Music.Greg Mathieson

2012年2月12日 (日)

Bonp Me / Greg Mathieson Project

そもそも、グレック・マティソン・プロジェクトを知っている人は、少ないでしょうね。
グレック・マティソンは、以前紹介した、ラリー・カールトンのRoom 335で、キーボードを弾いていた人です。
ラリー・カールトン、グレック・マティソンとも、クルセイダーズのサポートメンバーです。

実はこのアルバム、グレック・マティソンが、当時人気だったTOTOのギタリスト、スティーブ・ルカサー、ドラマー、故ジェフ・ポーカロ、ベーシスト、ロバート・パウエルで行ったセッションのバンド名です。
アルバムタイトルは、「ベイクドポテトライブ」
ベイクドポテトは、ロサンゼルスの有名なライブハウスの名前です。

先日紹介した、ブライアン・オーガーのライブ映像場所が、ベイクドポテト。
思ったより、小さなライブハウスですね。

アルバムは、グレック・マティソンのキーボードを盛り立てると言う内容です。
この曲では、スティーブ・ルカサーのギンギン(死語?)のギターも聞き所ですが、本当の目的は、ドラマー、故ジェフ・ポーカロの素晴しいプレイを聞いてもらいたいですね。

ジェフ・ポーカロは1970年代後半から、当初はジャズ/フュージョン系のドラマーとして頭角を現し、ボズ・スキャッグスのバックを務め、その際のバックミュージシャンでTOTOを結成し、これがまたヒットしました。
ジャズ/フュージョンの小技の利いた、オシャレなフレーズから、ノリの良い疾走感のあるロックまで、幅広く得意としていました。

ジェフ・ポーカロの台頭は、スティーブ・ガッドの麻薬中毒による戦線離脱と、無関係ではなかったでしょう。
しかし、スティーブ・ガッド以上に、幅広い音楽をカバー出来、しかも個性もあるジェフ・ポーカロは、様々なプロデューサーからも信頼されました。
一時は、有名ミュージシャンのアルバムのバックのドラムを、半ば独占状態と言えるほど務めていましたね。
1992年8月5日、キャリアの絶頂期に、自宅の庭で殺虫剤を散布中にアレルギーの心臓発作を起こし、亡くなったのは、本当に残念極まりない事でした。

面白い事に、ジェフ・ポーカロが注目され出した1980年当時の音楽仲間では、ジャズ/フュージョンをやってた人には、ロックに浮気したドラマーと見られ、ロック好きからは、ジャズ/フュージョン系ドラマーが無理やりロックに合わせて、叩いてると思われていました。
自分は、当初から大好きでしたけどね。
音楽仲間の友人達に、まるでドラムが歌を歌っているようだと、表現していました。
先に紹介した、ラリー・カールトンのRoom 335で、ドラムを叩いているのも、ジェフ・ポーカロです。

そもそもTOTOは、ロックにジャズ/フュージョンのオシャレで複雑なコード進行、フレーズの仕掛け、多彩なシンセサイザーを持ち込み、オシャレでポップに変身させました。
当時は普通にロックの分類でしたが、現在ではAORに分類する人もいますね。
TOTOの4枚目のアルバム、「TOTO Ⅳ(そのまんまや!)」のシングルカットされた曲、「Rosanna」のドラムは、ジャズ/フュージョンを聴く人にも、ロック好きの人にも絶賛されます。
しっかりしたシャッフルの3連系リズムに、時々入るスネアのゴーストノートのセンスの良さ。
シンセブラスの仕掛けに、かっこ良いフィルインと、それまでのジェフ・ポーカロの総決算とも言うべき、エッセンスが詰まっています。
「Rosanna」の素晴しいプレイは、様々な人が語り尽くしている感があり、あまりにもベタなので、このブログでは取り上げません。

「Rosanna」の素晴しいプレイについて気にになる方は、こちらジェフ・ポーカロの教則ビデオに、本人から語られています。
http://www.youtube.com/watch?v=IyMfuVyGT4M&feature=related

実は、ジェフ・ポーカロのプレイで、シャッフルビートのような、ミドルテンポに跳ねたようなビートとか、シンコペーション(アクセントをずらす)のフレーズには、名演が多いです。
例えばこのアルバムでも、自分が好きなジェフ・ポーカロのプレイは、実はこの曲ではなく、「Thank you」のシンコペーションプレイだったりします。
しかし自分の筆力の貧弱さか、「Thank you」のプレイの素晴らしさを、ドラムを知らない方に分かるように伝える自信がありません。
やむなく、分かりやすく、疾走感がありつつ、複雑さもあるビートの、この曲にした訳です。

本当は、尾崎亜美の「Prism Train」にしようかとも思ったのですが、「Prism Train」の当時、ドラムのハイハットシンバルをハーフオープンにして叩くのが流行っていました。
「Prism Train」も、ハーフオープンにて叩いていまして、この叩き方では、ビート感が出ないため、結局この曲に決定しました。

ドラムの個々の音について分からない方は、こちらジェフ・ポーカロの教則ビデオを参考にして下さい。
http://www.youtube.com/watch?v=zdaxu5rUjcQ

まあ、難しい事考えなくとも、聞けば爽快に分かりますけどね(笑)。

一応メンバーを再掲載します。
・keyboards:Greg Mathieson
・guitar:Steve Lukather
・bass:Robert Popwell
・drums:Jeff Porcaro

曲に行きましょう。
スティーブ・ルカサーのギターの、00:33トレモロアームを利かせたオープニングから、ビートを利かせたフレーズに移行します。
00:37バスドラム(以後バスドラ)とスネアドラム(以後スネア)を利かせたフレーズは、良くジェフ・ポーカロが多用していたフレーズでした。
00:44シンプルにスネアを鳴らして、イントロが始まります。
イントロのハイハットシンバル(以後ハイハット)のフレーズが、ハイハットをハーフオープンにして叩いています。
ドラムのパターンが始まると同時に、グレック・マティソンは、オルガンを奏でます。

00:55テーマメロは、グレック・マティソンのシンセ。
このシンセは、音からミニ・モーグでしょうか?
ドラムのハイハットはクローズで、たまに細かいリズムを刻みます。
2小節目のパターンの4拍目に、ハイハットオープンが入るのが、素敵です。
曲全体に言えますが、時々、バスドラが16分音符を刻んでいるのが、ノリの疾走感、ドライブ感を増していますね。
恐らく、バスドラのパターンは、アドリブでしょう。

01:18ここの16分音符のキメフレーズは、スネア→タム(L)→タム(R)→バスタム→バスドラの繰り返しです。
このフレーズは、世界中の色々なドラマーが、死ぬほどパクったフレーズですね。
ここから、01:36までのハイハットも派手なギターのフレーズに負けぬように、ハーフオープンで叩いています。
その後テーマメロをもう1度リフレインします。
02:17ハイハットはクローズに、少しハイハットの手数を多くし、バスドラも多目に入れて、ポイントでシンバルを叩き、盛り上げにかかります。

02:52ここからグレック・マティソンのシンセソロ。
テーマとは、別のシンセを使っていますね。
芯があるような太い音色を2つ、微妙にチューニングをずらし、広がりのある音色にしています。
この音色は、Prophet-5/10っぽいですね。ポリモーグの可能性もありますが。
03:17刻むように、細かいフレーズが、テーマメロと同じシンセですね。左手で、Prophet-5/10の音を伸ばしています。
03:38ここから、シンセの速弾き。
シンセの速弾きに合わせ、ドラムの手(足)数を増やしたり、シンバルを派手に叩いたり。

04:40シンセソロの終了と共に、ドラムも音を小さく叩きます。
04:49スティーブ・ルカサーのギターソロが開始しても、最初は同じ感じで、小さい音で叩き続けます。
05:07このあたりから、少しずつドラムのフレーズを派手にしたり、音量も大きくなって行きます。
ギターソロは盛り上げるまでが冗長で、単調で途中少々飽きますね。
もっと、手っ取り早く盛り上げ、変化に富んだフレーズで、聞かせるべきですね。
06:01からの速弾きは、スティーブ・ルカサーの手クセですね。
06:12からの速弾きも、手クセです。
最後にガツンと盛り上がりますが、ここから?と思ったところで、終わります。

頭のテーマメロに戻り、16分音符のキメフレーズにて終了。
どうでしょうか、まるでドラムが歌っているようだったでしょう?

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2011年5月 5日 (木)

Room 335 / Larry Carlton

 今回は、スティーリー・ダンAja(エイジャ)に入っている、Peg(ペグ)にインスパイアーされて作った曲、ラリー・カールトンの名曲、ルーム335を紹介します。

 1977年に発表された、ラリー・カールトンの、自身の名前が入ったのみのアルバム(邦題は、「夜の彷徨」)。
 良く、あちらの人(ってどっちだい!)のファーストアルバムは、本人の名前とか、バンド名のみとかが多いですよね。
 でもこのアルバム、ラリー・カールトンの3枚目ですが、メジャーなレコード会社からリリースと言う意味では、初のアルバムです。

 邦題「夜の彷徨」のトップを飾る曲で、ラリー・カールトンと言ったらルーム335と言うくらい、本人の代表曲です。
 ルーム335は、ラリー・カールトンが持つレコーディングルームで、335の数字は、愛用のギター、ギブソン・ES-335から採られています。
 関係ないですが、自分のHNのdaigo335も同じ理由です。

 もう34年も前の曲なのに、未だに世界中のギター少年を魅了し、YouTubeなんかに、コピー映像が多数アップされています。
 2011年には、B'zのギタリスト、松本孝弘と共演したアルバム、TAKE YOUR PICKで、キャリア43年にして初のグラミー賞・最優秀ポップ・インストゥルメンタル・アルバム賞を受賞しました。
 ラリー・カールトンは、2001年に、スティーヴ・ルカサーとのアルバム、「ノー・サブスティテューションズ」で、すでにグラミー賞を取っていましたね(笑)。失礼しました。

 良い演奏とは一体何なのでしょうか?
 答えは簡単で、自分が今持つ、100パーセントに近い演奏をする事です。
 でも、この100パーセントに近いと言うのが難しい。

 ギタリストにとって、自分の愛用のギターの魅力を100パーセント近く引出し、かつ自分の持つギターテクニックを100パーセント近く引き出せれば、素晴らしい演奏になります。
 ルーム335が素晴らしいのは、この100パーセントに限りなく近いからです。

 ここから先は、ギターに興味のある人以外、退屈な話ですので、YouTubeのところまで読み飛ばして頂いて、結構です。

 通常のエレキギターは、ソリッドギターと呼ばれ、木の固まりを削り出し、ギターの弦の響きを木の固まりが振動して共鳴し、それをピックアップと言うマイクで拾い、増幅して音を出す原理です。
 エレキギターのフル・アコースティック・ギターは、木の固まりではなく、ボディは板張りで、ギター内部が空洞になっています。
 そのため、ソリッドギターとは異質な、野太くて甘い音で、箱鳴りします。
 フル・アコースティック・ギターは、その音質から、ジャズに良く使われます。

 ギブソン・ES-335は、セミ・アコースティック・ギターと呼ばれるギターです。
 何が、セミなのか?つまり、ソリッドギターとフル・アコースティック・ギターの両方特徴を持つ、中間的なギターなのです。

 ギブソン・ES-335は、ボディは板張りで、ギター内部が空洞で、箱鳴りします。
 しかし、フル・アコースティック・ギターとの大きな違いは、ネックの継ぎ目から、ボディ内部にかけて、センターブロックと呼ばれる、木の固まりがあり、これによってソリッドギターの特徴ある木の固まりの振動音も出るのです。
 下図の右下の部分が、ギブソン・ES-335のトップの板を外したところで、茶色の部分がセンターブロックです。

 この構造のため、ギブソン・ES-335は、ロックからジャズまで、ジャンルを問わない、幅広い適合性があります。
 何より、ギブソン・ES-335の最大の特徴は、サスティン(音の持続)が長く、フロントピックアップ(ネック側のマイク)にした時の、太くて甘い音でしょう。この音は、セミ・アコースティック・ギター以外には出せません。
 セミ・アコースティック・ギターの特徴を最大限に生かすとすると、箱鳴りが分かりやすいよう、音を歪ませ過ぎず、フロントピックアップで、太く、甘い音を出す事なのです。

 さて、ルーム335がどんな曲なのか、おさらいをしておきます。
 イントロですが、Peg(ペグ)と聞き比べて頂ければ分かるのですが、パクリです。
 でも黙ってパクリだと問題になっているはずで、ラリー・カールトンは、スティーリー・ダンドナルド・フェイゲンの許可は取っていると思います。
 ラリー・カールトンは、Peg(ペグ)の没になったギターソロを弾いたと言う話があり、だとすると、どんな気分でこんなアレンジにしたのでしょう?
 素晴らしいアレンジに、魅了されたんでしょうね。

 曲の出だしはDmaj7で、スティーリー・ダンほどの凝りようではありませんが、それでもA9に11度の音を加えた等と言う、分数コードはバシバシ出て来ます。
 この曲をアドリブで弾く人にとって、メジャー・ペンタトニックブルース・ペンタトニック1本では到底太刀打ちできませんが、アベイラブルノートスケールを学べば、そう難しいものではありません。
 メジャー・ペンタトニックブルース・ペンタトニックと比べると、アベイラブルノートスケールでは、運指の難易度がが格段に上がります。

 しかし、この曲をアドリブで弾く人にとって、最大の難関は、AメロからBメロにつながる部分で、3小節に渡り(全フレーズという意味では4小節)転調しまくり、気分良くアドリブしていた途端、この転調部でぐちゃぐちゃになります。
 ここのアドリブは難しいですねェ。無難にこなすなら、ラリー・カールトンのパクるか、あくまでコード分解に徹するかです。
 自分のような、並み以下の腕前なら、この転調部に来るまでに、胃が痛くなりますね(笑)。

 ここからが楽しい音楽鑑賞の時間です。

 邦題「夜の彷徨」からのオリジナルです。音源はレコードのようで、レコード針のノイズが気になりますね。
 またサンプリングレートが低く、音質が良くないのは残念です。
 自分的には、この音質だと、ラリー・カールトンが弾く、ギブソン・ES-335のフロントピックアップの太くて甘い音、独特の箱鳴りは、良く分からないのでは?と思います。
 この曲のレコーディングメンバーが凄いんですよね。
 今となっては、全員スーパーミュージシャンで、このブログで、各々のミュージシャンの名演を取り上げたいと思います。
 ギター:ラリー・カールトン
 キーボード:グレッグ・マティソン
 ベース:エイブラハム・ラボリエル
 ドラムス:ジェフ・ポーカロ ※ルーム335だけ別のドラマーだったかも知れない
 パーカッション:ポーリニョ・ダ・コスタ

 ラリー・カールトンと同時代に活躍し、活躍ジャンルも被る、スーパーギタリスト、リー・リトナーとの共演です。
 リー・リトナーも、ギブソン・ES-335の有名な遣い手なのです。
 イントロ部から、曲のテーマまでラリー・カールトンが弾いていますが、ギブソン・ES-335のフロントピックアップの太くて甘い音、独特の箱鳴りが、お分かり頂けるでしょうか?
 これぞ、ギブソン・ES-335って音で、ソリッドギターやフル・アコースティック・ギターでこの音は出ません。

 第一ソロは、リー・リトナーで、ラリー・カールトン以上にジャジーなフレーズです。
 リー・リトナーは、フロントピックアップと、リアピックアップ(ブリッジ側のマイク)両方のフェーズインのサウンドで、カリッとした高域が抜けて、中低域が抑えられた音にして、結構歪ませています。
 リー・リトナーは、我が道を行く感じの音作りなんでしょうか?同じ型式のギターなのに、全然違う音なのが、分かりますでしょうか?
 そして転調部では、基本的にラリー・カールトンのフレーズを元に弾いています。

 対するラリー・カールトンのギターソロは、テーマと同じ音で、ギターの音を軽く歪ませ、ごまかしが利かない音にしています。
 リズム感、タイム感覚、フィンガリングの滑らかさ、どれを取っても一級品で、ごまかす必要などないですけどね。
 転調部は、この忙しい転調と言うのに、素晴らしい速弾きを、余裕綽々(よゆうしゃくしゃく)で弾きます。
 ギターを弾く人間にとっては、背筋が凍りそうですね(笑)。

 関係ないですが、曲終盤の、火の出るようなベースソロも凄いですよ。

 B'zのギタリスト、松本孝弘との共演による、ルーム335です。
 松本孝弘のギターは、ギブソン松本孝弘シグネチャーモデルで、これがソリッドギターです。
 ラリー・カールトンをリスペクトしているからなのか、フロントピックアップで弾いていますね。それにしても、ピックアップの出力が高いのか、もの凄く野太い、良いトーンを出すギターですね。
 そして転調部では、こちらも基本的にラリー・カールトンのフレーズを元に弾いています。

 ラリー・カールトンについては、フレーズこそ違えど、同様なんで割愛します。

 TOTOの元ギタリスト、スティーヴ・ルカサーとの共演による、ルーム335です。
 若い人には、TOTOと言うと、便器?としか思わないかも知れませんが、1980年代を代表するロックバンドなのです。
 自分には、スティーヴ・ルカサーのギターのモデルが分かりませんが、これもソリッドギターで、ギブソン・ES-335とは違う、ジョイントネックです。
 スティーヴ・ルカサーは、記憶に間違えなければ、ライン撮り(ギターアンプを通さず、直接音響にミックスする)だそうで、このこもったギターの音色が、自分は嫌いです。
 松本孝弘と比べ、全然音の抜けが悪いですよね。でも、ライン撮りは、現場の音響の作業が楽なのです。
 スティーヴ・ルカサーは、アベイラブルノートスケールを押さえつつ、ロックフィーリング豊かに弾いていますね。フレージングは素晴らしいです。
 そして転調部では、これはコード分解でしょうか?最後ちょっと尻切れてるんでしょうかね?

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