A1021.食材と調理法(料理/日本)

2015年3月 7日 (土)

食材と調理法 第三回 とんかつ

 食べ歩きの企画を止めたので、代わりに食材と調理法について、思うところを書いて行きたいと思います。
 不定期更新ですが、最低1ヵ月1回くらいは、更新したいですね。
 これまでとは、読者層が異なり、クックパッドに投稿している人なんかが嬉しいでしょうか?

 しかし実はこのような考えも、食べ歩きする人にも持ってもらいたいものです。
 料理や食材の事を知らずして、美味い不味いの判断は、本来出来ないはずです。


目的

 ・食材について知る
 ・食材の特徴について知る
 ・食材への調理法の考察
 ・食材の定番料理の紹介
 ・食材の栄養の考察

 さらに以下の事柄についても、記載したいと思います。

 ・調理法や料理の紹介
 ・伝統的料理の紹介
 ・ソースや調味料の紹介
 ・調理器具の紹介

 ぶっちゃけ、料理に関する全ての事柄ですね。

 今回は料理についての珍しさを、以下のマークで記します。
 まあ、いつも通りの使い回し(苦笑)。

 ・・・ほとんど幻
 ・・・特注すればあるいは
 ・・・専門店でもめったにない
 ・・・専門店のメニューなら
 ・・・たまに見かける
 ・・・ポピュラー


 ちなみに、かのサイトの記事をそのままコピペしますので、文体はですます調ではなく、体言止めで書きます。



とんかつ

 ・・・ポピュラー



とんかつの歴史


ミラノ風カツレツ以前



 イタリアミラノの名物料理、ミラノ風カツレツは、叩いた骨付き仔牛肉にパン粉を付け、フライパンでひたひたの油で、揚げると言うより焼くようにして作られる。
 とんかつカツレツの、ルーツとなる料理だ。
 コストレッテ(Costolette)コトレッテ(Cotolette)は、元々「あばら骨」という意味だった事に注意を払いたい。

 出典不明だが、ミラノ風カツレツは、中東からスペイン経由で、イタリアに伝わったと、一般的に考えられている。
 そうであれば、スペインから中東にかけて、ミラノ風カツレツの原型となる料理があるはずである。
 しかし、スペインでの同料理の名称はミラネサ(Milanesa)と言い、スペインではこの料理の起源は、アルゼンチンとされている。
 じゃあ、アルゼンチンミラネサの起源はと言うと、ミラノ風カツレツなのだそうだ。

 どういう事だろうか?

 この例からすると、ミラノ風カツレツ中東からスペイン経由で伝わったとは考えにくい。
 東欧にも、同様の料理があるが、東欧からイタリアに伝わったとも考えにくい。
 東欧へは、フランスからコートレット(Côtelette)が伝わったもので、コートレットのルーツは、ミラノ風カツレツなのだ。
 確かに古くから、中東には、仔牛の足や耳にパン粉をつけて揚げる料理があったが、その起源は現在のところ不明。
 まとめると、想定されるカツレツの起源は、以下の通り。

 ・中東から直接ミラノに伝わった
 ・ヨーロッパに住んでいたアラブ人からミラノに伝わった
 ・ミラノがルーツ



ミラノ風カツレツ



 ミラノ風カツレツは、1814年に出版されたミラノの辞典に、その名称が登場したのが最初。
 しかし、1134年のミラノの聖アンブロジオ教会での食卓に出された、パン粉をつけた仔牛ロース(Lombolos cum panitio)という料理の記述が見られる。
 1148年の歴史家、ロマーノ・ブラッチャリーニの著作、「ミラノの歴史(Storia di Milano)」に、パン粉を付着させた仔牛の腰肉(lombos cum panitio)の料理の記録がある。
 また、12世紀の記録に、パン粉をまとったラム肉の記述があり、これもミラノ風カツレツの原型が伺える。
 1368年6月15日、ミラノのベルナルディー・コーリオ(Bernardino Corio)で、エドアルドⅢ世の相続人、ガレアッツォⅡ世の娘の結婚式を行った際の料理に、パン粉をまとった料理の記録が見受けられる。
 1492年、料理人のマエストロ・マルティーノ・ダ・コモの記録に、仔牛肉にパン粉をまとわせ、焼くと言う、ミラノ風カツレツとほとんど同じレシピが書かれている。



ウィーン風カツレツ



 ウィーン風カツレツ・・・ウィンナー・シュニッツェルとして知られるこの料理は、一般的にはラデッキー将軍がウィーンに伝えたとされる。
 1848年3月、当時オーストリア帝国ミラノの3月革命・・・つまり暴動の鎮圧に、ヨハン・ヨーゼフ・ヴェンツェル・フォン・ラデツキー伯爵(Johann Joseph Wenzel Graf Radetzky von Radetz/名前長っ!!)が軍を率いて鎮圧した。
 ちなみに、この時功績を称えて、ヨハン・シュトラウス1世が作ったのが、かの有名なラデッキー行進曲である。
 ラデッキー将軍が、この時ミラノからミラノ風カツレツをオーストリア宮廷に持ち込んだのが元になり、ウィンナー・シュニッツェルが誕生したと言われている。

 しかしそれは、俗説だろう。
 1831年マグダレーナ・D・レッティグ (Magdalena D.Rettig)の書いた「家庭の料理人(Die Haus-Koechin)」と言う本に、子牛肉の薄切り揚げと言う料理が出て来る。



キエフ風カツレツ



 料理名は、コートレット・アラ・キエフ(Côtelette à la Kiev)。一応ロシア語で、コトレータ・ポ・キエフスキ(kotleta po Kievski/котлета по-Киевски)と言う。
 キエフウクライナの首都。ウクライナ料理と思ったら、さにあらず。ウクライナには、同名の料理は無いのだそうな。
 フランスの食品加工業者、ニコラ・フランソワ・アペール(Nicolas Francois Appert)が、この料理を発案し、それを知ったニューヨークの料理人が、ロシア移民の客を喜ばせるために、キエフ風と名付けた。
 それがヨーロッパに逆輸入されたと言われている。



各国のカツレツ

 ■イタリア
 ミラノ風カツレツ
 Cotoletta alla Milanese(コトレッタ・アッラ・ミラネーゼ)/Costoletta alla Milanese(コストレッタ・アッラ・ミラネーゼ)
 使用食材=仔牛
 古い記録=12世紀

 ■ドイツ
 ウィーン風カツレツ
 Wiener Schnitzel(ウィンナー・シュニッチェル)
 使用食材=仔牛
 古い記録=18世紀

 ■スペイン/アルゼンチン
 ミラネサ
 Milanesa(ミラネサ)
 使用食材=仔牛
 古い記録=19世紀

 ■ポーランド
 ポーランド風トンカツ
 Kotlet Schabowy(コトレット・スハホーベ)
 使用食材=豚肉
 古い記録=不明

 ■フランス
 キエフ風カツレツ
 Côtelette à la Kiev(コートレット・アラ・キエフ)/kotleta po Kievski(コトレータ・ポ・キエフスキ)
 使用食材=鶏肉
 古い記録=20世紀

 ■ロシア
 ポジャルスキー風カツレツ
 Pozharskie Kotlets/пожарские котлеты(ポジャールスキエ・コトレートィ)
 使用食材=ヤマウズラ、ライチョウの肉、子牛と牛の合挽肉、鶏、仔牛、鮭
 古い記録=20世紀?

 ■ロシア
 スコベレフ風カツレツ
 Telyachie Otbivnye Kotlety Skobelevskie/телячие отбивные котлеты Скобелевские(テリャーチエ・オトビヴヌィーエ・コトレーティ・スコベレフスキェ)
 使用食材=仔牛
 古い記録=20世紀?

 ■イスラエル
 シュニッチェル
 Schnitzel(シュニッチェル)
 使用食材=仔牛、豚肉、鶏肉
 古い記録=不明

 ■日本
 カツレツ/とんかつ
 使用食材=豚肉
 古い記録=1899年



カツレツ日本登場

 万延元年(1860年)に発刊された、福沢諭吉華英通語には「cutlet(吉列)」が記述されている。



カツレツの誕生



 明治28年(1895年)創業の煉瓦亭は、当初本格的西洋料理を出す店としてスタートしたが、なかなか人気が出なかった。
 このままでは店が立ちゆかなくなってしまうと、初代料理長木田元次郎が必死になり、新しい料理を模索し始めた。
 ついに明治32年(1899年)に、仔牛料理であるコートレット(Côtelette)と言う料理を参考に、仔牛を豚肉に変更したり、生パン粉を肉にまとわせたりして、天ぷらのように油で揚げる料理を完成させた。
 これが洋食屋で言うカツレツとんかつの始まりである。



カツレツの調理技法の洗練



 昭和4年(1929年)頃、当時の宮内省大膳職での調理経験がある島田信二郎氏が、上野ポンチ軒に勤務している頃、厚切り肉の中心まで火を通す調理法・・・100度から120度の低音の油で、時間をかけて揚げる・・・を考案して、ポンチ軒で出すようになった。
 ポンチ軒では、初めて客に出す前、カツレツを切って、箸で食べられるようにした。ポンチ軒は、東京大空襲で廃業した。
 その後、島田信二郎氏は、現在のぽん多本家を創業する。
 ポンチ軒が、とんかつと言う名称を使ったとの説もあるが、息子の島田忠彦氏によると、島田信二郎氏は、とんかつと言われるのが大嫌いだったそうだ。



カツレツからとんかつへ

 とんかつと初めて呼んだのは、以下の4説ある。

 ・昭和4年(1929年)頃、上野ポンチ軒(現在廃業)

 ・昭和7年(1932年)頃、上野楽天(現在廃業)→支店の川越楽天は現存



 ・昭和8年(1933年)頃、浅草喜利八(現在廃業)

 ・昭和15年(1940年)頃、新宿王ろじが、当時カツレツと呼ばれていたのを平仮名で、「とんかつ」と表記した



 上野ポンチ軒は、上記から、とんかつと初めて呼んだ店ではないように思う。



とんかつ/カツレツのコンセプト



 とんかつを作る上での重要なテーゼは、豚肉を美味しく食べさせると言う事。

 まずは豚肉脂身が、人間の体温でサラリと溶ける、質の良い豚肉を準備する。
 質の良い豚肉を準備し、充分に熟成させる事。

 豚肉の表面のパン粉は、肉汁の流出を防ぐのが1番の目的で、カリッとさせるか否かは2義的問題。
 しかし肉と衣の一体感は必要で、衣が剥がれやすいのは問題(衣が剥がれるなら、とんかつにする意味はないのでは?)。

 衣は、豚肉の食感を損なわないよう、控え目な存在感にすることが望ましい。
 振るった細かいパン粉から、中目くらい(市販のパン粉程度)までが望ましい。
 粗いパン粉は、より衣に油を吸うばかりでなく、食感が豚肉の味を阻害する。

 豚肉の旨味を素直に味わうため、胡椒で下味をつける。
 とんかつとんかつソース等の調味料をつけ過ぎると、豚肉の味が分かりにくくなる。
 適度な量の調味料と合わせる事で、とんかつがちょうど良い分量になる。



とんかつ/カツレツのレシピ



 ①豚肉をカットする
 カットする厚みで、揚げ方が異なるので注意。
 肉を厚く(5ミリ以上)切って、高温揚げすると、豚の赤身肉に火を通すのに時間がかかり、赤身肉の肉汁が飛んでパサパサになる。
 厚切りする場合、中温揚げ、または低温揚げが適する。

 ②下味をつける
 豚肉に、軽く胡椒する。

 ③小麦粉をつける
 パン粉の定着を良くさせるため、豚肉に、薄く小麦粉を付け、余分な小麦粉ははたいて落とす。
 人によっては、バッター液を使用する場合があるが、揚げて水分が飛ぶと、肉と衣の間に隙間が出来、衣が剥がれ易くなるので、オススメしない。

 ④玉子にくぐらせる
 しっかり溶いた玉子にくぐらせる。

 ⑤パン粉を付ける
 パン粉をつけ、余分はパン粉ははたいて落とす。
 パン粉は、振るった細かいものから、中目くらい(市販のパン粉程度)までが望ましい。
 粗いパン粉だと、揚げた時にパン粉の食感が立ち過ぎて、豚肉の味わいが希薄になる。

 カリッとした粗いパン粉は、美味いとんかつではなく、むしろ衣の食感が豚肉の味わいのじゃまなだけ。



とんかつ/カツレツの揚げ方(魔神式分類)



 【油鍋式】
 たっぷりの油で揚げる最もポピュラーな、巷の大部分のとんかつカツレツの調理法。
 ・高温揚げ 160度~180度 煉瓦亭を始めとする大部分とんかつ屋はこの温度
 衣はパリッとしてワイルドな揚がりだが、赤身肉はパサパサする
 ・中温揚げ 130度~160度 かつ吉(かつきち)菩提樹かつ良とんかつ丸五塩梅(あんばい)喝(かつ)とん太かつ銀フリッツ
 衣をパリッと赤身肉はしっとりジューシーに揚がる
 ・低温揚げ 100度~130度 ぽん多本家蘭亭ぽん多ぽん太喝(かつ)の極厚ロースカツ
 衣はあまりパリッとしないが、赤身肉はしっとりジューシーに揚がる
 ・2度揚げ 高温と中温、または低温の油を用意し、低温→高温、またはその逆順で揚げる 本家あげつきすぎ田
 衣をパリッと赤身肉はしっとりジューシーに揚がる

 【コートレット式/焼きかつ】
 ・コートレット式 フライパンでひたひたの油から少量の油で、焼くように揚げる とり茂(栃木県)等
 ・焼きかつ コートレット式と同じか、より少な目の油で、焼くように揚げる 桃タロー(浅草)等

 【丸栄式】
 油の入っていないフライパンに火を入れ、衣を付けたとんかつを入れ、とんかつがひたひたになるだけ量のラードを入れ、低温から高温になるまでじっくり揚げる、コートレット式の変形 丸栄(まるえい)



揚げ油の種類



 ・植物油
 カラッと軽やかに揚がり、油の種類によって、衣にうっすら香りが出たりする

 ・ラード
 ほとんど豚脂肪が使われ、味わいにコクが出る

 両者をブレンドして揚げる場合もある。



調味料



 多くの人は、何の疑問も持たず、とんかつカツレツにソースをかけて食べているだろうが、実はそれ以外にも様々な調味料と相性が良い。一度試されてはいかがだろうか?

 【塩】
  油っぽさが少なく、サラッとした豚脂肪の高品質豚肉を使った、高級とんかつでは、で食べる事で、豚肉の質の高さが味わえる。

 【醤油】
  生醤油ではなく、煮切り醤油を使う方が望ましいが、知る限り煮切り醤油を出す店はない。
  とんかつをサッパリと食べられる。
  生醤油だと、熟成不足の豚赤身肉は、醤油風味に負けてしまう事がある。
  白醤油の場合は、醤油特有の風味が穏やかなので、特にとんかつをサッパリと食べられる。
  たまり醤油だと、通常の醤油より濃厚な味わいなので、かなり旨味が強い豚赤身肉でないと、風味に負けてしまう。

 【ポン酢】
  ポン酢の酸味は、とんかつをサッパリと食べられる。
  特に、大根おろしとの併用は、とんかつをさらにサッパリさせる。
  ポン酢は、市販ではなく、自作すると酸味や濃度調節も適切に出来、さらに美味い。

 【ソース】
  最も古く日本に伝わったのがウスターソースで、煉瓦亭ぽん多本家では、ウスターソースが出される。
  しかし、ウスターソース特有の香辛料と酸味は、とんかつと相性が良いとは言い難く、1948年に道満調味料研究所が、甘味があり、酸味は穏やかで、粘度の高いとんかつソースを開発した。
  市販されている大メーカーのとんかつソースは、ほとんどが化学調味料や添加物が多く、不味くて、高級とんかつにはそぐわない。
  とんかつ屋によっては、市販のとんかつソースにアレンジして出す事もあるが、ベースが化学調味料や添加物まみれのソースならば、意味がない。
  例えば、ブルドック有機とんかつソースや、ユニオンソース月星食品等一部のメーカでは、品質が高く、味の良いソースも作られている。

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