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2015年5月 8日 (金)

Further Notice / Larsen Feiten Band

またまた、古い曲のギター・ソロを取り上げてしまいます。
かつて完コピした事もあり、譜面化しやすく、取り上げやすいのです。
数ヶ月前から、ギターを弾くのを再開していまして、かつて自分がコピーしたのを記録で残したい意図もあります。


Larsen Feiten Bandについて

Larsen Feiten Bandは、1972年にアルバム1枚だけリリースした後、消えて行ったバンド、Full Moonの主要メンバー、キーボードのニール・ラーセン、ギタリストのバジー・フェイトンを中心にしたロック/フュージョンバンドです。

Full Moonが解散した原因ですが、1つには商業的に成功しなかったと言う事もあったでしょう。
しかし一方で、プロのミュージシャンや音楽評論家から、伝説のアルバムとして当時から語られていましたから、2ndがリリースされてもおかしくなかったように思います。

後に判明したのは、主要メンバーのバジー・フェイトンの薬害(つまりラリった後遺症)だったそうです。
バジー・フェイトンは、表向き失踪と言う事になっていて、1978年に発表したニール・ラーセンのソロアルバム、「Jungle Fever」で久々表舞台に復帰、ニール・ラーセンとの名コンビが復活しました。

このコンビは1979年、ニール・ラーセンの2ndソロアルバム、「Hogh Gear」を経て、「Horizon」レーベルの倒産により、ワーナーパイオニアに移籍します。
Full Moon再びと結成したのが、Larsen Feiten Bandです。
1980年に、キーボードのニール・ラーセン、ギタリストのバジー・フェイトンを中心に、他のメンバーは一新して、アルバム「Larsen Feiten Band」を発表します。

Keyboards - Neil Laesen
Guitar - Bazz Feiten
Bass - Willie Weeks
Drums - Art Rodriguez
Percussions - Lenny Castro

今となっては、有名とは言い難いですが、当時はLAの中堅スタジオ・ミュージシャンとして名を馳せ、有名ミュージシャンのツアーメンバーをしていた、一芸に秀でた面々です。
つまり、バンド全体として、音楽技量が高いです。
ウイリー・ウィークスは地味に生き残り、現在も第一線で活躍しています。

「Jungle Fever」、「Hogh Gear」、そしてアルバム「Larsen Feiten Band」は、プロデューサーが、大プロデューサーのトミー・リピューマ。
当時から活動する音楽プロデューサー、宮住俊介氏のブログに、トミー・リピューマが、「Jungle Fever」をリリースした新人アーティスト、ニール・ラーセンの日本のライブに、サポートに来ていたエピソードが語られていました。

ニール・ラーセンは、「Jungle Fever」、「Hogh Gear」のプロデュースでお世話になったトミー・リピューマに、プロデュースを依頼しました。
トミー・リピューマについては、後述します。

その後、Larsen Feiten Bandはメンバーはそのままで、1982年にFull Moon名義のアルバム、「Full Moon featuring Neil Larsen & Buzz Feiten」を出しました。
アルバム「Larsen Feiten Band」から2年と間が空き過ぎていますし、Larsen Feiten Bandはそれなりに曲も売れ、知名度もありましたので、バンド名を変えるなど正気とは思えません。
「Full Moon featuring Neil Larsen & Buzz Feiten」では、「Twilight Moon」と「Standing In Line」のベースだけジミー・ヘイスリップ(当時イエロージャケッツのベーシスト)。
もしかして、メンバー不和?

1981年モントルー・ジャズ・・フェスティバルでアルバムに収録されていない、「Casino Lights」、「E Minor Song」の新曲を発表(ライブアルバム、Casino Lightsに収録)したりしましたが、その後アルバムをリリースする事はなく、バンドとしては活動停止。

1987年、恐らくYAMAHAの働きかけ(YAMAHAのシンセサイザーを売る目的があったと推察する)がきっかけではないかと思いますが、ニール・ラーセンがソロアルバム、「Through Any Window」を出した際に、再びバジー・フェイトンとコンビ再開。
1989年、ニール・ラーセンのソロアルバム、「Smooth Talk」で再びバジー・フェイトンと競演します。

1999年、バジー・フェイトンが「Buzz Feiten & The New Full Moon」と言うアルバムを出した時、不思議な事にキーボードはニール・ラーセンではありませんでした。
2007年、ニール・ラーセンのソロアルバム、「Orbit」でのギタリストは、不思議な事にロベン・フォード
バジー・フェイトンとニール・ラーセンの間に、何かあったのでしょうか?

自分は2人のファンなので、再び競演する事を期待します。



アルバム「Larsen Feiten Band」について

そんなLarsen Feiten Bandの1980年リリースのファーストアルバム名は、「Larsen Feiten Band」!?
まあ外人ミュージシャンには、良くあるアルバムタイトル(と言うよりアルバムタイトルなし)です。

メンバーは、下記の通りです。
Organ/Synth - Neil Larsen
Guitar - Buzz Feiton
Bass - Willie Weeks
Durms - Art Rodriguez
Percussion - Lenny Castro

プロデューサーは、AORブームと同じ頃に名を上げた、トミー・リピューマ。

トミー・リピューマは、アメリカの高名な音楽プロデューサー。
キャリアの内、30回ものグラミー賞ノミネート、内3回グラミー賞を受賞しています。
ジョージ・ベンソンや ナタリー・コール、サンドパイパーズを始めとして、イエロージャケッツ、ダイアナ・クラール、ジョー・サンプル、ドクター・ジョン、ランディ・クロフォード、ラリー・ゴールディングス等、プロデュース作品は枚挙にいとまがありません。

ちなみに、トミー・リピューマが手がけたアルバムのテイストが、アーティストによって著しく異なり、トミー・リピューマの色を感じないのを不思議に思っていました。
個人的にトミー・リピューマをご存知の、とある方に聞いたのですが、トミー・リピューマのプロデュースとは、アルバムの方向性を決め、どのように売るか・・・と言うのが専門だったそうです。
ご自分が打ち出したアルバムの方向性通りに曲を作れば、曲の細部に干渉しなかったようですよ。
トミー・リピューマはそれほど、音楽に詳しい方ではなかったようです。

現在ではトミー・リピューマがプロデュースした作品を、AORに分類する人がいます。
しかし、音楽的にAORじゃないプロデュースは数多くあり、そんな判で押したような分類は意味がないように思います。

ニール・ラーセンの、ファーストソロアルバムのプロデュースも、トミー・リピューマが手がけていました。
自分が思うに、このバンドは音楽性をポップ路線に発揮して、売り出したかったように思います。

そのせいか、このアルバムでは8曲中、6曲が歌もの、インストロメンタルは2曲しかありません。
このバンドは、フュージョンの手法を生かして、ポップな歌ものを志向していたように思います。
ジャズの音楽理論を活かした、ポップなロック・・・そうすると、ほとんどAORですけどね(笑)。

シングルカットした「Who'll Be The Fool Tonight」が、ビルボード40位以内と健闘し、続いて「Danger Zone」、「She's Not In Love」とシングルカットしました。
アルバムのビルボード順位は不明です。
少なくとも、売り上げが先細りしそうなフュージョン路線より、商業的には成功したと思います。

Larsen Feiten Bandのライブ録音(一応洋板で流通していたもの)を聞くと、ライブでは大部分がインストロメンタルをしていました。
バンド・・・特に中心的役割のニール・ラーセンには、歌モノが不本意だったのかも知れません。

そのせいかどうか、2ndアルバムの「Full Moon featuring Neil Larsen & Buzz Feiten」では8曲中4曲がインストロメンタルです。
インストロメンタルの良し悪しを理解出来ない人・・・特にAOR好きには、インストロメンタルの多い2ndアルバムはボロクソに評価されています。

自分の評価は逆で、このアルバム「Larsen Feiten Band」は急ごしらえした感が随所に見られ、曲によっては残念な出来に思えます。
それに対して、2ndアルバムの「Full Moon featuring Neil Larsen & Buzz Feiten」の方が、どの曲もしっかり練られ、クズ曲のない名アルバムだと思います。
アルバム「Larsen Feiten Band」から「Full Moon featuring Neil Larsen & Buzz Feiten」まで、2年かかっていますが、多少はアルバム完成度と関係しているように思います。

ただ残念ながら、「Full Moon featuring Neil Larsen & Buzz Feiten」のアルバム収録曲は、ファーストアルバムほどヒットしませんでした。
ヒットしたかどうかと、良い曲かどうかには、因果関係はありません。
ちなみに、自分のフェイバリット・アルバムでもあります。

それなのに、曲がヒットしたかどうかで、音楽の良し悪しを判断する人がいるのは、残念です。



Buzz Feitonについて

実は自分がバジー・フェイトンを知ったのは、神様ジェフ・ベックが1970年代の終わり頃に、バジー・フェイトンをフェイバリット・ギタリストの1人に挙げていたからです。
バジー・フェイトンの名を知らなかった自分は、バジー・フェイトンの参加アルバムを探し、ニール・ラーセンやLarsen Feiten Band、デビッド・サンボーン、フェリックス・キャバリエに出合いました。

本名、ハワード・フェイトン。
バジーはあだ名で、現在の芸名です。
経歴を調べると、元々ギターではなく、フレンチ・ホルン奏者として、身を立てようと考えいました。
母はピアニストで、幼い頃からハワード少年にクラッシックを習わせていたそうです。
その後、例えばリッキー・リー・ジョーンズのオーディション落ちたりしていまして、ポール・バターフィールド・ブルース・バンドに、学生の身ながらフレンチ・ホルン奏者としてデビューします。

その後、ロック史に残るロックバンド、クリームのサポートメンバー(この時ギターだったかどうか不明)として参加。
また、ジミ・ヘンドリックスのバンドのベーシストとして、ツアーに参加。
この当時、あるライブハウスで、クリームのリーダーの神様エリック・クランプトン、神様ジェフ・ベック、ジミ・ヘンドリックスが飛び入り参加して一緒に演奏した際、バックメンバーを務めていたそうです。

ギタリストとしては、この後頭角を現し、ポール・バターフィールド・ブルース・バンドのギタリストを皮切りに、スティービー・ワンダー、アレサ・フランクリン、ボブ・ディラン、リッキー・リー・ジョーンズ、フェリックス・キャバリエ、デビッド・サンボーン等、そうそうとした大アーティストのレコーディングのギタリスト、ツアーのサポート・ギタリストを務めます。

Youtubeに、大スター、オリビア・ニュートン=ジョンのライブで、マイケル・ランドウ(この人も名ギタリスト)とバジー・フェイトンがギター・ソロを取る映像がありました。
これって、マイケル・ランドウと共に、バジー・フェイトンが特別扱いされていると言う事です。
0:29からが、バジー・フェイトンのソロです。

1980年のリッキー・リー・ジョーンズ(この人もスターです)のライブでギターを弾いている映像があります
こちらも同日の映像です

以前はベッド・ミドラーやディオンヌ・ワーウィックのライブでも、ギターソロを取っていた映像がありましたが、残念ながら今はありません。

Buzz Feiten Tuning System(BFTS)と言う、チューニング法があり、バジー・フェイトンが特許を取っています。
1980年代に、自分もチューナーで合わせたはずのギターが、特定コードで汚い響きなのに気づき、チューニングで微調整していました。
自分の場合、良く使うコードがきれいに聞こえるように、合わせてチューニングしていましたので、BFTSまでにはたどり着いていませんでした。

その後もバジー・フェイトンは、現在までも、様々なアーティストのバックを務め、現在に至ります。
日本でのギター・クリニック映像を見ると、往年の機械のように正確なリズム感のギターも、少し衰えた気がしました。
どのような名人も、死ぬまで同じレベルを維持する事は、難しいようです。



「Further Notice」について

「Further Notice」は、アルバム「Larsen Feiten Band」の中で、異質なインストロメンタルの曲です。
ある意味、「Larsen Feiten Band」的な曲ではなく、ニール・ラーセンのソロアルバムの延長線上にあるような曲です。
1978年のライブ録音があるので、ニール・ラーセンのソロアルバムには入れられなかった曲なのでしょう。

イントロのキーボードですが、これはハモンド・オルガンじゃなく、シンセじゃないですかね?
ニール・ラーセンは1970年代半ばくらいから、レコーディングにシンセを使っていますし、自分の予想ではこれ、アープかオーバーハイムっぽく思います。
バッキングとオブリガード(主旋律を引き立てるために演奏される短いフレーズ)、両方に使われていますが、オーバー・ダブ(重ね録り)じゃないかと思います。

チャカポコと音を立てている、バジー・フェイトンのミュートカッティングが素敵です。

テーマに入って、主旋律はハモンドB3(オルガンの名機)。
ギターもユニゾンで旋律を奏でていますが、これはニール・ラーセンのファースト・ソロアルバム「Jungle Fever」からのお決まりのパターンです。
ニール・ラーセンを知る人は、ニール・ラーセンと言うとハモンドをイメージしますが、それはニール・ラーセンのソロアルバムと、このアルバム、2ndアルバムの「Full Moon featuring Neil Larsen & Buzz Feiten」の影響ですね。

ニール・ラーセンはキーボードのスタジオミュージシャンでもあり、このアルバムでも「Aztec Legend」で、素敵なピアノソロを披露しています。
アル・ジャロウのツアーメンバーの際は、ピアノ専門でした。
スタジオミュージシャンとしてのニール・ラーセンは、元々オルガンを弾くのは稀でした。
近年はむしろ、オルガンを弾かせるために、ニール・ラーセンを招く事の方が多いですけどね。

余談ですがちょうどこの頃、シンセサイザーが世に出だした事もあり、ギタリストの音楽仲間なんかは、ニール・ラーセンのハモンドオルガンの音を古臭いと断じていました。
オルガンなんぞ、シンセで代用出来ると。
ちなみに彼は、ギタリストなので、鍵盤が全く出来ず、シンセの知識もない人でした。
その判断は、ステレオタイプですらないなぁ・・・ただの分からず屋。

自分はと言うと、シンセ嫌いから一転、シンセ好きになると、積極的にシンセをいじり倒し、そのせいでキーボードの人に請われて、良く音のエディットをしました。
その自分にして、当時の100万以下の廉価な(当時としてはw)シンセで、オルガンの音を再現可能ではありましたが、本物のオルガンには到底かなわない、しょぼい音と言うのを知っていました。
オルガンのプレイに良く使われた、レスリー・スピーカーの再現なんて、夢のまた夢。
オルガンの音をシンセで代用なんてとんでもなく、本物のオルガンを買った方が、手っ取り早かった。
ちなみに、それほど複雑じゃないオルガンの音ならシンセでも、それなりに近い音には作れました。

それでも当時のプロのオルガン奏者は、オルガンからシンセに手を出すミュージシャンが多かったです。
ハモンド・オルガンの、存在感のある美しい音が見直され、復権するのは1980年代後半頃だったか。
同時期に、古臭い音と敬遠されていたアナログ・シンセサイザーも、美しい存在感のある音が見直されます。
楽器は、音が美しければ、なかなか死なないものです。

後年、ハモンド・オルガンを古いと断じたギタリストに当時の事を話したら、苦笑していました。
人間とは、それほど先を見通していないものです。



「Further Notice」におけるバジー・フェイトンのギターのセッティング

バジー・フェイトンは、ストラトタイプ、シングルコイル系のギターの音の印象があります。
エフェクターは、コンプレッサー、コーラス(もしかするとRoland CE-1?)、ディレイ、リバーブで、アンプで歪ませていると思います。
ギターの音は、こんだけエフェクターでキラキラした音にされると、元ギターが何が何やら。

遅目の深いディレイ音で、休符の後に、追いかけるようにディレイ音が来るのもこの当時の1つの特徴です。
1987年の「Through Any Window」以降は、曲によって、ディレイの設定を変えるようになりました。

あくまで私見ですが、ソロを出したばかりの高中正義は、音作りも手クセも、バジー・フェイトンの影響を受けていると思います。
高中正義が世に出て来た頃、フェンダーのストラトを使っていましたし、ギターの音作りはこの頃にそっくり。
不思議と、誰も指摘していませんけどね。

高中正義が、YAMAHA SG(SG-1000およびSG-2000)を使うようになったのは、そのすぐ後。
音作りは今度は、特注の仏陀もようのYAMAHA SG-175を使っていた、サンタナの影響を受けるようになりました。

バジー・フェイトンの所持ギターですが、自分の印象では、変態な、他の人が持っていないギターが多い気がします。
変態なギターとは、ハンパッキング×2、シングルコイル×2が付いたストラト・タイプのギターとか。
シングルコイルピックアップの位置を、上下に動かせるギターとか。
しかも、来日する度、異なる変態なギターを見かけました。

ちょうどこの頃、リッキー・リー・ジョーンズのバックをしていまして、前述のハンパッキング×2、シングルコイル×2が付いた変態なギターを弾いています。
ストラト風の黒いボディに、ローズネック(メイプルネックの指板にローズウッドを張っているもの)、ハンパッキング×2、シングルコイル×2が付いています。

テレビ番組で、口パクで「Who'll Be The Fool Tonight」を見せた時の映像です。
上の写真と同じギターを弾いています。

ネット上で調べたら、こちらのブログに情報がありました。

http://ilovemusic.exblog.jp/7386653/

フェンダー・ストラトの改造で、ハンパッキング×2、シングルコイル×2が付き。
ストラトの3ポジションスイッチで、シングルコイル×2、ハンパッキング×2、両方と言う切り替えが出来るそうです。
・・・つうかこのギター、やっぱり変態。

ライブでまれに、アームプレイも披露する事があります。
アルバム「Through Any Window」の「Last Call」でも、地味に(?)披露しています。

近年、ギターのプロデュースもしていますが、そのギターは常識にかなったものです。

バジー・フェイトンの機材ですが、自分には情報がありませんので、使用アンプが何かも分かりません。
一時期(1987年頃?)、マーシャルを使っていたとの情報はあります。
マーシャルを使っていた頃は、音作りが現在と異なりますので、違うように思います。



「Further Notice」におけるバジー・フェイトンのギター・ソロのスケール(音階)

スケールは、Cメジャースケール一本です。
スケールとは音階の事で、Fメジャースケールとは、Cから始まるメジャースケールと言うタイプの音階の事です。
メジャーコード(コード=和音)に合わせる音階です。
スケールとコードは、表裏一体です。

音階を表す時、C=ド、D=レ、E=ミ、F=ファ、G=ソ、A=ラ、B=シ(クラッシックではH)。

Cのメジャーコード、CまたはC△(他にもCM、Cmaj)の和音はⅠ-Ⅲ-Ⅴ、C-E-G。
メジャースケールの音階のタイプは、Ⅰ-Ⅱ-Ⅲ-Ⅳ-Ⅴ-Ⅵ-Ⅶ。
音の間隔は、Ⅰ(1音)Ⅱ(1音)Ⅲ(半音)Ⅳ(1音)Ⅴ(1音)Ⅵ(1音)Ⅶ(半音)となります。
ⅠをCに当てはめると、音階はC-D-E-F-G-A-Bとなります。
つまり、クラッシック的に言うとハ長調ですね。

C調の場合、ロックだとCメジャー・スケール(またはメジャー・ペンタトニック・スケール)、Cブルース・ペンタトニック・スケールだけでプレイ出来ます。
その内のCメジャー・スケール・・・と言う事ですね。

この辺ですでに、付いて行けない人多数でしょうね(苦笑)。

それが5小節目に、E♭が出て来ますが、スケールチェンジではありません。
スケールチェンジと言う解釈が成り立たないではありませんが、経過音として半音を使ったんだと思います。
先ほど、Cブルースペンタトニックスケールが使えると書きましたが、E♭は、Cブルースペンタトニックスケールの構成音です。
一瞬の響きは、Cブルースペンタトニックスケールっぽいですが、ここだけにしか出て来ていませんので、自分はただの経過音と判断します。

記憶に間違えなければ、バジー・フェイトンには、スケールチェンジする事があったはずです。



バジー・フェイトンのギター・プレイの傾向

ニール・ラーセンのハモンドの音がクール、そしてフレーズもクールなので、バジー・フェイトンのギターはホット、または扇情的と表現される事がありますが、果たしてそうでしょうか?
自分には、バジー・フェイトンのギター・ソロは、地味な職人技に思えます。

バジー・フェイトンと言うと、バッキング・ギター名人として知られています。
1970年代から1980年代にかけて、バッキング・ギター名人にレイ・パーカー・ジュニアがいました。
レイ・パーカー・ジュニアやナイル・ロジャース/ほどではないにしろ、様々なアルバムで、バッキング・ギターを弾き、当時白人ギタリストのカッティングでは有数との評価でした。

ギター・ソロでは休符や拍子の間や、フレーズを上手に使い、スリリングなギタープレイが多いように思います。
神様ジェフ・ベックも、スリリングなギタープレイが特徴ですので、違ったスリリングさを持つバジー・フェイトンのプレイが好きなのかも知れません。
バジー・フェイトンのスリリングなフレーズは、自分も多分に影響を受けています。

弦飛びフレーズの速弾き、その際にコードを意識した運指をする傾向があるように思います。
効果的な3連符や6連符の使用、歌い込まれた効果的チョーキング。

バッキング・ギター名人のせいか、ギター・ソロのリズム感が究極レベルです。
ロベン・フォードとは違い、タイミングを崩して弾いたりせず、フレーズが整っていて楽譜にしやすいです。

このあたりのフレーズ、プレイの安定感が、逆にギタープレイを地味に感じさせる一因のように思います。

バッキング・ギター、リードギター(ギター・ソロ)共に強い個性があり、一聴してバジー・フェイトンと分かります。
使う側も、バジー・フェイトンの個性が欲しくて、起用しているように思われ、個性が嫌われやすいスタジオ・ミュージシャンとしては、稀有の存在に思われます。

個性こそが、音楽をやる上で、かなり重要なポイントではないでしょうか?



「Further Notice」におけるギター・ソロ

ストラト系のギターを使う事が多い事もあり、サスティン(音の伸び)を活かしたフレーズはほぼ皆無で、休符を活かしたスリリングなフレーズです。
ストラト系はジョイント・ネック(ボディにネックをネジ止め)のため、サスティンが伸びないのです。
サスティン命のギタリストには、バジー・フェイトンはフレーズがあまりにアッサリしていて、ブチブチ音を切るので、拍子抜けするんだとか。

バジー・フェイトンも、本能のアドリブが素晴しいです。
同じ曲でも何の曲?・・・と言うくらい、全く異なるアドリブを弾きます。
このギター・ソロでも、フレーズは4小節とか8小節での解決を意識はしていますが、短かくてちょい足ししたり、小節をはみ出したりと、やんちゃをします(笑)。

このギター・ソロの場合、出だしから少しずつ16文音符を混ぜて、スリリングな感じを出しつつ、盛り上がる15小節目あたりから速弾きをして、最後から6小節目にはすぐに解決のフレーズに入ると言う、余裕の展開。
ここぞと言う時に決める、ピッキング・ハーモニックス(ピック弾きした後、ハーモニクスポイントにピックを持つ右手親指が触れる事で、ピック弾き音の後ハーモニクス音がする奏法)。
フレーズに全く、危なげありません。

この辺も、地味に感じさせるゆえんかも知れません。

メジャー・スケール一本でも、このスリリングさ、3連符や6連符、上手な休符の間、絶妙なリズム感、多少やんちゃなフレーズと相まって、ユニークな個性があり、フレーズに飽きが来ません。

以下、この曲のギター・ソロの譜面です。



1小節目-5小節目(1:28~1:37)

前の小節からギターソロがスタートする、弱起(小節の頭から始まらない)の展開。
音をゆったり伸ばすところと、メロディに16分音符を混ぜ、クールにフレーズ展開します。
5小節目、前のフレーズに付け足すように、フレーズを解決します。
恐らく、弾いてみたら1小節余ったんで付け足した・・・のではないかと、推察します(笑)。



6小節目-9小節目(1:38~1:44)

6小節目の1拍2音目の休符の後に、ディレイ音が来るのがお分かりでしょうか?
7小節目の頭抜きフレーズを経て、8小節目、9小節目の速いパッセージ。
拍の裏のタイミングで、次のフレーズに移るなど、何気ないですが非凡なセンスです。



10小節目-15小節目(1:45~1:55)

10小節目あたりから前もって、前半のギターソロの解決に向かいます。
11小節目、12小節目のフレーズを高い音に移し、盛り上げて行きます。
11小節目、12小節目と微妙に、フレーズを変えています。

13小節目は、ピッキング・ハーモニックス気味ですが、ピッキング・ハーモニックスを失敗したのでしょうか?

14小節のキメフレーズの後、15小節目から後半のソロに。
4小節パターンではありませんが、この2小節は、アレンジの都合で小節を増やしたのでしょう。

これに伴い、ドラムのアート・ロドリゲスのフィルインが、通常13小節目に入るところが、15小節目に入ってブレイクした後、フィルイン。
テーマのところにも出て来ますが、これドラマーとしては、意外なタイミングのフィルインです。
アルバム「Full Moon featuring Neil Larsen & Buzz Feiten」の「The Visitor」と言う曲でも、この不思議なタイミングのフィルインが、随所に出て来ます。



16小節目-19小節目(1:56~2:02)

16小節目に全音符のチョーキング(弦を引っ張って音程を変化させる奏法)の後、17小節目、18小節目と弦飛びフレーズの速弾き。
このフレーズは、バジー・フェイトンの手クセが混じっています。
弦飛びフレーズは、あまりスピード感を感じないものです。

19小節目、フレーズを解決させたと思いきや、最後にちょい足ししています。



20小節目-23小節目(2:03~2:11)

20小節目の拍子の裏のタイミングのフレーズから、21小節目の速いパッセージ、22小節目、23小節目の機械のように正確なタイミングの3連符が、カッコ良いです。
プロでも、突然3連符を繰り出すと、クセが出るものですけどね。



24小節目-29小節目(2:33~2:40)

ここから余裕を持って、フレーズの解決に入ります。
想像ですが、大まかにはフレーズ展開を考えているように思います。
ちょい足しっぽいフレーズから、細部はアドリブなんでしょうけど。

最後に決めフレーズがあるので、前半の解決のフレーズあたりのポジショニングですね。
27小節目は、きれいにピッキング・ハーモニックスを決めます。
そしてキメフレーズで、ギター・ソロ終了。
さらにドラムのアート・ロドリゲスのフィルインが、不思議なタイミングで来ます。


この曲、有名ではないのですが、それでもYouTubeにカバーしている人がいるので、このギター・ソロが好きな人もいると言う事ですね。

かく言う自分も、バジー・フェイトンのギター・ソロは大好きですし、バッキング・ギター含め勉強にもなり、影響も受けました。



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コメント

彼のプレーが神がかっていた時代は
バターフィールド在籍時代からニール・ラーセンのソロが出た時までが私の意見です。
ここでは取り上げておられませんが、ラシカルズの「The Island of Real」「Peaceful World」は名盤中の名盤です。
72年近辺の彼のスタジオワークも素晴らしい物が沢山あります。
その仕事はラーセン・フェイトン・バンドのそれよりも素晴らしいプレイです。
現在60歳の私です。
高校生の時に輸入盤の「Full Moon」を初めて聴いた、
彼バジーのファンです。
宜しく('◇')ゞ

投稿: Azu | 2016年11月30日 (水) 16時10分

すいません!
ラスカルズがラシカルズになっていました!W

投稿: Azu | 2016年11月30日 (水) 16時12分

Azuさん、コメントありがとうございます。

ニール・ラーセンのソロ以前・・・実は、あまり聴けておりません。
スティービー・ワンダーとか、フェリックス・キャバリエ、デビッド・サンボーン(ニール・ラーセンのソロ以前?)とか。
Full Moonも、永らく聴きたかったですが、聴けたのは再版された1990年代(2000年代?)。

ニール・ラーセンのソロ以前は、これからの宿題と言う事で、徐々に聞いて行きたいと思います。

投稿: 醍醐 | 2016年12月 7日 (水) 08時54分

スティーヴィーは72年のミュージック・オン・マイ・マインド。
サンボーンは75年の初ソロアルバムでテイキング・オフ。
キャバリエは74年のデェスティニーにそれぞれバジーが参加しています。
この頃はジャンキーで治療もしていた頃です。
72年にはグレッグ・オールマンのアルバムにも参加しています。
キャバリエはラスカルズの中心人物でヤング・ラスカルズからラスカルズに名前を変えてからのアルバム2枚にバジーが参加してます。
時代背景を察するにバジーのプレーは神がかっています。
72年の元祖フルムーンも時代背景から、先を行き過ぎてる感がある名盤です。
ニール・ラーセンはフルムーンの後にソウル・サバイヴァーズと言うバンドに加入します。
当時を愛していた私にとって、名プロデューサー(トミー・リピューマ)が仕掛けたAORの売れ線のアイドル路線がラーセン・フェイトン・バンドと言う思いなんです。

投稿: Azu | 2016年12月 9日 (金) 02時07分

Azuさん、なかなか返信出来ず、申し訳ございません。

グレッグ・オールマン、ラスカルズは聴いていませんね。
探してみます。
情報ありがとうございました。

投稿: 醍醐 | 2016年12月25日 (日) 04時49分

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