Music.Brian Auger

2012年1月22日 (日)

Truth / Brian Auger

イギリスのオルガニストの巨匠、ブライアン・オーガーを知る人は、少ないでしょうね。
ブライアン・オーガーの超簡単な経歴は、こちらを見て頂きましょう。

1960年代の「BRIAN AUGER AND THE TRINITY」は、当時売れていたスターバンドです。
当時ジャズでもロックでも、ブルースでもない、それらを融合したサウンドは、ある意味最先端と言えたでしょう。

美人女性ボーカルのジュリー・ドリスコールは、ヤードバーズの追っかけをしていたと言う噂がありますが、本人は否定しているそうです。
マネジメント陣は、人気の高かったジュリー・ドリスコールを前面に出す戦略を取りますが、ジュリー・ドリスコールはそれを嫌がり、リーダーにして、作曲、オルガにストとして有名だったブライアン・オーガーは、プライドを傷つけられます。

このあたりが絶頂期でしたが、ジュリー・ドリスコールが脱退し、ブライアン・オーガーも、1970年にオブリヴィオン・エクスプレスを結成します。
オブリヴィオン・エクスプレスの最先端の音楽は、様々なミュージシャンに影響を与えます。
特にエポックメイキングなのは、オブリヴィオン・エクスプレスから多くのジャズ/フュージョンのミュージシャンを輩出した事ですね。
この頃から、ジャズミュージシャンが電子楽器を使い、ロックと融合した音楽を始め、クロスオーバーと呼ばれ、1970年代後半には洗練され、フュージョンと呼ばれ、ブームになります。

しかし1980年代に入って、ヒットを飛ばす事はなくなり、自然消滅的に、忘れられて行きました。
1990年代始めのアシッドジャズブーム、1990年代半ばの、レアグルーブブームの際に見直されて、様々なミュージシャンと精力的にライブをしました。
元々一流の腕前のオルガにストですし、様々な人にリスペクトされ、共演したり、再評価されたりと、それは現在も続いています。

さて演奏に行きましょう。

偉大なるジャズオルガニスト、ジミー・スミス以降、オルガンと言えばハモンドと言うくらい、ハモンドB3がジャズにロックに、ブルースに大流行でした。
オルガンソロ・・・特にハモンドB3の聞き所と言うと、以下の点でしょうか?

【ドローバーによる音色変化】
上の写真の、赤丸で囲った部分の白黒の棒が、オルガンの音色を決めるドローバーと言います。
この長さを調節する事で、オルガン音にどれだけ倍音を加えるかが決まり、様々な音色を出す事が出来ます。
各オルガにストで、この音の作りに個性があります。
また、しばしば演奏中にセッティングを変える人もいます。

【レスリースピーカー】
演奏の盛り上がるところで、レスリースピーカーを使います。
音の原理は、ウィキペディアを読んで下さい。ちょっと記述が難しいかな?
ぶっちゃけ、音を発するスピーカーを回転させるので、聞く側にはオルガンの音に、ドップラー効果を感じます。
スピーカの回転数は、変化させる事が出来ますので、スローに回転させたレスリースピーカーを、盛り上がるところで速く回転させるという技もあります。

【フレーズのため・タイミング】
音の強弱をつけられる楽器ではありませんので、その分ためたり、フレーズを崩したりして、タイミングでフレーズの勝負をする人が多いです。

【クリック音の有効活用】
ハモンドB3では、鍵盤を押した際に、カリッとパーカッシブなクリック音が入ります。
これは、鍵盤を押した際、電気スイッチがオンとなり、スイッチ接触の際の突入電流で、音の頭の部分が、パーカッシブなクリック音となってしまいます。
これは本来、電気を使ったハモンドオルガンの、予期せぬ余計な音でした。
その後、クリック音は消せるようになったのですが、その後もハモンドB3を好むオルガニストは、このクリック音をハモンドB3独特なサウンドとして愛し、上手く利用する人が多いですね。

【音の持続とスタッカート】
オルガンは、鍵盤を押し続けると、永遠に音が出続きます。
これはシンセサイザーを除く、他の楽器にはない機能です。
ソロのここぞと言うタイミングで、このロングトーンを使います。
また反対に、右手で弾く主旋律のフレーズとか、早いパッセージや、伴奏で弾く左手のフレーズは、ロングトーンとは裏腹に、短くスタッカートさせ、変化をつける事があります。

【和音はシンプル】
ドローバーのセッティング次第ですが、あまりオシャレな分数コードとか弾くと、音が濁ってしまいます。
オシャレなコードも、ボイシングを歯抜けさせたりして、比較的シンプルなコードを弾く事が多いですね。例外もありますが。

他にも、ポイントはあるかも知れませんが、ぱっと思いつく限り書くと、こんな感じですかね。

ブライアン・オーガーのライブ映像は、ブライアン・オーガーのサイトにもありますし、YouTubeにもあります。
2000年前後に、ボーカルは娘、ドラムは息子と言うバンド構成で、何度もライブをしているようですね。
この演奏も、その頃だと思います。
かつての大御所も、こんな小さなライブハウスですか・・・と言う感じではありますが、もし音楽が好きなら、むしろ手の届きそうな小さなライブハウスの方が、味わい深いですけどね。
音のセッティングとか、難しい面と、むしろ割り切るのでやりやすい面と両方あり、良いライブが出来た時のうれしさはひとしおです。
それに、どこで演奏しようと、名演もあれば、駄演もあります。

曲は、1972年のBrian Auger's Oblivion Expressのアルバムの「Second Wind」の曲です。
元曲を今聴くと、ちょっと古臭いアレンジですが、元々ファンキーなかっこ良い曲。
少し早いテンポにして、アレンジの目先を変えると、名曲は不滅ですね。
ボーカルは娘が歌い、ドラムは息子が演奏しています。

出だしの仕掛けが、特にドラムはカッコ良いですね。
ブライアン・オーガーは、左手でシンセサイザーのピアノ音源を弾き、右手でハモンドを弾いています。

ブライアン・オーガーの娘は、ちょっと声にハスキーさがあり、ソウルフルで味がありますね。
ハモっているのは、息子のドラマーです。
良く、フレーズを叩きながら、ハモれるなぁと、感心してしまいます。

2:14から、ブライアン・オーガーのオルガンソロが始まります。
オルガンソロと同時に、レスリースピーカーがオンになります。
モノラルではありますが、オルガン音に、でこぼこ感があるのは、このレスリースピーカーのドップラー効果です。
レスリースピーカーは、オルガンソロの間、オンにしていますね。

出だし本当、良いタイミングで音を切りますね。気持ち良くて、腰が砕けそうになりますね。
2:22早いパッセージから、2:28ブレイクして裏拍子のコードも素敵です。
それから、ところどころで、音をのばすぞ・・・と脅すように、少しだけ長いフレーズを弾きます。
2:41早いパッセージの間の音は、スタッカートするように弾いていますね。
3:08では16分音符の中に、すこしタイミングを崩して弾き、フレーズを目立たせます。
3:12の早い8分3連のフレーズが素敵です。
3:30忘れそうな頃についに来ました、ロングトーン!しかも右手小指で抑えながら、他の指で早いパッセージを弾いています。
この辺から、レスリースピーカーの回転数も上げているようですね。
3:39ここって8分3連?崩して弾いてますね。
3:42和音を多用して、ここから盛り上げにかかります。
3:56今度は右手親指でロングトーン!他の指では、早いパッセージ。そして、ソロの解決。

年を取っていても、素晴しいオルガンの名演ですね。
これを聞くと、まだまだ現役で十分やれる演奏力だと思います。
まあ本人は、昔取った杵柄で、悠々自適の生活なのかも知れませんけどね。
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2012/01/30追記
以前は、この日のライブ映像は、この曲と「Happiness is just around the_bend」の2曲のみ。
ライブ場所も、日時も不明でした。
現在、この日のライブの映像が、他5曲YouTubeにアップされています。

2004年ハリウッドの有名なライブハウス、ベイクド・ポテトです。
他の曲の映像に登場しますが、この日何と、観客にハービー・ハンコックがいます!?
ブライアン・オーガーとハービー・ハンコックは、1970年代に、別々のバンドとしてですが、一緒にツアーしたそうです。

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