Music

2015年5月 8日 (金)

Further Notice / Larsen Feiten Band

またまた、古い曲のギター・ソロを取り上げてしまいます。
かつて完コピした事もあり、譜面化しやすく、取り上げやすいのです。
数ヶ月前から、ギターを弾くのを再開していまして、かつて自分がコピーしたのを記録で残したい意図もあります。


Larsen Feiten Bandについて

Larsen Feiten Bandは、1972年にアルバム1枚だけリリースした後、消えて行ったバンド、Full Moonの主要メンバー、キーボードのニール・ラーセン、ギタリストのバジー・フェイトンを中心にしたロック/フュージョンバンドです。

Full Moonが解散した原因ですが、1つには商業的に成功しなかったと言う事もあったでしょう。
しかし一方で、プロのミュージシャンや音楽評論家から、伝説のアルバムとして当時から語られていましたから、2ndがリリースされてもおかしくなかったように思います。

後に判明したのは、主要メンバーのバジー・フェイトンの薬害(つまりラリった後遺症)だったそうです。
バジー・フェイトンは、表向き失踪と言う事になっていて、1978年に発表したニール・ラーセンのソロアルバム、「Jungle Fever」で久々表舞台に復帰、ニール・ラーセンとの名コンビが復活しました。

このコンビは1979年、ニール・ラーセンの2ndソロアルバム、「Hogh Gear」を経て、「Horizon」レーベルの倒産により、ワーナーパイオニアに移籍します。
Full Moon再びと結成したのが、Larsen Feiten Bandです。
1980年に、キーボードのニール・ラーセン、ギタリストのバジー・フェイトンを中心に、他のメンバーは一新して、アルバム「Larsen Feiten Band」を発表します。

Keyboards - Neil Laesen
Guitar - Bazz Feiten
Bass - Willie Weeks
Drums - Art Rodriguez
Percussions - Lenny Castro

今となっては、有名とは言い難いですが、当時はLAの中堅スタジオ・ミュージシャンとして名を馳せ、有名ミュージシャンのツアーメンバーをしていた、一芸に秀でた面々です。
つまり、バンド全体として、音楽技量が高いです。
ウイリー・ウィークスは地味に生き残り、現在も第一線で活躍しています。

「Jungle Fever」、「Hogh Gear」、そしてアルバム「Larsen Feiten Band」は、プロデューサーが、大プロデューサーのトミー・リピューマ。
当時から活動する音楽プロデューサー、宮住俊介氏のブログに、トミー・リピューマが、「Jungle Fever」をリリースした新人アーティスト、ニール・ラーセンの日本のライブに、サポートに来ていたエピソードが語られていました。

ニール・ラーセンは、「Jungle Fever」、「Hogh Gear」のプロデュースでお世話になったトミー・リピューマに、プロデュースを依頼しました。
トミー・リピューマについては、後述します。

その後、Larsen Feiten Bandはメンバーはそのままで、1982年にFull Moon名義のアルバム、「Full Moon featuring Neil Larsen & Buzz Feiten」を出しました。
アルバム「Larsen Feiten Band」から2年と間が空き過ぎていますし、Larsen Feiten Bandはそれなりに曲も売れ、知名度もありましたので、バンド名を変えるなど正気とは思えません。
「Full Moon featuring Neil Larsen & Buzz Feiten」では、「Twilight Moon」と「Standing In Line」のベースだけジミー・ヘイスリップ(当時イエロージャケッツのベーシスト)。
もしかして、メンバー不和?

1981年モントルー・ジャズ・・フェスティバルでアルバムに収録されていない、「Casino Lights」、「E Minor Song」の新曲を発表(ライブアルバム、Casino Lightsに収録)したりしましたが、その後アルバムをリリースする事はなく、バンドとしては活動停止。

1987年、恐らくYAMAHAの働きかけ(YAMAHAのシンセサイザーを売る目的があったと推察する)がきっかけではないかと思いますが、ニール・ラーセンがソロアルバム、「Through Any Window」を出した際に、再びバジー・フェイトンとコンビ再開。
1989年、ニール・ラーセンのソロアルバム、「Smooth Talk」で再びバジー・フェイトンと競演します。

1999年、バジー・フェイトンが「Buzz Feiten & The New Full Moon」と言うアルバムを出した時、不思議な事にキーボードはニール・ラーセンではありませんでした。
2007年、ニール・ラーセンのソロアルバム、「Orbit」でのギタリストは、不思議な事にロベン・フォード
バジー・フェイトンとニール・ラーセンの間に、何かあったのでしょうか?

自分は2人のファンなので、再び競演する事を期待します。



アルバム「Larsen Feiten Band」について

そんなLarsen Feiten Bandの1980年リリースのファーストアルバム名は、「Larsen Feiten Band」!?
まあ外人ミュージシャンには、良くあるアルバムタイトル(と言うよりアルバムタイトルなし)です。

メンバーは、下記の通りです。
Organ/Synth - Neil Larsen
Guitar - Buzz Feiton
Bass - Willie Weeks
Durms - Art Rodriguez
Percussion - Lenny Castro

プロデューサーは、AORブームと同じ頃に名を上げた、トミー・リピューマ。

トミー・リピューマは、アメリカの高名な音楽プロデューサー。
キャリアの内、30回ものグラミー賞ノミネート、内3回グラミー賞を受賞しています。
ジョージ・ベンソンや ナタリー・コール、サンドパイパーズを始めとして、イエロージャケッツ、ダイアナ・クラール、ジョー・サンプル、ドクター・ジョン、ランディ・クロフォード、ラリー・ゴールディングス等、プロデュース作品は枚挙にいとまがありません。

ちなみに、トミー・リピューマが手がけたアルバムのテイストが、アーティストによって著しく異なり、トミー・リピューマの色を感じないのを不思議に思っていました。
個人的にトミー・リピューマをご存知の、とある方に聞いたのですが、トミー・リピューマのプロデュースとは、アルバムの方向性を決め、どのように売るか・・・と言うのが専門だったそうです。
ご自分が打ち出したアルバムの方向性通りに曲を作れば、曲の細部に干渉しなかったようですよ。
トミー・リピューマはそれほど、音楽に詳しい方ではなかったようです。

現在ではトミー・リピューマがプロデュースした作品を、AORに分類する人がいます。
しかし、音楽的にAORじゃないプロデュースは数多くあり、そんな判で押したような分類は意味がないように思います。

ニール・ラーセンの、ファーストソロアルバムのプロデュースも、トミー・リピューマが手がけていました。
自分が思うに、このバンドは音楽性をポップ路線に発揮して、売り出したかったように思います。

そのせいか、このアルバムでは8曲中、6曲が歌もの、インストロメンタルは2曲しかありません。
このバンドは、フュージョンの手法を生かして、ポップな歌ものを志向していたように思います。
ジャズの音楽理論を活かした、ポップなロック・・・そうすると、ほとんどAORですけどね(笑)。

シングルカットした「Who'll Be The Fool Tonight」が、ビルボード40位以内と健闘し、続いて「Danger Zone」、「She's Not In Love」とシングルカットしました。
アルバムのビルボード順位は不明です。
少なくとも、売り上げが先細りしそうなフュージョン路線より、商業的には成功したと思います。

Larsen Feiten Bandのライブ録音(一応洋板で流通していたもの)を聞くと、ライブでは大部分がインストロメンタルをしていました。
バンド・・・特に中心的役割のニール・ラーセンには、歌モノが不本意だったのかも知れません。

そのせいかどうか、2ndアルバムの「Full Moon featuring Neil Larsen & Buzz Feiten」では8曲中4曲がインストロメンタルです。
インストロメンタルの良し悪しを理解出来ない人・・・特にAOR好きには、インストロメンタルの多い2ndアルバムはボロクソに評価されています。

自分の評価は逆で、このアルバム「Larsen Feiten Band」は急ごしらえした感が随所に見られ、曲によっては残念な出来に思えます。
それに対して、2ndアルバムの「Full Moon featuring Neil Larsen & Buzz Feiten」の方が、どの曲もしっかり練られ、クズ曲のない名アルバムだと思います。
アルバム「Larsen Feiten Band」から「Full Moon featuring Neil Larsen & Buzz Feiten」まで、2年かかっていますが、多少はアルバム完成度と関係しているように思います。

ただ残念ながら、「Full Moon featuring Neil Larsen & Buzz Feiten」のアルバム収録曲は、ファーストアルバムほどヒットしませんでした。
ヒットしたかどうかと、良い曲かどうかには、因果関係はありません。
ちなみに、自分のフェイバリット・アルバムでもあります。

それなのに、曲がヒットしたかどうかで、音楽の良し悪しを判断する人がいるのは、残念です。



Buzz Feitonについて

実は自分がバジー・フェイトンを知ったのは、神様ジェフ・ベックが1970年代の終わり頃に、バジー・フェイトンをフェイバリット・ギタリストの1人に挙げていたからです。
バジー・フェイトンの名を知らなかった自分は、バジー・フェイトンの参加アルバムを探し、ニール・ラーセンやLarsen Feiten Band、デビッド・サンボーン、フェリックス・キャバリエに出合いました。

本名、ハワード・フェイトン。
バジーはあだ名で、現在の芸名です。
経歴を調べると、元々ギターではなく、フレンチ・ホルン奏者として、身を立てようと考えいました。
母はピアニストで、幼い頃からハワード少年にクラッシックを習わせていたそうです。
その後、例えばリッキー・リー・ジョーンズのオーディション落ちたりしていまして、ポール・バターフィールド・ブルース・バンドに、学生の身ながらフレンチ・ホルン奏者としてデビューします。

その後、ロック史に残るロックバンド、クリームのサポートメンバー(この時ギターだったかどうか不明)として参加。
また、ジミ・ヘンドリックスのバンドのベーシストとして、ツアーに参加。
この当時、あるライブハウスで、クリームのリーダーの神様エリック・クランプトン、神様ジェフ・ベック、ジミ・ヘンドリックスが飛び入り参加して一緒に演奏した際、バックメンバーを務めていたそうです。

ギタリストとしては、この後頭角を現し、ポール・バターフィールド・ブルース・バンドのギタリストを皮切りに、スティービー・ワンダー、アレサ・フランクリン、ボブ・ディラン、リッキー・リー・ジョーンズ、フェリックス・キャバリエ、デビッド・サンボーン等、そうそうとした大アーティストのレコーディングのギタリスト、ツアーのサポート・ギタリストを務めます。

Youtubeに、大スター、オリビア・ニュートン=ジョンのライブで、マイケル・ランドウ(この人も名ギタリスト)とバジー・フェイトンがギター・ソロを取る映像がありました。
これって、マイケル・ランドウと共に、バジー・フェイトンが特別扱いされていると言う事です。
0:29からが、バジー・フェイトンのソロです。

1980年のリッキー・リー・ジョーンズ(この人もスターです)のライブでギターを弾いている映像があります
こちらも同日の映像です

以前はベッド・ミドラーやディオンヌ・ワーウィックのライブでも、ギターソロを取っていた映像がありましたが、残念ながら今はありません。

Buzz Feiten Tuning System(BFTS)と言う、チューニング法があり、バジー・フェイトンが特許を取っています。
1980年代に、自分もチューナーで合わせたはずのギターが、特定コードで汚い響きなのに気づき、チューニングで微調整していました。
自分の場合、良く使うコードがきれいに聞こえるように、合わせてチューニングしていましたので、BFTSまでにはたどり着いていませんでした。

その後もバジー・フェイトンは、現在までも、様々なアーティストのバックを務め、現在に至ります。
日本でのギター・クリニック映像を見ると、往年の機械のように正確なリズム感のギターも、少し衰えた気がしました。
どのような名人も、死ぬまで同じレベルを維持する事は、難しいようです。



「Further Notice」について

「Further Notice」は、アルバム「Larsen Feiten Band」の中で、異質なインストロメンタルの曲です。
ある意味、「Larsen Feiten Band」的な曲ではなく、ニール・ラーセンのソロアルバムの延長線上にあるような曲です。
1978年のライブ録音があるので、ニール・ラーセンのソロアルバムには入れられなかった曲なのでしょう。

イントロのキーボードですが、これはハモンド・オルガンじゃなく、シンセじゃないですかね?
ニール・ラーセンは1970年代半ばくらいから、レコーディングにシンセを使っていますし、自分の予想ではこれ、アープかオーバーハイムっぽく思います。
バッキングとオブリガード(主旋律を引き立てるために演奏される短いフレーズ)、両方に使われていますが、オーバー・ダブ(重ね録り)じゃないかと思います。

チャカポコと音を立てている、バジー・フェイトンのミュートカッティングが素敵です。

テーマに入って、主旋律はハモンドB3(オルガンの名機)。
ギターもユニゾンで旋律を奏でていますが、これはニール・ラーセンのファースト・ソロアルバム「Jungle Fever」からのお決まりのパターンです。
ニール・ラーセンを知る人は、ニール・ラーセンと言うとハモンドをイメージしますが、それはニール・ラーセンのソロアルバムと、このアルバム、2ndアルバムの「Full Moon featuring Neil Larsen & Buzz Feiten」の影響ですね。

ニール・ラーセンはキーボードのスタジオミュージシャンでもあり、このアルバムでも「Aztec Legend」で、素敵なピアノソロを披露しています。
アル・ジャロウのツアーメンバーの際は、ピアノ専門でした。
スタジオミュージシャンとしてのニール・ラーセンは、元々オルガンを弾くのは稀でした。
近年はむしろ、オルガンを弾かせるために、ニール・ラーセンを招く事の方が多いですけどね。

余談ですがちょうどこの頃、シンセサイザーが世に出だした事もあり、ギタリストの音楽仲間なんかは、ニール・ラーセンのハモンドオルガンの音を古臭いと断じていました。
オルガンなんぞ、シンセで代用出来ると。
ちなみに彼は、ギタリストなので、鍵盤が全く出来ず、シンセの知識もない人でした。
その判断は、ステレオタイプですらないなぁ・・・ただの分からず屋。

自分はと言うと、シンセ嫌いから一転、シンセ好きになると、積極的にシンセをいじり倒し、そのせいでキーボードの人に請われて、良く音のエディットをしました。
その自分にして、当時の100万以下の廉価な(当時としてはw)シンセで、オルガンの音を再現可能ではありましたが、本物のオルガンには到底かなわない、しょぼい音と言うのを知っていました。
オルガンのプレイに良く使われた、レスリー・スピーカーの再現なんて、夢のまた夢。
オルガンの音をシンセで代用なんてとんでもなく、本物のオルガンを買った方が、手っ取り早かった。
ちなみに、それほど複雑じゃないオルガンの音ならシンセでも、それなりに近い音には作れました。

それでも当時のプロのオルガン奏者は、オルガンからシンセに手を出すミュージシャンが多かったです。
ハモンド・オルガンの、存在感のある美しい音が見直され、復権するのは1980年代後半頃だったか。
同時期に、古臭い音と敬遠されていたアナログ・シンセサイザーも、美しい存在感のある音が見直されます。
楽器は、音が美しければ、なかなか死なないものです。

後年、ハモンド・オルガンを古いと断じたギタリストに当時の事を話したら、苦笑していました。
人間とは、それほど先を見通していないものです。



「Further Notice」におけるバジー・フェイトンのギターのセッティング

バジー・フェイトンは、ストラトタイプ、シングルコイル系のギターの音の印象があります。
エフェクターは、コンプレッサー、コーラス(もしかするとRoland CE-1?)、ディレイ、リバーブで、アンプで歪ませていると思います。
ギターの音は、こんだけエフェクターでキラキラした音にされると、元ギターが何が何やら。

遅目の深いディレイ音で、休符の後に、追いかけるようにディレイ音が来るのもこの当時の1つの特徴です。
1987年の「Through Any Window」以降は、曲によって、ディレイの設定を変えるようになりました。

あくまで私見ですが、ソロを出したばかりの高中正義は、音作りも手クセも、バジー・フェイトンの影響を受けていると思います。
高中正義が世に出て来た頃、フェンダーのストラトを使っていましたし、ギターの音作りはこの頃にそっくり。
不思議と、誰も指摘していませんけどね。

高中正義が、YAMAHA SG(SG-1000およびSG-2000)を使うようになったのは、そのすぐ後。
音作りは今度は、特注の仏陀もようのYAMAHA SG-175を使っていた、サンタナの影響を受けるようになりました。

バジー・フェイトンの所持ギターですが、自分の印象では、変態な、他の人が持っていないギターが多い気がします。
変態なギターとは、ハンパッキング×2、シングルコイル×2が付いたストラト・タイプのギターとか。
シングルコイルピックアップの位置を、上下に動かせるギターとか。
しかも、来日する度、異なる変態なギターを見かけました。

ちょうどこの頃、リッキー・リー・ジョーンズのバックをしていまして、前述のハンパッキング×2、シングルコイル×2が付いた変態なギターを弾いています。
ストラト風の黒いボディに、ローズネック(メイプルネックの指板にローズウッドを張っているもの)、ハンパッキング×2、シングルコイル×2が付いています。

テレビ番組で、口パクで「Who'll Be The Fool Tonight」を見せた時の映像です。
上の写真と同じギターを弾いています。

ネット上で調べたら、こちらのブログに情報がありました。

http://ilovemusic.exblog.jp/7386653/

フェンダー・ストラトの改造で、ハンパッキング×2、シングルコイル×2が付き。
ストラトの3ポジションスイッチで、シングルコイル×2、ハンパッキング×2、両方と言う切り替えが出来るそうです。
・・・つうかこのギター、やっぱり変態。

ライブでまれに、アームプレイも披露する事があります。
アルバム「Through Any Window」の「Last Call」でも、地味に(?)披露しています。

近年、ギターのプロデュースもしていますが、そのギターは常識にかなったものです。

バジー・フェイトンの機材ですが、自分には情報がありませんので、使用アンプが何かも分かりません。
一時期(1987年頃?)、マーシャルを使っていたとの情報はあります。
マーシャルを使っていた頃は、音作りが現在と異なりますので、違うように思います。



「Further Notice」におけるバジー・フェイトンのギター・ソロのスケール(音階)

スケールは、Cメジャースケール一本です。
スケールとは音階の事で、Fメジャースケールとは、Cから始まるメジャースケールと言うタイプの音階の事です。
メジャーコード(コード=和音)に合わせる音階です。
スケールとコードは、表裏一体です。

音階を表す時、C=ド、D=レ、E=ミ、F=ファ、G=ソ、A=ラ、B=シ(クラッシックではH)。

Cのメジャーコード、CまたはC△(他にもCM、Cmaj)の和音はⅠ-Ⅲ-Ⅴ、C-E-G。
メジャースケールの音階のタイプは、Ⅰ-Ⅱ-Ⅲ-Ⅳ-Ⅴ-Ⅵ-Ⅶ。
音の間隔は、Ⅰ(1音)Ⅱ(1音)Ⅲ(半音)Ⅳ(1音)Ⅴ(1音)Ⅵ(1音)Ⅶ(半音)となります。
ⅠをCに当てはめると、音階はC-D-E-F-G-A-Bとなります。
つまり、クラッシック的に言うとハ長調ですね。

C調の場合、ロックだとCメジャー・スケール(またはメジャー・ペンタトニック・スケール)、Cブルース・ペンタトニック・スケールだけでプレイ出来ます。
その内のCメジャー・スケール・・・と言う事ですね。

この辺ですでに、付いて行けない人多数でしょうね(苦笑)。

それが5小節目に、E♭が出て来ますが、スケールチェンジではありません。
スケールチェンジと言う解釈が成り立たないではありませんが、経過音として半音を使ったんだと思います。
先ほど、Cブルースペンタトニックスケールが使えると書きましたが、E♭は、Cブルースペンタトニックスケールの構成音です。
一瞬の響きは、Cブルースペンタトニックスケールっぽいですが、ここだけにしか出て来ていませんので、自分はただの経過音と判断します。

記憶に間違えなければ、バジー・フェイトンには、スケールチェンジする事があったはずです。



バジー・フェイトンのギター・プレイの傾向

ニール・ラーセンのハモンドの音がクール、そしてフレーズもクールなので、バジー・フェイトンのギターはホット、または扇情的と表現される事がありますが、果たしてそうでしょうか?
自分には、バジー・フェイトンのギター・ソロは、地味な職人技に思えます。

バジー・フェイトンと言うと、バッキング・ギター名人として知られています。
1970年代から1980年代にかけて、バッキング・ギター名人にレイ・パーカー・ジュニアがいました。
レイ・パーカー・ジュニアやナイル・ロジャース/ほどではないにしろ、様々なアルバムで、バッキング・ギターを弾き、当時白人ギタリストのカッティングでは有数との評価でした。

ギター・ソロでは休符や拍子の間や、フレーズを上手に使い、スリリングなギタープレイが多いように思います。
神様ジェフ・ベックも、スリリングなギタープレイが特徴ですので、違ったスリリングさを持つバジー・フェイトンのプレイが好きなのかも知れません。
バジー・フェイトンのスリリングなフレーズは、自分も多分に影響を受けています。

弦飛びフレーズの速弾き、その際にコードを意識した運指をする傾向があるように思います。
効果的な3連符や6連符の使用、歌い込まれた効果的チョーキング。

バッキング・ギター名人のせいか、ギター・ソロのリズム感が究極レベルです。
ロベン・フォードとは違い、タイミングを崩して弾いたりせず、フレーズが整っていて楽譜にしやすいです。

このあたりのフレーズ、プレイの安定感が、逆にギタープレイを地味に感じさせる一因のように思います。

バッキング・ギター、リードギター(ギター・ソロ)共に強い個性があり、一聴してバジー・フェイトンと分かります。
使う側も、バジー・フェイトンの個性が欲しくて、起用しているように思われ、個性が嫌われやすいスタジオ・ミュージシャンとしては、稀有の存在に思われます。

個性こそが、音楽をやる上で、かなり重要なポイントではないでしょうか?



「Further Notice」におけるギター・ソロ

ストラト系のギターを使う事が多い事もあり、サスティン(音の伸び)を活かしたフレーズはほぼ皆無で、休符を活かしたスリリングなフレーズです。
ストラト系はジョイント・ネック(ボディにネックをネジ止め)のため、サスティンが伸びないのです。
サスティン命のギタリストには、バジー・フェイトンはフレーズがあまりにアッサリしていて、ブチブチ音を切るので、拍子抜けするんだとか。

バジー・フェイトンも、本能のアドリブが素晴しいです。
同じ曲でも何の曲?・・・と言うくらい、全く異なるアドリブを弾きます。
このギター・ソロでも、フレーズは4小節とか8小節での解決を意識はしていますが、短かくてちょい足ししたり、小節をはみ出したりと、やんちゃをします(笑)。

このギター・ソロの場合、出だしから少しずつ16文音符を混ぜて、スリリングな感じを出しつつ、盛り上がる15小節目あたりから速弾きをして、最後から6小節目にはすぐに解決のフレーズに入ると言う、余裕の展開。
ここぞと言う時に決める、ピッキング・ハーモニックス(ピック弾きした後、ハーモニクスポイントにピックを持つ右手親指が触れる事で、ピック弾き音の後ハーモニクス音がする奏法)。
フレーズに全く、危なげありません。

この辺も、地味に感じさせるゆえんかも知れません。

メジャー・スケール一本でも、このスリリングさ、3連符や6連符、上手な休符の間、絶妙なリズム感、多少やんちゃなフレーズと相まって、ユニークな個性があり、フレーズに飽きが来ません。

以下、この曲のギター・ソロの譜面です。



1小節目-5小節目(1:28~1:37)

前の小節からギターソロがスタートする、弱起(小節の頭から始まらない)の展開。
音をゆったり伸ばすところと、メロディに16分音符を混ぜ、クールにフレーズ展開します。
5小節目、前のフレーズに付け足すように、フレーズを解決します。
恐らく、弾いてみたら1小節余ったんで付け足した・・・のではないかと、推察します(笑)。



6小節目-9小節目(1:38~1:44)

6小節目の1拍2音目の休符の後に、ディレイ音が来るのがお分かりでしょうか?
7小節目の頭抜きフレーズを経て、8小節目、9小節目の速いパッセージ。
拍の裏のタイミングで、次のフレーズに移るなど、何気ないですが非凡なセンスです。



10小節目-15小節目(1:45~1:55)

10小節目あたりから前もって、前半のギターソロの解決に向かいます。
11小節目、12小節目のフレーズを高い音に移し、盛り上げて行きます。
11小節目、12小節目と微妙に、フレーズを変えています。

13小節目は、ピッキング・ハーモニックス気味ですが、ピッキング・ハーモニックスを失敗したのでしょうか?

14小節のキメフレーズの後、15小節目から後半のソロに。
4小節パターンではありませんが、この2小節は、アレンジの都合で小節を増やしたのでしょう。

これに伴い、ドラムのアート・ロドリゲスのフィルインが、通常13小節目に入るところが、15小節目に入ってブレイクした後、フィルイン。
テーマのところにも出て来ますが、これドラマーとしては、意外なタイミングのフィルインです。
アルバム「Full Moon featuring Neil Larsen & Buzz Feiten」の「The Visitor」と言う曲でも、この不思議なタイミングのフィルインが、随所に出て来ます。



16小節目-19小節目(1:56~2:02)

16小節目に全音符のチョーキング(弦を引っ張って音程を変化させる奏法)の後、17小節目、18小節目と弦飛びフレーズの速弾き。
このフレーズは、バジー・フェイトンの手クセが混じっています。
弦飛びフレーズは、あまりスピード感を感じないものです。

19小節目、フレーズを解決させたと思いきや、最後にちょい足ししています。



20小節目-23小節目(2:03~2:11)

20小節目の拍子の裏のタイミングのフレーズから、21小節目の速いパッセージ、22小節目、23小節目の機械のように正確なタイミングの3連符が、カッコ良いです。
プロでも、突然3連符を繰り出すと、クセが出るものですけどね。



24小節目-29小節目(2:33~2:40)

ここから余裕を持って、フレーズの解決に入ります。
想像ですが、大まかにはフレーズ展開を考えているように思います。
ちょい足しっぽいフレーズから、細部はアドリブなんでしょうけど。

最後に決めフレーズがあるので、前半の解決のフレーズあたりのポジショニングですね。
27小節目は、きれいにピッキング・ハーモニックスを決めます。
そしてキメフレーズで、ギター・ソロ終了。
さらにドラムのアート・ロドリゲスのフィルインが、不思議なタイミングで来ます。


この曲、有名ではないのですが、それでもYouTubeにカバーしている人がいるので、このギター・ソロが好きな人もいると言う事ですね。

かく言う自分も、バジー・フェイトンのギター・ソロは大好きですし、バッキング・ギター含め勉強にもなり、影響も受けました。



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2015年4月23日 (木)

ポリリズム / Perfume

これまでの音楽レビューは、AORとか、フュージョンが多く(もちろんそれ以外もありましたけど)、いきなりPerfumeはビックリされた人も多いのでは?
かのサイトでPerfume好きをカミングアウトした事もありますし、このブログでも、数少ない自分がコメント書き込みする別のブログでも、Perfume好きは公言していました。
たまにはおっさん臭い、AORとか、フュージョンではなく、華のある最近の(でも8年前の曲ですけどw)テクノも良いかな・・・と。

実は自分、1970年代の紅顔の美少年(本当かw)だった頃、シンセサイザーの音が嫌いでした。
1980年代に入り、シンセサイザーがシーケンサーで自動演奏出来るとか、ギターシンセとか、サンプラーとか進化して行くにつれ、一転シンセサイザー好きになりました。
特に、生楽器の音に近い音を出せるようになり、シーケンサー(後にコンピューター)で、楽譜を打ち込むと自動演奏出来るのは、作詞、作曲、アレンジしていた自分にとって、キリスト教徒の福音のようでした(ちなみに自分はキリスト教徒ではありませんw)。
それ以前に比べ、デモテープ作りが楽になったばかりでなく、これによって今後テクノが流行る事を確信しました。

1980年代当時のバンドメンバーには、これが不満だったようです。
バンマス(つまりバンドのリーダー)だった自分が、コンピューターで自動演奏なんて話しをすると、バンドメンバーは「じゃあ俺達みんなクビ?」だなんて思ったそうです。
そのせいかどうか、自分の持論の、今後テクノが流行るは、YMOの解散後と言う事もあり、皆懐疑的でした。

その後、待てど暮らせど、テクノブームは来ません。
ちょっと面白い事をするミュージシャンはいましたが、自分が納得するようなテクノは全然出て来ませんでした。
自分が思うに、テクノをしていた人の中に、音楽性が高い人がいなかったように思います。
自分にしてみれば、ハービー・ハンコックがテクノに手を出した曲に、全く歯が立たないものばかりでした。

それから10数年・・・もうテクノブーム予言なんて忘れていた1998年。
テクノ第一の福音・・・Boom Boom Satellitesが来ました(くどいようですが、自分はキリスト教徒ではありませんw)。
Boom Boom Satellitesは、ヨーロッパのテクノファンから熱狂的に受け入れられましたが、でも残念ながら、日本ではテクノブームにはなりませんでしたねぇ。
それ以前に巷では、Boom Boom Satellitesって何?って人が多かったです。

そして2007年暮れ、テレビCMを見て、飛び上がりました。
「テクノブーム来た!」
そのCMとは、公共広告機構「だからはじめよ、エコ」篇で、曲はこの「ポリリズム」でした。




Perfumeについて

Perfumeを知らない人はいるのか?・・・と言う感じですが、でも自分と同じ年齢くらいのおっちゃんの中には、いるでしょうね。
日本の女性3人組テクノポップグループです。
グループと言っても、バンドではなく、女性3人が歌って踊ります。

メンバーは以下の通りです。
大本彩乃(のっち)
樫野有香(かしゆか)
西脇綾香(あーちゃん)

声はボコーダー(音声フォルマウントにシンセ音をミックス)で変調させていますが、中でもあーちゃんの歌唱力は素晴しく、生声で十分勝負になるほどです。
ダンスは3人とも相当な腕前で、2006年イベント「RHYTHM OF FEAR」にゲスト出演して、本格的なヒップホップダンスを踊って、拍手喝采を浴びたと言う伝説があります。

2000年、12歳で3人とも今では全国的に有名になったアクターズスクール広島に入り、2002年広島のローカルアイドルから、活動をスタート。
ちなみに理由は良く分からりませんが、かしゆかとあーちゃんは、下のランクの扱いだったそう。
のっちは最初からのメンバーではなく、抜けたメンバーの代わりに途中から加入。
2002年に、広島のレーベルからファーストシングルをリリース。

2003年春上京し、BEE-HIVEレコードと言うインディーズレーベルから「スウィートドーナッツ」をリリース。
サンストリート亀戸や秋葉原の路上ライブ、日本各地の催し物に、度々登場。

2005年9月21日シングル「リニアモーターガール」で、メジャーデビュー。
この曲から中田ヤスタカが、楽曲の担当をする。
その後、「コンピューターシティ」、「エレクトロ・ワールド」とリリースの度に注目は集まりましたが、まだまだ世間では無名。
2006年12月、「Twinkle Snow Powdery Snow」を、ネット配信限定でリリースし、mora winで、5日間連続売り上げ1位を記録、1つのブレイクのきっかけと言われています。
2007年3月に、木村カエラのラジオ番組「OH! MY RADIO」において、Perfumeの曲がヘヴィー・ローテーションされ、これも1つのブレイクのきっかけと言われています。
2007年9月に、「ポリリズム」リリースされ、公共広告機構のCMで使われ、これがきっかけで一気にブレイクしました。
以後、2008年にアルバム「GAME」が、「日本レコード大賞 優秀アルバム賞」 受賞、楽曲「love the world」が「日本レコード大賞 優秀作品賞 」受賞。
2008年から、年末の紅白にも出場。
以後、シングルがリリースされる毎に歌番組に呼ばれ、さらに海外からも注目され、何度も海外ツアーを行っています。

まあ、めっちゃ端折りましたが、Perfumeの紹介はこんなところで。



中田ヤスタカについて

Perfumeって、アイドルなのでしょうか?アーティストなのでしょうか?
どっちでも良いですが、Perfumeの作詞、作曲、アレンジの中田ヤスタカの音楽性は相当高いです。

自身は音楽ユニット、CAPSULEとしてのアーティスト活動していますが、その他音楽プロデューサーとしてPerfume、きゃりーぱみゅぱみゅを始めとして、様々なアーティストを手がけています。
テレビドラマ「ライアーゲーム」のサウンドトラックや、MEG、SMAP、m-flo、青山テルマ、鈴木亜美、リア・ディゾンへの楽曲提供をします。

Perfume、きゃりーぱみゅぱみゅのプロデュースは、日本のみならず、海外でも評価が高いです。
レコーディングを含めた楽曲制作は、全て中田自身のプライベート・スタジオで実施。

その他、クラブイベントやファッションショー、アパレルブランドパーティー、ロックフェス等で、年間60本以上のDJ活動もしています。



「ポリリズム」について

さて、曲に行きましょう。
今回のテーマは、コード進行とメロディの関係性です。
難しいテーマではありますが、作曲、アレンジをする人にとって、避けて通れない事柄です。
またリスナーの方も、ここに書いている事を会得して、ここのコード進行がツーファイブの偽終止で・・・なんて語ると、尊敬される事請け合いです(キモがられたらご容赦w)。

ポリリズムとは音楽用語で、1つの楽曲に2つ以上の異なるリズムが存在する曲、またはフレーズの事です。
この曲、間奏には本当にポリリズムが出て来ますが、曲メロはポリリズムではありません。

間奏のポリリズムのアレンジを絶賛する人もいますが、今回は間奏は取り上げません。

バッキングは、全てシンセの打ち込みです。
情報によると、中田ヤスタカは、著名なシーケンスソフト、Cubaseを使っているそうです。
DTMにいそしんでいる方は、あれね・・・とすぐにピンと来るくらい、スタンダードなソフトです。
確認していませんが、シンセの音色エディットも、PCソフトなんでしょうね。

テンポは、♩=125くらい。
人間の心臓のリズムは通常=60(つまり1分間の心拍数60回)ですので、テンポが60の倍数に近いのは、人間が生理的に気持ち良いテンポと言えます。
60の倍数より、少し心臓がバクバクしているので、恋をした人(笑)?



「ポリリズム」の曲の形式

曲の形式は、AA'BB'CC'。
厳密には、サビの繰り返しのメロディは一様ではありませんし、サビの繰り返しを1くくり、サビ後の繰り返しを1くくりで考えると、AA'BCと言う考え方もありますね。
・・・と書いても、ちんぷんかんぷんな方も多いでしょうから、歌詞と曲の形式を以下に記します。

[A]
とても大事なキミの想いは
無駄にならない世界は廻る

[A']
ほんの少しの僕の気持ちも
巡り巡るよ

[B]
くり返す このポリリズム
あの衝動は まるで恋だね
くり返す いつかみたいな
あの光景が 甦るの

[B']
くり返す このポリリズム
あの反動が うそみたいだね
くり返す このポリループ
ああプラスチックみたいな恋だ

[C]
(恋だ)
またくり返す
このポリリズム
[C']
このポリリズム
このポリリズム


曲形式をあえて小分けにしているのは、メロディの繰り返しが多く使われていると言う事を、理解して欲しいとの意図もあります。
これだけ、繰り返しが使われているのに、作曲やアレンジが非凡、メロディも少しずつ変化させ、最後まで飽きが来ません。

PCのシーケンスソフトを使えば分かりますが、アレンジのコピー&ペーストなんてお手のもの。
それでは単純になりますので、心得があれば、ちょっと手を加えると深味のあるアレンジに作れちゃいます。

自分は恥ずかしながら、鍵盤は少ししか弾けませんので、クオンタイズをかけてリアルタイム入力した後、数値入力でまとめて補正するクチでした。
なので自分にはCubaseは、不向きですね。
めんどうだから、専門用語の解説は省きますが、知らない人は宇宙人の会話のようでしょうね。
DTMをした事があるなら、当然分からなければいけない事です。
でも自分のDTMは20年位前までなので、用語が古かったらご容赦。

自分は最終的に生音で演奏する曲のデモと言う事もあり、音の強弱とか、タイミングの揺らぎなんかを1音ずつエディットで修正したりして、結構面倒でした。
特にクローズド・ハイハット音なんて、打点の違いやスティックの角度を意識して、1曲につき4音色くらいを使い分けていましたし、オープン・ハイハットも数種の音色、シンバルも10種くらい使い分けていました。
ツーバスの曲の場合、通常人間は左右で足の力が違うので、別の音色にしましたし(笑)。
おかげで良く、自分が作ったデモテープ(昔の事なので本当にカセットテープw)を、生演奏と勘違いする人も多かったです。
バンドメンバーからは、そこまで凝らなくても・・・なんて言われましたね。

まあ話が脱線しましたが、とにかくPCのシーケンスソフトを使うと、繰り返しを多用するテクノ向きと言う事です。
またテクノの場合、自分がかつてしていたような、こまめなエディットは不要でなので、音楽編集も楽です。

ちなみに、音楽形式でABCとくると、Cの部分は通常サビとなるのですが、そうでないところもこの曲の非凡さに思えますね。
まあ、こう言うパターンも無数にありますけど。

ビックリは、間奏の後の形式です。

[A]
ほんの少しの 僕の気持ちが
キミに伝わる そう信じてる

[A]
とても大事な キミの想いは
無駄にならない 世界は廻る

[A']
ほんの少しの 僕の気持ちも
巡り巡るよ

AAA'BB'CC'の形式で、Aが3回出て来ます。
通常2コーラス目は、むしろサビまで最短に行くよう、例えばA'BB'CC'のように、Aを減らすのがスタンダードです。
自分は最初聴いた時、ビックリでしたが、変ではないと思います。
皆さんはこれをどう思うのでしょうか?



「ポリリズム」のアレンジ

アレンジも、基本的にはテクノ定番の4つ打ち。
4つ打ちは別名タテノリとも言いますが、通常の音楽4/4の楽曲で、1小節に4分音符が4つだから4つ打ち・・・4分音符のリズムと言う事ですね。

4つ打ちはセンスのない人がアレンジすると、数秒で単調で飽きが来ます。
アジア某所の音楽を聴けば、良く分かりますよね(苦笑)。
全部ダメ・・・なんて暴論を吐くつもりはありませんけど。
ちなみに自分、テクノに限らず世の99%の曲はすぐ飽きて、1、2秒で聴くのを止めます。

以前、miwaの「ヒカリへ」のアレンジをカオス状態と評しましたね。
ここでアレンジに軽くだけ触れますが、中田ヤスタカのアレンジはセンシティブです。

miwaの「ヒカリへ」のアレンジは、意味不明な音の渦でしたが、この「ポリリズム」のアレンジは、1音1音に意味があり、個性と言う点を考えても無駄な音がありません。
1音1音に意味があり、無駄な音がない(まるで誰かの料理レビューのセリフみたいですがw)のは、作曲やアレンジの理想です。

この曲の場合、リズムマシンのバスドラムは、4つ打ちなのですが、特にサビなんかのシンセは裏のリズムを刻んで、リズムに複雑さをもたらせ、味わい深いです。
サビで、16分音符で入るシンセ音が、闇からの光明の様で素敵ですね。
作曲やアレンジを一生懸命した事のある者なら分かると思いますが、中田ヤスタカのアレンジの素晴しさは、畏敬さえ抱くほどです。

アレンジについて1つだけ。
初めてこの曲を聴いた時、サビの終わり、(ああプラスチック)みたいな恋だ・・・のところで、ドラムがブレイク(つまり休み)するのが、センスあるなぁ・・・と感心しました。

自分かつて、ドラムもやっていましたが、このブレイクは、ドラマーならあまりしないフレーズです。
ブレイクする前にスネアやハイハットを入れたりして、いかにもブレイクしますよ・・・的なフレーズにします。
それが、何の前触れもなくブレイクするので、無機質な印象を与え、テクノには良いな・・・と。

今回は、アレンジは主題から外れますので、今回はこれくらい軽くの取り上げとします。



「ポリリズム」のメロディとコード進行

この曲では、従来のアイドルの曲では考えられない、ジャズのコード進行を使っています。
どんなコード進行でも良いんですけどね、とにかくメロディが素晴しいです。

以下、ポリリズムのコード進行と曲メロの譜面です。

ちなみにこの譜面、ネットを漁ったら、フルのバンドスコアを発見しまして、そこからのほぼ転記となります。
ギターソロの譜面化と違い、歌メロ譜面化はかなり楽ですけどね。
それでも怠惰な自分は、楽をさせてもらいました(笑)。

コードは、ネット上にあるものから、自分なりにも響きを検討して、アレンジの響きだと思われるコードネームを決定しています。
ネット上にある、全ての情報を当たった訳ではないので、同じコード進行を書いたサイトがあっても、驚きません。

音階を表す時、C=ド、D=レ、E=ミ、F=ファ、G=ソ、A=ラ、B=シ(クラッシックではH)。

コード譜は、バッキング・アレンジのヴォイシング(和音の配列)ではありません。
ルート音(A♭M7ならA♭=ラ♭)から、上に和音を積み上げたのみです。
ここのテーマはあくまでコードであって、ヴォイシングがどうのこうの書くつもりはありません。

バッキング・アレンジのヴォイシングは、ご自分でコピーされるか、ネット上のフルのバンドスコアを探して下さい。
これはこれで、とても重要なアレンジの勉強になりますが・・・今回そこまで取り上げますと長くなるので、割愛します。
今回はあくまで、コードに対するメロディの音使いがテーマです。

1小節に異なる2コードある場合は、タイミングも書いていますが、細かいタイミングや音符の長さに突っ込まないで下さい。



「ポリリズム」の音階

音階は、E♭調。
クラッシック的な言い方だと、変ト長調(伝わらねぇw)。

音階の構成は、E♭-F-G-A♭-B♭-C-D
ちなみにこの順番、度数で書くとⅠ-Ⅱ-Ⅲ-Ⅳ-Ⅴ-Ⅵ-Ⅶ。
音の間隔は言わずもがなですが、Ⅰ(1音)Ⅱ(1音)Ⅲ(半音)Ⅳ(1音)Ⅴ(1音)Ⅵ(1音)Ⅶ(半音)となります。
自ブログでもよく書いている、E♭メジャー・スケールと同じ構成音です。

E♭調のⅠ度の音はE♭、Ⅱ度の音はF、Ⅲ度の音はG、Ⅳ度の音はA♭・・・と言うと、分かりますかね?



カデンツ

コード理論におけるコードの役割に、トニック(以後T)、ドミナント(以後DT)、サブドミナント(以後S)と言うのがあります。
ドミナントの略称は一般にはDとしますが、このブログではコードネームや音階のDと区別するため、DTとします。
カッコは、E♭からコードのルート音が、何度の音なのかを書きます。

E♭調の、ルート音がⅠ度からⅦ度までの和音で分類すると・・・

T=E♭(Ⅰ)、Gm(Ⅲm)、Cm(Ⅵm)
曲の始まり、曲の終止に使用するコード

DT=B♭(Ⅴ)、Dm-5(Ⅶm-5)
曲をトニックへと導く(解決するという表現をします)コード

S=Fm(Ⅱm)、A♭(Ⅳ)
DTに、豊かな響きを加えるコード

ちなみに、上記のコードに7thが付いても、分類は変わりません。

どうしてT-DT-Sの分類になるかと言いますと、「ポリリズム」のTを例に取ります。
Ⅲm7=Gm7のコード構成音は、G-B♭-D-F。
ⅠM7=E♭M7のコード構成音は、E♭-G-B♭-D。
G-B♭-Dが共通しており、Ⅲm7とⅠM7は響きが近い・・・コードとして代用出来る事が分かります。

ついでに、Sを例に取ると・・・
ⅣM7=A♭M7のコード構成音は、A♭-C-E♭-G。
Ⅱm7=Fm7のコード構成音は、F-A♭-C-E♭。
A♭-C-E♭が共通しており、ⅣM7とⅡm7は響きが近い・・・コードとして代用出来る事が分かります。

これらのコードを使って、曲を作る際の組み合わせ・・・コード進行の終始形には代表的な3つのパターンがあります。
これを音楽用語でカデンツと言います。

カデンツ1=T-DT-T
カデンツ2=T-S-DT-T
カデンツ3=T-S-T

多くの曲はカデンツ1から3のパターンの、コード進行です。
またはコードを代用したり、転回(≒ヴォイシング)したコードの進行になります。



1小節目-9小節目のコード進行

譜面の、歌初めから8小節のコード進行を度で書きますと、以下のようになります。

ⅣM7-Ⅲm7-Ⅱm7-Ⅲm7/Ⅵ-Ⅱm7-Ⅲm7-Ⅱm7/Ⅴ-Ⅲm7/Ⅵ

度で書くのは、他の調であってもコード進行パターンが分かりやすいためです。

一般に、単調な和音が良く使われるテクノにおいて、見る人が見ると、このコード進行は複雑でオシャレだなと感じます。
全ての和音に7th音が付与されていて、和音構成が4音以上です。
これは、ジャズやフュージョン、AORなんかのオシャレな楽曲に使われる和音です。
つまりは音なんか聞かなくとも、複雑な響きである事が分かります。

メジャーの音階(つまり明るい雰囲気の曲)ですが、Ⅰ度から始めずⅣ度から始めるのはおしゃれです。
こんなⅣ度から始める曲を自分も作った事がありますが、ハッとする華やかな始まりになります。

ポリリズムのコード進行、ⅣM7-Ⅲm7-Ⅱm7-Ⅲm7/Ⅵ-Ⅱm7-Ⅲm7-Ⅱm7/Ⅴ-Ⅲm7/Ⅵをカデンツに当てはめると・・・
S-T-S-T-S-T-S-T-S
カテンツ3のシンプルな、コード進行である事が分かります。
DTは出て来ません。

ところで、この解釈で良いの?・・・と言いますと、半分しか正しくありません。
Ⅲm7/ⅥとⅡm7/Ⅴの和音の役割を知る必要があります。

実際に付与されているコードは、Ⅲm7/Ⅵ=Gm7/C、Ⅱm7/Ⅴ=Fm7/B♭。
実はこのようなコード、これまでのブログでも出て来ていましたが、本筋と関係ないので、説明をスルーしていました。
このコード表記は別名、分数コードと呼ばれる和音です。
多くの場合、分母がベース音で、その上に分子の和音が乗ります。
アッパー・ストラクチャー・トライアドも、同じ表記をしますが、今回は関係ありませんので、説明を割愛します。

重要なのは、Fm7/B♭で、ベース音がB♭、上にFm7=F-A♭-C-Eの和音が乗った、B♭-F-A♭-C-Eの和音構成となります。
キーのE♭から数え、Ⅴ度の音B♭音が加わる事で、B♭をルートとする和音、B♭7=ドミナントの役割を果たします。

Gm7/Cを例に取りますと、ベース音がキーのE♭から数え、Ⅵ度の音C、上にGm7=G-B♭-D-Fの和音が乗ったものです。
つまり音の低い順に並べると、和音構成はC-G-B♭-D-F。
このコード、4小節目、8小節目、12小節目と4小節目の節目に出て来ています。
つまり4小節のコードのパターンにおいて、次のパターンの解決(つまり終止に向かわせる)をしています。

上にちらっと書きましたが、ジャズのポピュラーなコード進行にツーファイブと言うのがあります。
ツーファイブは、きれいに曲を解決出来る(曲を終止に向かわせる)コード進行として知られています。

ツーファイブの基本形のコード進行は、このようなメジャー(明るい雰囲気の曲)のコード進行の場合、Ⅱm-Ⅴ-Ⅰで、Ⅰで終止する形です。
ちなみにこのコードに7thがついても、同じ形です。

以前miwaの「ヒカリへ」で、偽終止っぽいと書きましたが、ここでもまた偽終止が出て来ました。
偽終止とは、「Ⅱm7-Ⅴ7-Ⅰ」とⅠに至るところを、「Ⅱm7-Ⅴ7-Ⅵm7」のように、Ⅵm7につなぐ事で、終わるのではなく、次のフレーズにつながる雰囲気を出すコード進行です。

7小節目、8小節目を見ますと、Fm7/B♭はB♭7の役割、Gm7/CのⅥ度の音Cと併せて考えますと、Ⅴ-Ⅵ・・・ツーファイブの偽終止です。
同じく、4小節目、12小節目は、サブドミナント(Ⅴ)を通らない、解決感の希薄な偽終止ではないでしょうか?

この曲では、明確なドミナントが出て来ませんが、このようなコード進行は疾走感があり、J-POPで定番のコード進行です。
上の和音はS-T-S-Tと繰り返し、疾走感を与え、ベース音の動きで偽終止の次のフレーズにつながる雰囲気を出し、ますます疾走感が出ているように思います。

自分、この曲を初めて聴いた時、すぐにツーファイブと思いました。
以前アマチュアバンドで作曲やアレンジをしていた時、いやと言うほど、ツーファイブ、そして発展系フレーズを手がけました。
この曲のように、カデンツ3と見せかけて、分数コードでコード進行を解決するのは、常套手段です。

もし作曲やアレンジする方なら、この辺を知っていて当然・・・英語で言ったらアルファベットを覚えると言うくらい、基礎的な知識です。
しかし実際は、作曲者の多くは譜面の読み書きも出来ず、この辺の音楽理論も勉強おらず、ちんぷんかんぷんだったりします。
音楽理論を知って、減るもんじゃなく、むしろ音楽ライフを豊かにしてくれるものですので、押さえておきたいものです。



17小節目-24小節目のコード進行

この曲がヒットしていた頃、会社の後輩が、この曲のサビを根拠なく、何か特別なコード進行だと思い込んでいました。
AA'のメロディには、少し閉塞感があるのに対し、サビで一気に解放感が高くなります。

この辺が音楽の面白いところで、コード進行の考え方は、AA'もサビのBB'も大差ないです。
サビで盛り上がるのは、アレンジの妙と、メロディの音使いによるものです。
雰囲気が変わったからと言って、特別なコード進行などではありません。

サビのコード進行は、ⅣM7-Ⅲm7-Ⅱm7-Ⅲm7-Ⅱm7/Ⅴ-Ⅲm7/Ⅵ-Ⅱm7-ⅠM7-Ⅱm7-ⅠM7-Ⅱm7-ⅠM7-Ⅱm7-Ⅲm7
コードを細かく刻んでいるので、8小節と言えども、コードが多い!
和音を刻んでいるのが、疾走感と、盛り上がりの一因ですが、それが全てではありません。

21小節目から、コードが変わりますが、これはなんて事ありません。
Ⅱm7はⅣM7、ⅠM7はⅢm7で代用出来るのは、前述の通りです。
コードを代用して、響きに変化を付けたに過ぎません。

上のカテンツの形式に直すと、表面上はカテンツ3です。
Ⅱm7/Ⅴ-Ⅲm7/Ⅵが、偽終始のような使い方と言うのは、前述の通りです。

23-24小節目のⅡm7-Ⅲm7ですが・・・ここでは分数コードを使っていませんね。
でも不思議な事に、偽終始っぽい雰囲気です。
同じメロディなんで、前のフレーズで出て来た幻のⅤ-Ⅵが聞こえる気がするのでしょうか?

自分なら確実に、Ⅱm7/Ⅴ-Ⅲm7/Ⅵを使っているところです。
しかしあえてⅡm7-Ⅲm7とした事で、和音の響きが単調に感じません。
こんな使い方もあるのか・・・と、目から鱗です。



コードアレンジについて

自分は度々、曲のメロディに対して、アレンジで付与するコード進行と、メロディの調性感の良いコードは異なると書いています。
逆な言い方をすると、コード理論さえ理解していれば、同じメロディでも、いくつもの異なるコードを付ける事が可能です。
コードの付与はアレンジの第一歩で、多彩なコードのの引き出しは、曲への豊かな和音の響きとなり、縦横無人なアレンジが出来ます。

[Example 1]

コード進行の初歩の初歩、3コード進行ですね。
Ⅰ-Ⅳ-Ⅰ-Ⅴとかが代表的な例ですが、この曲の場合、メロディと合いませんので、Ⅳ-Ⅰ-Ⅳ-Ⅴとしなくてはなりません。
これもまた立派な3コード進行です。

テクノでは、このような単純なコード進行が使われるのを、良く耳にします。
和音の響きも単調で、飽きが来ないようにアレンジするのは難しいですね。

ちなみにブルースなら、全て7thコードになりますが、この曲にはもちろん合いません。


[Example 2]

3コード進行を、Example 1よりもう少しおしゃれな響きにしたものです。
A♭メジャーだと、あまりに調性感の良い3和音ですので、メジャー7thコードにして、複雑な響きにしました。

8小節目ですが、メロディがⅤ7とは合いません(この場合Aの音がメロディと相性が悪い)ので、Aを下げたB♭7sus4としました。
Example 1よりは、響きがオシャレですが、ⅣM7-ⅠM7と繰り返すところが、聴き続けると飽きそうです。


[Example 3]

3コード進行ではありますが、メジャーコードばかりでは、響きの質が似かよるので、Ⅲ度のマイナー7thコードを代用して、Example 2よりオシャレな響きにしました。
ちょっと、原曲の響きに近くなりましたが、それでもなおⅣM7-Ⅲm7と繰り返すところが、聴き続けると飽きそうです。

なお、A♭M7をFm7で代用する事も可能ですが、メロディがメジャーですので、少なくとも初めのコードはより調性感の良いA♭M7にするべきです。


[Example 4]

Example 1から3・・・これらを加味して、ちゃんと考えてアレンジしたコード進行です。
Example 1から3まで、いずれもこのメロディには合います。
そうなると、コードを代用する事で、飽きの来ない響きとなります。

Gm7はE♭M7の代用。
Fm7はA♭M7の代用。

4小節のパターンに、異なる4つのコードですので、複雑な響きです。
このコードパターンのキモは、コードのルート音がA♭-G-F-E♭と1音ずつ下がって行く事。
音楽を知る人が聞けば、意図的だと分かります。

また8小節目は、B♭7sus4-B♭7とする事で、本来はメロディに合わないはずのB♭7を、コード進行に合うようにはめました。
これにより、8小節のパターンに、終止感が生まれます。
疾走感のあるメロディに、終止感ってどうよ?・・・と言う話はありますが(笑)。

このコード進行は、一般に良く使われるものです。
試すと分かりますが、このコード進行の方が、メロディにはハマりますが、このコード進行の方が優れているのか?・・・そうは思いません。
コードを決めるのも、コードの響きが1つの音楽表現で、必ずしもよりハマるコード進行が良いとは限りません。
Example 4は、一般に良く使われるコード進行だけに、これではありきたり・・・とも言えます。
どんな音楽クリエーターも、どうやって自分らしさを出すのか?・・・と言う事を、日々意識しているはずです。
それに、疾走感のあるメロディなのに、終止感が強いのは、矛盾があります。


他人の曲をアレンジする際、作曲者がコードを指定して、変更するのを許さない事があります。
その手の作曲者は、コード進行から作曲する人が多く、コードまで作曲者の作曲の一部と考えているのでしょう。
アレンジの都合で、コードを変更すると、その曲も否定されたかのごとく、反発したりします。
まったく○鹿馬○しい事です。
この解説でも分かるように、コードの決定から、アレンジは始まっているのです。

しかも、音楽知識がない人が付けたコードは、実際にはめちゃくちゃ(つまり調性感が悪い)な事が良くあります。
なまじっか作曲出来るもんだから、自分の音楽知識のなさを、認めたがりません。



「ポリリズム」のコード進行の結論

カテンツ3と見せかけているのは、コード進行をワンパターンの無機質な感じにするため。
しかし代用コードや分数コードを用い、響きに複雑さを出して、飽きが来ないようにしています。

こうして見ると「ポリリズム」は、先にメロディを作って、コード進行を無理やりハメて(つまりコードを決めながら)、アレンジしたように感じます。
それが本当かどうかは分かりませんが、自分にはコードを決めた後、Cubaseで8小節パターンのコピー&ペーストを繰り返す、中田ヤスタカの姿が見える気がします(笑)。

ちなみに、ちゃぶ台(死語?)をひっくり返すような発言をすると、曲のアレンジをする際、コードネームの決定が先か、ヴォイシングが先かは重要な問題です。

ヴォイシングが先・・・と言うのは、コードネームでアレンジを決定するのではなく、頭の中で響いている、かっこ良いと思う和音をアレンジすると言う事です。
この方法でアレンジすると、時にアバンギャルドなコード、またはコード進行になる事があります。
コードにとらわれず作るので、アレンジの自由度が高くなりますが、反面難易度が高いです。

曲によって、どちらが適しているか・・・そしてどちらが好みか・・・あるでしょう。
一例を挙げると、かっちりした曲で、原曲のコード進行を活かしたければ、代用コードや展開コードを使うとしても、コードの決定から。
浮遊したようなメロディで、コード感が希薄なら、ヴォイシングを先にしてみると、メロディの浮遊感を活かした個性的なコードアレンジが可能です。

手前味噌になりますが、自分は曲によって両方しましたし、自分がアレンジした曲では、ヴォイシングを先にして、結果としてコードネームが付けられない(無理やり付けましたけど)複雑なコードもありました。
「何なんだ、このコードは!」と、バンドメンバーには嫌がられました・・・が、音楽表現が良い方を選ぶのは当たり前。
バッキングの楽器が弾きやすいために、コードアレンジなんてしません。
優先順位ちゃうやろ!



「ポリリズム」の曲のメロディについて

コードの理解が出来たら、ここは楽勝(本当か!?)です。

2小節目の1-2拍目、Dから突然B♭にメロディが上るのが素敵です。
Ⅴ度のB♭ですので、2小節と言う短い範囲で、これまたメロディがツーファイブっぽい音の流れです。

4小節目のGm7/Cのコードのところで、メロディは3拍目C。
Gm7とGm7/Cの2つのコードを試せば分かりますが、Gm7/Cの方が、メロディに対して響きが良い事が分かります。
Gm7/Cの意味は、前述の通り。

7小節目のFm7/B♭では逆に、メロディにはB♭は使わず、メロディの解決を希薄にする(偽終止)事で、次のフレーズにつなげて、疾走感を生み出しています。
8小節目のGm7/Cも同様です。
14小節目の最後の音がB♭で、15小節目のコードはFm7/B♭。
これはドミナントコードではないのですが、Fm7/B♭のコードにメロディB♭を乗せる事により、曲にドミナントの雰囲気を出し、サビへと解決しています。

サビのコードは、A♭M7で、メロディの最初の音はG。
A♭M7のコードでは、Ⅶ度の音です。
A♭の和音構成は、A♭-C-E♭。
A♭M7の和音構成は、A♭-C-E♭-Gで、違いはこのルート音A♭から半音低いGが、きらびやかな響きにします。
メロディにGを使った事で、よりA♭M7との調性感が良くなり、曲がきらびやかになり、サビを盛り上げています。

サビに入った17小節目。
メロディに16文音符を入れる事で、メロディのリズムに変化を与え、飽きの来させないものにしています。
リズムに対して、メロディのリズムがシンコペーション(リズムとずらしている)しています。
これまた、4つ打ちエレクトロの曲で、良く使われる節回しですね。

この辺は、miwaの「ヒカリへ」も同様でした。

18小節目、3拍目の裏で、Gm7のコードに、メロディではC音をぶつけています。
つまりここも、Gm7/Cっぽい響きとなります。

24小節目も、3拍目の裏で、Gm7のコードに、メロディではC音をぶつけています。

自分はこの曲に、無駄がないと書きましたが、中田ヤスタカが全体を見通して、作曲、アレンジしているのがお分かり頂けますでしょうか?



最後に

Perfumeは他の曲も、こんな感じのツーファイブの応用のコード進行で、偽終止もたくさん出て来ます。
この曲でも書いたように、他の曲も繰り返しパターンで無機質な感じを出しつつ、パターンを微妙に変化させ、飽きが来にくい曲にしています。

Perfumeに限らずですが、2000年代に入ってから(いや1990年代あたりから?)、アイドルも可愛いだけじゃダメで、歌も踊りも傑出しているアイドルが増えました。
楽曲も、それ以前とは異なり、凝っている曲が多くなったように思います。
昔のアイドルの曲は、分数コードでのツーファイブのコード進行なんて珍しかったです。

中でも、中田ヤスタカの楽曲は、特にプロデュース作品・・・Perfume、きゃりーぱみゅぱみゅで光り輝いているように思います。
これは中田ヤスタカが作曲ばかりでなく、アレンジが非凡なのが、大きくモノを言っているように思います。

ちなみに、コード進行のパターン分かったからって、作曲が出来るようになったりしません。
少しメロディが浮かんでも、後が続かないでしょう。
作曲は、例えば神の助けのような、自分でどうしようもない力がほんの少しだけ必要です。

もし、後が続くようなら、神様に愛されています。
逆にどんどん作曲しちゃって下さい(笑)。


http://grooveshark.com/#!/s/Polyrhythm/7hwqJQ?src=5
Polyrhythm by Perfume on Grooveshark

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2015年4月17日 (金)

You are the flower / TOTO


TOTOについて

TOTOは1970年代後半から活躍する、アメリカ西海岸のロックバンドです。
結成のきっかけは、Then She Walked Away / Boz Scaggsでも書きましたが、1976年のボズ・スキャッグスの「Silk Degrees」にバックとして参加した、ドラムスのジェフ・ポーカロ、キーボードのデヴィッド・ペイチ、ベースのデヴィッド・ハンゲイトを中心に結成されました。
TOTOの情報は早くから、音楽雑誌でも取り上げられていました。
ドラムスのジェフ・ポーカロの兄弟、ベースのマイク、キーボードのスティーブが参加すると噂されていた事から、バンド名が決まる前は仮名で「ポーカロ・ブラザーズ・バンド」なんて書かれていました。

バンド名が国際的便器メーカーと同じですが、バンド名の由来は分かっていません。
日本では、エジプトのトート神が由来・・・なんて情報もありましたが、実はスペルが違います。
ジェフ・ポーカロの死後、バンドのリーダーとなるスティーブ・ルカサーによると、スティーブ・ルカサーの加入時にはすでにバンド名が決まっていたそうです。
スティーブ・ルカサーは、このバンド名が嫌いだそうです。

TOTOは1977年、デビューアルバム「TOTO」をリリースしました。
「Silk Degrees」の雰囲気がありつつ、ロック色が強いこのアルバムは、当時ブームが翳ったハードロックファン、当時ブームだったフュージョンファンにも好意的に迎えられました。
もちろん、中間的な作品なので、めちゃめちゃ嫌う人もいましたけどね。

ボズ・スキャッグスの「Silk Degrees」の色合いが強く、後にこのような音楽ジャンルがAORと呼ばれるようになります。
TOTOも、AORを代表するバンドです。
ちなみにAORと言う言葉は、アメリカから発生しましたが、今は使われてなく、現在アメリカではアダルト・コンテンポラリィなんて言ったりします。

TOTOは2008年の解散まで、12枚のオリジナルアルバム(ベストやライブ除く)をリリースし、1982年リリースのTOTO IV(邦題:聖なる剣)でグラミー賞、レコード・オブ・ザ・イヤーやアルバム・オブ・ザ・イヤー含む6部門に受賞。
公式には解散状態のはずですが、2010年以降にもコンサートをしています。



アルバム「TOTO(邦題:宇宙の騎士)」について

このアルバムの際のメンバーは、以下の通りです。

ジェフ・ポーカロ:ドラムス
デヴィッド・ペイチ:ボーカル、キーボード
スティーヴ・ルカサー:ボーカル、ギター
スティーヴ・ポーカロ:キーボード、ボーカル
デヴィッド・ハンゲイト:ベース
ボビー・キンボール:ボーカル

ベースは噂とは違い、マイク・ポーカロではなく、デヴィッド・ハンゲイトとなりました。
後にデヴィッド・ハンゲイトは抜け、その後マイク・ポーカロがこのバンドのベーシストになります。

このアルバムは、ビルボードの最高が9位でしたので、商業的には成功でした。
シングルカットされた「Hold the Line」、「I'll Supply the Love」、「Georgy Porgy」はいずれもビルボードトップ50以内に入りました。

当時はTOTOのように、ドラマチックにシンセサウンドを取り入れたロックは珍しかったため、当初は批評家ウケが悪かったと記憶しています。
批評家なんぞ、分かりきったものの批評は得意でも、新しいものを理解出来る人は少ないものです。
1980年代半ば頃から、ヘヴィ・メタルブームとなりますが、ハードロック時代とは異なり、TOTOのようにドラマチックなシンセサウンドが入る曲もありました。
TOTOの影響が、少なからずあったのではないかと思われます。



You are the flowerについて

TOTOのファーストアルバムだと、Georgy porgy、Hold The Line、I'll Supply The Loveなんかは、定番曲として、後々もコンサートで演奏されました。
このアルバムで言うと、Takin' it backとかこの曲なんかは今から考えても、異質な曲です。
バンドとしての方向性を模索して、このような曲を入れたのでしょうが、TOTOらしくない曲です。
でも自分、これらの曲も好きです。

この曲のメンバーは、下記の通りとなります。

ジェフ・ポーカロ:ドラムス
デヴィッド・ペイチ:ボーカル、キーボード
スティーヴ・ルカサー:ボーカル、ギター
スティーヴ・ポーカロ:キーボード、ボーカル
デヴィッド・ハンゲイト:ベース
ボビー・キンボール:ボーカル
ジム・ホーン:サックス
チャック・フィンドレー:ホーン

テンポは、♩=85(1分間に四分音符が85回)あたりでしょうか?
いわゆるミドルテンポで、実は演奏でこれくらいのテンポが、雰囲気を出すのが難しいです。

例えば「Misty」のように、ジャズでは何度も転調する曲があり、そのような曲の場合、xx調と規定する事が出来ません。
フュージョンやロックで、このようなケースは珍しいですが、この曲はそうです。

弱起で始まる曲メロのパターンは、AA'B型。
Aのパターンを2パターンひとくくりと解釈しています。

ついでに、自分なりに拾ったアレンジのコードも掲載します。

[A]
Gm7             Gm6
You never lose a minute, if in it there is love
Gm7                A#aug7     C7
And "old man time" always pulls you through
Gm7             Gm6
It's better not to depend on the morning dew
Gm7                 A#aug7     C7
For the rose you plant in your bed tends to you, honey you

[A']
Gm7            Gm6          Gm7          A#aug7 C7
Some folks take money, some take their life,some take forever to see
Gm7           Gm6
Blind faith, blind love, they're no mystery to me
A#7
You must take the time, for that's the fee

[B]
A#M7                  C7
It's worth the pain that makes the tears
CM7                    D7
It's worth the light of a million years
Bm7-5             E7
Only your love I can't explain,
Am7              D9 A#aug7 G#aug7
you are the flower for my rain

音階を表す時、C=ド、D=レ、E=ミ、F=ファ、G=ソ、A=ラ、B=シ(クラッシックではH)。

ジャジーでオシャレなコード進行、ジャジーなメロディラインで、アレンジはロックなのですが、面白いバランスで成り立っています。
この曲は、自分が作曲する際も、アレンジの際もとても参考になりました。
・・・がしかし、このコード進行の理論的背景は、さっぱり分かりません。

サビについてあえて言うなら、本来は曲の解決をするC7とかD7、E7のドミナント7thコードを当てて、むりやり(しかしスムーズに)転調させているように思います。
コードのルート音がA#M7(ルート音ラ#)→C7(ルート音ド)と完全Ⅰ度です。
C7を基点に、別の調のコードCM7に転調。
CM7(ルート音ド)→D7(ルート音レ)と完全Ⅰ度です。

D7からBm7-5にコードが進行しますが、Bm7-5の和音構成は、B-D-F-A。
これまでのコード進行だと、コードの期待値はDM7。
DM7の和音構成は、D-F#-A-C#。
DとAは和音構成が共通しています。
Bm7の和音構成なら、B-D-F#-A。
DM7の代用コードと想定されます。

Bm7-5(ルート音シ)→E7(ルート音ミ)だと、新たなコード進行のように見えますね。
しかしDM7(ルート音レ)だと→E7(ルート音ミ)と、ルート音が完全Ⅰ度なのです。
次に来るAm7は、曲の解決に向かわせるためで、ルート音はEの4度上です。
コード進行は、Ⅱm7-V7-Ⅰがジャズのポピュラーな解決法です。
Ⅱm7の代用コードはⅣ。
Eの4度上はAです。
最後のD7はEからするとルート音は7度上で、DはEメジャーのドミナント7th音です。
このコードを当てて、このサビを解決しているのかな・・・と。

この曲が、コードから作曲したのか、楽器を何も使わないで作曲したのか興味がありますね。
自分の予想は、コードから作曲した・・・です。
経験則で、このようなコード進行が成り立つと知っていて、この曲で使ったのではないかと予想します。

難点は、サビが盛り上がらないと言うか、この後にサビが来るのか?と言う感じのところですかね。
結局、ギターソロに入って、Bがサビだったのか!と気付く始末です。
AA'もBも同じリズムのリフと言うのは、アレンジとして単調なきらいがあります。
アレンジでがんばっても、Bを盛り上げるのは無理だと思いますので、この後に新たにサビをつけるべきだったと思います。

人間は、4小節とか8小節とかで循環する音楽に、予定調和的な心地よさを感じます。
Aは9小節、A'は7小節と、小節数が変則なのをお気づき頂けましたでしょうか?
Aのように、アレンジの要求で1小節多くなるのはたまにありますが、自分は初めて聴いた時A'は7小節でサビに入ってビックリしました。

2コーラス目はA'Bとなり、1コーラス目より短くするのは、曲の常道ですので、良いですね。
エンディングは、この当時こんな風に、曲メロと関係ない雰囲気で終わると言うアレンジがありましたが、自分は気に入らないです。
個々の曲のパーツは良い線行っているのに、もったいないと思います。

イントロは、ジャジーで美しいピアノ。
すぐに、ユニゾンのロック的なリフが来ます。
これだけオシャレなコード進行なのに、このリフがロックを感じさせます。

刻んでいるだけのはずの、ジェフ・ポーカロのハイハットが、ハネたように聞こえる気がするのが、素敵です。
ジェフ・ポーカロはこの時、全盛時な訳で、まさに唄うドラムが聴けます。
ギターソロで、やたらハイハットオープンを入れるのですが、自分はこのフレーズ好きではないですね。

サビで後ろにさざめく、シンセストリングスが美しいです。

ボーカルは、当時もあまり評判が良くなかった、スタジオミュージシャンボーカルのボビー・キンボール。
特に高温になると、金属的な、キンキンした声ですね。
自分も、それほど好きなボーカルではありません。



You are the flowerのギター・ソロについて


スティーブ・ルカサーのギターの音作りについて

2:09から2:53が、スティーブ・ルカサーのギター・ソロです。
1980年代後半くらいから、レコーディングでもライブでもライン撮り(ギターアンプを介さず直接ミキサーにつなぐ)となったと記憶しています。
ライン撮りは、ミキサーが、音を調整しやすいです。
反面、ギターの音は本来、ギターアンプで増幅したのが本来の音であって、ライン撮りはくぐもったような音になり、ギターの良さが出にくいと言う難点があります。
ギターの音作りに興味がないのでしょうか?
自分は、現在のスティーブ・ルカサーのギターの音が嫌いです。

この頃はまだ、ライン撮りじゃないと思いますが、今聞くと、それほど良い音とは思いませんね。
この曲のミキシングですが、全体的に高音がキンキンして、ミキシング自体も上手ではないと思います。
アンプも何か分かりません。
初期の頃は、マーシャルを使っていたような気もしましたが、エフェクター掛け過ぎて良く分からないです。

ギターはギブソンSGか、レスポールで、リアPUの音じゃないかと推察します。
エフェクターはコンプレッサー、コーラス、ディレイ、リバーブで、アンプで歪ませていると思われます。
コーラスの音にクセを感じるので、コーラスではなく、フェイザーを使っている可能性もあります。
音抜けが良くないですね。

コンプレッサー(ギターのアタックをまろやかに音を伸ばすエフェクター)をかけると、ギブソンSGとレスポールの違いは分かりにくくなります。

ちなみに、ギブソンでボディの木がメイプルトップ(上部の木が固い材質のメイプル)じゃないギター、ギブソンSG、フライングV、フアイアーバード、エクスプローラー等は、音の傾向は一緒で、音を聴いただけでは区別が付きません。
スティーブ・ルカサーは当時、レスポールもギブソンSGも両方持っていたはず。
レスポールはメイプルトップなので、コンプレッサーをかけないナチュラルな音ならば、音の立ち上がりがシャープになり、区別が付けやすくなります。

Gibson Les Paul

Gibson Les Paulの構造

Gibson SG

Gibson Flying V

Gibson Firebird

Gibson Explorer

Gibson Moderne



ギター・ソロのフレーズ全体について

スティーブ・ルカサーは確か、ジェイ・グレイドンの弟子的な存在だと記憶しています。
ぱっと思いつく限り、ボズ・スキャッグスのアルバムやAirplayのアルバムでも共演していますし、調べれば共演アルバムはもっとあるだろうと思います。

この曲のギターソロは、ジェイ・グレイドンっぽい、音使いが凝った、練り込まれたものです。
一方スティーブ・ルカサーは、ライブでアドリブをガンガンやる人です。
ただアドリブで、ここまで凝った音使いをするかな?・・・と。
このソロが、アドリブじゃない可能性もあります。

全体フレーズとしての特徴は、オシャレなスケールチェンジ、休符使いと3連符使い、前の小節からフレーズを始める・・・ですね。

ギターソロに入って、1音転調しますし、ギターソロが始まって8小節後にもう1度1音転調、ギターソロの終わり、17小節後にもう1度1音転調します。
コード進行を知らないと、とてもアドリブは出来ませんね。
このように、転調が頻繁な場合、プロの方でも多少アドリブ展開を練らないと難しいのでは?・・・と思います。

フレーズの出だしから、休符です。
音を出さないのも、音楽の重要なポイントで、この辺にセンスの差が出ます。
1小節目、5小節目、11小節目の音の頭を抜く、抜きフレーズがオシャレです。

前にレビューした、Then She Walked Away / Boz Scaggsでは、音の分布が揃っていたのに対し、3小節目、8小節目、12小節目のように、前の小節からフレーズを始めるとか変幻自在です。

3連符の多用も、センシティブでオシャレですね。
この曲からばかりではありませんが、良いギターソロはしばしば、上手に3連符を使います。
この辺は自分も影響を受けています。

2小節目、4小節目、6小節目、8小節目、10小節目、12小節目、14小節目と、きれいに偶数小節目の最後のフレーズは、次の小節に続くフレーズです。
こんなに予定調和的に、アドリブでこんな風なフレーズを弾けるものかな?・・・と。
アドリブだと凄技のプロでも、フレーズがもっと乱れます。
この辺も、このギター・ソロが、アドリブではないのでは?と思うゆえんです。

このギター・ソロを理解するためには、アベイラブルノートスケールを学ぶ必要があります。
しかも、アベイラブルノートスケールでも、音楽理論として難易度が高いです。
バッキングのコードと併せ、スケール展開していますので、コードが凝っているのと相まって、自分の解釈では8回スケールチェンジしていると考えます。
しかし構成音から、少ない回数なら3回のスケールチェンジとも解釈出来ますので、この辺は人の解釈によるでしょう。

素晴しいスケールチェンジで、これを会得すれば、アドリブを志すギタリストは大きな財産になります。
個々のスケールの話しは、各小節のコメントに書きます。

この曲のギター・ソロでは、自然にスケールチェンジしていますので、とてもオシャレです。
音楽に詳しくない方なら、気付かないと思います。

人間は、4小節とか8小節とかで循環する音楽に、予定調和的な心地よさを感じます。
先日の記事の、Then She Walked Away / Boz Scaggsのギター・ソロも、8小節のパターンでしたね。
また、By the Way / Red Hot Chili Peppersの譜面を見ても、4小節とか8小節で1つのパターンになっている事がお分かり頂けますでしょうか?

フレーズの展開は多彩ですが、4小節毎に上手にフレーズ展開して、流れに無理がありません。
小節の拍子も数えやすく、先日レビューしたSave Your Nights For Me / Kazu Matsui Projectのギター・ソロと比べ、ずっと整然としたものです。
必ずしも、整然としているから良いと言う訳ではありませんが。

以下、ギターソロの譜面となります。
転調が頻繁なので、ハ長調(C調)表記です。
和音の解釈については、サビのコードを転調しているだけなので、サビのコードに準じています。



1小節目-2小節目(2:08~2:14)

ソロ出だしが、ドラマチックで素敵ですね。
歌から、ギターソロの入りで、1音転調しているのは前述の通りです。

自分はアドリブと言えども、ソロの始まりと終わりは、だいたいどんな風にフレーズ展開するか決めていました。
プロの方は、どうなんでしょうか?
2小節目の終わりの、次の小節に続く3連符がオシャレです。

1小節目-2小節目は、Cリディアン・スケールです。
スケールとは音階の事で、Cリディアン・スケールとは、Cから始まるリディアン・スケールと言うタイプの音階の事です。
メジャーコード(コード=和音)に合わせる音階です。
スケールとコードは、表裏一体です。

Cリディアン・スケールが使われるのは、メジャー・コード、コード表記はCまたはC△(他にもCM、Cmaj)、和音はⅠ-Ⅲ-Ⅴ、C-E-G。
いわゆる、ドミソの和音ですね。
またはメジャー7thコードにも使われ、コード表記はCmaj7、CM7、C△7、和音はⅠ-Ⅲ-Ⅴ-Ⅶ、C-E-G-B。
この小節のアタマのコードがCM7ですので、コードとスケールは調和します。

リディアン・スケールの音階のタイプは、Ⅰ-Ⅱ-Ⅲ-Ⅳ#-Ⅴ-Ⅵ-Ⅶ。
音の間隔は、Ⅰ(1音)Ⅱ(1音)Ⅲ(1音)Ⅳ#(半音)Ⅴ(1音)Ⅵ(1音)Ⅶ(半音)となります。
メジャース・ケールの音階のタイプは、Ⅰ-Ⅱ-Ⅲ-Ⅳ-Ⅴ-Ⅵ-Ⅶですので、違いはⅣ度の音が半音上ると言う事です。
ⅠをCに当てはめると、C-D-E-F#-G-A-Bとなります。
もうこの辺で、付いて行けない人、多数でしょうね(苦笑)。

リディアン・スケールのⅣ#音をメジャー・コード、メジャー7thコードで演奏すると、ふわっとした響きになります。

2小節目は、コードに嵌めると、Dミクソリディアン・スケールも使えますが、Cリディアン・スケールで通していますね。

このドミナント7thコードは、転調させるためのものなので、従来のドミナント7thコードからトニックコードにいたる解決の役割は薄いと思います。
それに、次に来るのはトニックコード(D7の場合だとGまたはGm)ではありませんし。
ドミナント7thコードっぽくないので、Dミクソリディアン・スケールを使わなくて正解と考えます。



3小節目-4小節目(2:15~2:19)

3小節目のコードは、2小節単位目のD7を受け、DM7。
これも1種の転調でしょうね。
そのため、スケールもDリディアン・スケールになります。
スケールの構成音は、D-E-F#-G#-A-B-C#。
ちょうど3小節目に起承転結の転をもってくるあたり、整然としたフレージングです。

4小節目は、コードに嵌めると、Eミクソリディアン・スケールも使えますが、Dリディアン・スケールで通していますね。
音も高音から下がって行き、4小節目にパターンを解決します。
4小節目の終わりのつなぎも、3連符。



5小節目-6小節目(2:20~2:24)

5小節目のコードは、響きからC#m7-5じゃないかと思います。
和音はⅠ-Ⅲ-Ⅴ♭-Ⅶ、C#-E#-G-A#。
例えば、C#ロクリアン・スケールなんかが、このコードでもポピュラーなスケールです。

ロクリアン・スケールの音階のタイプは、Ⅰ-Ⅱ-Ⅲ-Ⅳ#-Ⅴ-Ⅵ-Ⅶ。
音の間隔は、Ⅰ(半音)Ⅱ♭(1音)Ⅲ♭(1音)Ⅳ(半音)Ⅴ♭(1音)Ⅵ♭(1音)Ⅶ♭(1音)となります。
ⅠをC#に当てはめると、C#-D-E-F#-G-A-Bとなります。
ロクリアン・スケールを使う場合、注意するべきは、Ⅱ度の音、この場合D音がアボイド・ノートだと言う事です。

アボイド・ノートは、アドリブの際、調性が悪いので忌諱すべき音と言う意味です。
使っていけないと言う訳ではなく、上手に使えば個性的な効果を上げる事も出来ます。

譜例では、D音を経過音として使っていますので、問題ありません。

またはC#m7-5を、C#m7と考えると、C#フリジアン・スケールとかC#ドリアン・スケールも使えます。
C#m7をEM7の代用コードと解釈すると、Eメジャー・スケールとかEリディアン・スケールも使えます。
ここも1種の転調でしょうね。

コードから類推するに、C#ロクリアン・スケールと解釈しました。

C#m7コードとの違いは、C#m7コードではⅤ度G#なのに対し、Ⅴ度の音が半音下がりG♮。
2拍目の16文音符に、G#音が出て来ますが、経過音ですし、この音使いはC#m7のもの。
4拍目にⅤ♭、G音が出て来て、しっかりC#m7-5とマッチします。
この辺の音使いは、素晴しいです。
フレーズ途中の3連符がオシャレです。

6小節目もそのまま、C#ロクリアン・スケールで通します。
6小節目のの終わりの4拍目も、前のフレーズの流れを受け、3連を使っています。



7小節目-8小節目(2:25~2:30)

7小節目も、8小節目も、大きな音階の変化はありませんので、そのままC#ロクリアン・スケールと解釈します。

7小節目のコードはBm7に思われ、他にBフリジアン・スケールとかBドリアン・スケールも使えます。
Bm7をDM7の代用コードと解釈すると、Dメジャー・スケールとかDリディアン・スケールも使えます。
ここも1種の転調でしょうね。

今度は、音が上って行きながらフレーズの解決をしていますね。
ここでもオシャレに3連符を使っています。
8小節目の終わりには、変化を持たせ、今度は16分音符で次の小節につなげています。



9小節目-10小節目(2:31~2:35)

前の小節のD7コードを受け、この小節の頭ではDM7に転調します。
大きな流れで言うと、ギターソロの8小節パターンで、次のパターンに1音転調しちゃいました。

スケールはコードから、Dリディアン・スケール。

9小節目から、10小節目にかけて、フレーズの音を下げて行きます。
10小節目の終わりから、次の小節にかけ、急に音を高く、弦飛びフレーズでドラマチックに展開させます。



11小節目-12小節目(2:36~2:41)

11小節目も、音階に大きな変化はなく、Dリディアン・スケール。

最初の頭抜きフレーズがカッコ良いです。
音が高いところから、低いところに展開してフレーズの解決を図っています。

12小節目は、F#7コードを受け、再びスケールチェンジします。
F#7コードの和音はⅠ-Ⅲ-Ⅴ♭-Ⅶ、F#-A#-C#-E。

ここのスケールはコードから、F#ミクソリディアン・スケールと解釈します。

ミクソリディアン・スケールの音階のタイプは、Ⅰ-Ⅱ-Ⅲ-Ⅳ#-Ⅴ-Ⅵ-Ⅶ。
音の間隔は、Ⅰ(1音)Ⅱ(1音)Ⅲ(半音)Ⅳ(1音)Ⅴ(1音)Ⅵ♭(半音)Ⅶ♭(1音)となります。
ⅠをF#に当てはめると、F#-G#-A#-B-C#-D#-Eとなります。
ミクソリディアン・スケールを使う場合、注意するべきは、Ⅳ度の音、この場合B音がアボイド・ノートだと言う事です。
実際のプレイでも、B音を避けていますね。

12小節目の終わりは、3連符ではありませんが、3連符っぽいフレーズではあります。



13小節目-14小節目(2:42~2:46)

13小節目のアタマのコードは、5小節目のコードの完全Ⅰ度上のコード、D#m7-5。
スケールも、5小節目の完全Ⅰ度上、D#ロクリアン・スケール。

スケールの構成音は、D#-E-F#-G#-A-B-C#となります。

このあたりから、ギターソロの終わりを意識しているのか、畳み込むようなフレーズですね。



15小節目-17小節目(2:47~2:54)

15小節目も、音階に翁変化はなく、D#ロクリアン・スケール。
C#m7ですので、使える音階は上記参照願います。

16小節目は、音階云々ではなく、クロマティック(半音ずつ)上るフレーズとかがあり、難しく考える必要はないでしょう。
使える音階は、これまでの流れだと、Eミクソリディアン・スケール。
スケールの構成音は、E-F#-G#-A-B-C#-Dとなります。

16小節目のコピーは、あまり自信がありません。
またフレーズも正確に5連符とかではなく、拍とか小節に無理やりねじ込む感じで弾きます。

17小節目には16小節目のE7コードを受け、EM7となります。
コードの構成音、G#音でフィニッシュです。


自分はTOTOのファーストアルバムでは、このギターソロが1番好きでしたが、仲間のギタリストに「1番はHold The Line」でしょう・・・と笑われました。
まあ、分かりやすさでは「Hold The Line」は、一番ですけどね。
今回これを書くに当たり、Webでこの曲のギターソロが、スティーブ・ルカサーの最高峰と絶賛している人が少なからずいて、ビックリしました。

譜面のギターソロは、短い範囲で自分のアドリブに利用させてもらうとか、そうじゃなくとも響きが面白いと思う箇所を真似、アドリブでやってみると、新しい世界が広がるでしょう。
コードについてもユニークなもので、勉強になるのでは?と思います。


今回の記事は、今までの中でも、もっとも難解だと思います。

ちなみに自分の音楽理論は、独学です。
耳コピーも大したことがありませんし、音大出とか、バークレイ卒の人が見ると、噴飯ものかも。

自分の音楽理論、20数年前に購入したスケールブック、スケール理論、コード理論の本がベースです。
スケールブックはイケてましたが、現在と違って理論書なんて使えねぇシロモノでしたが、それでも当時出版されてたものの中ではマシなものでした。
そこに、曲を耳コピーして解析したり、色々な人が言う音楽理論の断片をつなぎ合わせて、自分なりの理解をしました。

今ではWebに、もっと有用な情報が載っています。
でも音楽理論って・・・結局、全て理詰めでは説明出来ず、キモの部分は感性だったりしますけどね。



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2015年4月 5日 (日)

Save Your Nights For Me / Kazu Matsui Project

これは、過去に書いた記事ですが、この当時譜面を載せるつもりはありませんでした。
この曲は、そうするには惜しい曲ですので、簡単な曲のアナリーゼ(分析)と、ギターソロの譜面を含め加筆して再掲載します。


アルバム「Love's A Heatache(邦題:ホイールズ・オブ・ラブ)」について

1982年に、ロベン・フォードのセカンドアルバムとして日本で発売された、「Love's A Heatache(邦題:ホイールズ・オブ・ラブ)」は、数奇な運命のアルバムです。

ロベン・フォードの簡単な経歴は、こちらを見て頂きましょう。
マイケル・マクドナルドマイルス・デイヴィスのバックを勤める等、音楽性は多彩でなのですが、当時の雑誌のインタビューなんか見ても、ブルース大好きと発言しており、1990年代に入り、ほとんどソロ活動で、大好きなブルースを弾きまくっています。

ロベン・フォード好きの自分は、もちろんこのアルバムを購入(当時レコードで、後にCDも購入)しました。
ギター弾きまくりを想像していましたが、1曲目のしっとりしたボーカルの曲、Standing On The Outsideを聞いてノックアウトされました。
別に、ギター引きまくりじゃなくとも、駄曲のない名アルバムだったのです。

5曲目、Wheels Of Loveは、タイヤのCMで流れ、洋楽好きなら、この曲を知る人は多かったです。

1960年代の終わり頃から、ジャズのミュージシャンが、電子楽器を使い、ポピュラーな音楽へのアプローチを始め、それがロックミュージシャンも取り込み、一台ムーブメントとなりました。
これが、フュージョン(当初クロスオーバーと呼ばれていた)ブームの始まりですね。
1980年に入ると、フュージョンブームには翳りが見られますが、例えばリー・リトナーの「Is It You?」とか、グローバー・ワシントンJrの「Just The Two Of Us」等、フュージョンミュージシャンのボーカルチューンがヒットした事もあり、インストロメンタルの中に、ボーカルの曲を入れたアルバムが流行しました。

同時に、例えばルーサー・ヴァンドロスのように、当時売れっ子だったベーシスト、マーカス・ミラーと組んで、フュージョン的アプローチの、洗練したソウルミュージックなんかも、出て来ました。
以前紹介した、マーカス・ミラーも参加した、デヴイッド・サンボーンのアルバムのボーカルチューン、Back Againは、この頃の曲です。
しかしこれは、フュージョンブームの翳りに対する、延命措置とも言えたでしょうが、そのエッセンスは、同時に流行していたAOR、ソウル、ロック等の音楽に影響を与え、洗練させて行った側面もあります。

「Love's A Heatache」は、思いっきりボーカルをフューチャーした、オシャレなアルバムですが、フュージョンブーム終盤としては、ありそうなアルバムでした。
しかし今から考えると、当時日本でもそれなりに人気のギタリストで、ブルース大好きのロベン・フォードのアルバムとしては、異質なアルバムです。

1990年頃に、輸入CDを漁っていて、Kazu Matsui Project「Standing On The Outside」のアルバムを発見しました。
ビックリな事に、アルバム内容は、「Love's A Heatache」と全く同じ。
Kazu Matsuiとは、松居和、アメリカで活躍する尺八奏者です。
でも、「Love's A Heatache」には、尺八は入っていません。

真相を知ったのは、1990年代半ばで、このアルバムは元々、ロベン・フォードのソロアルバムなんかじゃなかったのです。
後に、ロベン・フォードもインタビューで、このアルバムを自分のソロアルバムと思って欲しくないと、答えています。

Kazu Matsuiがプロデュースしたアルバムが、日本に入って来ましたが、その際日本で知名度がないKazu Matsuiではなく、ロベン・フォード名義で発売したと言うのが、真相のようです。
ただ、輸入レコード(CDじゃありませんw)でも、ロベン・フォード名義の「Love's A Heatache」を見た事がありますので、こんな売り方をしたのは、日本だけじゃなさそうですね。

このアルバムは、発売当時は、それほど売れませんでしたが、1990年代のレアグルーブブームで、AORの銘盤として見直されました。
自分、このアルバムがAORって言うのは、ちょっと違和感あるかなぁ・・・
それでも残念ながら、このアルバムの素晴しい曲達は、親なし子のように、その後引き受ける演奏者もなく、現在も放置状態です。

しかし、この曲だけは別で、大ヒットした訳でもなく、それほど有名な曲だった訳でもないのに、オペラ歌手の大御所、3大テナーの1人、プラシド・ドミンゴが1985年のアルバムでカバーしています。

さて、曲に行きましょう。



Save Your Nights For Meについて

メンバーは、下記の通りです。
Vocal - Howard Smith
Guitar - Robben Ford
Piano - Russell Ferrante
Synth - Derek Nakamoto
Bass - Neil Stubenhaus
Durms - Vince Colaiuta(Vinnie Colaiuta)
Percussion - Michael Fisher

ドラムはこの頃、まだ無名だった、現世界一のセッションドラマー、ヴィニー・カリウタ。
ピアノのラッセル・フェランテは、人気フュージョングループ、イエロージャケッツのキーボード。
イエロージャケッツは、ロベン・フォードの「The Inside Story」のバックのメンバーのバンドです。
ニール・スチューベンハウスは、1980年代以降、かなり多くのミュージシャンのバックをこなした、中堅どころのセッション・ベーシスト。
ボーカル、シンセ、パーカッションは無名だと思います。

しっとりとしたソウルフルなバラードナンバーです。
曲を書いたのは、マーク・ミューラー(Mark Mueller)とケン・ヒルシュ(Ken Hirsch)。
マーク・ミューラーもケン・ヒルシュも、当時そこそこ有名だったソングライターのようですが、自分は知りませんでした。

アレンジはラッセル・フェランテ。
ピアノ主体の曲だから、当然でしょうね。
プロデュースは松居和。

松居和プロデュースの別のアルバムを聞くと、全く別のテイストだったりしますので、プロデュースと言っても、ある程度ミュージシャン任せだったのでしょう。
しかし松居和自身は、少しAORを意識していたかも知れません。

始まりはE調ですので、音階はE-F#-G#-A-B-C#-D#となります。
しかしギター・ソロのところで転調してF調となり、音階はF-G-A-B♭-C-D-Eとなります。
以後エンディングまでF調。

曲のパターンは、AA'BB'型。
曲全体としては、Intro-AA'BB'-Interlude-AA'BB'2-Guitar Solo-C-BB'-Endingとなります。


[A]
Silent you , silent me
The breeze blow the weary leaves to rest
Time passes time

[A']
As the hours slip on by
Somehow we speark without a sound
I need you around
So darlin' won't you

[B]
Please
Save your nights for me
In the dark you'll see
Just how much you mean to me
[B']
So please
In the moonlight we
Can share a memory
Just save your nights for me

ラッセル・フェランテのピアノから始まりますが、途中エレクトリック・ピアノ(これってSynth?)も入っていて、ちょっとしたキーボードアンサンブルです。
それに絡む、ニール・スチューベンハウスのベースも素敵です。
全編、場面に応じて強弱をつけて、叙情的に歌い上げる、ハワード・スミスの歌声も良いですね。

それにしても、ラッセル・フェランテのピアノの白玉(2分音符以上の音を伸ばすフレーズ)の和音の美しい事・・・

ロベン・フォードのギターのバッキングも、カッティングとアルペジオを織り交ぜていて、素敵ですね。



Save Your Nights For Meのギター・ソロについて

2:11から2:44のロベン・フォードの、エモーショナルなギター・ソロです。



ギターのセッティング

当時ロベン・フォードは、ギブソンES-335を好んで良く使っていましたが、このソロはギブソンES-335ではないような気がします。
もしかするとストラトを使い、フロントPUで音を出しているかも知れません。

エフェクターは、ナチュラルにディレイとリバーブでしょうね。
アンプの適度な歪みが、美しい音になっています。
アンプは何を使っているか分かりませんが、記憶に間違えなければロベン・フォードは昔、Mesa/Boogieを使っていたので、これもMesa/Boogieじゃないでしょうか?



ギター・ソロのスケール(音階)

ロベン・フォードはブルースが大好きで、台頭して来たフュージョンブームの時も、今聞くと絶妙な匙(さじ)加減で、ブルースフィーリングです。
しかしジャズやフュージョンの引き出しもあり、ブルースフィーリングも織り交ぜ、まね出来ない独特のフレーズを弾きます。
以前記事を書いた、ラリー・カールトンの現在のスタイルは、ロベン・フォードの影響だと、ラリー・カールトンの弟子みたいなカルロス・リオスが語っていました。

前述の通り、曲のサビからギター・ソロに入るところで、F調に転調します。
これも研究に値しますが、まあここの主題とはズレますので、割愛します。
1音転調なので、どって事ないです。

恐らく多くの人は、このギターソロを聞いて、きれいなソロだ・・・くらいにしか思わないのでしょうね。
自分は初めて聞いた時は、衝撃でした。

このギター・ソロを理解するためには、アベイラブルノートスケールを学ぶ必要があります。

始まりは、Fメジャースケールです。
スケールとは音階の事で、Fメジャースケールとは、Fから始まるメジャースケールと言うタイプの音階の事です。
メジャーコード(コード=和音)に合わせる音階です。
スケールとコードは、表裏一体です。

音階を表す時、C=ド、D=レ、E=ミ、F=ファ、G=ソ、A=ラ、B=シ(クラッシックではH)。

Fのメジャーコード、FまたはF△(他にもFM、Fmaj)の和音はⅠ-Ⅲ-Ⅴ、F-A-C。
メジャースケールの音階のタイプは、Ⅰ-Ⅱ-Ⅲ-Ⅳ-Ⅴ-Ⅵ-Ⅶ。
音の間隔は、Ⅰ(1音)Ⅱ(1音)Ⅲ(半音)Ⅳ(1音)Ⅴ(1音)Ⅵ(1音)Ⅶ(半音)となります。
ⅠをFに当てはめると、音階はF-G-A-B♭-C-D-Eとなります。

F調の場合、ロックだとFメジャースケール(またはメジャーペンタトニックスケール)、Fブルースペンタトニックスケールだけでプレイ出来ます。
その内のFメジャースケール・・・と言う事ですね。

この辺ですでに、付いて行けない人多数でしょうね(苦笑)。

それが5小節目から、Fマイナースケールにスケールチェンジします。
4小節循環として考えると、この譜面では、1小節目はつなぎのフレーズで、パターンの始まりは2小節目。
つまりパターン4小節目の、次のパターンとのつなぎの小節から、スケールチェンジしています。

マイナースケールとは、マイナーコード(コード=和音)に合わせる音階です。
Fのマイナーコードは、Fm、和音はⅠ-Ⅲ♭(Ⅱ#)-Ⅴ、F-A♭-C。
マイナースケールには、ナチュラルマイナースケールとハーモニック・マイナー・スケール、メロディックマイナースケールの3種あります。

ナチュラルマイナースケールの音階のタイプは、Ⅰ-Ⅱ-Ⅲ♭(Ⅱ#)-Ⅳ-Ⅴ-Ⅵ♭(Ⅴ#)-Ⅶ♭(Ⅵ#)。
音の間隔は、Ⅰ(1音)Ⅱ(半音)Ⅲ(1音)Ⅳ(1音)Ⅴ(半音)Ⅵ(1音)Ⅶ(1音)となります。
ⅠをFに当てはめると、音階はF-G-A♭-B♭-C-D♭-E♭となります。

ハーモニック・マイナー・スケールの音階のタイプは、Ⅰ-Ⅱ-Ⅲ♭(Ⅱ#)-Ⅳ-Ⅴ-Ⅵ♭(Ⅴ#)-Ⅶ。
音の間隔は、Ⅰ(1音)Ⅱ(半音)Ⅲ(1音)Ⅳ(1音)Ⅴ(半音)Ⅵ(1音半)Ⅶ(半音)となります。
ⅠをFに当てはめると、音階はF-G-A♭-B♭-C-D♭-Eとなります。

メロディックマイナースケールの音階のタイプは、上向系と下向系が異なります。
音の間隔は上向系、Ⅰ(1音)Ⅱ(半音)Ⅲ(1音)Ⅳ(1音)Ⅴ(1音)Ⅵ(1音)Ⅶ(半音)となります。
ⅠをFに当てはめると、音階はF-G-A♭-B♭-C-D-Eとなります。
音の間隔は下向系は、ナチュラルマイナースケールと同じになります。

マイナースケールの特徴的なⅢ♭とⅥ♭、Ⅶ♭音は、フレーズの音が下がっている時に使われ、音階はナチュラルマイナースケール。
メロディックマイナースケールの下向系は、ナチュラルマイナースケールと同じですので、メロディックマイナースケールと言う理解でも良いでしょう。

ぶっちゃけ、いずれにせよギター・ソロのメロディが、転調しているんですね。
アベイラブルノートスケールの考え方ですと、Fmの和音だからマイナースケールを使うと言う事なのですが、この曲の場合コードによらず、スケールチェンジしてみました・・・くらいのノリですね。
あえて言うなら、Fブルーススケールのふりして、マイナースケールを使ってみました・・・かな?

ちなみにこの短い文章(どこがやねん!)を100回読んで、完璧に理解出来なければ、アベイラブルノートスケールなんて絶対に理解出来ません。
この曲のスケールチェンジは、初歩の初歩です。
分かりにくいでしょうか?
実は、超親切に書いてます。

自然にスケールチェンジしていますので、とてもオシャレです。
音楽に詳しくない方なら、気付かないと思います。



フレーズの傾向

人間は、4小節とか8小節とかで循環する音楽に、予定調和的な心地良さを感じます。
先日の記事の、Then She Walked Away / Boz Scaggsのギターソロも、8小節のパターンでしたね。
また、By the Way / Red Hot Chili Peppersの譜面を見ても、4小節とか8小節で1つのパターンになっている事がお分かり頂けますでしょうか?

この曲のギター・ソロの入りは、フレーズから考えると2拍分早いです。
下記の上段の譜面は実際に弾いているタイミング、下段はフレーズから本来あるべきタイミングです。

赤丸をしているのは、このフレーズなら本来、この部分が小節の前後に来る・・・と言う意味です。

初めて聴いた時には、気持ち悪かったです。
このフレーズは転調と言う要因もあるでしょうが、ロベン・フォードが、本能のまま弾いたので、こんなフレーズになったのだと思います。
逆に上段のように、小節の頭から弾いたなら、1小節弾き続け、フレーズを解決するべきだったでしょうね。

自信を持って、弾ききっちゃっているので、自然に弾いているようにしか聞こえないですけどね。

ギタリストがアドリブと言っても、スケール(音階)を考え、アドリブの進行(例えば高い音で始まり、いったん低い音まで下がり、エンディングで高い音で締める・・・とか)くらいは考えておくものです。
アドリブの引き出しが豊富な人は、そうそういませんので、ギター・ソロの傾向は似ますね。

ロベン・フォードは、文字通り本能のまま弾き、アドリブの引き出しも豊富。
同じ曲のギター・ソロなのに、ライブによって、何の曲?って言うくらい、全く違うギター・ソロを弾きます。
そのせいかどうか、しばしばフレーズが脱線しますが、それがまた意表を突いて良いです。
脱線しても、ちゃんと自然に曲の流れに戻します。

だからロベン・フォードのギター・ソロは、パターンも傾向もあまりなく、譜面化が難しいものの、オンパレードです。

ここでも3小節かけてもとの流れに戻しますが、普通なら聞いていて違和感ないでしょうね。
でも、すぐスケールチェンジ。
ジェイ・グレイドンとは別の意味で、普通にはフレーズが来ませんね。



1小節目(2:11~2:14)

ソロ出だしが、2拍違うと指摘した箇所ですね。
ただこのフレーズ、それでもなおとても美しいですけど。



2小節目(2:15~2:17)

2拍違う影響を受け、この小節は半拍休符の変なタイミングからフレーズが入っています。



3小節目(2:18~2:20)

2小節目のフレーズを下方(音を下げると言う事)にずらして、似たようなフレーズを弾いています。
この小節の入りも半拍休符のタイミングです。



4小節目(2:21~2:23)

やっと小節の頭に音が来て、気持ちよくなったところですが、小節の終わりのタイミングで、次の小節に続くフレーズがあります。
このタイミングも独特ですね。

こんなの、アドリブでやっちゃうんだ。
どんなタイム感覚なんでしょう?



5小節目-6小節目(2:24~2:32)

音が下がって行き、6小節目の頭で見事解決させます。
このフレーズからFマイナースケールにチェンジ。
ちなみに、フレーズはブルースっぽいのに、そう聞こえないところがオシャレですね。
マイナースケールも、使い方によっては暗い雰囲気になるのですが、全くそんなところはないです。

余談ですが、ギター・フレーズを聴いて、盛り上げるべく、ドラムのヴィニー・カリウタがシンバルを入れているのが素敵です。
ヴィニー・カリウタは、瞬時に曲を理解して合うようにドラミングするから、現在世界一のセッションドラマーと呼ばれているのです。



7小節目-8小節目(2:33~2:40)

音が上ってきて、ここから盛り上がるのか?と思わせる部分です。
しかしアラアラ・・・音が下がってっちゃったよ!



9小節目(2:41~2:43)

結局きれいに終わりきらず、蛇足的にフレーズをこの次の小節に加え、終わらせています。


このギター・ソロが好きか嫌いかと聞かれると、大好きです。
その一方で、ロベン・フォードがきちんと曲を理解しないまま、本能で弾いた感ありありで、全体として見るとちぐはぐです。
それを帳尻合わせたような感がありますね。
並みのギタリストながらグダグダになったでしょうが、ロベン・フォードの場合オシャレにスケールチェンジまでして、こんなに素敵に聞こえるなんて・・・誰も真似できないでしょう。

ロベン・フォードは、どっちかと言うと、プロのギタリストに熱烈なファンが多いです。
音がきれい、ギターが上手い、そして独特のフレーズ、本能のアドリブ・・・と言う魅力があると思います。
特に1980年代から、2000年代半ばまで、多くのライブでは神が降りたか・・・と言う凄いパフォーマンスでした。


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2015年4月 2日 (木)

Then She Walked Away / Boz Scaggs

久々の音楽ネタです。
以前も書いていますが、自サイトの音楽ネタは、1日単位ではアクセスが多くはありませんが、毎日コンスタントにアクセス数を稼ぎ、1万アクセス以上の記事がいくつもあります。
面白い事に、軽く音楽の感想を書いているのは、あまりアクセスが来ないのですが、難しい事を書いている記事ほどアクセスが多いです。
最初このコーナーでは、一般の方は読めないでしょうから、譜面を載せないつもりでした。
しかし結局、譜面を載せた記事なんかも、凄くアクセスが多いです。

で、またまた譜面を載せた記事です。

ボズ・スキャッグスは、若い人は知らないかも知れませんね。
古い曲で申し訳ありません。

BABYMETALとか、コピーするの大変(間奏のソロはとてもあんなに速く弾けない!)ですしね(笑)。
BABYMETALも、その内取り上げたいですが・・・


ボズ・スキャッグスについて

ボズ・スキャッグスは、1960年代半ばから活動するシンガーで、1970年代半ばから1980年代初めにアダルトコンテンポラリー路線でヒットした、アダルトコンテンポラリーを代表する1人です。
アダルトコンテンポラリーは、1970年代後半に、アメリカでAOR(Adult-Oriented Rockの略?各種説あり)と呼ばれ、言葉が日本にも輸入され、アメリカではAORという言葉は流行りませんでしたが、日本では未だにAORの方がポピュラーじゃないでしょうか?
ボズ・スキャッグスはアメリカで今でも人気はあるようですが、日本の方がより人気があると言われています。

ボズ・スキャッグスは当初、ヒットに恵まれませんでしたが、1976年にアース・ウインド・アンド・ファイアーのプロデューサーとしても名を上げたジョー・ウィザートをプロデューサーに迎え、アダルトコンテンポラリー路線のアルバム「Silk Degrees」を出します。
このアルバムは、Billboardで最高2位となり、シングルカットの「Lowdown」はグラミー賞において最優秀R&B楽曲賞を受賞しました。
他にも、「Jump Street」、「Lido Shuffle」、「What Can I Say」、「Harbor Lights」、「We're All Alone」等、いずれ引けを取らない名曲揃いで、多くのミュージシャンにカバーされました。
このアルバムにバックとして参加した、ドラムのジェフ・ポーカロ、キーボードのデヴィッド・ペイチ、ベースのデヴィッド・ハンゲイトはグループ「TOTO(便器ではありませんw)」を結成し、翌年ファーストアルバムを発表し、こちらもアダルトコンテンポラリー路線の銘盤と言われています。

次のアルバム「Down Two Then Left」は、「Silk Degrees」に続くアダルトコンテンポラリー路線のアルバムで、プロデューサーは同じくジョー・ウィザート。
Billboardで最高11位となり、「Silk Degrees」よりロック色が強いアルバムで、「Silk Degrees」が好きな人は、このアルバムに少しがっかりしたようです。

次の「Middle Man」は多くのバックミュージシャンが「TOTO」メンバーで、プロデューサーは同じくジョー・ウィザート。
サウンドも「TOTO」色が強いですが、「Silk Degrees」を発展させたような路線のアルバムなので、ボズ・スキャッグスファンには好意的に捉えられていました。
Billboardで最高8位となり、シングルとしても「Breakdown Dead Ahead」、「Jojo」がヒットしました。
日本のCMで、「You Can Have Me Anytime」のギターソロ(ギタリストはカルロス・サンタナ)部分が使われ、有名になりました。

自分も当時、上記のような評価でしたが、1990年代に聞き返すと、「Down Two Then Left」もこれはこれで良いアルバムだと思いましたね。
このアルバムの評価の低さは、Billboard順位がこの3枚で最も低い事、「Silk Degrees」から路線を少し変えた事による反発の2つの要因のように思います。

若い人の中には、AORって何やねんと思うかも知れませんね。
一般論としての代表的ミュージシャンは、スティーリー・ダン(ドナルド・フェイゲン)、ボズ・スキャッグス、ボビー・コールドウェル、TOTO、一時期のシカゴ、クリストファー・クロス、ジェイ・グレイドン、デビット・フォスター等。
音楽スタイルとしては、シンプルでパワーやスリリングなロックとは異なる、オシャレに正装した男女が、酒を飲みながら楽しめるオシャレなロックですね。
ミュージシャンは、ジャズも出来るミュージシャン、アレンジャー、プロデューサーが、ジャズのロック的アプローチのフュージョンブームを通って、AORのサウンドが出来ました。



ジェイ・グレイドンについて

自分はボズ・スキャッグスの曲も好きなのですが、今回のテーマは間奏のギターソロを弾いているジェイ・グレイドンの名演です。
以前、スティーリー・ダンのペグでギターソロを弾いたエピソードを紹介しました。
ジェイ・グレイドンについてそのうち紹介すると書きましたが、4年越しの記事です・・・って、もう覚えている人はいないでしょうけどね(苦笑)。

ジェイ・グレイドンは、1970年代後半から1980年代あたりに活躍した、セッション・ギタリストにして名プロデューサーです。

セッション・ギタリストとしては前述のスティーリー・ダンを始めとして、ジノ・ヴァネリ、バーバラ・ストライサンド、ドリー・パートン、ダイアナ・ロス、ジャクソン・ファイブ、アリス・クーパー、チープトリック、アル・ジャロウ、クリストファー・クロス、レイ・チャールズ、シェール、ジョー・コッカー、マービン・ゲイ、ホール・アンド・オーツ、ウェイン・ショーター、オリビア・ニュートン・ジョン、アルバート・キング等、多数のアルバムでギターを弾きました。

作曲者として、1980年アース・ウインド・アンド・ファイアー「After Love Has Gone」(共同制作者デビッド・フォスター、ビル・チャンプリン)で「Best Rhythm & Blues Song」と「Song of the Year」の2冠。
1983年ジョージ・ベンソン「Turn Your Love Around」(共同制作者スティーブ・ルカサー、ビル・チャンプリン)で、グラミー賞ノミネート。

アレンジャーとして、マンハッタン・トランスファー「TWILIGHT ZONE」でグラミー賞「Best Arrangement for Voices」を受賞(共同受賞アラン・ポール)。

音楽プロデューサーとしては、1982年アル・ジャロウ「Breakin' Away」でグラミー賞「Album of the Year」を受賞。
1984年アル・ジャロウ「Jarreau」でグラミー賞「Producer of the Year (Non-Classical)」、「Best Engineered Recording - Non-Classical」を受賞。
同アルバムから、「Mornin'」がグラミー賞「Best Instrumental Arrangement Accompanying Vocal(s) を受賞(共同受賞デビッド・フォスター、ジェレミー・ルボック)。
1985年映画「ゴーストバスターズ」の「Ghostbusters Soundtrack」で、グラミー賞「Best Album of Original Score Written for a Motion Picture or a Television Special」を受賞。
1986年映画「セント・エルモス・ファイアー」の「St. Elmo's Fire Soundtrack」で、グラミー賞「Best Album of Original Score Written for a Motion Picture or a Television Special」を受賞。

1980年から1986年まで7年連続ノミネートで、内6年に受賞するという凄さです。

ちょうどフュージョンブームから、AORが当たった頃にAORサウンドのプロデューサーとして活躍しました。
自分らの年代では、バンド仲間の大多数が、ハードロック、その後流行したヘビーメタルを演奏していまして、自分のようにフュージョンやAORが好きと言うのは少数派でしたね。
ジェイ・グレイドンがプロデュースすると、明らかにAORのサウンドになっちゃいましたが、いつまでも流行が続く訳もなく、AORの衰退と共に表舞台から姿を消しました。

ミュージシャンでも、リスナーでも、プロデューサーとしてのジェイ・グレイドンを評価する人はそれなりにいるでしょうが、ギタリストとしてのジェイ・グレイドンって、あまりスポットが当たっていないんじゃないですかね?
1994年、盟友のデビット・フォスターの日本のコンサートで、特別ゲストとして登場し、Aireplayの名曲、「Nothin' You Can Do About It」のギターを弾きました。
ギターソロは、アルバム「Airplay」と同じでしたので、ギターソロはアドリブではなく、作曲して毎回同じフレーズを弾いているのではないかと思います。
1993年、ソロアルバム、「Airplay for the Planet」が日本で売れて、1995年ジェイ・グレイドン・オール・スターズで来日した時も、ジェイ・グレイドンのギターソロは、やはりアドリブじゃなくアルバムのものと同じでした。

アドリブをしないから、ギターソロの値打ちが下がる訳ではありません。
下手なアドリブをするくらいなら、むしろ練りこまれたギターソロの方が良いくらいです。
もちろん、一流ギタリストのアドリブは凄いですけどね。

ジェイ・グレイドンの名演と言うと、マーク・ジョーダンの「I'm a Camera」のソロも名演ですが、「Then She Walked Away」はかつて自分が演奏したことがあり、かつその際にアドリブ参考のため、ギターの完コピした事がありました。
小節数も少ないし、譜面化するなら楽だな・・・と。
今はかつてのように弾けませんし、もうコピーしたのも忘れてましたが、体が半分くらいはフレーズを覚えていて、小1時間くらいで譜面化出来ました。
むしろ、譜面作成ソフトの操作に手間取ったので、スムーズに行けば30分かからなかったでしょう。



Then She Walked Awayについて

さて、曲に行きましょう。

曲はボズ・スキャッグスとマイケル・オマーティアン共同制作。
アレンジは、このアルバム全体マイケル・オマーティアン。
バックのミュージシャンは、以下の通りです。

ドラム: ジェフ・ポーカロ
キーボード全般: マイケル・オマーティアン
ベース: スコット・エドワーズ
バッキングギター: 不明(ボズ・スキャッグス、ステーブ・ルカサー、レイ・パーカー・ジュニアのいずれか)
ギターソロ: ジェイ・グレイドン

ラッパ隊は、クレジットには多数書かれていますが、全員が参加したとも思えず。
具体的に、誰がこの曲で演奏したか不明です。

曲のテンポは、テンポ95(1分間に四分音符95回)くらい?
自分の経験では、テンポ90-110あたりのテンポの曲が、雰囲気を出すのが難しいですね。
演奏力の差が出やすいです。

メロディは、G調ですので、音階はG-A-B-C-D-E-F#となります。

曲の構成は、「AABC」
と書いても分かりにくいでしょうから、歌詞と共に説明しますと。

[A]
Then she walked away
Quietly so afraid
Smiling but no doubt
Crying her heart out
She really just wants to stay

[A]
Then she walked away
Leading her own parade
Nobody's cheering
The voices she's hearing
Are empty remarks she made

[B]
How was she to know
That it would come to this
Sorry Miss
They forgot to tell you it was just a game
Just a sad illusion

[C]
Now you're on your own
Really on your own
It's still a long way home

Aのラストの仕掛けが乙ですね。
そしてAからBのベースラインの静と動の切り替えが素敵です。

バッキング・ギターが誰なのか分かりませんが、残念ながらフレーズが凡庸です。
もしかするとボズ・スキャッグス?それとも、ステーブ・ルカサーの可能性もあります。
名人ステーブ・ルカサーもたまに、曲を理解していないイマイチなバッキングがありますしね。

Then She Walked Awayのギターソロについて

2:33からがギターソロになります。
8小節(最後の音も加えると9小節)と短いながら、メリハリが利いた、練りこまれた良いソロだと思います。



ギターソロ全体について

まずは、譜面全体を俯瞰(ふかん)的に見て下さい。

他の楽器のコード(和音)は拾っていませんが、コード進行はサビ(曲構成のC)と同じと考えて良いでしょう。
アレンジは、サビとは異なりますけどね。

フレーズは、Gメジャースケール一本です。
スケールとは音階の事で、Gメジャースケールとは、Gから始まるメジャースケールと言うタイプの音階の事です。
メジャーコード(コード=和音)に合わせる音階です。
スケールとコードは、表裏一体です。

音階を表す時、C=ド、D=レ、E=ミ、F=ファ、G=ソ、A=ラ、B=シ(クラッシックではH)。

Gのメジャーコード、GまたはG△(他にもGM、Gmaj)の和音はⅠ-Ⅲ-Ⅴ、G-B-D。
メジャースケールの音階のタイプは、Ⅰ-Ⅱ-Ⅲ-Ⅳ-Ⅴ-Ⅵ-Ⅶ。
音の間隔は、Ⅰ(1音)Ⅱ(1音)Ⅲ(半音)Ⅳ(1音)Ⅴ(1音)Ⅵ(1音)Ⅶ(半音)となります。

構成音は、G-A-B-C-D-E-F#となり曲メロと同じ・・・曲メロのキーがGなら、Gメジャースケールと曲メロは同じ音階になります。
G調の場合、ロックだとGメジャースケール(またはメジャーペンタトニックスケール)、Gブルースペンタトニックスケールだけでプレイ出来ます。
その内のGメジャースケール・・・と言う事ですね。

スケールチェンジをして、ジャジーなアプローチも可能だったでしょうが、ロック色のあるフレージング、ギターの音なので、シンプルにGメジャースケール一本で合うと思います。
何よりこのギターの音、ジェイ・グレイドンらしいです。

この辺ですでに、付いて行けない人多数でしょうね(苦笑)。

比較的、1拍目、2拍目にフレーズを弾いて、3拍目、4拍目は伸ばすフレーズが目に付きます。
これは、ソロのメロディの良い間になっていますし、音が伸びるところが気持ち良くもあります。

ギターに限らず、各楽器のソロですが、若さに任せ、火が付いたように弾く人が良くいますが、はっきり行ってアホです。
他人の自慰なんて、見たい人はいません。
楽器のソロは、あたかも物語のようであり、起承転結の展開がしっかりしていなくてはなりません。
体力勝負で、やたら速弾き決めても、何の意味もありません。

音楽には間が必要で、もしも間がないのなら、リスナーは音を追えず、演奏への意識が流れてしまうでしょう。
もっと言うと、起承転結もそうですが、一流ミュージシャンは間が絶妙で、間に各ミュージシャン独特のものがあります。
間の出来が、各ミュージシャンの楽器のソロの出来不出来を左右すると言っても、過言ではありません。

音楽は、観客との音を媒介したSEXであるべきです。
そしてじらしたり、予想を裏切ったり、ここぞと言う時に一気に攻め立て、いかに客を満足させるか・・・

小節の後半2拍を伸ばすのは、ジェイ・グレイドンのギターソロ全般に特徴のある、間のような気がします。
前述の「I'm a Camera」のソロも、比較的3拍、4拍を伸ばすフレーズが目立ちますね。



1小節目(2:33~2:35)

ソロ出だしの下がるスラー(スライド)ですが、あまりこんな風に使う人は、ジェイ・グレイドン以外にはいないんじゃないですかね?
自分はこの曲の影響で、このフレーズは良く使わせてもらいました。


2小節目(2:36~2:38)

1拍目のハイAの音から2拍目のダブルハイF#へと音を飛ばすのも、ジェイ・グレイドンのギターソロの特徴ですね。
こう言うフレーズは、弟子とも言うべき、ステーブ・ルカサーも使います。
アルバム「TOTO」の「You are the flower」で、ジェイ・グレイドンの影響を受けたギターソロを聞く事が出来ます。
自分も、この辺の音が飛ぶフレーズは影響を受け、ギターソロで良く使いました。


3小節目-4小節目(2:39~2:43)

1、2小節目の3拍目、4拍目は、伸ばすフレーズだったのが、裏をかいてここでは4拍目に16分音符の速引きが入り、次の小節まで速弾きが続きます。
4小節目は、予定調和的に3拍目、4拍目は伸ばすフレーズ。
この辺の、フレーズコントラストの使い方が良いですね。


5小節目(2:44~2:46)

この小節から最後まで、は、8va・・・演奏しているのは、譜面表記のオクターブ上の音となります。
ソロ後半ですが、前の小節の16分音符のフレーズを受け、ダブルハイGとAの16分音符のチョーキング(弦を指で引っ張って音程を変える)から、2拍目突然ハイBまで音が飛び、雪崩のようにハイG、ハイDと音が飛んで、B、ハイDと続く音を飛ばすフレーズも、2小節目同様、ジェイ・グレイドンの特徴です。
4拍目で、いったん音を下げて上げるグリッサンドがありますが、この譜面ソフトでは書き切れないので、単にグリッサンドとしています。


6小節目(2:47~2:49)

ハイA、ダブルハイD、ダブルハイFの音飛びフレーズで、かつ2拍3連符です。
ここで、3連符を使うのはオシャレですね。
この辺の意表をつく使い方も、自分は影響を受けています。
有名ギタリストのフレーズを聞くと、意表を付いた3連符使いが、けっこうあるような気がします。


7小節目(2:50~2:52)

この辺から、フレージングが、ギターソロの解決(起承転結で言うところの結)に入ります。
1拍目の最後なんて音は飛びますが、この辺はギター的なフレーズで、音飛びとは言いませんね。
予定調和的に3拍目、4拍目は伸ばすフレーズです。


8小節目(2:53~2:55)

前の小節のフレーズを1音ずらして弾き、3拍目、4拍目に16分音符を弾いてたたみ込みます。
3拍目の頭は、例によって音を飛ばしています。


9小節目(2:56~2:58)

出だしの音と、オクターブ上の同じ音(ダブルハイF#)で解決しました。
お見事、とも言うべき終わり方です。

この後、歌の合いの手のようにボリューム奏法を使ったフレーズも弾きますが、そっちは簡単なフレーズなので割愛します。


ジェイ・グレイドンは、あたかもアドリブかのように弾いていますが、良く分析するとフレーズが練られていて、フレーズを作曲したっぽいですよね。
個々のパーツが良く出来ていますので、ギターソロのアイデアの宝庫だと思います。
もしジェイ・グレイドンのギターソロが気に入ったら、他にも色々と聞いてみると良いでしょう。
個々のフレーズのパーツ、アイデアは今でも錆びずに、利用可能だと思います。

「TOTO」の「You are the flower」は、興味深いギターソロですので、その内取り上げます。

http://grooveshark.com/#!/search/song?q=Boz+Scaggs+Then+She+Walked+Away
Then She Walked Away by Boz Scaggs on Grooveshark

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2013年9月28日 (土)

By the Way / Red Hot Chili Peppers

久々の音楽ネタです。
実は意外に思うかも知れませんが、このブログで人気があるのは、音楽ネタです。
地味にコツコツアクセスを稼いで、通算1万オーバーのアクセスを稼いでいるのが、いくつかあります。
面白い事に、アッサリ曲を紹介しているのは、あまりアクセスが来ません。
難しい事を書いているものほど、日に数アクセスコンスタントに来ます。

アフェリエイトをしているではないので、アクセスの多寡は、関係ないですけどね。

2007年、米ローリング・ストーン誌上にて、New Guitar Gods(日本では新3大ギタリストとも言われる)が選出されました。
ジョン・メイヤーデレク・トラックスジョン・フルシアンテの3人です。
その内取り上げると書いておきながら、ジョン・フルシアンテだけ時間が経ってしまいました。



ジョン・フルシアンテについて

ジョン・フルシアンテの経歴について、簡単に書きます。
1970年生まれの43歳ですから、もうベテランの域です。
元々レッド・ホット・チリペッパーズ(以後レッチリ)のファンだったのですが、薬物で死去したヒレル・スロヴァクの後任として、レッチリのギタリストとして迎えられます。
ところが1992年5月、日本公演中に体調不良で帰国、そのままレッチリも脱退します。
当初は、謎の脱退でしたが、後に薬物中毒だったと分かりました。
1995年、後任ギタリストとして、デイヴ・ナヴァロが入りますが、「One Hot Minute」1枚リリースの後脱退。
そして1999年に、薬物から回復したジョン・フルシアンテが、レッチリに復帰します。

実は自分、1990年前後のジョン・フルシアンテは、ほとんど印象がありません。
むしろ、短い期間だったのに、初代のヒレル・スロヴァクの方が、強烈な印象がありました。

そして復帰したジョン・フルシアンテは、徐々に自分の色をレッチリに影響させて、レッチリもヒットを続けて行きます。
アイデアマンで、センスが良く、そのため白いジミヘンとも言われました。
ジミヘンと言うほど、革命的ギターフレーズではないですけどね。

自分のジョン・フルシアンテの印象は、バッキングは物凄いセンスが良い。
しかしギターソロには、良い印象がありません。
ですので、2007年、New Guitar Godsの選出は、意外でした。

その後2009年に、レッチリを円満脱退して、現在ソロ活動をしています。


「By the Way」について

「By the Way」は、レッチリが2002年に発表したアルバムでもあり、アルバムタイトルと同名の曲です。
曲はボーカルのアンソニー・キーディスが作っています。

このアルバムは、ジョン・フルシアンテの個性が出たアルバムと評されています。
そしてこの曲も、ジョン・フルシアンテの素晴しいセンシティブなプレイが聴けます。

ちなみに、レコーディングではギターソロなしです。


「By the Way」の楽譜

「By the Way」のスタートから、サビの手前、下に貼り付けているMVで言うと1:03くらいまでの譜面です。
ギターばかりでなく、ベース、ドラムのバンドスコアです。

自分、学生時代なら、バンドスコアが1曲遅くても8時間程度で(正確かどうか別にして)書けました。
この曲、ジョン・フルシアンテばかりでなく、ベースのフリーやドラムのチャド・スミスのプレイも良いです。
たかが3人編成のバックの譜面で、しかもスタートからサビ手前までなので、2-3時間で書き上るだろうと思っていました。

甘かった・・・

耳がもう、かつてのものじゃありません。
フリーの譜面作成ソフトの操作にも慣れず、苦労しましたが、言い訳になりません。
かなり修正を繰り返し、8時間くらいかかってしまいました。
これでも、100%正確なスコアーではないと思いますが、可能な限り100%には近付けたつもりです。
ドラムのフィルイン(曲の境目にドコドコ叩くやつですね)は、そのまま叩く人はいないでしょうから、完コピではありません。






「By the Way」の曲について

曲の店舗は、およそ120のテンポです。
120のテンポとは、ミドルテンポから、ハイテンポの境目。
人にはよるでしょうが、人間の心臓は、平常時に1分間に約60回の心拍数がありますので、人間にとって親しみのあるテンポです。
ミドルテンポの曲は、ただでさえ感じを出すのが、素人では難しい場合がありますが、120のテンポなら問題ありません。

コードですが、この曲はサビ以外は、メロディがあってないようなものです。
そうなるとコードは、ギターのフルシアンテ、ベースのフリーのフレーズによります。
しかしどちらも、コードがどうとでも解釈出来る演奏です。
そこで自分は、曲の意味からコードをつけました。
例えば「B1」から「B4」までコードはDmまたはDm7と言う解釈でも良いと思います。

オープニングは、8ビートのギターとベースのユニゾン(同じリズム、似た様なフレーズを弾く事)。
テンポ120だし、最初はドラムもなく、静かな立ち上がりです。
しかし実はサビのメロディであり、曲構成として、サビの伏線になっています。

「A」から歌が入り、「A」の4小節目にハイハットオープンのフィルからドラムが静かに入って来ます。
スネアがリムショット(スネアドラムの縁を叩く)なのが、心憎いですね。

ところが一転、「B1」に入り、曲調が変わります。
これはフルシアンテの、ギターフレーズによるところ大です。
ギター譜にあるように、イントロの8ビートから、倍の細かさの16ビートを刻みます。
ギター譜には、音程は書かれてなく、×になっているのは、空ピックとかブラッシングと言う奏法で弾いているからです。

空ピックは、ストロークするが弦を弾かない奏法にも使われる言葉なので、誤解を受ける可能性があります。
ブラッシングで言葉を統一します。

ブラッシングとは、弦をミュートして弾いただけの事です。
ギターを弾けない人でも出来ますよね(笑)。
ギターを歪ませ、16ビートでブラッシングしているのです。

これはあたかも、この曲のビートが、テンポ120から倍速のテンポ240にテンポ変換したかのようです。
テンポ240は、曲としてはかなりの高速です。

1990年代にドラムンベース(当初ジャングルと呼ばれていた)と言う音楽ジャンルが流行りました。
テンポ100前後のゆったりとした曲のドラムを、倍のテンポで鳴らし(打ち込みが多かったですね)、高速感を出すアレンジです。

この曲の、フルシアンテのブラッシングはまるで、ドラムンベースの考え方のようです。
しかしドラムは元のテンポ120のまま。
ドラムのフレーズにインパクトを出すために、ビートはあえてハイハットで刻まずに、タムを叩いています。
しかし少しバスドラムに16分音符を混ぜる事で、16分音符でブラッシングするフルシアンテとの、ビートとの親和性を保っています。

フリーのベースは、これはもうカッコ良いですね。
この曲に、あえてスラップ(チョッパーベース)を使わないのも、センシティブです。
これまた16分音符を混ぜていて、フルシアンテとの、ビートとの親和性を保っています。

「B2」の終わり2拍に、カッティングが入って来ます。
フリーのベースから、曲の調はファ(F)なのに、鳴らすのはド(C)。
Fの5thの音(つまり1ファ、2ソ、3ラ、4シ、5ド)がCで、C7はFのドミナントコードです。
ファンキーな曲なので、7sus4と解釈しました。
16分音符の裏打ちで、シンプルながらかっこ良いフレーズです。

「B3」からフレーズの出だし8分音符で2発、Dmコードを弾きます。
「B4」の最後は、スムーズにサビにつなげたかったのでしょうか?
Dm一本で通します。
ここでもC音のカッティングでも良かったんですけどね。



「By the Way」のフルシアンテの演奏について

自分はこの曲を初めて聴いた時、何て省エネで、カッコ良いフレーズなんだ!と思いましたね。
ただこの曲を弾くだけなら、ギター初心者でも大丈夫と言うくらい簡単なフレーズです。

ギターが達者な人は、フツーのフレーズじゃん!と思うかも知れません。

何をしているのか理解出来る人と、理解出来ない人の差が仮に1万光年だとするなら、何をしているのか理解出来る人と、何をなすべきか知って行動出来る人の差は、100万光年あります。
後づけで、物事を理解したような気になるのは、早計です。
それは、理解と言う域には全く達していなく、何となく分かったに過ぎません。
勇気を持って事を成してこそ、初めて理解したと言えるのであり、意義があります。

学生時代、自分はコピーバンドと、自分のオリジナル曲をやるバンドのかけ持ちをしていました。
コピーバンドしかやった事がない自分の友人は、自分が作曲やアレンジに悩んだり、苦しんでいるのが理解出来ず、そんなのはアドリブでやれば良いんだよと言っていました。
そんな彼が、初めてオリジナル曲をやるバンドをした時、お前が悩んでいた理由が初めて分かったと言いました。

コピーバンドにはお手本がありますが、オリジナルバンドにはそれがありません。
音楽は、100%アドリブで良い曲になるほど、甘くはありません。
お手本がないと言うのは、ゼロから作り上げなければいけないと言う事です。
しかし音楽の宇宙は、広く果てしないものです。
湯水のように様々考えられるフレーズから、最良のフレーズをチョイスするのは、サハラ砂漠で落としたコンタクトを探すかの如くです。
そうならないためには、オリジナル曲ではコンセプトを立て、他の楽器との調和を考えながら、練り上げるしかありません。

自分は曲を聴く時に、自分はこんなフレーズを発想できるだろうか?・・・と考えます。
そしてこの曲のギターに関しては、こんなフレーズは考えもしませんでした。

この曲においての、ギターフレーズの素晴らしさは、「B1」からの16ビートのブラッシングです。
ブラッシングはしばしば、カッティング(コード弾き)の際の、ミュート(消音)に使うテクニックです。
音をミュートして、ブラッシングする事で、取りにくい裏のリズムが取りやすくなりますし、またパーカッシブなブラッシング音が、リズミカルでもあります。

ある意味、ギタリストにとってブラッシング音は、ギターを鳴らしていないと同義語です。
自分なら、ブラッシングばかりでなく、もっと音を鳴らすカッティングにした事でしょう。
しかしそれが、最良だったかどうか・・・いえ、平凡だと思います。

もうひとつ、自分はバッキングが最少人数のトリオ(3人)のバンドはやった事がありませんが、もしやったとすれば、恐らく音の厚みとか隙間には注意して演奏する事でしょう。
その意味でも、トリオ編成で音を鳴らさないかのような、ブラッシングが発想出来たものだと、その勇気に感心してしまいます。

この曲のバッキングギターは、確かに誰でも弾けるギターテクニックですが、誰かが思いついて弾かなければ、こんなフレーズは一生耳に出来なかったはずです。



「By the Way」のMVについて

なかなか面白いMVですね。
ボーカルのアンソニー・キーディスが乗ったタクシー運転手が、偶然レッチリファンの、サイコ野郎と言う設定ですね。
ベースのフリーと、ギターのジョン・フルシアンテが救出に向かい、見事アンソニー・キーディスが、フリーが運転する車に飛び乗り、脱出します。
しかしその後、そのタクシーに乗ったのは、ドラムのチャド・スミス・・・と言うところで、MVが終了します。

自分がレッチリで、一番好きなMVは、「Dani California」です。
この中では、パーラメントのパロディで、フリーがブーツィ・コリンズに粉したのが、かなりツボでした。

こちらは、2004年7月25日の横浜でのライブ映像です。
レッチリは、良いモチベーションのライブが多いですね。
このライブでも、音はスカスカには感じず、熱気、ノリがむしろレコーディング以上の名演だと思います。
でもギターソロは・・・

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2012年10月 3日 (水)

ヒカリへ / miwa

久々の音楽ネタです。
実は意外に思うかも知れませんが、このブログで人気があるのは、音楽ネタです。
地味にコツコツアクセスを稼いで、通算4-5千のアクセスを稼いでいるのが、いくつもあります。

この曲は、フジテレビのドラマ、「リッチマン、プアウーマン」の主題歌であり、挿入歌でもあります。
ドラマは、自分としてはリアリティに欠け、残念な内容ですが、この曲が好きなので、惰性で見ていました。

miwaは、自分が紹介しなくとも十分有名でしょうが、慶大生のシンガーソングライターで、アコースティックギターの弾き語りの曲があるかと思えば、対照的に疾走感のあるロックの曲もあります。
ギブソン社のエレキギターを持ち、ギブソンのサイトで紹介された、初めての日本人女性でもあります。

今回の主題は、曲の戦略と、メロディとコード、アレンジについて。
この曲の詩も、なかなか良いのですが、そこまで書くとボリュームが増え過ぎて、収拾がつかなくなります。
今回、詩については割愛します。
なるべく分かりやすく書くつもりですが、音楽用語を避けて通れませんので、ハードルが高いかも・・・いやハードル高いです。


曲の戦略について

まずは曲の戦略について、考えてみましょう。

曲を作るきっかけとなるものは、メカニズムは分かりませんが、人に説明出来ない、ある意味神の力の後押しのようなものが必要です。
しかし1から10まで、神の力で作れる事は稀で、きっかけはせいぜい多くて10%くらい。
きっかけを掴んだ後は、残り90%は自分で肉付けするしかありません。

曲の戦略とは、きっかけを掴んだ曲を、どちらの方向に導くのかと言う事です。
この時、作った曲の特徴を考え、どんな曲に仕上げるのか・・・ここで誤ると、曲メロは良いのに、凡曲となる可能性もあります。

この曲は、miwa初の4つ打ちエレクトロだそうですね。
4つ打ちエレクトロとは、バスドラムのビートが、4分音符を刻むノリの事で、通称タテノリとも呼ばれています。

曲の構成はA-A'-B-B'-C-C'-D-D'型です。
音楽が良く分からない方は、何のこっちゃでしょうから、フレーズの変わり目の歌詞との対応を以下に示します。

A=理想現実ワンクリック~
A'=地球の裏より遠い距離~
B=悲しみの生まれた場所たどって
B'=その傷優しく触れて癒せたなら
C=溢れるおもい 愛は君を照らすヒカリになれる切ないほどに
C'=たとえ描く未来 そこに私がいないとしても
D=運命だって引き寄せて輝き続けたいよ
D'=奇跡だっておこせるって信じたい

A-B-C-D各々、コード進行は微妙に異なるのですが、実は和音のテイストは似通っています。
大雑把な言い方をすると、ハウスミュージックなんかの循環コード(繰り返し演奏する和音)的とも言えます。
(ハウスの場合だとずっとAの循環コード・・・またはA-A'の循環コードとか)

miwaはこれを意識したのか、していないのか?
ドラマが先にあって、曲を作ったそうで、ドラマがIT企業を舞台にしていますので、合わせて4つ打ちエレクトロにしたのでしょう。
これは、妥当な選択ですね。
4つ打ちエレクトロは、こうしたシンプルに循環する音楽との相性が良いのです。メロディにも、疾走感があり、4つ打ちエレクトロとの親和性もあります。

もうひとつ、miwaはファルセット(裏声)で歌います。
歌は上手なのですが、歌にパワーがなく、線が細いのは少々残念です。
そしてこの曲もファルセットで歌っています。
4つ打ちエレクトロを意識してか、軽くボコーダー(Perfumeでお馴染みのボーカル音声をシンセ音に変換する楽器)かけているように思え、とにかく声が機械っぽいです。
しかも以外にも、この機械っぽいエフェクトが、miwaの地声と相まって、とても良いです。

つまり、曲の戦略として、正解だったと言えますね。


1コーラス内の曲構成について

次に、曲構成について、もう少し考えて見ましょう。
4つ打ちエレクトロの曲にする・・・つまりは曲メロのリズムもタテノリにしがちです。
例えば、Perfumeの「コンピュター・シティ」みたいに。

メロディのリズムがタテノリとは、4つ打ちの頭・・・特に小節の頭にメロディの始まりがあり、メロディが基本4つ打ちにあわせたものですね。

miwaはどうしているかと言うと、以下が曲の出だしの楽譜ですが、メロディのリズムは明らかにタテノリではありません。
例えば、「ヒカリの速度に変わっても」はシンコペーション(タテノリとは間逆のアクセントのずらし)です。

楽譜を載せないで、がんばろうと思っていましたが、ついに載せちゃいましたねぇ。

メロディをタテノリにしないのは、悪い事ではありませんが、やり過ぎると4つ打ちエレクトロと親和性が悪くなります。
しかし曲は、ぎりぎりセーフな感じで、4つ打ちエレクトロとも合いますし、例えば「ヒカリの速度に変わっても」みたいなシンコペーションが、むしろ曲に変化を与え、とみすれば単調になるのを防いでいます。

もう1つ、上記のB-B'のメロディーは、他の疾走感のあるメロディと違い、白玉(2分音符以上音を伸ばす)を多用したものになっていますが、これがクッションになって、すばらしいサビ、C-C'につながって行きます。
C-C'も「溢れるおもい」の「おも」の部分を伸ばす事で、他のメロディと対比となり、変化を与え、単調にならないよう工夫されていますね。

4つ打ちアレンジなのに、メロディはシンコペーションを多用しているのは、狙いなのでしょうか?
この曲はいつ作り、そして4つ打ちエレクトロと言う決定がいつなのか分かりませんが、自分の印象では、miwaが4つ打ちエレクトロを意識せず、自分の思うがままに作ったように思いますね。
結果として、良いメロディです。
結果オーライでしょう。


全体の曲構成について

今度は、全体の曲の構成について、考えて見ましょう。

(1cho)A-A'-B-B'-C-C'-D-D'
(2cho)A-A'-B-B'-C-C'-D-D'
E-F-E-F'
C-C'-D-D'

「E-F-E-F'」は歌詞で言うと、「人は悲しみを知るために~幸せはいつだってそこにあるのに」

この曲の良さは、疾走感のあるサビ「C-C'-D-D'」ですね。
どんなものでも言える事ですが、クリエイティブな仕事とは、持ち味(長所)をどう活かすかと言う事だと思います。
つまりこの曲については、このサビをどう活かすか。
しかし自分には、それについて考慮したように思えません。

「E-F-E-F'」は、サビを活かすよう練られたものじゃなければいけません。
良く解釈すれば、サビの疾走感に対して、ゆったりとしたようなメロディの対比・・・とも言えるのですが、逆にこの部分がなかったと考えて下さい。
曲として成立するでしょう?
自分には、無駄なフレーズにしか思えません。

1コーラス、2コーラス(まあメロディは一緒ですけどねw)は素晴らしいのに、この「E-F-E-F'」でさならる化学変化を起こさないのは、残念な事です。
そして1曲丸々聞いた時に、少々飽きが来るのは、全体的な曲構成が、きちんと練られていないからだと思います。

1コーラスだけ見ると、とても良い曲なのに、全体としてもう少し考えていれば・・・と、惜しい気がしますね。
曲構成は、誰が考えたか分かりませんが、ほとんどの場合作曲者が考える事が多いので、miwaじゃないかと思います。


コード進行とメロディについて

コード進行について、見て行きましょう。
実は、執筆を始めたのは、8/20頃ですので、曲の発売から1週間たっていない頃です。
ビックリな事に、曲を発売してからそれほど経っていないのに、コードを掲載しているサイトが色々ありました。
これって、耳コピー?

一般論として、コードについての一番大きな誤解は、コードは、メロディに対して、最も調性感の良い和音ではありません。
楽器が得意でない作曲者は、しばしばメロディに対して、最も調性感の良い和音を使いたがります。
しかし、コード進行は、アレンジの一環ですので、演奏全体としてすばらしいと思える響きであれば良い訳で、単純にメロディに対して調性感が良くなくてもいいんです。
従いまして、アレンジとしてのコードネームと、メロディに最も調性感が良いコードは全然異なる訳です。

出だしは、「C-G」の繰り返しです。
いえ、Cの和音(ドミソ)には、ギターがD(レ)の音を発しているので、C9とかConDと解釈しても良いでしょう。
コード進行を見ると一見ハ長調っぽいですが、メロディから、曲のキーはG(つまりト長調)です。

ジャズのコード進行に、ツーファイブ(Ⅱ-Ⅴ)と言うのがあります。
ツー=2度、ファイブ=5度。
代表的ツーファイブのコード進行は、例えば、「Ⅱm7-Ⅴ-Ⅰ」と言うもので、音楽理論を知らないと意味不明ですよね。
キーをGとすると、1度はG、2度はA、5度はDですから、「Am7-D7-G」と言うコード進行になります。

ツーファイブは、曲を作るのでも、アドリブをするのでも、様々な応用編も含め多用されています。
実は、Perfumeの曲を書いている、田中ヤスタカは、Perfumeの曲でツーファイブを多用しているのは、有名です。
キーをGとすると、Am7はサブドミナントコード、Dはドミナントコード、Gはトニックコード。
人間は、和音が、サブドミナントコード→ドミナントコード→トニックコードに向かった時、トニックコードで最も安定を感じるそうです。

さて、この曲のコード、C9(ドレミソ)に対し、Am7(ドミソラ)と和音構成が似ていますね。
Cの代用として、Am7が使えるのは、前述の通り。
C9には、Gのキーに対する5度の音、Dが入っていますので、Am7-D-Gと言う、典型的ツーファイブが隠れているとも解釈出来る訳です。

曲の戦略のところで、和音のテイストは似ていると書きましたが、全編において、Gがキーのツーファイブテイストな曲(しかし全く同じコード進行ではないですけど)だと言う事が、お分かり頂けますでしょうか?
しかし、実際アレンジしているのはツーファイブではなく、もっとシンプルなコード進行ですけどね。

サビは「CM7-D-Em7-G」で、アレンジではCを使っているようですね。
でもメロディでは、B(シ)を使っていますので、CM7の方が、調性感が良いです。
ここでの「Em7」は、Ⅵm7で偽終止っぽい使い方です。

偽終止とは、例えばツーファイブでは、「Ⅱm7-Ⅴ-Ⅰ」とトニックコードに至るところを、「Ⅱm7-Ⅴ-Ⅵm7」のように、ドミナントコードにつなぐ事で、終わるのではなく、次のフレーズにつながる雰囲気を出すコード進行です。
終わりそうで、終わらない・・・だから偽終止と言う訳です。
もっともこの曲なんかも、コードについては色々解釈が成り立ちそうですので、まあ1つの考え方と思って下さい。

試しに、以下の譜例のように、オシャレな偽終止のコード進行、「C-D-Bm7-B♭m7-Am7-A♭7」と言うコード進行のアレンジも可能ですよ。
ここで使ったB♭m7やA♭7は、転調ではなく、半音ずつ下がる過程の経過のコードですね。


アレンジについて

この曲、キャッチーな良いメロディで、アレンジも、いかにも4つ打ちエレクトロと言う感じですね。
このいかにも4つ打ちエレクトロと言うのが、最低限の仕事はしていますが、残念ながら不要な音が多過ぎて、自分の好まないアレンジです。
自分は料理でも、意味なくたくさん食材を使うのは、好きではないです。
音楽でも一緒です。

誤解しないで頂きたいのは、音数が多いのが嫌いな訳ではありません。
意味のない音が多いいのが、好きではないのです。
聴いていると、例えばサビなんかボーカルはコーラスで厚みがついていて、ピアノの音、シンセストリングス、4つ打ちシンセベース・・・自分にはカオス状態にしか聞こえません。
先に、曲を聴いていて飽きると書きましたが、それはこの意味なく音数ばかり多くて、単調なアレンジも一因のように思えます。

厳しい事も書きましたが、良いメロディが名曲の第一歩であり、その意味では自分は好きな曲です。

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2012年5月18日 (金)

Pleasure / Al Jarreau

今回は、アル・ジャロウの1986年発売のアルバム、「L Is for Lover」に収録された、Pleasureを紹介します・・・が、本当のネライは、ナイル・ロジャースのバッキングギターの素晴らしさです。

この曲、名深夜番組、11PMの1986年頃の月曜のエンディングに使われていて(記憶はあいまいです)、数週間誰の何と言う曲か分かりませんでした。
イントロのシンセとスラップ・ベースの絡み、バッキングギターの素晴らしさ、曲メロ、曲構成の素晴らしさで、すぐにノックアウト・・・

自分はこんな、曲を耳にしただけで、誰の何と言う曲か分からない曲を、何曲も探し当てました。
この曲の場合簡単で、バッキングギターが、演奏から恐らくナイル・ロジャースだろうと当たりをつけて、CD店で片っ端から探して、アル・ジャロウで唯一ナイル・ロジャースのプロデュースのこのアルバムにたどりつくまで、難しくはありませんでした。

アル・ジャロウは、1975年デビューの大ベテランで、1978年、1979年と連続で、グラミー賞の最優秀ジャズ・ボーカル・アルバム賞を受賞します。
1982年には、グラミー賞の最優秀男性ポップ・ボーカル賞、最優秀ジャズ・ボーカル賞をダブル受賞、1993年に最優秀R&Bボーカルを受賞し、ジャズ、ポップ、R&Bの3部門に渡る、初のグラミー賞受賞者となりました。
つまりは、超大物ボーカリストなのです。

プロデューサー/ギターのナイル・ロジャースは、1977年に、盟友のベーシスト、バーナード・エドワーズと共に、シックと言うバンドを始め、次々とファンキーな踊れるヒット曲を生み出します。
自分は、シックの「le freak」を初めて聞いた時、何てカッコ良いギターのカッティングだろうと思いましたね。
1980年頃から、プロデューサーとしても名を馳せ、マドンナ、デヴィッド・ボウイ、ダイアナ・ロス、デュラン・デュラン、ミック・ジャガーのアルバムをヒットさせ、名プロデューサーとなります。
ついでに、モデルで女優のりょうが、1996年に出した企画もののシングル、「HINTS OF LOVE」も、ナイル・ロジャースのアレンジ/プロデュースでしたが、さすがにりょうの人気を当て込んだだけでは売れませんでした(笑)。
「L Is for Lover」は、ナイル・ロジャースのギタリストとしても、プロデューサーとしても、絶頂期の作品です。

多くのギタリストは、ギターソロを好み、バッキングをおろそかにする人は、多いです。
でも、リズム感の良いドラマーやベーシストと演奏し、ギターのカッティング音で、ドラムのハイハット音が消える(これはタイミングがピッタリあった時にのみ起こる)快感を知ると、バッキングはバッキングで、違った面白さがあります。
また、曲メロに合うバッキングとは?と突き詰めると、奥の深い、深遠なものですね。

ナイル・ロジャースのコードボイシング(和音の構成)は、シンプルにして独特ですね。
ナイル・ロジャースは、他の楽器と異なるコードを良く弾きますが、それがまたカッコ良い!
ナイル・ロジャースのバッキングは、センスが良く、ノリも良く、個性も味もあり、それでいて名脇役に徹している、1つの究極形なのです。

この曲では、左のカッティングは刻むだけ、右側でボーカルのメロディの対旋律のようなオブリガードを弾いていて、どっちも素晴らしい演奏です。

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2012年5月10日 (木)

You Babe / 松原正樹

今回は、超ベテランギタリスト、松原正樹の名曲を紹介します。

1970年代後半から、ジャズやロック、ラテン音楽等、様々な音楽を融合させた、フュージョンが世界的にブームになります。
フュージョンでは、演奏力が問われる難曲が多く、演奏者のテクニックで聞かせる音楽が多かったです。
その結果、これまでボーカルの後ろで演奏していた、スタジオミュージシャンが、表にメインとして出て、バンドを組んだり、ソロとしてヒットしていました。
自分がこれまで紹介した中で言えば、ラリー・カールトンはそうですし、ロビン・フォードのファーストアルバムとか、イエロージャケッツは、フュージョンブームの中、ヒットしました。

その流れは、日本にも来て、このフュージョンブームで商業的に成功したのが、渡辺香津美高中正義カシオペアT-SQUARE等であり、その他当時にはパラシュートプリズムナニワエキスプレス等があり、活躍していました。
松原正樹は、バリバリ(死語?)の売れっ子スタジオミュージシャンの傍ら、同じく超売れっ子だったギタリスト、今剛と共に、パラシュートを結成します。
「両雄成り立たず」のことわざもありますが、腕のあるギタリストを2人擁するバンドは、そうそうありません。
パラシュートは、知名度も、人気もあり、アメリカでも通用する音楽を目指す志も高かったのですが、バンドを支える体制が良くなく、1982年以降は、事実上の活動休止状態となります。

自分は正直、パラシュートはさほど好きではありませんでした。
メンバーの腕は認めるものの、曲メロが好きになれませんでしたし、曲のアレンジも好きになれませんでした。

その後、松原正樹も今剛もスタジオミュージシャンの傍ら、ソロアルバムを出します。

松原正樹も今剛も、物凄い数のレコーディングに参加しています。
この両者のギターは、必ずどこかで聞いているはずです。
それまでスタジオミュージシャンと言うと、100グラムいくらみたいな感じで、いくらでも代えが利くものの扱いでした。
しかし両者とも、様々なアーチストから、是非にと誘われるほどの腕前です。
松原正樹に関しては、有名なところでは、YouTubeを探せばありますけどね・・・松田聖子「渚のバルコニー」、松山千春「長い夜」、アン・ルイス「六本木純情派」、松任谷由美「恋人がサンタクロース」、「アニバーサリー」なんかで、レコーディングに参加しています。

You Babeは、松原正樹のソロアルバム、1983年「SNIPER」に収録されています。
この曲は、パラシュート時代の曲にはない、素晴しいメロディの曲です。
インストロメンタルのスローバラードで、憂いを含んだ節回しがたまりません。

早速曲に行きましょう。
メンバーはYouTubeに書いていますが、念のため。

松原正樹25周年記念LIVE(2002年10月10日)
guitar - 松原正樹
guitar - 今剛
durms - 山木秀夫
bass - 高水健司
keyboads - 佐藤準
keyboads - 南部昌江
percussion - 斎藤ノブ
percussion - 三沢またろう

弱起(小節の頭から始まらない)のイントロで、しかも白玉(2分音符以上の伸ばすフレーズ)のシンコペーション(アクセントを故意にずらす)です。
音の始まりが、小節の頭と思って聴くと、テーマメロで、あれれ・・・って事になってしまいます。
ドラムの演奏を聴くと、小節の頭が分かりますので、ドラムのリズムを念頭に聴いて下さい。
ドラムのリズムを感じながら聴くのは、この曲に限らず、音楽を聴く際は重要な事です。

テーマメロは、松原正樹がセミ・アコースティック・ギター(以後セミアコ)ギブソンES-335で弾きます。
ES-335の特徴は、以前ラリー・カールトンのところで詳しく述べていますので、一読頂くと幸いです。
松原正樹はセオリー通り、ES-335ハムバッキングのフロントピックアップの甘い音色で演奏しています。
軽く、コーラスエフェクトをかけていますね。

松原正樹は、別のライブで、ソリッドギター(ざっくりアコースティック系じゃない一般的エレキギターと思っていただければ)でこの曲を演奏していますが、自分はセミアコの音が好きなので、断然このライブ演奏が好きですね。
セミアコの太い甘い音で、憂いのある切ないメロディに、身悶えして下さい(笑)。
フュージョンでは、こんな風に、素敵なテーマメロを作り出したら、曲としては大部分成功したようなものです。
後は素晴しいアレンジと、素晴しいソロがあれば、名演となるのです。

松原正樹と今剛は、スタジオミュージシャンとしては商売敵のはずですが、パラシュートがとっくに解散した今でも、パラシュート時代よろしく、良く一緒にライブをしているようです。
しかもパラシュート時代同様、2人のギターバトルを客も楽しみに聴きに来ているようです。

ソリッドギターの今剛が、先攻のギターソロ(1:32)。
ギターは、SCHECTERらしいです。
スイッチのポジションから、フロントピックアップの音で、音質からコイルタップはしていないと思います。
松原正樹のセミアコの音より、固目の音なのが、お分かり頂けますでしょうか?
でもどうせなら、松原正樹のセミアコと、極端な音質の差を出すために、リアピックアップで、ソロを取って欲しかったですね。
フレーズを伸ばしたり、切ったり、ギターを良く歌わせていますね。佳演奏です。
音を伸ばした時のビブラートは、割と地味ですね。

2度目のテーマメロの後は、後攻の松原正樹のギターソロ(4:06)。
4:12近辺で、ピキッと高倍音を含んだ音は、ピッキングハーモニクスと言って、普通に弾いた直後に、弦のハーモニクスポジションを軽く触れて、こんな音を出しています。
フレーズは、幅広い音域で、音を伸ばしたり、切ってみたり、時にはミュート音を混ぜて(4:38)みたり、ギターを良く歌わせていますね。
音を伸ばした時の、大き目のビブラートが素敵です。

この演奏が、名演とまで呼び切れないのは、今剛のソロも松原正樹のソロも、きれいにフレーズが流れてしまい、足を止めて聴くまでのパワーに欠けるような気がします。
フレーズの中に、もうちょっと意外性を盛り込んでくれたら、この素晴しい曲もさらに輝くと思います。

それにしても、一流売れっ子ミュージシャンによる、豪華なバック陣で、主役のギターを盛り立てています。
何気なく弾いているように聞こえるかも知れませんが、素晴らしい演奏です。

演奏を聞いた後は、ちょっと休憩して下さい(笑)。

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2012年4月25日 (水)

Dive For You / Boom Boom Satellites

今回はヨーロッパで評価が高い、テクノグループ、ブン・ブン・サテライツを紹介します。
ブン・ブン・サテライツの経歴については、こちらを見て頂きましょう。

自分は、YMOについては、活躍している間は、テクノについて、全然理解出来ませんでした。
しかし、1980年代半ばくらいから、シンセのサウンドに興味を持ち出すと、一転、今後テクノが来ると、周りに公言し始めた程、親テクノ派(って何やねん!w)に転向しました。
でも自分の予想から、テクノのブームはなかなか来ませんでした。

テクノのブームが来ないのは、理由がはっきりしています。
テクノをやるミュージシャンに、音楽性の高い人がいなかったからです。
別に譜面なんか読めなくとも、天才は凄い事をやるんですけどね。
少なくとも自分には、テクノミュージシャンに、天才を感じた人はしばらく現れませんでした。
むしろ、ハービー・ハンコックの方が凄かった・・・

この辺はもしかすると、flowerさんあたりから、異論が来ますかね(笑)。

その内取り上げる予定ですが、1993年頃のゴールディのドラムンベース(当時はジャングルって言っていたっけw)も、オッと思いましたが食指が動かず。
そして1998年、ブン・ブン・サテライツの登場です。

ドラムは、あんなフレーズ、人間が叩けません。
明らかに打ち込みなのですが、それを逆手にとっていて、このドラムのフレーズだけでも、めちゃくちゃセンスが良いです。
ちなみに、自分の友人のドラマーは、ブン・ブン・サテライツのドラムの打ち込みは、卑怯と言っています(笑)。
そして野太いビート、リズムのシンコペーション、歪んだギターと、それまでタテノリ一本が圧倒的に多かったテクノとは、一線を画す複雑で深味のある音楽性。
インストロメンタルもありますが、ボーカルチューンもあり、ボーカルはトリップ感高し・・・
これが日本人のバンドと聞いて、2度ビックリ!?

いやはや、凄いセンスの良さだなと思って、ファーストアルバムの1998年「OUT LOUD」は、自分の知り合いに聞かせて回りましたが、賛否両論(笑)。
日本では当初、ちょっと話題になったくらいですが、ヨーロッパでは凄く評価が高かったですね。

その内、ライブ映像が出回るようになって、3度目のビックリ!?
ライブの演奏は、下手くそでした(笑)。

でも、良い曲を作れるって事だけで、凄い事です。
レコーディングのミュージシャン・・・大いに結構じゃないですか。

さて曲に行きましょう。
この曲は、恐らくアニメファンには有名であろう、2004年上映のアニメ映画、「アップル・シード」の主題歌です。
MVの映像は、「アップル・シード」から持って来たもので、「アップル・シード」の効果音もモロに入っています。
ちなみに自分、「アップル・シード」は見ていますが、アニメは全く詳しくありません。

ボーカルチューンで、曲構成がまるでプログレッシブ・ロックみたいです。
シーバードさんは、これを聞いてどう思いますかね?

打ち込みなんで、曲の細かな解説はしません。
乱暴でしょうか?
良い音楽は、コード理論も、リズムのシンコペーションも関係なく、聴いた瞬間、雷に打たれたように、好きになるものです。
これって・・・ひと目惚れ?
各々聞いて、楽しんで下さい(笑)。

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