Music.Jay Graydon

2015年4月 2日 (木)

Then She Walked Away / Boz Scaggs

久々の音楽ネタです。
以前も書いていますが、自サイトの音楽ネタは、1日単位ではアクセスが多くはありませんが、毎日コンスタントにアクセス数を稼ぎ、1万アクセス以上の記事がいくつもあります。
面白い事に、軽く音楽の感想を書いているのは、あまりアクセスが来ないのですが、難しい事を書いている記事ほどアクセスが多いです。
最初このコーナーでは、一般の方は読めないでしょうから、譜面を載せないつもりでした。
しかし結局、譜面を載せた記事なんかも、凄くアクセスが多いです。

で、またまた譜面を載せた記事です。

ボズ・スキャッグスは、若い人は知らないかも知れませんね。
古い曲で申し訳ありません。

BABYMETALとか、コピーするの大変(間奏のソロはとてもあんなに速く弾けない!)ですしね(笑)。
BABYMETALも、その内取り上げたいですが・・・


ボズ・スキャッグスについて

ボズ・スキャッグスは、1960年代半ばから活動するシンガーで、1970年代半ばから1980年代初めにアダルトコンテンポラリー路線でヒットした、アダルトコンテンポラリーを代表する1人です。
アダルトコンテンポラリーは、1970年代後半に、アメリカでAOR(Adult-Oriented Rockの略?各種説あり)と呼ばれ、言葉が日本にも輸入され、アメリカではAORという言葉は流行りませんでしたが、日本では未だにAORの方がポピュラーじゃないでしょうか?
ボズ・スキャッグスはアメリカで今でも人気はあるようですが、日本の方がより人気があると言われています。

ボズ・スキャッグスは当初、ヒットに恵まれませんでしたが、1976年にアース・ウインド・アンド・ファイアーのプロデューサーとしても名を上げたジョー・ウィザートをプロデューサーに迎え、アダルトコンテンポラリー路線のアルバム「Silk Degrees」を出します。
このアルバムは、Billboardで最高2位となり、シングルカットの「Lowdown」はグラミー賞において最優秀R&B楽曲賞を受賞しました。
他にも、「Jump Street」、「Lido Shuffle」、「What Can I Say」、「Harbor Lights」、「We're All Alone」等、いずれ引けを取らない名曲揃いで、多くのミュージシャンにカバーされました。
このアルバムにバックとして参加した、ドラムのジェフ・ポーカロ、キーボードのデヴィッド・ペイチ、ベースのデヴィッド・ハンゲイトはグループ「TOTO(便器ではありませんw)」を結成し、翌年ファーストアルバムを発表し、こちらもアダルトコンテンポラリー路線の銘盤と言われています。

次のアルバム「Down Two Then Left」は、「Silk Degrees」に続くアダルトコンテンポラリー路線のアルバムで、プロデューサーは同じくジョー・ウィザート。
Billboardで最高11位となり、「Silk Degrees」よりロック色が強いアルバムで、「Silk Degrees」が好きな人は、このアルバムに少しがっかりしたようです。

次の「Middle Man」は多くのバックミュージシャンが「TOTO」メンバーで、プロデューサーは同じくジョー・ウィザート。
サウンドも「TOTO」色が強いですが、「Silk Degrees」を発展させたような路線のアルバムなので、ボズ・スキャッグスファンには好意的に捉えられていました。
Billboardで最高8位となり、シングルとしても「Breakdown Dead Ahead」、「Jojo」がヒットしました。
日本のCMで、「You Can Have Me Anytime」のギターソロ(ギタリストはカルロス・サンタナ)部分が使われ、有名になりました。

自分も当時、上記のような評価でしたが、1990年代に聞き返すと、「Down Two Then Left」もこれはこれで良いアルバムだと思いましたね。
このアルバムの評価の低さは、Billboard順位がこの3枚で最も低い事、「Silk Degrees」から路線を少し変えた事による反発の2つの要因のように思います。

若い人の中には、AORって何やねんと思うかも知れませんね。
一般論としての代表的ミュージシャンは、スティーリー・ダン(ドナルド・フェイゲン)、ボズ・スキャッグス、ボビー・コールドウェル、TOTO、一時期のシカゴ、クリストファー・クロス、ジェイ・グレイドン、デビット・フォスター等。
音楽スタイルとしては、シンプルでパワーやスリリングなロックとは異なる、オシャレに正装した男女が、酒を飲みながら楽しめるオシャレなロックですね。
ミュージシャンは、ジャズも出来るミュージシャン、アレンジャー、プロデューサーが、ジャズのロック的アプローチのフュージョンブームを通って、AORのサウンドが出来ました。



ジェイ・グレイドンについて

自分はボズ・スキャッグスの曲も好きなのですが、今回のテーマは間奏のギターソロを弾いているジェイ・グレイドンの名演です。
以前、スティーリー・ダンのペグでギターソロを弾いたエピソードを紹介しました。
ジェイ・グレイドンについてそのうち紹介すると書きましたが、4年越しの記事です・・・って、もう覚えている人はいないでしょうけどね(苦笑)。

ジェイ・グレイドンは、1970年代後半から1980年代あたりに活躍した、セッション・ギタリストにして名プロデューサーです。

セッション・ギタリストとしては前述のスティーリー・ダンを始めとして、ジノ・ヴァネリ、バーバラ・ストライサンド、ドリー・パートン、ダイアナ・ロス、ジャクソン・ファイブ、アリス・クーパー、チープトリック、アル・ジャロウ、クリストファー・クロス、レイ・チャールズ、シェール、ジョー・コッカー、マービン・ゲイ、ホール・アンド・オーツ、ウェイン・ショーター、オリビア・ニュートン・ジョン、アルバート・キング等、多数のアルバムでギターを弾きました。

作曲者として、1980年アース・ウインド・アンド・ファイアー「After Love Has Gone」(共同制作者デビッド・フォスター、ビル・チャンプリン)で「Best Rhythm & Blues Song」と「Song of the Year」の2冠。
1983年ジョージ・ベンソン「Turn Your Love Around」(共同制作者スティーブ・ルカサー、ビル・チャンプリン)で、グラミー賞ノミネート。

アレンジャーとして、マンハッタン・トランスファー「TWILIGHT ZONE」でグラミー賞「Best Arrangement for Voices」を受賞(共同受賞アラン・ポール)。

音楽プロデューサーとしては、1982年アル・ジャロウ「Breakin' Away」でグラミー賞「Album of the Year」を受賞。
1984年アル・ジャロウ「Jarreau」でグラミー賞「Producer of the Year (Non-Classical)」、「Best Engineered Recording - Non-Classical」を受賞。
同アルバムから、「Mornin'」がグラミー賞「Best Instrumental Arrangement Accompanying Vocal(s) を受賞(共同受賞デビッド・フォスター、ジェレミー・ルボック)。
1985年映画「ゴーストバスターズ」の「Ghostbusters Soundtrack」で、グラミー賞「Best Album of Original Score Written for a Motion Picture or a Television Special」を受賞。
1986年映画「セント・エルモス・ファイアー」の「St. Elmo's Fire Soundtrack」で、グラミー賞「Best Album of Original Score Written for a Motion Picture or a Television Special」を受賞。

1980年から1986年まで7年連続ノミネートで、内6年に受賞するという凄さです。

ちょうどフュージョンブームから、AORが当たった頃にAORサウンドのプロデューサーとして活躍しました。
自分らの年代では、バンド仲間の大多数が、ハードロック、その後流行したヘビーメタルを演奏していまして、自分のようにフュージョンやAORが好きと言うのは少数派でしたね。
ジェイ・グレイドンがプロデュースすると、明らかにAORのサウンドになっちゃいましたが、いつまでも流行が続く訳もなく、AORの衰退と共に表舞台から姿を消しました。

ミュージシャンでも、リスナーでも、プロデューサーとしてのジェイ・グレイドンを評価する人はそれなりにいるでしょうが、ギタリストとしてのジェイ・グレイドンって、あまりスポットが当たっていないんじゃないですかね?
1994年、盟友のデビット・フォスターの日本のコンサートで、特別ゲストとして登場し、Aireplayの名曲、「Nothin' You Can Do About It」のギターを弾きました。
ギターソロは、アルバム「Airplay」と同じでしたので、ギターソロはアドリブではなく、作曲して毎回同じフレーズを弾いているのではないかと思います。
1993年、ソロアルバム、「Airplay for the Planet」が日本で売れて、1995年ジェイ・グレイドン・オール・スターズで来日した時も、ジェイ・グレイドンのギターソロは、やはりアドリブじゃなくアルバムのものと同じでした。

アドリブをしないから、ギターソロの値打ちが下がる訳ではありません。
下手なアドリブをするくらいなら、むしろ練りこまれたギターソロの方が良いくらいです。
もちろん、一流ギタリストのアドリブは凄いですけどね。

ジェイ・グレイドンの名演と言うと、マーク・ジョーダンの「I'm a Camera」のソロも名演ですが、「Then She Walked Away」はかつて自分が演奏したことがあり、かつその際にアドリブ参考のため、ギターの完コピした事がありました。
小節数も少ないし、譜面化するなら楽だな・・・と。
今はかつてのように弾けませんし、もうコピーしたのも忘れてましたが、体が半分くらいはフレーズを覚えていて、小1時間くらいで譜面化出来ました。
むしろ、譜面作成ソフトの操作に手間取ったので、スムーズに行けば30分かからなかったでしょう。



Then She Walked Awayについて

さて、曲に行きましょう。

曲はボズ・スキャッグスとマイケル・オマーティアン共同制作。
アレンジは、このアルバム全体マイケル・オマーティアン。
バックのミュージシャンは、以下の通りです。

ドラム: ジェフ・ポーカロ
キーボード全般: マイケル・オマーティアン
ベース: スコット・エドワーズ
バッキングギター: 不明(ボズ・スキャッグス、ステーブ・ルカサー、レイ・パーカー・ジュニアのいずれか)
ギターソロ: ジェイ・グレイドン

ラッパ隊は、クレジットには多数書かれていますが、全員が参加したとも思えず。
具体的に、誰がこの曲で演奏したか不明です。

曲のテンポは、テンポ95(1分間に四分音符95回)くらい?
自分の経験では、テンポ90-110あたりのテンポの曲が、雰囲気を出すのが難しいですね。
演奏力の差が出やすいです。

メロディは、G調ですので、音階はG-A-B-C-D-E-F#となります。

曲の構成は、「AABC」
と書いても分かりにくいでしょうから、歌詞と共に説明しますと。

[A]
Then she walked away
Quietly so afraid
Smiling but no doubt
Crying her heart out
She really just wants to stay

[A]
Then she walked away
Leading her own parade
Nobody's cheering
The voices she's hearing
Are empty remarks she made

[B]
How was she to know
That it would come to this
Sorry Miss
They forgot to tell you it was just a game
Just a sad illusion

[C]
Now you're on your own
Really on your own
It's still a long way home

Aのラストの仕掛けが乙ですね。
そしてAからBのベースラインの静と動の切り替えが素敵です。

バッキング・ギターが誰なのか分かりませんが、残念ながらフレーズが凡庸です。
もしかするとボズ・スキャッグス?それとも、ステーブ・ルカサーの可能性もあります。
名人ステーブ・ルカサーもたまに、曲を理解していないイマイチなバッキングがありますしね。

Then She Walked Awayのギターソロについて

2:33からがギターソロになります。
8小節(最後の音も加えると9小節)と短いながら、メリハリが利いた、練りこまれた良いソロだと思います。



ギターソロ全体について

まずは、譜面全体を俯瞰(ふかん)的に見て下さい。

他の楽器のコード(和音)は拾っていませんが、コード進行はサビ(曲構成のC)と同じと考えて良いでしょう。
アレンジは、サビとは異なりますけどね。

フレーズは、Gメジャースケール一本です。
スケールとは音階の事で、Gメジャースケールとは、Gから始まるメジャースケールと言うタイプの音階の事です。
メジャーコード(コード=和音)に合わせる音階です。
スケールとコードは、表裏一体です。

音階を表す時、C=ド、D=レ、E=ミ、F=ファ、G=ソ、A=ラ、B=シ(クラッシックではH)。

Gのメジャーコード、GまたはG△(他にもGM、Gmaj)の和音はⅠ-Ⅲ-Ⅴ、G-B-D。
メジャースケールの音階のタイプは、Ⅰ-Ⅱ-Ⅲ-Ⅳ-Ⅴ-Ⅵ-Ⅶ。
音の間隔は、Ⅰ(1音)Ⅱ(1音)Ⅲ(半音)Ⅳ(1音)Ⅴ(1音)Ⅵ(1音)Ⅶ(半音)となります。

構成音は、G-A-B-C-D-E-F#となり曲メロと同じ・・・曲メロのキーがGなら、Gメジャースケールと曲メロは同じ音階になります。
G調の場合、ロックだとGメジャースケール(またはメジャーペンタトニックスケール)、Gブルースペンタトニックスケールだけでプレイ出来ます。
その内のGメジャースケール・・・と言う事ですね。

スケールチェンジをして、ジャジーなアプローチも可能だったでしょうが、ロック色のあるフレージング、ギターの音なので、シンプルにGメジャースケール一本で合うと思います。
何よりこのギターの音、ジェイ・グレイドンらしいです。

この辺ですでに、付いて行けない人多数でしょうね(苦笑)。

比較的、1拍目、2拍目にフレーズを弾いて、3拍目、4拍目は伸ばすフレーズが目に付きます。
これは、ソロのメロディの良い間になっていますし、音が伸びるところが気持ち良くもあります。

ギターに限らず、各楽器のソロですが、若さに任せ、火が付いたように弾く人が良くいますが、はっきり行ってアホです。
他人の自慰なんて、見たい人はいません。
楽器のソロは、あたかも物語のようであり、起承転結の展開がしっかりしていなくてはなりません。
体力勝負で、やたら速弾き決めても、何の意味もありません。

音楽には間が必要で、もしも間がないのなら、リスナーは音を追えず、演奏への意識が流れてしまうでしょう。
もっと言うと、起承転結もそうですが、一流ミュージシャンは間が絶妙で、間に各ミュージシャン独特のものがあります。
間の出来が、各ミュージシャンの楽器のソロの出来不出来を左右すると言っても、過言ではありません。

音楽は、観客との音を媒介したSEXであるべきです。
そしてじらしたり、予想を裏切ったり、ここぞと言う時に一気に攻め立て、いかに客を満足させるか・・・

小節の後半2拍を伸ばすのは、ジェイ・グレイドンのギターソロ全般に特徴のある、間のような気がします。
前述の「I'm a Camera」のソロも、比較的3拍、4拍を伸ばすフレーズが目立ちますね。



1小節目(2:33~2:35)

ソロ出だしの下がるスラー(スライド)ですが、あまりこんな風に使う人は、ジェイ・グレイドン以外にはいないんじゃないですかね?
自分はこの曲の影響で、このフレーズは良く使わせてもらいました。


2小節目(2:36~2:38)

1拍目のハイAの音から2拍目のダブルハイF#へと音を飛ばすのも、ジェイ・グレイドンのギターソロの特徴ですね。
こう言うフレーズは、弟子とも言うべき、ステーブ・ルカサーも使います。
アルバム「TOTO」の「You are the flower」で、ジェイ・グレイドンの影響を受けたギターソロを聞く事が出来ます。
自分も、この辺の音が飛ぶフレーズは影響を受け、ギターソロで良く使いました。


3小節目-4小節目(2:39~2:43)

1、2小節目の3拍目、4拍目は、伸ばすフレーズだったのが、裏をかいてここでは4拍目に16分音符の速引きが入り、次の小節まで速弾きが続きます。
4小節目は、予定調和的に3拍目、4拍目は伸ばすフレーズ。
この辺の、フレーズコントラストの使い方が良いですね。


5小節目(2:44~2:46)

この小節から最後まで、は、8va・・・演奏しているのは、譜面表記のオクターブ上の音となります。
ソロ後半ですが、前の小節の16分音符のフレーズを受け、ダブルハイGとAの16分音符のチョーキング(弦を指で引っ張って音程を変える)から、2拍目突然ハイBまで音が飛び、雪崩のようにハイG、ハイDと音が飛んで、B、ハイDと続く音を飛ばすフレーズも、2小節目同様、ジェイ・グレイドンの特徴です。
4拍目で、いったん音を下げて上げるグリッサンドがありますが、この譜面ソフトでは書き切れないので、単にグリッサンドとしています。


6小節目(2:47~2:49)

ハイA、ダブルハイD、ダブルハイFの音飛びフレーズで、かつ2拍3連符です。
ここで、3連符を使うのはオシャレですね。
この辺の意表をつく使い方も、自分は影響を受けています。
有名ギタリストのフレーズを聞くと、意表を付いた3連符使いが、けっこうあるような気がします。


7小節目(2:50~2:52)

この辺から、フレージングが、ギターソロの解決(起承転結で言うところの結)に入ります。
1拍目の最後なんて音は飛びますが、この辺はギター的なフレーズで、音飛びとは言いませんね。
予定調和的に3拍目、4拍目は伸ばすフレーズです。


8小節目(2:53~2:55)

前の小節のフレーズを1音ずらして弾き、3拍目、4拍目に16分音符を弾いてたたみ込みます。
3拍目の頭は、例によって音を飛ばしています。


9小節目(2:56~2:58)

出だしの音と、オクターブ上の同じ音(ダブルハイF#)で解決しました。
お見事、とも言うべき終わり方です。

この後、歌の合いの手のようにボリューム奏法を使ったフレーズも弾きますが、そっちは簡単なフレーズなので割愛します。


ジェイ・グレイドンは、あたかもアドリブかのように弾いていますが、良く分析するとフレーズが練られていて、フレーズを作曲したっぽいですよね。
個々のパーツが良く出来ていますので、ギターソロのアイデアの宝庫だと思います。
もしジェイ・グレイドンのギターソロが気に入ったら、他にも色々と聞いてみると良いでしょう。
個々のフレーズのパーツ、アイデアは今でも錆びずに、利用可能だと思います。

「TOTO」の「You are the flower」は、興味深いギターソロですので、その内取り上げます。

http://grooveshark.com/#!/search/song?q=Boz+Scaggs+Then+She+Walked+Away
Then She Walked Away by Boz Scaggs on Grooveshark

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2011年8月15日 (月)

After Love Has Gone / FREESTYLE

After Love Has Goneは、言わずと知れた、アース・ウィンド・アンド・ファイアー(以後EW&F)の絶頂期、1979年のアルバム、「I AM」に収録された、名バラードです。
3年前に、当時22歳の音楽好きと言う新入社員に、EW&Fってなんですか?って言われちゃいましたけどね(笑)。

記憶に間違えなければ、日本の洋楽部門のオリコンチャートでは、1位にはならなかったと思います。
でも、売れたとか、1位になったと言うのと、名曲とは関係ないですよね。
EW&Fのライブには、欠かせない曲であり、そして1980年グラミー賞の、最優秀R&B楽曲賞を受賞します。

この曲を書いたのは、当時売れっ子スタジオミュージシャンで、かつプロデューサーとしても売れていたデイヴィッド・フォスタージェイ・グレイドンシカゴに加入する前の、ビル・チャンプリンの3人です。
メインの作曲者は、デイヴィッド・フォスターと言う事らしいです。

音楽を知るものならば、1聴して、なんちゅーコード(和音)進行やねん!と叫びたくなるような、コード進行、転調をします。
しかもそれが、悔しいぐらい、自然につながっています。

実は歌詞も素晴らしいんですよ。
この曲の歌詞は、インターネット中に転がっていますので、探して見て頂ければ分かります。
英語が分からなくとも、翻訳サイトに任せれば良いですし。
しかし歌詞の重要なポイントは、言葉の意味だけではないんですね。

英語で、この歌詞をそのまま読んでみて下さい。
この歌詞の、言葉の響きの美しさが分かるでしょうか?

さらに、1つの単語に、4分音符1拍以上の長さの単語を使っていません。
これが、メロディーをぐっと牽引するような効果をもたらしています。

アレンジとしては、サビのメロディが、複数ボーカリストのコーラスとしています。
そのため、この曲でボーカルを取る人は、サビより目立つ歌い方をしては、曲を壊してしまいます。
もしも自分がプロデューサーなら、ボーカルには、外にベクトルを向けて、歌い上げるのではなく、内なる心に気持ちを抑え、歌い上げるように指導します。

まずは、EW&Fのアルバムバージョン。この曲の基本ですね。
素晴らしい事に、歌詞も表示されます。
2コーラス目以降の、サビのピアノのフレーズは、日本のアレンジャーにパクられまくり、以後数年、耳からタコとイカが出て来るぐらい、似たようなフレーズを聞かされましたね(笑)。
関係ないですが、バラードなのに、もの凄い楽器数を使っていますね。
金のある人気バンドは違います。

以後アレンジやボーカルは違えど、すべて同じ曲です。
時間のない方は、EW&Fのアルバムバージョンの後、FREESTYLEバージョンを聞いて下さい。

http://www.youtube.com/watch?v=15NYvMfNUPM&feature=player_embedded

売れっ子スタジオミュージシャンで、かつプロデューサーのデイヴィッド・フォスタージェイ・グレイドンが1980年に結成した伝説のバンド、エアプレイのアルバムのAfter Love Has Goneです。
両名とも売れっ子過ぎて、この当時は、恐らくエアプレイとしては、ライブをしていないと思います。
レコーディングメンバーは、当時同様に売れっ子スタジオミュージシャンだった、TOTOのメンバーです。
AORと言う言葉は好きではありませんが、このR&Bな曲に、AOR的アレンジをしています。
このアレンジでは、サビもメインボーカルをフューチャーしていますので、このアレンジだと、メインボーカルが歌い込んでもOKです。

http://www.youtube.com/watch?v=0RtjatjyeQQ&feature=player_embedded

1993年、かつてのエアプレイのサウンドを引っ提げて、ジェイ・グレイドンが「Airplay For The Planet」と言うアルバムを発表し、その中にもAfter Love Has Goneは、収録されました。
アレンジは、EW&Fのアルバムバージョンと、エアプレイバージョンをいいとこ取りしたような、新アレンジです。
1994年、ジェイ・グレイドン・オールスターズと言うバンド名で、「Airplay For The Planet」の曲や、かつてのエアプレイの曲をライブでやりました。
これは、1994年の、日本でのライブ映像です。ボーカルはもしや・・・ビル・チャンプリン
関係ありませんが、2コーラス目のBメロ(2:03~2:44)を、ボーカルが1フレーズ多く歌ってしまいますが、バックのメンバーは、何事もなかったかのように、演奏しています。
これって、こう言うアレンジだったんでしょうか?自分には違和感ありました。

ちなみに同年、日本に呼ばれたデイヴィッド・フォスターのゲストで、ジェイ・グレイドンと共演して、エアプレイの「Nothin' You Can Do About It」を完璧に、原曲に忠実に、ライブで演奏しました。


Jay Graydon & friends- Bill Champlin - After... 投稿者 miklo


ビル・チャンプリンバージョンです。
元々この曲は、ビル・チャンプリンのソロアルバムに収録予定だったのだとか。
結局諸事情から、ビル・チャンプリンのアルバムには未収録ですが、この曲を気に入って、ライブでは歌っているのです。
アレンジは、ほとんどEW&Fのアルバムバージョンに近いです。

EW&Fの絶頂期までギターを担当した、ミスター・バッキング・ギターとも言うべき、自分の大好きな名ギタリストに、アル・マッケイがいます。
アル・マッケイは、凄く手が大きく、平均的には手の小さい日本人では、とても押さえられない、アクロバティックなコードを楽々押さえます。
キレ良く、楽々チャカチャカ弾いているように見えますが、演奏の難易度が高いのです。
しかも、ただ難しいんじゃなく、コードの響きが美しいです。

そのアル・マッケイが、なんちゃってEW&Fバンド、アル・マッケイ・オールスターズを結成し、EW&Fのカバーをしています。
ボーカル力の差は、しょうがありませんね。
アレンジは、EW&Fのアルバムバージョンに沿ったものになっています。

https://www.youtube.com/watch?v=Mz85KCV-120

さて、本日のメーン、FREESTYLEのAfter Love Has Goneです。
YouTubeを聞いて、感動したので、メインに据えました。

自分は、初めて見た時、日本のアマチュアバンド?それにしても、ボーカル上手過ぎ!!と思いました。
しかし、フィリピンの人気バンドで、彼らはプロだそうです。

After Love Has Goneは、多くのプロのボーカリストが、カバーしていますが、オリジナルのEW&F、エアプレイ、ビル・チャンプリンに比肩するレベルは、皆無でした。
アレンジは、EW&Fのライブバージョンを元にしていますね。
これ見て頂ければ分かりますが、3名とも歌が上手くて、その個性を上手く出していて、EW&Fとはまた違った味があり、素晴らしいです。
しかしこれ、ライブ映像ではなく、レコーディングのように、いくつかの音を重ねて録音したのと、映像を重ねたものですけどね。
少々なまった英語も、ご愛嬌(笑)。

ただ2コーラス目に、中央の素晴らしく声が通るお姉さんと、向かって左側の天野ひろゆき似のボーカルが、頑張って歌っちゃってますよね。
前述の通り、この曲はボーカルが頑張り過ぎると、サビが目立たないと言った意味が、お分かり頂けると思います。
こんなに素晴らしいのに、途中で切れちゃいます(涙)。

おまけとして、この曲のピアノコード(和音)のビデオを発見しました。
演奏は、EW&Fのライブバージョンです。
ピアノのコードのみですが、これを見て、コード理論が分かる人なら、鼻血が出るでしょう(笑)。

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2011年4月19日 (火)

Peg / Steely Dan

 今週は食ネタを・・・と思っていたのですが、先週キーボードをやっていた友人と、ドナルド・フェイゲンネタで盛り上がった事もあり、紹介したいと思います。
 ちょっと今週のネタは、音楽知らないと厳しいですかね?

 1学年400名弱いた自分の高校で、知る範囲、スティーリー・ダンの熱狂的ファンが3名、全学年でも5名くらいしか知りませんでした。
 自分が、スティーリー・ダンを知ったのは、大好きなラリー・カールトンの名曲、ルーム335が、スティーリー・ダンAja(エイジャ)に入っている、Peg(ペグ)にインスパイアーされて作った曲と言う事くらいでした。

 早速、熱狂的スティーリー・ダンのファンから、レコード盤(!?)を借り、Aja(エイジャ)を聞いてみました。
 まず、曲の好き嫌いから言うと、自分的にこの緩いグルーブは、最初好きになれませんでした。
 しかし衝撃を受けたのは、コード(和音)とコード進行です。

 当時自分は、ジャズは聴きませんでしたので、ポップな曲とかロックで、C9とかCm11とか、複雑な和音を使っている曲は、新鮮に感じたものです。
 Pegに関して言えば、イントロで転調するのに当時ビックリで(しかも間奏でイントロの調に戻すと言う見事さ)、サビの1小節目の、G7系とB△系の不思議な響きの和音とか、2小節目のAm7Em7を併せたような和音・・・これって何?って思いました。

 これは後に、アッパー・ストラクチャー・トライアドと言う、2重構成和音である事が分かりました。
 当時は耳コピーで、上記のように感じたのですが、現在インターネットで、曲のコードを調べる事が出来ます。
 それによると、サビの和音の正解は、Cmaj7 Gsus2/B |Am11 E7sus4
 1小節目は、惜しい!!Gsus2とB△アッパー・ストラクチャー・トライアド、2小節目はアッパー・ストラクチャー・トライアドじゃなくて、Am11なんですね。

 しかし、Aja(エイジャ)のアルバムの中では、Pegは、素直なコード、コード進行の曲なんです。
 スティーリー・ダンドナルド・フェイゲンの曲は、音楽的に高度な事を、事もなげにサラリと演奏しているんですね。
 曲を聴いた時には、大した事ないように思ったのが、実は物凄く凝った曲作りである事が分かります。

 事実、超のつく一流ミュージシャンが、曲の演奏をしていまして、曲のテイクが気に入らなければ、平気で没にしたそうです。
 ドナルド・フェイゲンのこだわりは半端じゃなく、アルバム製作に物凄く時間がかかり、1週間で1小節分コーディングと揶揄(やゆ)されたほどです。

 演奏ばかりじゃなく、録音も高価な機材を使い、クリアで抜けの良い、太い音質を実現しています。
 Aja(エイジャ)をレコーディングしたエンジニア、ロジャー・ニコルズは、グラミー賞「ベスト・エンジニアリング部門賞」を取りました。
 そのため制作費も半端じゃなく、Aja(エイジャ)の次アルバム、Gaucho(ガウチョ)では、制作費が1億円くらいかかったそうです。

 スティーリー・ダンドナルド・フェイゲンの素晴らしさを理解するのに、それから1、2年かかりましたが、今では大好きです。

 Pegの面白いエピソードに、間奏のギターソロがあります。
 名だたるギターリストを連れて来て、演奏させましたが、ドナルド・フェイゲンがその演奏を気に入らず、次々とギターソロのテイクを没にしたそうです。
 ジェイ・グレイドンがソロを弾いてOKが出るまで、何と6人ものギターリストのソロが、没となったんだそうです。

 ジェイ・グレイドンは、ギターソロで、アドリブをしないのですが、その分、メロディと演奏表現が良く練られています。
 この曲のギターソロも、アドリブっぽいですが、例えばギターソロが始まって4小節目のスライド(スラー)とか、ジェイ・グレイドンらしい劇的な効果がある表現ですね。

 この後、ジェイ・グレイドンは、ギターリストのキャリアを皮切りに、作曲やプロデュースをして、数々のミュージシャンをヒットさせた、大プロデューサーとなりました。
 ジェイ・グレイドンについては、その内、取り上げたいと思います。

 などと、そんな事を抑えつつ、曲を聴くと、また違った世界が聞こえますよ・・・って、ちょっと難しいかな(笑)。
 ライブもありますが、ここは映像的に面白味はないですが、ジェイ・グレイドンのギターソロがある、アルバムバージョンにします。

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