モデルは町田市でも、作者の頭の中の架空の街なのでしょうけど。

短編小説には、1話読み切りで、どこから読んでも大丈夫な作品もあります。
しかしこの作品は、前に登場した事柄や登場人物が、次に登場しますので、順番に読まなくてはいけません。
またこの後、まほろ駅前番外地、まほろ駅前狂騒曲と作品が続きますので、途中から読まず、この作品から順番に読むべきでしょう。

多田便利軒の日常を通した、人間ドラマが主眼の小説です。
話の展開のさせ方は上手で、その人の意外な側面・・・謎を見せ、別の話で展開させると言う風に、ミステリーやハードボイルドで使われる手法で、物語の興味は尽きません。
ストーリーはシンプルですが、付随するエピソードは秀逸で、まほろ市の登場人物を活き活きと見せてくれます。



0.曾根田のばあちゃん予言する

「あんたはきっと来年は忙しくなる」。
便利屋の多田啓介が、息子の振りをして見舞いに行った時に言われた。
「商売は今と変わらない、自分の事で忙しくなるんだよ」
「もしかしたら、あの嫁と別れる事になるのかねぇ」。
当の多田啓介は、すでに嫁と別れている。
「あとはまあ、旅をしたり、泣いたり、笑ったり」。

看護婦が曾根田のばあちゃんに「曾根田さん、いい息子で良かったわねぇ、またお見舞いに来てもらったの?」と離しかけた。
本当にいい息子なら、年老いた母親を病院に放り込んだまま正月を迎えたりしないし、あかの他人に、代理で母親の見舞いをさせたりしない。

病院を出て、曾根田工務店に電話したら、見舞い報告だけでそそくさと切られた。
「来年、離婚する事になるかも知れないですよ」と言うまでもなく。

わずか5ページで、短編作品と言うより、短編全体のプロローグですね。
予言が当たるかどうかは、この後読んでのお楽しみ。



一、多田便利軒繁盛中

多田は年末には珍しく、大晦日に依頼・・・年末年始チワワをあずかった。
最初、チワワの震えが気になったが、いつまで立っても震えが止まらないので、そう言うものだと気にするのを止めた。
犬の散歩を適当に切り上げ、いつもの正月の通り、酒を飲んで過ごした。

インスタントラーメンを茹でていると、山城町の岡からバスの間引き運転の証拠をつかむための依頼を受けた。
許可をもらい、犬を連れて行って岡家の庭に放し、バスの運転の監視を朝から終バスまで実施。
バスが遅れて時間通り来ない事もあったが、本数は時刻表通り。

チワワがいなくなった事に気付き、探すとバス停にいた黒いコートの男がチワワを抱いていた。
「これ、もしかして多田の犬?」

男は、行天春彦。
多田の市立まほろ高校時代の同級生。
行天はルックスが良いため、他校の女子高生が校門で待ち構えているほどだったが、学校内では一言も発しない変人として有名だった。
工芸の時間に紙模型の家を作るため、裁断機を使っていた行天に、ふざけていた男子生徒数人が突進し、行天の小指が裁断機で断ち切られた。
その時行天が発した「痛い」の声が、唯一高校時代に聞いた行天の言葉。

近所に実家があり、帰省後駅に向かうところだと言うが、終バスは終わっていたため、多田が駅まで送る事にした。
行天から、事務所に泊めてもらうようお願いされ、一度は断ったが今晩だけと言う約束で泊めた。

翌朝、チワワを返す日だと気付き、行天を叩き起こし、依頼人の家に向かった。
行天は勝手に付いて来た。

家は空っぽで、引っ越した後のようだった。
近所の人から、借金取りのような人がうろうろしていたと聞いた。
つまり、夜逃げするのに犬を捨てるに捨てられず、犬を多田に預けて夜逃げしたのだ。
行天は、「こんなちっちゃい犬、締め殺してゴミの日に出せばばれないよ」と言う。

実質の一話目と言う事もあり、色々情報が詰まっていて、あらすじを書くのが大変でした。
少ない文章で、効率的にストーリーが流れますので、わずか50ページに情報が詰まっています。
文体も、とても読みやすいですし、それにも増してストーリーが素晴しいです。
三浦しをんの作品は初めて読みましたが、この作品、人物の描き方が秀逸ですね。

この作品で、限りなく主人公に近い脇役、変人の行天春彦との再会です。
無口だった行天が、出会ってかなりしゃべりまくりますが、結婚していたからと知らされ、多田は愕然とします。

常識人の多田に、変人の行天と言う、漫才のツッコミ、ボケのコンビのような名コンビ誕生です。
犬を絞め殺して捨てるより、保健所を呼ぶのが常識的な落としどころではないでしょうか?
どうせこの後に、ネタバレするので言っちゃいますと、犬を大事にしていた飼い主の娘のところまで行っちゃいます。
保健所を呼ばず、あくまで飼い主(の娘)の意向を尊重するあたり、この辺もハードボイルド的と言えます。

ちなみに、映画「はほろ駅多田便利軒」に、原作のストーリーに近い形で登場します。



二、行天には謎がある

チワワの飼い主の娘、マリの依頼で、チワワの新しい飼い主を探す事になった。
行くアテもなく、事務所に居候した行天春彦に、チワワの飼い主探しを命じたら、何と駅前で「チワワあげます」のプラカードを掲げていた。
おかげで、多くのいたずら電話がかかって来た。

チワワのプラカードを見た、ルルと名乗った年齢不詳の自称コロンビア人娼婦、ルルが事務所に来た。
引き取りたいと言ったが、「他にも希望者がいる」と返した。
新しい飼い主が、まほろ駅前に立っている娼婦では、マリに説明しにくい。
部屋の戸の修理も依頼され、翌日ルルのアパートに行く事にした。

ルルを色眼鏡で見る多田を行天は気に入らず、まほろ駅前の娼婦仲間に、ルルの事を聞くよう勝手に事を奨めた。
つまり娼客として、ルルと一緒に住んでいるハイシーに声をかけた。
取り出したのは多田の財布・・・行天は勝手に持ち出したのだ。

犬の飼い主を見つけるまでの話です。
常識人のはずの多田より、シンプルに合理的に考える変人の行天が、真実を突きます。
真実は痛く、ほろ苦く、美しくはないですが、それを行使しないより、行使した方が幸せな気がします。

風邪をひいた行天が、風邪は寝てれば治ると母親が言っていたと口にしますが、これは後の話の重要な伏線になっていると思います。
そして行天が、結婚して子供もいるが、童貞と言う新たな謎を提起します。

ところで、町田駅南口に、夜に娼婦が立つと言うのは、本当なのでしょうか?
都内もそんな場所が何箇所かありましたが、噂が立つと、場所を移したりして、長い期間続く事はないように思います。

ちなみに、映画「はほろ駅多田便利軒」に、原作のストーリーに近い形で登場します。



三、働く車は満身創痍

行天が、ハイシーの男だったチンピラのシンちゃんに絡む。
その後、ハイシーと同居している娼婦のルルから、シンちゃんのクスリの商売がうまく行ってないと聞く。

高層マンションに住む田村家の母親から、最近子供に声をかける不審な男がいるので、息子の由良の塾の迎えをして欲しいと依頼される。
由良は、アニメ「フランダースの犬」を見ていた。
マンションから出た後、行天は由良は食わせものだと言う。
普通子供は、進んで世界名作劇場なんか見ないと。

翌夕、塾の前で由良を待っていると、時間には出て来ない。
行天が車から降りて、由良を連行して来た。
由良は、「俺は迎えなんてたのんでいない」と言った。

由良に嫌がられながら、多田は何度か塾の迎えに行った。
ある日、多田便利軒のトラックが車検に出ているので、移動のためバスに乗った多田は、偶然由良を見かけた。
バスの最後部の席で、カバンから指くらいの太さの細長いものを取り出し、座面の裏側に手を伸ばした。

こうやって、あらすじを書いちゃうと、オチは見えるでしょうが、オチが見えても良い作品です。
この話の登場人物、多田、行天、由良とも愛情には恵まれていません。
それを「フランダースの犬」が、上手なモチーフとなって、話しに絡みます。

知っている誰かが犯罪に絡んでいたら・・・放っておく・・・が確かに正しい答えでしょうが、それでは話が進みません。
ちなみにチンピラのシンちゃんも、少し役に立ちます。
車検が通り帰って来た、多田便利軒のトラックは・・・現実に起こったら、震えが止まらないでしょうね。

自分あらすじは知っているのですが、アニメ「フランダースの犬」を見た事がありません。

ちなみに、映画「はほろ駅多田便利軒」に、原作のストーリー多少変えていますが登場します。



四、走れ、便利屋

すべて後から聞いた話だ。
あの日、行天は人を殺すつもりだったのだという。

その数日前、行天はチワワの元飼い主、佐藤マリを迎え、現在の飼い主の娼婦、ハイシーとルルのところに案内した。
その日多田は、山城町の岡からバスの間引き運転の証拠をつかむよう依頼され、炎天下の中倒れた。
たまたま運よく居合わせた医者の母親と、娘に助けられ、依頼はそれで中止になった。

母は三峰凪子。
何と、行天春彦に会いに来たのだと言う。
娘は行天の娘。
行天は、多田からもらう給与・・・子供のお小遣いの中から、凪子に小額送金していた。
凪子は、もうそんな事しなくとも良いと言いに来た。

行天はその日、ハイシーから妙なチンピラ・・・ヤマシタに熱を上げられ、困っていると聞いた。
ヤマシタは半グレの星が使っている、チンピラなのだと言う。
ハイシーの監視役に、星から注意するよう頼んだが、ある日使用済みコンドームをアパートのドアの前に並べられた。

それを知った行天は、ハイシーの男の振りをして、ヤマシタを挑発した。

オープニングは、本文まま書きましたが、衝撃的幕開けです。
自分は最初、どうせ大げさに書いたんだろうと、思ったのですが・・・

行天の結婚の秘密が、明らかになります。
そしてタイミング悪く、行天はハイシーのごたごたに、自ら巻き込まれます。

ラストはオープニングと違った意味で、衝撃的です。
凪子の娘の話ですが、そんな事が、世にあるのでしょうか?



四.五、曾根田のばあちゃん再び予言する

怪我をした行天の見舞いのついでに、同じ病院に入院している、曾根田のばあちゃんにも顔を出した。
「あんまり長い旅を続けていると、帰る場所が分からなくなるからね。」と、曾根田のばあちゃん。
「適当なところで引き帰したほうがいい」
「引き帰さなかったら、どうなりますか?」
「迷子になる」

物語の合間のブレイクと言ったところです。
前半には、入院した行天との軽妙なやり取りがあります。


五、事実はひとつ

多田は、依頼を受けて「源流公園」の藻の掃除をしていると、自称コロンビア人の娼婦が退院祝いにくれた、ふた昔前チンピラが着ていたような、赤のハイビスカス柄に龍の刺繍が入ったジャンパーを着た行天が手伝いに来た。
そのすぐ後、半グレの星が、その場所に女子高生の美少女を連れやって来て、しばらく身辺警護をして欲しいと依頼した。
美少女は新村清海。まほろ高校2年。
マンションのパークヒルズで刺殺された夫婦の一人娘、芦原園子は清海の友達で、テレビで顔にモザイクをかけ、音声を変えて出演したら、クラスメイトからハブられるわ、マスコミからつけ回されるわ・・・と言う事。

事務所で、晴海も加わった3人の奇妙な生活が始まったが、終始誰かに尾行されていた。
晴海の親は、晴海には興味がないらしく、毎日「友達の家にいる」と電話すれば済むらしい。
晴海は3日間、学校には行かず、多田の仕事を手伝って過ごした。

夜、晴海の携帯に星から電話があり、出掛けて行った。
行天が、「晴海ちゃんがいないうちに、ビデオ見に行こうよ」と言った。
多田は行く気はなかったが、行天にトラックを壊されるのが嫌で、行天の指示でパークヒルズまで走らせ、由良の家に行った。
行天は予め電話して、晴海がワイドショーで証言しているビデオを録画してもらっていた。
晴海は、「とっても心配です。早く見つかって欲しい。さみしいです。園子見てる?さみしいよ。」とコメントしていた。
多田は、「これがなんなんだ!行天。はっきり言え」
行天は、「まだわかんないの。この映像にはたくさんの真実が映っているじゃない」

この本でも、一番の力作ではないでしょうか?
3話(本書評のあらすじでは登場を省いています)、4話で登場した半グレの星が、彼女の新村清海を伴い登場します。
清海が、朝起きて朝食が出来ているのに、幼稚園以来と感激するシーンがありますが、幼稚園以後、何かの理由で晴海の家庭が壊れかけているのでしょう。
でも、今時朝食を作る家庭ってどれだけあるの・・・と考えると、少しゾッとします。

ストーリーはシンプルで骨太。
今回あらすじを書きやすかったですが、回りを彩るエピソードは飽きが来ません。
行天の小指がなくなったところのエピソードが、今回多田の心情も含め語られます。

人との関わりの引き出しが、まだ少ない晴海と、多田との対比なんか面白いエピソードでしたね。
ラストは、少しほろ苦いです。

ちなみに、ドラマ「はほろ駅前番外地」第9話、第10話は、この話をモチーフにしていますが、ドラマの方のストーリーはイケてなかったですね。
小説の方が、数段良いです。



六、あのバス停でまた会おう

「ずっと好きだった男につきあってくれって言われたから、クリスマスまでに、いまつきあっている男と別れたいんだってさ」
行天が気まぐれで、引き受けた仕事。
他の便利屋の依頼が忙しいし、そんな厄介な仕事をひきうけなくっても・・・行天に押し付けた。
その世眠りに付く頃、行天が「俺、ここを出ていったほうがいいか」。

いまつきあっている男と相対して、無意味に負傷した行天を連れ、峰岸町の木村家の、納屋を壊すので、納屋の中の物を運び出して処分する仕事に取り掛かった。
仕事に取り掛かり、20代後半の男性に声をかけられた。
「木村さん夫婦の様子を教えて欲しいんです。どんなふうに暮らしているのか、幸せなのか、息子さんとの関係はどうなのか・・・」
「うちは探偵じゃないんで、他を当たって下さい」

仕事が終わり、まほろ駅方面にトラックを走らせると、先ほどの20代後半の男性の車がいっしょについて来た。
事務所までついてこられても面倒なので、駅前の駐車場に車を入れ、20代後半の男性と、「コーヒーのアポロン」に入って行った。

男は北村周一。この度結婚する事になったが、その前に生みの親の事を知っておきたいと言う。
高校の盲腸の手術の時、両親の血液型がBとOなのに、自分の血液型がAと診断された。
どうやら病院で赤ちゃんの頃、取り違えられたらしく、結婚を期に本当の生みの親が気になり、病院に勤める友達に頼んで調べて、本当の親が木村さんではないかと分かったんだそう。

相手にしないつもりの多田に対して、行天は何かあったら電話すると、北村の携帯番号を聞き出した。
その後で多田は、行天に「勝手な事をするな」と怒った。

翌日、木村家の片づけをしていて、アルバムを見つけた。
木村家の奥さんがアルバムを見て、息子は子供の頃可愛かったが、中学になってグレ始めたと話した。
納屋からは家計簿も見つけ、確認したら捨てると言う事なので、縛ってトラックの荷台に積んだ。

夜半に、コンビニに煙草を買いに行った多田は、トラックの荷台にいる行天を見つけた。
荷台にあるはずの家計簿を見て、子供がグレ始めた頃、「良く分かる遺伝子の仕組み」、「血液型の秘密」の本を木村家の両親が買っている事を見つけた。
「この家計簿を北村周一に見せたい」と行天は言う。

あらすじを、どこで切ろうか悩んじゃいましたね。
で、だらだら書いちゃいました。

これでも書ききれなく、4話に登場した山下ムネユキの捜索願いの話とか、行天が山下ムネユキ殺害(死んだかどうか不明)の犯人に立候補するとか、多田と多田の奥さんがどうして別れたのか、最後の方で行天が多田便利軒をクビになるとか、様々なエピソードが詰め込まれています。
多田と多田の奥さんが別れた理由は、この話のバックグラウンドになっています。
おいそれと、簡単にあらすじが書けないくらい、複雑に入り組んでいます。

ドラマ「まほろ駅前番外地」第5話 は、この話をモチーフにしています。
しかしストーリーは全然異なり、小説の方は重たい話だらけですが、ドラマのストーリーは軽妙で、これはこれでアリです。


この小説の魅力は、どこかで愛情がねじれてしまった多田と行天を中心に、魅力的なまほろ市の人々が活躍するところでしょう。
どのひとも、まっすぐな心情や愛情は存在せず、言葉は正しく伝わりません。
自分は、話せば分かるとか、心は伝わるなんてテーマの小説は、リアリティがなく大嫌いですので、逆にこの小説の世界観の方が五臓六腑に落ちます。
でもその上で、登場人物が暖かく、優しく、読後にホッコリする事でしょう。
直木賞取ったとか関係なく、オススメです。

もし長編以外は小説じゃないと、敬遠している人がいるなら、ますますオススメです。


自分はこの後、映画もドラマも見ました。
主人公多田啓介を瑛太、行天春彦を松田龍平が演じています。
瑛太の多田啓介は、原作とギャップがあり、いい男過ぎますね。
でも主人公は、観客を呼ぶ役割も担っているので、しょうがないところですかね。

行天春彦の松田龍平ははまり役で、小説の行天春彦を地で行っているかのような演技です。
探偵はBarにいるの高田と演技は、異なると思いますよ。
松田龍平は、探偵はBarにいるの助手、高田は天然ボケの人物を演じ、多田便利軒は変人と、演じ分けているように自分には思えます。

これを書いていて思ったのは、多田を松田龍平に、行天を瑛太に演じさせても面白かったかも知れませんね。

映画は多くは原作に忠実なストーリーなのに対し、ドラマは大部分オリジナルストーリーです。
ドラマはコメディ仕立てで、作品による当たり外れがありますが、この世界観は嫌いじゃありません。
そしてエンディングテーマの坂本慎太郎の「まともが分からない」の、ファンキーな乾いたドラムが好きですね。

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2015年4月13日 (月)

2015年 桜花賞

4月12日は、3歳牝馬クラッシックGⅠレース、桜花賞(阪神芝1600m)が行われました。

1-1 コンテッサトゥーレ(牝3、C.ルメール・安田隆行)
1-2 ムーンエクスプレス(牝3、松山弘平・鈴木孝志)
2-3 ノットフォーマル(牝3、黛弘人・中野栄治)
2-4 トーセンラーク(牝3、吉田隼人・菅原泰夫)
3-5 ペルフィカ(牝3、菱田裕二・岡田稲男)
3-6 レッツゴードンキ(牝3、岩田康誠・梅田智之)
4-7 クルミナル(牝3、池添謙一・須貝尚介)
4-8 ルージュバック(牝3、戸崎圭太・大竹正博)
5-9 アンドリエッテ(牝3、川田将雅・牧田和弥)
5-10 アースライズ(牝3、幸英明・矢作芳人)
6-11 キャットコイン(牝3、柴田善臣・二ノ宮敬宇)
6-12 ローデッド(牝3、川島信二・荒川義之)
7-13 クイーンズリング(牝3、M.デムーロ・吉村圭司)
7-14 テンダリーヴォイス(牝3、福永祐一・萩原清)
7-15 ココロノアイ(牝3、横山典弘・尾関知人)
8-16 メイショウメイゲツ(牝3、吉田豊・小島太)
8-17 レオパルディナ(牝3、武豊・高橋康之)
8-18 クールホタルビ(牝3、小牧太・清水久詞)
単勝人気は、以下の通りです。

父サンデーサイレンス系は13頭もいます。
母父サンデーサイレンス系も2頭いますので、18頭中、15頭にサンデーサイレンスの血が入っています。

①ルージュバック 1.6
②ココロノアイ 7.6
③クイーンズリング 9.0
④アンドリエッテ 9.2
⑤レッツゴードンキ 10.2

圧倒的一番人気のルージュバック。
各競馬新聞本誌の多くが本命にし、トラックマンの多くも本命にしていました。
ここまでデビューから3連勝も、規格外の強さ。
当然ともいえる人気だったでしょう。

馬場は良馬場ではありましたが、昨日の雨の影響は残り、緩く上滑りする馬場だったようです。

デビューから3戦無敗は他に、クイーンズリング、キャットコインの2頭います。

スタートして、ムーンエクスプレス、ノットフォーマルが牽制するのを見て、レッツゴードンキが逃げました。
2番手ムーンエクスプレス、3番手ノットフォーマル。
ルージュバックは当初先行しましたが、進路が塞がれ徐々に下がりました。

馬場が緩いとは言え、スタートして3F(600m)が37.1の超スロー。
このレース、オークス(東京GⅠ芝2400m)だったっけ?と思うペース。
1000m通過が、62.5秒と一向にペースは上がりません。

このスローペースに、他に行ってしまう馬もいないため、道中何頭か引っかかっていました。
3コーナーに入るまでに、行き場を失くしたルージュバックは、後方4番手まで下がりました。
行きっぷりも良くありませんでしたし、競馬もちぐはぐでした。

逃げたレッツゴードンキは、いいかげん3-4コーナー中間から後ろに突かれ、徐々にペースが上がって行きます。
このペースだと、4コーナーで先頭に取り付いていなければ間に合わず、後方から上がって来れないルージュバックの戴冠は絶望。

直線向くと、レッツゴードンキが先行勢を振り切って、1完歩ずつ後方との差を広げます。
中団から、凄い脚でクイーンズリング、コンテッサトゥーレ、クルミナルが突っ込んで来ますが、届きそうにありません。

レッツゴードンキはそのまま影も踏まさず、4馬身差の楽勝。
まんまとスローペースに落として、逃げ切りました。
勝ちタイム1:36.0は、良馬場として近年ではあり得ない遅いタイム。

2着は良い脚で差して来たクルミナル。
もっと前に付けないと、勝つのは難しかったでしょう。
3着は中団から伸びたコンテッサトゥーレ。

ルージュバックは伸びず9着。
どうしちゃったんでしょうか?
陣営は、ここは通過点と語っていましたが、GⅠは甘くないと思い知ったでしょう。

ルージュバックは思いの他、道中の行きっぷりが悪かったですね。
揉まれて、走る気を失くしたのなら良いのですが。

1着 レッツゴードンキ 1:36.0
2着 クルミナル 4
3着 コンテッサトゥーレ 3/4

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2015年4月12日 (日)

食材と調理法 第七回 イドゥリ(Idli)

 食べ歩きの企画を止めたので、代わりに食材と調理法について、思うところを書いて行きたいと思います。
 不定期更新ですが、最低1ヵ月1回くらいは、更新したいですね。
 これまでとは、読者層が異なり、クックパッドに投稿している人なんかが嬉しいでしょうか?

 しかし実はこのような考えも、食べ歩きする人にも持ってもらいたいものです。
 料理や食材の事を知らずして、美味い不味いの判断は、本来出来ないはずです。


目的

 ・食材について知る
 ・食材の特徴について知る
 ・食材への調理法の考察
 ・食材の定番料理の紹介
 ・食材の栄養の考察

 さらに以下の事柄についても、記載したいと思います。

 ・調理法や料理の紹介
 ・伝統的料理の紹介
 ・ソースや調味料の紹介
 ・調理器具の紹介

 ぶっちゃけ、料理に関する全ての事柄ですね。

 今回は料理についての珍しさを、以下のマークで記します。
 まあ、いつも通りの使い回し(苦笑)。

 ・・・ほとんど幻
 ・・・特注すればあるいは
 ・・・専門店でもめったにない
 ・・・専門店のメニューなら
 ・・・たまに見かける
 ・・・ポピュラー


 ちなみに、かのサイトの記事をそのままコピペしますので、文体はですます調ではなく、体言止めで書きます。



イドゥリ(Idli)

 ・・・専門店のメニューなら



インド料理にはカレーはない

 別企画と重複しますが、このページを初めて見た人のために再掲します。
 またか・・・と思う方は、読み飛ばして頂いて結構です。

 カレーの語源は分かっていないが、インドにカレーと言う言葉も、カレーと言う概念もなかった。
 インドのスパイシーな煮込み料理を食べたイギリス人が、何と言う食べ物か聞いたところ、インド人は具について尋ねたと思い、具を意味するタミル語、カリと答えたのがカレーの語源と言う説がある。
 聞いたイギリス人は、インド料理を理解しようともせず、スパイシーに味付けした料理を総称して、カレーと呼んだ。

 元々インドには、カレーと言う概念はなかった。

 では、あのスパイシーな煮込み料理を、何と言うのか?
 それは調理法によって異なる。

 カレーは日本に入って来て、カレーライスと言う、インド料理とは異なる発展をする。
 日本のカレーでは、せいぜい1種類、または多くても3種類くらいのカレーソースを用意し、入れる具によってチキンカレー、ビーフカレー、ポークカレーと名を変る。

 インド料理のスパイシーな煮込み料理・・・皆が言うところのカレーは、調理法毎に味付けが異なり、さらに同じ調理法でも、入れる食材によってスパイスアレンジが異なる。



イドゥリ(Idli)とは?



 南インド料理の、主に朝食、または軽食として食べられる、米粉で作ったパンケーキ。
 各種チャトニーサンバルカレーに付けて食べる。
 英語ではIdlyIddlyIdlisと表記される事もある。
 パンケーキを意味する、フルッフィー(fluffy)と呼ばれる事もある。





 レシピ一例は、米粉、ケツル小豆の粉、ベーキングパウダーで生地を作り、専用の蒸し容器の型にで成形して、蒸して作る。



イドゥリ(Idli)の歴史

 イドゥリの歴史は古く、920年のシヴァコチアチャラヤ(Shivakotiacharya)のカンナダ語の著作に、発酵させた黒レンズ豆の粉で作るイドゥリの原型と思われる料理が登場する。
 10世紀にチャブンダーラヤ2世(Chavundaraya II)の著したカンナダ語の百科事典に、レンズ豆を牛乳に浸してペーストにし、カード(凝乳)、スパイス、水を加えて作るイドゥリが登場する。
 12世紀のサンスクリット語の百科事典、マナソーラサ(Manasollasa)にも同様のイドゥリのレシピが登場する。

 イドゥリに米粉が使われた記録は、17世紀になってから。

 Idli から引用



マサラ・ラヴァ・イドゥリ(Masala Rava Idli)



 南インド料理の、主に朝食、または軽食として食べられる、麦と豆で作ったパンケーキ。
 各種チャトニーサンバルカレーに付けて食べる。

 レシピ一例は、麦を炒め、マスタード・シード、ヒヨコ豆ケツル小豆を入れて炒め、デュラムセモリナ小麦粉、バターミルク、おろしたニンジンを加え、専用の蒸し容器の型にで成形して、蒸して作る。

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2015年4月10日 (金)

食材と調理法 第六回 カッシ(Gassi)

 食べ歩きの企画を止めたので、代わりに食材と調理法について、思うところを書いて行きたいと思います。
 不定期更新ですが、最低1ヵ月1回くらいは、更新したいですね。
 これまでとは、読者層が異なり、クックパッドに投稿している人なんかが嬉しいでしょうか?

 しかし実はこのような考えも、食べ歩きする人にも持ってもらいたいものです。
 料理や食材の事を知らずして、美味い不味いの判断は、本来出来ないはずです。


目的

 ・食材について知る
 ・食材の特徴について知る
 ・食材への調理法の考察
 ・食材の定番料理の紹介
 ・食材の栄養の考察

 さらに以下の事柄についても、記載したいと思います。

 ・調理法や料理の紹介
 ・伝統的料理の紹介
 ・ソースや調味料の紹介
 ・調理器具の紹介

 ぶっちゃけ、料理に関する全ての事柄ですね。

 今回は料理についての珍しさを、以下のマークで記します。
 まあ、いつも通りの使い回し(苦笑)。

 ・・・ほとんど幻
 ・・・特注すればあるいは
 ・・・専門店でもめったにない
 ・・・専門店のメニューなら
 ・・・たまに見かける
 ・・・ポピュラー


 ちなみに、かのサイトの記事をそのままコピペしますので、文体はですます調ではなく、体言止めで書きます。



カッシ(Gassi)

  ・・・専門店でもめったにない



インド料理にはカレーはない

 別企画と重複しますが、このページを初めて見た人のために再掲します。
 またか・・・と思う方は、読み飛ばして頂いて結構です。

 カレーの語源は分かっていないが、インドにカレーと言う言葉も、カレーと言う概念もなかった。
 インドのスパイシーな煮込み料理を食べたイギリス人が、何と言う食べ物か聞いたところ、インド人は具について尋ねたと思い、具を意味するタミル語、カリと答えたのがカレーの語源と言う説がある。
 聞いたイギリス人は、インド料理を理解しようともせず、スパイシーに味付けした料理を総称して、カレーと呼んだ。

 元々インドには、カレーと言う概念はなかった。

 では、あのスパイシーな煮込み料理を、何と言うのか?
 それは調理法によって異なる。

 カレーは日本に入って来て、カレーライスと言う、インド料理とは異なる発展をする。
 日本のカレーでは、せいぜい1種類、または多くても3種類くらいのカレーソースを用意し、入れる具によってチキンカレー、ビーフカレー、ポークカレーと名を変る。

 インド料理のスパイシーな煮込み料理・・・皆が言うところのカレーは、調理法毎に味付けが異なり、さらに同じ調理法でも、入れる食材によってスパイスアレンジが異なる。



カッシ(Gassi)とは?

 カルナータカ料理ウドゥピ料理マンガロール料理のスパイシーに味付けした汁気の多い料理。
 カッシは、マンガロールやウドゥピで話者の多いツル語で、スパイシーで重厚複雑なグレイビーと言う意味。
 肉類や魚介類のノンヴェジタリアンヴェジタリアン料理、両方ある。

 この料理は、カルナータカ州の元武家カーストで、地主が多い富裕コミュニティ(Bunt community)で、食べられていた。
 そのため、玉ネギココナッツミルクの濃厚な旨味、ふんだんなスパイスを使ったリッチテイストな料理。



コーリー・カッシ(Kori Gassi)



 カッシと言ったら、コーリー・カッシと言うくらい、代表的な料理。コーリー=鶏肉
 別名、チキン・カッシマンガロリアン・チキン・カレー

 レシピ一例は、ニンニク生姜鶏肉マリネする。
 フライパンで、コリアンダーソードを色づくまで炒め、クローブシナモンフェンネルナツメグメースカレーリーフ、赤唐辛子を香りが出るまで炒める。
 玉ネギニンニクを電子レンジでトロトロになるまで加熱、フードプロセッサーでペーストにしてフライパンに入れ、茶色くなるまで炒める。
 1口大にカットした鶏肉ターメリック、水を加えて煮込み、タマリンドを加え煮込み、ココナッツミルクを入れて煮て、で味を調え、揚げカレーリーフで飾る。

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2015年4月 9日 (木)

魅惑の南インド料理 第十二回 南インド料理の地域料理 ウドゥピ料理


インド料理全般について考えるべき事

 これは以前も書いていますが、忘れないよう改めて、ここでも述べます。

 インド料理を理解する上で、以下の事を念頭に置かなければなりません。

 ・ベジタリアンとノンベジタリアン
   ノンベジタリアンの中にも、ネギ類は食べない等、様々あるようです。

 ・宗教における食べられない食材
   代表的なのはヒンドゥ教徒は牛肉を食べない、イスラム教徒は豚肉を食べないと言うものですね。
   他にも様々、忌諱(きい)する食材はあるようですよ。

 ・狭い地域内でコミュニティ毎に文化が異なる
   インドの憲法に記された言語は22。
   話者が100万人以上いる言語は50を越えます。
   言語が異なれば、仲間として食事を共にする事はあまりないでしょう。
   さらに同じ地域でも、宗教が異なれば交流は少ないです。
   流通は発達しておらず、同じ地域でも、村毎に方言が違います。

 インドの料理に限定しても、どれほど地域による食文化の違いがあるのか、想像もつきません。


 ・・・ほとんど幻
 ・・・特注すればあるいは
 ・・・専門店でもめったにない
 ・・・専門店のメニューなら
 ・・・たまに見かける
 ・・・ポピュラー

 全て、関東近郊で食べる事が出来るものばかりです・・・といつも書いていますが、関東近郊でウドゥピ料理を出す店はほとんどないです。
 今回は、日本でほとんどお目にかかれない料理も含め、紹介します。



ウドゥピ料理

 ウドゥピは、カルナータカ州の西部中央、インド洋に面した都市。
 食都で、特色のある料理が多く、医食同源の考え方、アーユルヴェーダーの発祥の地です。


ウドゥピ料理の地理的考察

 気候につきましては、カルナータカ料理に書いたのと一緒です。

 カルナータカ州ウドゥピ県は、人口100万人以上。
 東はにガーツ山脈にかかる丘があり、森が広がり、シカ、バイソン、虎、キングコブラが生息しています。
 牛の酪農をしていて、牛乳が生産されています。
 ヤシやカシューナッツが自生しています。
 かつて農業が主体で、現在も郊外で米作していて、海岸では漁業も盛んです。
 タイル工場、ココナッツオイル加工場、印刷業、IT産業、火力発電等の経済が発展し、教育が行き届き、識字率91%と、インドの他の地域に比べ高いです。

 主に話されている言語は、ツル語、カンナダ語、ベアリー語、ウルドゥ語、コンカニ語。
 地域、コミュニティによって、狭い地域に異なる様々な言語が話されています。



ウドゥピ料理の特徴

 穀物、野菜、果物、ココナッツが良く使われます。

 一部のベジタリアンは、アーユルヴェーダーの伝統に従い、ニンニクや玉ネギの使用すら認めない場合もあります。
 ウドゥピ近郊のシヴァザ(Shivalli)は、アーユルヴェーダの本場。
 もちろん、ノンベジの料理もあります。

 カボチャとヒョウタンは、サンバルに良く使われます。
 ココナッツミルクと、ココナッツオイルを使った、シチューのメニューが多数あります。

 マサラ・ドーサは、この地方発祥の名物ドーサ。

 玉ネギ、唐辛子、ターメリック、クミンシード、マスタードシード、タマリンドペースト、パームシュガー、塩、コッタマリ、カレーリーフ等で作られる豆のカレー、サール(Saaru)は、この地域でよく食べられます。

 ウドゥピ料理のルーツは、アシュタ・マタス寺院だと言われています。
 近隣のマンガロール料理と、相互に影響しあっています。



ラッサム

 以前ミールスで説明しています。



サール

 以前カルナータカ料理(1)で説明しています。



サンバル

 以前ミールスで説明しています。



コデル

 ・・・ほとんど幻

 サンバルの代わりに出される、スパイシー味付けした野菜の煮込み料理。
 名前が違うので、概念も違うのだろうと思いますが、調べても良く分かりませんでした。

 写真は、バナナのコデル、ケレ・コデル。
 ちなみにこのバナナ、食事用の甘くないもの。
 レシピ一例は、バナナを角切りにし、塩水で茹でます。
 ココナッツオイルを熱してニンニクペーストを炒め、ターメリック、青唐辛子、粉唐辛子、胡椒、クミン、コリアンダー、シナモンを炒めて、バナナとおろしたココナッツ、水を加え煮て、塩で味を調えます。



メナスカイ

 ・・・ほとんど幻

 サンバルの代わりに出される、スパイシー味付けした野菜の煮込み料理。
 名前が違うので、サンバルともコデルとも概念も違うのだろうと思いますが、調べても良く分かりませんでした。

 写真は、パイナップルのメナスカイ。
 検索すると、たくさんレシピが出て来るので、ポピュラーな料理だと思います。
 レシピ一例は、パイナップルを角切りにし、タマリンドペースト、パームシュガー、塩で茹でます。
 ゴマ、ターメリック、乾燥赤唐辛子、コリアンダーシード、クミンシード、マスタードシード、アサフェティダ、カレーリーフを炒めて、パイナップル、水を加え煮て、塩で味を調えます。



フーリー

 ・・・ほとんど幻

 サンバルの代わりに出される、スパイシーに味付けしたおろしたココナッツ入り野菜の煮込み料理。
 しかし、サンバルもコデルもメナスカイも、おろしたココナッツを入れる事は多く、違いは調べても良く分かりませんでした。

 写真は、ナスのフーリー、ガラ・フーリー。
 レシピ一例は、ナスを1口大に切り、レンズ豆と共に炒めます。
 別のフライパンでターメリック、粉唐辛子、コリアンダーシード、クミンシード、フェネグリークシード、アサフェティダ、カレーリーフを炒めて、ナスとレンズ豆、水を加え煮て、おろしたココナッツ、ガラム・マサラ、塩で味を調えます。



アジェスナ

 ・・・ほとんど幻

 スパイシー味付けした野菜のドライな炒め煮料理。
 ポリヤルとかサブジとどう違うか・・・突っ込まないで(笑)。
 レシピ一例は、サヤインゲン、ジャガイモ、ニンジンを1口大にカットして少量のお湯で茹でます。
 フライパンでターメリック、青唐辛子、粉唐辛子、マスタードシード、おろしたココナッツ、アサフェティダを炒めて、水ごと野菜を加え炒め煮して、ガラム・マサラ、塩で味を調えます。



チトラナ

 ・・・ほとんど幻

 スパイシーに味付けした炒めごはん。
 レシピ一例は、玉ネギ、唐辛子、カレーリーフ、おろしたココナッツ、ターメリック、水に浸して茹でたケツル小豆とヒヨコ豆、ピーナッツを炒め、炊いた米を入れて炒め、レモン汁、塩で味を調え、刻んだコリアンダーリーフで飾ります。



コーリー・カッシ

 ・・・専門店でもめったにない

 スパイシーに味付けした汁気の多い料理。
 肉類や魚介類のノンヴェジタリアン、ヴェジタリアン料理、両方ある。
 カルナータカ州の元武家カーストで、地主が多い富裕コミュニティ(Bunt community)で、食べられていた。
 そのため、玉ネギ、ココナッツミルクの濃厚な旨味、ふんだんなスパイスを使ったリッチテイストな料理。

 レシピ一例は、ニンニク、生姜、塩で鶏肉をマリネ。
 コリアンダーソードを色づくまで炒め、クローブ、シナモン、フェンネル、ナツメグ、メース、カレーリーフ、赤唐辛子を香りが出るまで炒め、玉ネギとニンニクを電子レンジでトロトロになるまで加熱、フードプロセッサーでペーストにしてフライパンに入れ、茶色くなるまで炒め、1口大にカットした鶏肉、ターメリック、水を加えて煮込み、タマリンドを加え煮込み、ココナッツミルクを入れて煮て、塩で味を調え、揚げカレーリーフで飾ります。



コサンバリ

 以前ミールスで説明しています。
 ウドゥピ料理のコサンバリは、レンティ・・・レンズ豆主体のサラダのようです。



タンブリ

 ・・・ほとんど幻

 野菜、ハーブ、スパイスのペーストとカード(凝乳)を合わせた料理。
 パチャディのようなものなのかも知れません。
 レシピ一例は、生姜の根、生のタイム、青唐辛子をペーストにして、粉唐辛子、クミンパウダー、おろしたココナッツ、マスタードシード、カード(凝乳)と合わせ、塩で味を調えます。



アルー・バジ

 ・・・専門店のメニューなら

 バジは以前、カルナータカ料理(1)で説明しています。
 アルー・・・ジャガイモを使ったバジです。
 レシピ一例は、ベサン粉(豆粉)、ベーキングパウダーを水で溶いて、粉唐辛子、ガラム・マサラ、アサフェティダ、油、塩で味付けし、薄く切ったジャガイモに衣付して揚げたもの。



ウプマ

 以前ティファンで説明しています。
 この地方ではサジゲ(Sajjige)、またはバジル(Bajil)と呼ぶようです。



マサラ・ドーサ

 以前ティファンその1で説明しています。



ウディナ・ヒッツ

 ・・・ほとんど幻

 豆粉、またはマッシュしたジャガイモとカード(凝乳)を混ぜ、スパイシーに味付けした料理。
 レシピ一例は、カード(凝乳)に、豆粉、コリアンダーリーフ、塩を混ぜます。
 フランパンで刻んだ玉ネギ、マスタードシード、カレーリーフ、アサフェティダ、青唐辛子を炒め香りが出たら、カードを加えて炒め、仕上げに刻んだコリアンダーリーフで飾ります。



ビシ・ベレ・バ-ス

 以前ティファンで説明しています。



ゴリ・バジェ

 ・・・ほとんど幻

 カード(凝乳)入りのスパイシーに味付けした団子を揚げた料理。
 マンガロール・バジとも言います。

 レシピ一例は、小麦粉、豆粉、カード(凝乳)、ホールのクミンシード、おろし生姜、みじん切りの玉ネギ、カレーリーフ、コリアンダーリーフ、塩、砂糖、ベーキングパウダーを混ぜ、丸めて油で揚げます。
 各種チャトニー、サンバルを添えます。



パスロード

 ・・・ほとんど幻

 里芋の葉の辛し和え・・・でしょうか?
 この料理は、コンカニ語のコミュニティで特によく食べられています。
 レシピ一例は、米と緑豆を水に浸け、破砕してペーストにして粉唐辛子、アサフェティダ、パームシュガー、塩で味を調え、里芋の葉に塗り、丸めてカットします。



ワダ

 以前ティファンで説明しています。



マサラ・ラヴァ・イドゥリ

 ・・・専門店でもめったにない

 麦と豆で作ったパンケーキ。
 レシピ一例は、麦を炒め、マスタード・シード、ヒヨコ豆。ケツル小豆を入れて炒め、デュラムセモリナ小麦粉、バターミルク、塩、おろしたニンジンを加え、専用の蒸し容器の型にで成形して、蒸して作ります。



チャクーリ

 ・・・専門店のメニューなら

 ケツル小豆、米粉、塩、唐辛子、アサフェティダの生地を細く伸ばし、渦巻状に整形してカリッとするまで揚げたものです。
 タミル料理からカルナータカに伝わり、タミル・ナードゥでは、ムルク(Murukku)と言います。



カデュブ

 ・・・ほとんど幻

 米粉の生地に豆の餡を詰めた餃子のようなもの。
 レシピ一例は、ケツル小豆を水に浸け、青唐辛子、塩を加え破砕してペーストにして蒸し、マスタードシード、アサフェティダ、カレーリーフ、おろしたココナッツを混ぜて炒め、湯で溶いた米粉生地に包んで蒸します。
 豆の餡を甘くした、スウィーツのバリエーションもあります。



ペラキ・ガティ

 ・・・ほとんど幻

 ジャックフルーツと米の蒸しケーキ。
 レシピ一例は、ジャックフルーツと炊いた米をペーストにして、パームシュガーを加え、チークの葉にくるんで蒸したもの。
 そのまま食べるほか、 コーリー・カッシに浸して食べます。



パラマナ

 ・・・ほとんど幻

 ライスプディング。
 レシピ一例は、牛乳、パームシュガーで米を煮て、揚げカシューナッツを飾ります。



パーヤサ(パヤサ?)

 パヤサムの事。
 以前ケララ料理で説明しています。



パール・パヤサム

 ・・・たまに見かける

 米入りのパヤサム。
 レシピ一例は、予めナッツを炒め香りを出し、米と牛乳を入れて煮込み、砂糖で味を調え、カシューナッツを入れて、香りを移します。



ラサヤナ

 ・・・ほとんど幻

 バナナを甘く味付けして和えたスイーツ。
 レシピ一例は、カットしたバナナに、パームシュガー、おろしたココナッツ、カルダモンで味付けして和えます。

 バナナをココナッツミルクに浸したバリエーションもありますので、紹介します。
 レシピ一例は、カットしたバナナを、パームシュガー、おろしたココナッツ、カルダモンで味付けしたココナッツミルクに浸します。



ハヤグリーヴァ・マディ

 ・・・ほとんど幻

 煮た豆を潰して作るデザート。
 レシピ一例は、1晩水に漬けたレンズ豆を煮込んで柔かくなったらマッシュし、ギィ、パームシュガー、おろしたココナッツを加えて混ぜ、おろしたココナッツ、揚げたカシューナッツとアーモンドで盛り付けします。



ホリッジ

 以前カルナータカ料理(1)で、オバッツという名で説明しています。



ウンダエ

 以前ティファンで、ラドゥとして説明しています。



カシ・ハルワ

 ・・・ほとんど幻

 冬瓜を潰して、甘く煮たデザート。
 レシピ一例は、冬瓜の種を取り、実をカットしておろし、ギィで炒め、パームシュガー、サフランを入れ、汁気が飛んだらカルダモン、レーズンを加えます。



ケサリ・バット

 以前ティファンで、ラドゥとして説明しています。



ウドゥピ料理のフルコース(ミールス?)

 ウドゥピ料理のコースのフルコースは、以下のように構成されます。

 ・ギィ
 ・塩
 ・各種アチャール(インドのピクルス)
 ・コサンバリ
 ・各種チャトニー
 ・アジェスナ
 ・チトラナや他のスパイシーに味付けしたライス
 ・ハパラ
 ・蒸したライス
 ・サールまたはラッサム
 ・メナスカイ
 ・コデル
 ・ボンダ、チャクーリ、ワダ等の揚げ物
 ・バターミルクとカード(凝乳)
 ・ラドゥ、ホリッジ、ケサリ・バット等のスゥイーツ
 ・パラマナまたはパヤサム


 次回は、マンガロール料理について書きます。

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2015年4月 5日 (日)

Save Your Nights For Me / Kazu Matsui Project

これは、過去に書いた記事ですが、この当時譜面を載せるつもりはありませんでした。
この曲は、そうするには惜しい曲ですので、簡単な曲のアナリーゼ(分析)と、ギターソロの譜面を含め加筆して再掲載します。


アルバム「Love's A Heatache(邦題:ホイールズ・オブ・ラブ)」について

1982年に、ロベン・フォードのセカンドアルバムとして日本で発売された、「Love's A Heatache(邦題:ホイールズ・オブ・ラブ)」は、数奇な運命のアルバムです。

ロベン・フォードの簡単な経歴は、こちらを見て頂きましょう。
マイケル・マクドナルドマイルス・デイヴィスのバックを勤める等、音楽性は多彩でなのですが、当時の雑誌のインタビューなんか見ても、ブルース大好きと発言しており、1990年代に入り、ほとんどソロ活動で、大好きなブルースを弾きまくっています。

ロベン・フォード好きの自分は、もちろんこのアルバムを購入(当時レコードで、後にCDも購入)しました。
ギター弾きまくりを想像していましたが、1曲目のしっとりしたボーカルの曲、Standing On The Outsideを聞いてノックアウトされました。
別に、ギター引きまくりじゃなくとも、駄曲のない名アルバムだったのです。

5曲目、Wheels Of Loveは、タイヤのCMで流れ、洋楽好きなら、この曲を知る人は多かったです。

1960年代の終わり頃から、ジャズのミュージシャンが、電子楽器を使い、ポピュラーな音楽へのアプローチを始め、それがロックミュージシャンも取り込み、一台ムーブメントとなりました。
これが、フュージョン(当初クロスオーバーと呼ばれていた)ブームの始まりですね。
1980年に入ると、フュージョンブームには翳りが見られますが、例えばリー・リトナーの「Is It You?」とか、グローバー・ワシントンJrの「Just The Two Of Us」等、フュージョンミュージシャンのボーカルチューンがヒットした事もあり、インストロメンタルの中に、ボーカルの曲を入れたアルバムが流行しました。

同時に、例えばルーサー・ヴァンドロスのように、当時売れっ子だったベーシスト、マーカス・ミラーと組んで、フュージョン的アプローチの、洗練したソウルミュージックなんかも、出て来ました。
以前紹介した、マーカス・ミラーも参加した、デヴイッド・サンボーンのアルバムのボーカルチューン、Back Againは、この頃の曲です。
しかしこれは、フュージョンブームの翳りに対する、延命措置とも言えたでしょうが、そのエッセンスは、同時に流行していたAOR、ソウル、ロック等の音楽に影響を与え、洗練させて行った側面もあります。

「Love's A Heatache」は、思いっきりボーカルをフューチャーした、オシャレなアルバムですが、フュージョンブーム終盤としては、ありそうなアルバムでした。
しかし今から考えると、当時日本でもそれなりに人気のギタリストで、ブルース大好きのロベン・フォードのアルバムとしては、異質なアルバムです。

1990年頃に、輸入CDを漁っていて、Kazu Matsui Project「Standing On The Outside」のアルバムを発見しました。
ビックリな事に、アルバム内容は、「Love's A Heatache」と全く同じ。
Kazu Matsuiとは、松居和、アメリカで活躍する尺八奏者です。
でも、「Love's A Heatache」には、尺八は入っていません。

真相を知ったのは、1990年代半ばで、このアルバムは元々、ロベン・フォードのソロアルバムなんかじゃなかったのです。
後に、ロベン・フォードもインタビューで、このアルバムを自分のソロアルバムと思って欲しくないと、答えています。

Kazu Matsuiがプロデュースしたアルバムが、日本に入って来ましたが、その際日本で知名度がないKazu Matsuiではなく、ロベン・フォード名義で発売したと言うのが、真相のようです。
ただ、輸入レコード(CDじゃありませんw)でも、ロベン・フォード名義の「Love's A Heatache」を見た事がありますので、こんな売り方をしたのは、日本だけじゃなさそうですね。

このアルバムは、発売当時は、それほど売れませんでしたが、1990年代のレアグルーブブームで、AORの銘盤として見直されました。
自分、このアルバムがAORって言うのは、ちょっと違和感あるかなぁ・・・
それでも残念ながら、このアルバムの素晴しい曲達は、親なし子のように、その後引き受ける演奏者もなく、現在も放置状態です。

しかし、この曲だけは別で、大ヒットした訳でもなく、それほど有名な曲だった訳でもないのに、オペラ歌手の大御所、3大テナーの1人、プラシド・ドミンゴが1985年のアルバムでカバーしています。

さて、曲に行きましょう。



Save Your Nights For Meについて

メンバーは、下記の通りです。
Vocal - Howard Smith
Guitar - Robben Ford
Piano - Russell Ferrante
Synth - Derek Nakamoto
Bass - Neil Stubenhaus
Durms - Vince Colaiuta(Vinnie Colaiuta)
Percussion - Michael Fisher

ドラムはこの頃、まだ無名だった、現世界一のセッションドラマー、ヴィニー・カリウタ。
ピアノのラッセル・フェランテは、人気フュージョングループ、イエロージャケッツのキーボード。
イエロージャケッツは、ロベン・フォードの「The Inside Story」のバックのメンバーのバンドです。
ニール・スチューベンハウスは、1980年代以降、かなり多くのミュージシャンのバックをこなした、中堅どころのセッション・ベーシスト。
ボーカル、シンセ、パーカッションは無名だと思います。

しっとりとしたソウルフルなバラードナンバーです。
曲を書いたのは、マーク・ミューラー(Mark Mueller)とケン・ヒルシュ(Ken Hirsch)。
マーク・ミューラーもケン・ヒルシュも、当時そこそこ有名だったソングライターのようですが、自分は知りませんでした。

アレンジはラッセル・フェランテ。
ピアノ主体の曲だから、当然でしょうね。
プロデュースは松居和。

松居和プロデュースの別のアルバムを聞くと、全く別のテイストだったりしますので、プロデュースと言っても、ある程度ミュージシャン任せだったのでしょう。
しかし松居和自身は、少しAORを意識していたかも知れません。

始まりはE調ですので、音階はE-F#-G#-A-B-C#-D#となります。
しかしギター・ソロのところで転調してF調となり、音階はF-G-A-B♭-C-D-Eとなります。
以後エンディングまでF調。

曲のパターンは、AA'BB'型。
曲全体としては、Intro-AA'BB'-Interlude-AA'BB'2-Guitar Solo-C-BB'-Endingとなります。


[A]
Silent you , silent me
The breeze blow the weary leaves to rest
Time passes time

[A']
As the hours slip on by
Somehow we speark without a sound
I need you around
So darlin' won't you

[B]
Please
Save your nights for me
In the dark you'll see
Just how much you mean to me
[B']
So please
In the moonlight we
Can share a memory
Just save your nights for me

ラッセル・フェランテのピアノから始まりますが、途中エレクトリック・ピアノ(これってSynth?)も入っていて、ちょっとしたキーボードアンサンブルです。
それに絡む、ニール・スチューベンハウスのベースも素敵です。
全編、場面に応じて強弱をつけて、叙情的に歌い上げる、ハワード・スミスの歌声も良いですね。

それにしても、ラッセル・フェランテのピアノの白玉(2分音符以上の音を伸ばすフレーズ)の和音の美しい事・・・

ロベン・フォードのギターのバッキングも、カッティングとアルペジオを織り交ぜていて、素敵ですね。



Save Your Nights For Meのギター・ソロについて

2:11から2:44のロベン・フォードの、エモーショナルなギター・ソロです。



ギターのセッティング

当時ロベン・フォードは、ギブソンES-335を好んで良く使っていましたが、このソロはギブソンES-335ではないような気がします。
もしかするとストラトを使い、フロントPUで音を出しているかも知れません。

エフェクターは、ナチュラルにディレイとリバーブでしょうね。
アンプの適度な歪みが、美しい音になっています。
アンプは何を使っているか分かりませんが、記憶に間違えなければロベン・フォードは昔、Mesa/Boogieを使っていたので、これもMesa/Boogieじゃないでしょうか?



ギター・ソロのスケール(音階)

ロベン・フォードはブルースが大好きで、台頭して来たフュージョンブームの時も、今聞くと絶妙な匙(さじ)加減で、ブルースフィーリングです。
しかしジャズやフュージョンの引き出しもあり、ブルースフィーリングも織り交ぜ、まね出来ない独特のフレーズを弾きます。
以前記事を書いた、ラリー・カールトンの現在のスタイルは、ロベン・フォードの影響だと、ラリー・カールトンの弟子みたいなカルロス・リオスが語っていました。

前述の通り、曲のサビからギター・ソロに入るところで、F調に転調します。
これも研究に値しますが、まあここの主題とはズレますので、割愛します。
1音転調なので、どって事ないです。

恐らく多くの人は、このギターソロを聞いて、きれいなソロだ・・・くらいにしか思わないのでしょうね。
自分は初めて聞いた時は、衝撃でした。

このギター・ソロを理解するためには、アベイラブルノートスケールを学ぶ必要があります。

始まりは、Fメジャースケールです。
スケールとは音階の事で、Fメジャースケールとは、Fから始まるメジャースケールと言うタイプの音階の事です。
メジャーコード(コード=和音)に合わせる音階です。
スケールとコードは、表裏一体です。

音階を表す時、C=ド、D=レ、E=ミ、F=ファ、G=ソ、A=ラ、B=シ(クラッシックではH)。

Fのメジャーコード、FまたはF△(他にもFM、Fmaj)の和音はⅠ-Ⅲ-Ⅴ、F-A-C。
メジャースケールの音階のタイプは、Ⅰ-Ⅱ-Ⅲ-Ⅳ-Ⅴ-Ⅵ-Ⅶ。
音の間隔は、Ⅰ(1音)Ⅱ(1音)Ⅲ(半音)Ⅳ(1音)Ⅴ(1音)Ⅵ(1音)Ⅶ(半音)となります。
ⅠをFに当てはめると、音階はF-G-A-B♭-C-D-Eとなります。

F調の場合、ロックだとFメジャースケール(またはメジャーペンタトニックスケール)、Fブルースペンタトニックスケールだけでプレイ出来ます。
その内のFメジャースケール・・・と言う事ですね。

この辺ですでに、付いて行けない人多数でしょうね(苦笑)。

それが5小節目から、Fマイナースケールにスケールチェンジします。
4小節循環として考えると、この譜面では、1小節目はつなぎのフレーズで、パターンの始まりは2小節目。
つまりパターン4小節目の、次のパターンとのつなぎの小節から、スケールチェンジしています。

マイナースケールとは、マイナーコード(コード=和音)に合わせる音階です。
Fのマイナーコードは、Fm、和音はⅠ-Ⅲ♭(Ⅱ#)-Ⅴ、F-A♭-C。
マイナースケールには、ナチュラルマイナースケールとハーモニック・マイナー・スケール、メロディックマイナースケールの3種あります。

ナチュラルマイナースケールの音階のタイプは、Ⅰ-Ⅱ-Ⅲ♭(Ⅱ#)-Ⅳ-Ⅴ-Ⅵ♭(Ⅴ#)-Ⅶ♭(Ⅵ#)。
音の間隔は、Ⅰ(1音)Ⅱ(半音)Ⅲ(1音)Ⅳ(1音)Ⅴ(半音)Ⅵ(1音)Ⅶ(1音)となります。
ⅠをFに当てはめると、音階はF-G-A♭-B♭-C-D♭-E♭となります。

ハーモニック・マイナー・スケールの音階のタイプは、Ⅰ-Ⅱ-Ⅲ♭(Ⅱ#)-Ⅳ-Ⅴ-Ⅵ♭(Ⅴ#)-Ⅶ。
音の間隔は、Ⅰ(1音)Ⅱ(半音)Ⅲ(1音)Ⅳ(1音)Ⅴ(半音)Ⅵ(1音半)Ⅶ(半音)となります。
ⅠをFに当てはめると、音階はF-G-A♭-B♭-C-D♭-Eとなります。

メロディックマイナースケールの音階のタイプは、上向系と下向系が異なります。
音の間隔は上向系、Ⅰ(1音)Ⅱ(半音)Ⅲ(1音)Ⅳ(1音)Ⅴ(1音)Ⅵ(1音)Ⅶ(半音)となります。
ⅠをFに当てはめると、音階はF-G-A♭-B♭-C-D-Eとなります。
音の間隔は下向系は、ナチュラルマイナースケールと同じになります。

マイナースケールの特徴的なⅢ♭とⅥ♭、Ⅶ♭音は、フレーズの音が下がっている時に使われ、音階はナチュラルマイナースケール。
メロディックマイナースケールの下向系は、ナチュラルマイナースケールと同じですので、メロディックマイナースケールと言う理解でも良いでしょう。

ぶっちゃけ、いずれにせよギター・ソロのメロディが、転調しているんですね。
アベイラブルノートスケールの考え方ですと、Fmの和音だからマイナースケールを使うと言う事なのですが、この曲の場合コードによらず、スケールチェンジしてみました・・・くらいのノリですね。
あえて言うなら、Fブルーススケールのふりして、マイナースケールを使ってみました・・・かな?

ちなみにこの短い文章(どこがやねん!)を100回読んで、完璧に理解出来なければ、アベイラブルノートスケールなんて絶対に理解出来ません。
この曲のスケールチェンジは、初歩の初歩です。
分かりにくいでしょうか?
実は、超親切に書いてます。

自然にスケールチェンジしていますので、とてもオシャレです。
音楽に詳しくない方なら、気付かないと思います。



フレーズの傾向

人間は、4小節とか8小節とかで循環する音楽に、予定調和的な心地良さを感じます。
先日の記事の、Then She Walked Away / Boz Scaggsのギターソロも、8小節のパターンでしたね。
また、By the Way / Red Hot Chili Peppersの譜面を見ても、4小節とか8小節で1つのパターンになっている事がお分かり頂けますでしょうか?

この曲のギター・ソロの入りは、フレーズから考えると2拍分早いです。
下記の上段の譜面は実際に弾いているタイミング、下段はフレーズから本来あるべきタイミングです。

赤丸をしているのは、このフレーズなら本来、この部分が小節の前後に来る・・・と言う意味です。

初めて聴いた時には、気持ち悪かったです。
このフレーズは転調と言う要因もあるでしょうが、ロベン・フォードが、本能のまま弾いたので、こんなフレーズになったのだと思います。
逆に上段のように、小節の頭から弾いたなら、1小節弾き続け、フレーズを解決するべきだったでしょうね。

自信を持って、弾ききっちゃっているので、自然に弾いているようにしか聞こえないですけどね。

ギタリストがアドリブと言っても、スケール(音階)を考え、アドリブの進行(例えば高い音で始まり、いったん低い音まで下がり、エンディングで高い音で締める・・・とか)くらいは考えておくものです。
アドリブの引き出しが豊富な人は、そうそういませんので、ギター・ソロの傾向は似ますね。

ロベン・フォードは、文字通り本能のまま弾き、アドリブの引き出しも豊富。
同じ曲のギター・ソロなのに、ライブによって、何の曲?って言うくらい、全く違うギター・ソロを弾きます。
そのせいかどうか、しばしばフレーズが脱線しますが、それがまた意表を突いて良いです。
脱線しても、ちゃんと自然に曲の流れに戻します。

だからロベン・フォードのギター・ソロは、パターンも傾向もあまりなく、譜面化が難しいものの、オンパレードです。

ここでも3小節かけてもとの流れに戻しますが、普通なら聞いていて違和感ないでしょうね。
でも、すぐスケールチェンジ。
ジェイ・グレイドンとは別の意味で、普通にはフレーズが来ませんね。



1小節目(2:11~2:14)

ソロ出だしが、2拍違うと指摘した箇所ですね。
ただこのフレーズ、それでもなおとても美しいですけど。



2小節目(2:15~2:17)

2拍違う影響を受け、この小節は半拍休符の変なタイミングからフレーズが入っています。



3小節目(2:18~2:20)

2小節目のフレーズを下方(音を下げると言う事)にずらして、似たようなフレーズを弾いています。
この小節の入りも半拍休符のタイミングです。



4小節目(2:21~2:23)

やっと小節の頭に音が来て、気持ちよくなったところですが、小節の終わりのタイミングで、次の小節に続くフレーズがあります。
このタイミングも独特ですね。

こんなの、アドリブでやっちゃうんだ。
どんなタイム感覚なんでしょう?



5小節目-6小節目(2:24~2:32)

音が下がって行き、6小節目の頭で見事解決させます。
このフレーズからFマイナースケールにチェンジ。
ちなみに、フレーズはブルースっぽいのに、そう聞こえないところがオシャレですね。
マイナースケールも、使い方によっては暗い雰囲気になるのですが、全くそんなところはないです。

余談ですが、ギター・フレーズを聴いて、盛り上げるべく、ドラムのヴィニー・カリウタがシンバルを入れているのが素敵です。
ヴィニー・カリウタは、瞬時に曲を理解して合うようにドラミングするから、現在世界一のセッションドラマーと呼ばれているのです。



7小節目-8小節目(2:33~2:40)

音が上ってきて、ここから盛り上がるのか?と思わせる部分です。
しかしアラアラ・・・音が下がってっちゃったよ!



9小節目(2:41~2:43)

結局きれいに終わりきらず、蛇足的にフレーズをこの次の小節に加え、終わらせています。


このギター・ソロが好きか嫌いかと聞かれると、大好きです。
その一方で、ロベン・フォードがきちんと曲を理解しないまま、本能で弾いた感ありありで、全体として見るとちぐはぐです。
それを帳尻合わせたような感がありますね。
並みのギタリストながらグダグダになったでしょうが、ロベン・フォードの場合オシャレにスケールチェンジまでして、こんなに素敵に聞こえるなんて・・・誰も真似できないでしょう。

ロベン・フォードは、どっちかと言うと、プロのギタリストに熱烈なファンが多いです。
音がきれい、ギターが上手い、そして独特のフレーズ、本能のアドリブ・・・と言う魅力があると思います。
特に1980年代から、2000年代半ばまで、多くのライブでは神が降りたか・・・と言う凄いパフォーマンスでした。


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2015年4月 4日 (土)

食材と調理法 第五回 かき菜

 食べ歩きの企画を止めたので、代わりに食材と調理法、伝統的料理、ソース、調味料、調理器具について、思うところを書いて行きたいと思います。
 不定期更新ですが、最低1ヵ月1回くらいは、更新したいですね。
 これまでとは、読者層が異なり、クックパッドに投稿している人なんかが嬉しいでしょうか?

 しかし実はこのような考えも、食べ歩きする人にも持ってもらいたいものです。
 料理や食材の事を知らずして、美味い不味いの判断は、本来出来ないはずです。

 かき菜は主に、関東で食べられている伝統野菜ですが、本場の関東でもそうそう見かけません。
 自分は最近、家から遠い八百屋で売っているのを発見しましたが、大手スーパーではほとんど見かけません。
 一方ネットでは、このような伝統野菜を購入する人が多くなっています。
 この機会に、伝統野菜を見直すのも良いと思います。



目的

 ・食材について知る
 ・食材の特徴について知る
 ・食材への調理法の考察
 ・食材の定番料理の紹介
 ・食材の栄養の考察
 ・調理法や料理の紹介
 ・伝統的料理の紹介
 ・ソースや調味料の紹介
 ・調理器具の紹介

 今回は料理についての珍しさを、以下のマークで記します。
 まあ、いつも通りの使い回し(苦笑)。

 ・・・ほとんど幻
 ・・・特注、または産地に行けばあるいは
 ・・・専門店でもめったにない
 ・・・専門店にならある
 ・・・季節食材
 ・・・ポピュラー


 ちなみに、かのサイトの記事をそのままコピペしますので、文体はですます調ではなく、体言止めで書きます。



ちぢみ雪菜

 ・・・季節食材


概略



 アブラナ科アブラナ属の一年草。由来は不明だが、在来種のアブラナまたはその変種と考えられている。
 万葉集、第十四巻の東歌に「上野(こうずけ)の佐野の茎立」の名前で歌われている事から、遅くとも8世紀後半には存在した伝統野菜。

 現在は主に北関東で栽培され、2月から4月の間に主に関東圏内に出荷される。
 冬季の栽培なので、害虫の心配はなく、農薬も少なくて済む利点がある。
 1株から、3度ほど収穫出来る。

 代表的産地、栃木県佐野市
 別名、菜花茎立ち菜折り菜とも言う。



特徴

 主に茹でて食べられるが、炒めるのにも適している。
 独特のほろ苦さはあるものの、苦味は強くなく、火を通すと甘味が増す。
 調理法によっては、苦味が出てしまう。

 ネットでは、火の通りが早いと書いているが、ほうれん草に比べるとずっと火の通りは悪い
 特に、太い軸はすぐに火が通らないので注意。

 青菜としては、青臭さにもクセはなく、他の食材と無難に相性が良い。
 魚介類、肉やベーコン、ハムとも良く合う。
 インド料理では、ジャガイモなどのイモ類を潰し、青菜を混ぜるサブジー(野菜料理)があるが、イモ類との相性も良い。

 足の速い(つまり傷みやすい)野菜で、2-3日ですぐに黄色く変色する。
 傷むと、臭いを発し、風味が悪くなるので注意。
 知る限り黄色い葉の品種はなく、葉が黄色みががっていたら傷み始めている。
 購入してすぐに使わない場合は、下茹でしたり、炒めて冷蔵庫で保管した方が良いが、それでも1-2日くらい保存期間が延びるのみ。





料理の位置づけ

 ■主食材 ◎

 ■副食材 ◎



調理法

 ■生食 ×
 葉なら、苦くはあるが、生食可能かも
 ■焼く 
 副食材としてグラチネキッシュに入れるのはアリ。
 ■炒める 
 ■煮る(茹でる) 
 下ごしらえとしての茹で、またペーストにして、スープやソースとしても合う。
 ■揚げる 
 天ぷらは合うが、他の揚げる調理法は向かない。
 ■蒸す 
 茹でるのと同じ意味合いで、蒸すと言うのもアリ。
 ■和える 
 下茹で、蒸したのを調味料と合わせて食べるのには向く。
 ■漬ける 
 下茹で、蒸したのをお浸しにするのには向く。
 軽く塩して、一夜漬けにも向く。
 ■鍋物 ◎
 クセがないので、鍋物にも向く。
 ■その他 
 ムースにする、ピュレジュレにするのは、アリな調理法。
 料理の彩りとして、テリーヌパテに加えるのもアリ。



代表的料理

 ・かき菜のお浸し

 ・かき菜の清炒(チン・チャオ)

 ・かき菜の腐乳炒め

 ・かき菜のサーグ

 ・かき菜とベーコンの炒め


栄養

 カルシウムはホウレン草の3倍もの量。
 ビタミんもホウレン草の数倍。
 その他、食物繊維、カロチン、鉄分など。
 タンパク質が含まれるという記述も見受けるが、本当なのだろうか?
 皮膚や粘膜の抵抗力を強めて、風邪予防・老化防止・便秘等に効果を発揮。

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2015年4月 2日 (木)

Then She Walked Away / Boz Scaggs

久々の音楽ネタです。
以前も書いていますが、自サイトの音楽ネタは、1日単位ではアクセスが多くはありませんが、毎日コンスタントにアクセス数を稼ぎ、1万アクセス以上の記事がいくつもあります。
面白い事に、軽く音楽の感想を書いているのは、あまりアクセスが来ないのですが、難しい事を書いている記事ほどアクセスが多いです。
最初このコーナーでは、一般の方は読めないでしょうから、譜面を載せないつもりでした。
しかし結局、譜面を載せた記事なんかも、凄くアクセスが多いです。

で、またまた譜面を載せた記事です。

ボズ・スキャッグスは、若い人は知らないかも知れませんね。
古い曲で申し訳ありません。

BABYMETALとか、コピーするの大変(間奏のソロはとてもあんなに速く弾けない!)ですしね(笑)。
BABYMETALも、その内取り上げたいですが・・・


ボズ・スキャッグスについて

ボズ・スキャッグスは、1960年代半ばから活動するシンガーで、1970年代半ばから1980年代初めにアダルトコンテンポラリー路線でヒットした、アダルトコンテンポラリーを代表する1人です。
アダルトコンテンポラリーは、1970年代後半に、アメリカでAOR(Adult-Oriented Rockの略?各種説あり)と呼ばれ、言葉が日本にも輸入され、アメリカではAORという言葉は流行りませんでしたが、日本では未だにAORの方がポピュラーじゃないでしょうか?
ボズ・スキャッグスはアメリカで今でも人気はあるようですが、日本の方がより人気があると言われています。

ボズ・スキャッグスは当初、ヒットに恵まれませんでしたが、1976年にアース・ウインド・アンド・ファイアーのプロデューサーとしても名を上げたジョー・ウィザートをプロデューサーに迎え、アダルトコンテンポラリー路線のアルバム「Silk Degrees」を出します。
このアルバムは、Billboardで最高2位となり、シングルカットの「Lowdown」はグラミー賞において最優秀R&B楽曲賞を受賞しました。
他にも、「Jump Street」、「Lido Shuffle」、「What Can I Say」、「Harbor Lights」、「We're All Alone」等、いずれ引けを取らない名曲揃いで、多くのミュージシャンにカバーされました。
このアルバムにバックとして参加した、ドラムのジェフ・ポーカロ、キーボードのデヴィッド・ペイチ、ベースのデヴィッド・ハンゲイトはグループ「TOTO(便器ではありませんw)」を結成し、翌年ファーストアルバムを発表し、こちらもアダルトコンテンポラリー路線の銘盤と言われています。

次のアルバム「Down Two Then Left」は、「Silk Degrees」に続くアダルトコンテンポラリー路線のアルバムで、プロデューサーは同じくジョー・ウィザート。
Billboardで最高11位となり、「Silk Degrees」よりロック色が強いアルバムで、「Silk Degrees」が好きな人は、このアルバムに少しがっかりしたようです。

次の「Middle Man」は多くのバックミュージシャンが「TOTO」メンバーで、プロデューサーは同じくジョー・ウィザート。
サウンドも「TOTO」色が強いですが、「Silk Degrees」を発展させたような路線のアルバムなので、ボズ・スキャッグスファンには好意的に捉えられていました。
Billboardで最高8位となり、シングルとしても「Breakdown Dead Ahead」、「Jojo」がヒットしました。
日本のCMで、「You Can Have Me Anytime」のギターソロ(ギタリストはカルロス・サンタナ)部分が使われ、有名になりました。

自分も当時、上記のような評価でしたが、1990年代に聞き返すと、「Down Two Then Left」もこれはこれで良いアルバムだと思いましたね。
このアルバムの評価の低さは、Billboard順位がこの3枚で最も低い事、「Silk Degrees」から路線を少し変えた事による反発の2つの要因のように思います。

若い人の中には、AORって何やねんと思うかも知れませんね。
一般論としての代表的ミュージシャンは、スティーリー・ダン(ドナルド・フェイゲン)、ボズ・スキャッグス、ボビー・コールドウェル、TOTO、一時期のシカゴ、クリストファー・クロス、ジェイ・グレイドン、デビット・フォスター等。
音楽スタイルとしては、シンプルでパワーやスリリングなロックとは異なる、オシャレに正装した男女が、酒を飲みながら楽しめるオシャレなロックですね。
ミュージシャンは、ジャズも出来るミュージシャン、アレンジャー、プロデューサーが、ジャズのロック的アプローチのフュージョンブームを通って、AORのサウンドが出来ました。



ジェイ・グレイドンについて

自分はボズ・スキャッグスの曲も好きなのですが、今回のテーマは間奏のギターソロを弾いているジェイ・グレイドンの名演です。
以前、スティーリー・ダンのペグでギターソロを弾いたエピソードを紹介しました。
ジェイ・グレイドンについてそのうち紹介すると書きましたが、4年越しの記事です・・・って、もう覚えている人はいないでしょうけどね(苦笑)。

ジェイ・グレイドンは、1970年代後半から1980年代あたりに活躍した、セッション・ギタリストにして名プロデューサーです。

セッション・ギタリストとしては前述のスティーリー・ダンを始めとして、ジノ・ヴァネリ、バーバラ・ストライサンド、ドリー・パートン、ダイアナ・ロス、ジャクソン・ファイブ、アリス・クーパー、チープトリック、アル・ジャロウ、クリストファー・クロス、レイ・チャールズ、シェール、ジョー・コッカー、マービン・ゲイ、ホール・アンド・オーツ、ウェイン・ショーター、オリビア・ニュートン・ジョン、アルバート・キング等、多数のアルバムでギターを弾きました。

作曲者として、1980年アース・ウインド・アンド・ファイアー「After Love Has Gone」(共同制作者デビッド・フォスター、ビル・チャンプリン)で「Best Rhythm & Blues Song」と「Song of the Year」の2冠。
1983年ジョージ・ベンソン「Turn Your Love Around」(共同制作者スティーブ・ルカサー、ビル・チャンプリン)で、グラミー賞ノミネート。

アレンジャーとして、マンハッタン・トランスファー「TWILIGHT ZONE」でグラミー賞「Best Arrangement for Voices」を受賞(共同受賞アラン・ポール)。

音楽プロデューサーとしては、1982年アル・ジャロウ「Breakin' Away」でグラミー賞「Album of the Year」を受賞。
1984年アル・ジャロウ「Jarreau」でグラミー賞「Producer of the Year (Non-Classical)」、「Best Engineered Recording - Non-Classical」を受賞。
同アルバムから、「Mornin'」がグラミー賞「Best Instrumental Arrangement Accompanying Vocal(s) を受賞(共同受賞デビッド・フォスター、ジェレミー・ルボック)。
1985年映画「ゴーストバスターズ」の「Ghostbusters Soundtrack」で、グラミー賞「Best Album of Original Score Written for a Motion Picture or a Television Special」を受賞。
1986年映画「セント・エルモス・ファイアー」の「St. Elmo's Fire Soundtrack」で、グラミー賞「Best Album of Original Score Written for a Motion Picture or a Television Special」を受賞。

1980年から1986年まで7年連続ノミネートで、内6年に受賞するという凄さです。

ちょうどフュージョンブームから、AORが当たった頃にAORサウンドのプロデューサーとして活躍しました。
自分らの年代では、バンド仲間の大多数が、ハードロック、その後流行したヘビーメタルを演奏していまして、自分のようにフュージョンやAORが好きと言うのは少数派でしたね。
ジェイ・グレイドンがプロデュースすると、明らかにAORのサウンドになっちゃいましたが、いつまでも流行が続く訳もなく、AORの衰退と共に表舞台から姿を消しました。

ミュージシャンでも、リスナーでも、プロデューサーとしてのジェイ・グレイドンを評価する人はそれなりにいるでしょうが、ギタリストとしてのジェイ・グレイドンって、あまりスポットが当たっていないんじゃないですかね?
1994年、盟友のデビット・フォスターの日本のコンサートで、特別ゲストとして登場し、Aireplayの名曲、「Nothin' You Can Do About It」のギターを弾きました。
ギターソロは、アルバム「Airplay」と同じでしたので、ギターソロはアドリブではなく、作曲して毎回同じフレーズを弾いているのではないかと思います。
1993年、ソロアルバム、「Airplay for the Planet」が日本で売れて、1995年ジェイ・グレイドン・オール・スターズで来日した時も、ジェイ・グレイドンのギターソロは、やはりアドリブじゃなくアルバムのものと同じでした。

アドリブをしないから、ギターソロの値打ちが下がる訳ではありません。
下手なアドリブをするくらいなら、むしろ練りこまれたギターソロの方が良いくらいです。
もちろん、一流ギタリストのアドリブは凄いですけどね。

ジェイ・グレイドンの名演と言うと、マーク・ジョーダンの「I'm a Camera」のソロも名演ですが、「Then She Walked Away」はかつて自分が演奏したことがあり、かつその際にアドリブ参考のため、ギターの完コピした事がありました。
小節数も少ないし、譜面化するなら楽だな・・・と。
今はかつてのように弾けませんし、もうコピーしたのも忘れてましたが、体が半分くらいはフレーズを覚えていて、小1時間くらいで譜面化出来ました。
むしろ、譜面作成ソフトの操作に手間取ったので、スムーズに行けば30分かからなかったでしょう。



Then She Walked Awayについて

さて、曲に行きましょう。

曲はボズ・スキャッグスとマイケル・オマーティアン共同制作。
アレンジは、このアルバム全体マイケル・オマーティアン。
バックのミュージシャンは、以下の通りです。

ドラム: ジェフ・ポーカロ
キーボード全般: マイケル・オマーティアン
ベース: スコット・エドワーズ
バッキングギター: 不明(ボズ・スキャッグス、ステーブ・ルカサー、レイ・パーカー・ジュニアのいずれか)
ギターソロ: ジェイ・グレイドン

ラッパ隊は、クレジットには多数書かれていますが、全員が参加したとも思えず。
具体的に、誰がこの曲で演奏したか不明です。

曲のテンポは、テンポ95(1分間に四分音符95回)くらい?
自分の経験では、テンポ90-110あたりのテンポの曲が、雰囲気を出すのが難しいですね。
演奏力の差が出やすいです。

メロディは、G調ですので、音階はG-A-B-C-D-E-F#となります。

曲の構成は、「AABC」
と書いても分かりにくいでしょうから、歌詞と共に説明しますと。

[A]
Then she walked away
Quietly so afraid
Smiling but no doubt
Crying her heart out
She really just wants to stay

[A]
Then she walked away
Leading her own parade
Nobody's cheering
The voices she's hearing
Are empty remarks she made

[B]
How was she to know
That it would come to this
Sorry Miss
They forgot to tell you it was just a game
Just a sad illusion

[C]
Now you're on your own
Really on your own
It's still a long way home

Aのラストの仕掛けが乙ですね。
そしてAからBのベースラインの静と動の切り替えが素敵です。

バッキング・ギターが誰なのか分かりませんが、残念ながらフレーズが凡庸です。
もしかするとボズ・スキャッグス?それとも、ステーブ・ルカサーの可能性もあります。
名人ステーブ・ルカサーもたまに、曲を理解していないイマイチなバッキングがありますしね。

Then She Walked Awayのギターソロについて

2:33からがギターソロになります。
8小節(最後の音も加えると9小節)と短いながら、メリハリが利いた、練りこまれた良いソロだと思います。



ギターソロ全体について

まずは、譜面全体を俯瞰(ふかん)的に見て下さい。

他の楽器のコード(和音)は拾っていませんが、コード進行はサビ(曲構成のC)と同じと考えて良いでしょう。
アレンジは、サビとは異なりますけどね。

フレーズは、Gメジャースケール一本です。
スケールとは音階の事で、Gメジャースケールとは、Gから始まるメジャースケールと言うタイプの音階の事です。
メジャーコード(コード=和音)に合わせる音階です。
スケールとコードは、表裏一体です。

音階を表す時、C=ド、D=レ、E=ミ、F=ファ、G=ソ、A=ラ、B=シ(クラッシックではH)。

Gのメジャーコード、GまたはG△(他にもGM、Gmaj)の和音はⅠ-Ⅲ-Ⅴ、G-B-D。
メジャースケールの音階のタイプは、Ⅰ-Ⅱ-Ⅲ-Ⅳ-Ⅴ-Ⅵ-Ⅶ。
音の間隔は、Ⅰ(1音)Ⅱ(1音)Ⅲ(半音)Ⅳ(1音)Ⅴ(1音)Ⅵ(1音)Ⅶ(半音)となります。

構成音は、G-A-B-C-D-E-F#となり曲メロと同じ・・・曲メロのキーがGなら、Gメジャースケールと曲メロは同じ音階になります。
G調の場合、ロックだとGメジャースケール(またはメジャーペンタトニックスケール)、Gブルースペンタトニックスケールだけでプレイ出来ます。
その内のGメジャースケール・・・と言う事ですね。

スケールチェンジをして、ジャジーなアプローチも可能だったでしょうが、ロック色のあるフレージング、ギターの音なので、シンプルにGメジャースケール一本で合うと思います。
何よりこのギターの音、ジェイ・グレイドンらしいです。

この辺ですでに、付いて行けない人多数でしょうね(苦笑)。

比較的、1拍目、2拍目にフレーズを弾いて、3拍目、4拍目は伸ばすフレーズが目に付きます。
これは、ソロのメロディの良い間になっていますし、音が伸びるところが気持ち良くもあります。

ギターに限らず、各楽器のソロですが、若さに任せ、火が付いたように弾く人が良くいますが、はっきり行ってアホです。
他人の自慰なんて、見たい人はいません。
楽器のソロは、あたかも物語のようであり、起承転結の展開がしっかりしていなくてはなりません。
体力勝負で、やたら速弾き決めても、何の意味もありません。

音楽には間が必要で、もしも間がないのなら、リスナーは音を追えず、演奏への意識が流れてしまうでしょう。
もっと言うと、起承転結もそうですが、一流ミュージシャンは間が絶妙で、間に各ミュージシャン独特のものがあります。
間の出来が、各ミュージシャンの楽器のソロの出来不出来を左右すると言っても、過言ではありません。

音楽は、観客との音を媒介したSEXであるべきです。
そしてじらしたり、予想を裏切ったり、ここぞと言う時に一気に攻め立て、いかに客を満足させるか・・・

小節の後半2拍を伸ばすのは、ジェイ・グレイドンのギターソロ全般に特徴のある、間のような気がします。
前述の「I'm a Camera」のソロも、比較的3拍、4拍を伸ばすフレーズが目立ちますね。



1小節目(2:33~2:35)

ソロ出だしの下がるスラー(スライド)ですが、あまりこんな風に使う人は、ジェイ・グレイドン以外にはいないんじゃないですかね?
自分はこの曲の影響で、このフレーズは良く使わせてもらいました。


2小節目(2:36~2:38)

1拍目のハイAの音から2拍目のダブルハイF#へと音を飛ばすのも、ジェイ・グレイドンのギターソロの特徴ですね。
こう言うフレーズは、弟子とも言うべき、ステーブ・ルカサーも使います。
アルバム「TOTO」の「You are the flower」で、ジェイ・グレイドンの影響を受けたギターソロを聞く事が出来ます。
自分も、この辺の音が飛ぶフレーズは影響を受け、ギターソロで良く使いました。


3小節目-4小節目(2:39~2:43)

1、2小節目の3拍目、4拍目は、伸ばすフレーズだったのが、裏をかいてここでは4拍目に16分音符の速引きが入り、次の小節まで速弾きが続きます。
4小節目は、予定調和的に3拍目、4拍目は伸ばすフレーズ。
この辺の、フレーズコントラストの使い方が良いですね。


5小節目(2:44~2:46)

この小節から最後まで、は、8va・・・演奏しているのは、譜面表記のオクターブ上の音となります。
ソロ後半ですが、前の小節の16分音符のフレーズを受け、ダブルハイGとAの16分音符のチョーキング(弦を指で引っ張って音程を変える)から、2拍目突然ハイBまで音が飛び、雪崩のようにハイG、ハイDと音が飛んで、B、ハイDと続く音を飛ばすフレーズも、2小節目同様、ジェイ・グレイドンの特徴です。
4拍目で、いったん音を下げて上げるグリッサンドがありますが、この譜面ソフトでは書き切れないので、単にグリッサンドとしています。


6小節目(2:47~2:49)

ハイA、ダブルハイD、ダブルハイFの音飛びフレーズで、かつ2拍3連符です。
ここで、3連符を使うのはオシャレですね。
この辺の意表をつく使い方も、自分は影響を受けています。
有名ギタリストのフレーズを聞くと、意表を付いた3連符使いが、けっこうあるような気がします。


7小節目(2:50~2:52)

この辺から、フレージングが、ギターソロの解決(起承転結で言うところの結)に入ります。
1拍目の最後なんて音は飛びますが、この辺はギター的なフレーズで、音飛びとは言いませんね。
予定調和的に3拍目、4拍目は伸ばすフレーズです。


8小節目(2:53~2:55)

前の小節のフレーズを1音ずらして弾き、3拍目、4拍目に16分音符を弾いてたたみ込みます。
3拍目の頭は、例によって音を飛ばしています。


9小節目(2:56~2:58)

出だしの音と、オクターブ上の同じ音(ダブルハイF#)で解決しました。
お見事、とも言うべき終わり方です。

この後、歌の合いの手のようにボリューム奏法を使ったフレーズも弾きますが、そっちは簡単なフレーズなので割愛します。


ジェイ・グレイドンは、あたかもアドリブかのように弾いていますが、良く分析するとフレーズが練られていて、フレーズを作曲したっぽいですよね。
個々のパーツが良く出来ていますので、ギターソロのアイデアの宝庫だと思います。
もしジェイ・グレイドンのギターソロが気に入ったら、他にも色々と聞いてみると良いでしょう。
個々のフレーズのパーツ、アイデアは今でも錆びずに、利用可能だと思います。

「TOTO」の「You are the flower」は、興味深いギターソロですので、その内取り上げます。

http://grooveshark.com/#!/search/song?q=Boz+Scaggs+Then+She+Walked+Away
Then She Walked Away by Boz Scaggs on Grooveshark

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