Music.Jeff Porcaro

2015年4月17日 (金)

You are the flower / TOTO


TOTOについて

TOTOは1970年代後半から活躍する、アメリカ西海岸のロックバンドです。
結成のきっかけは、Then She Walked Away / Boz Scaggsでも書きましたが、1976年のボズ・スキャッグスの「Silk Degrees」にバックとして参加した、ドラムスのジェフ・ポーカロ、キーボードのデヴィッド・ペイチ、ベースのデヴィッド・ハンゲイトを中心に結成されました。
TOTOの情報は早くから、音楽雑誌でも取り上げられていました。
ドラムスのジェフ・ポーカロの兄弟、ベースのマイク、キーボードのスティーブが参加すると噂されていた事から、バンド名が決まる前は仮名で「ポーカロ・ブラザーズ・バンド」なんて書かれていました。

バンド名が国際的便器メーカーと同じですが、バンド名の由来は分かっていません。
日本では、エジプトのトート神が由来・・・なんて情報もありましたが、実はスペルが違います。
ジェフ・ポーカロの死後、バンドのリーダーとなるスティーブ・ルカサーによると、スティーブ・ルカサーの加入時にはすでにバンド名が決まっていたそうです。
スティーブ・ルカサーは、このバンド名が嫌いだそうです。

TOTOは1977年、デビューアルバム「TOTO」をリリースしました。
「Silk Degrees」の雰囲気がありつつ、ロック色が強いこのアルバムは、当時ブームが翳ったハードロックファン、当時ブームだったフュージョンファンにも好意的に迎えられました。
もちろん、中間的な作品なので、めちゃめちゃ嫌う人もいましたけどね。

ボズ・スキャッグスの「Silk Degrees」の色合いが強く、後にこのような音楽ジャンルがAORと呼ばれるようになります。
TOTOも、AORを代表するバンドです。
ちなみにAORと言う言葉は、アメリカから発生しましたが、今は使われてなく、現在アメリカではアダルト・コンテンポラリィなんて言ったりします。

TOTOは2008年の解散まで、12枚のオリジナルアルバム(ベストやライブ除く)をリリースし、1982年リリースのTOTO IV(邦題:聖なる剣)でグラミー賞、レコード・オブ・ザ・イヤーやアルバム・オブ・ザ・イヤー含む6部門に受賞。
公式には解散状態のはずですが、2010年以降にもコンサートをしています。



アルバム「TOTO(邦題:宇宙の騎士)」について

このアルバムの際のメンバーは、以下の通りです。

ジェフ・ポーカロ:ドラムス
デヴィッド・ペイチ:ボーカル、キーボード
スティーヴ・ルカサー:ボーカル、ギター
スティーヴ・ポーカロ:キーボード、ボーカル
デヴィッド・ハンゲイト:ベース
ボビー・キンボール:ボーカル

ベースは噂とは違い、マイク・ポーカロではなく、デヴィッド・ハンゲイトとなりました。
後にデヴィッド・ハンゲイトは抜け、その後マイク・ポーカロがこのバンドのベーシストになります。

このアルバムは、ビルボードの最高が9位でしたので、商業的には成功でした。
シングルカットされた「Hold the Line」、「I'll Supply the Love」、「Georgy Porgy」はいずれもビルボードトップ50以内に入りました。

当時はTOTOのように、ドラマチックにシンセサウンドを取り入れたロックは珍しかったため、当初は批評家ウケが悪かったと記憶しています。
批評家なんぞ、分かりきったものの批評は得意でも、新しいものを理解出来る人は少ないものです。
1980年代半ば頃から、ヘヴィ・メタルブームとなりますが、ハードロック時代とは異なり、TOTOのようにドラマチックなシンセサウンドが入る曲もありました。
TOTOの影響が、少なからずあったのではないかと思われます。



You are the flowerについて

TOTOのファーストアルバムだと、Georgy porgy、Hold The Line、I'll Supply The Loveなんかは、定番曲として、後々もコンサートで演奏されました。
このアルバムで言うと、Takin' it backとかこの曲なんかは今から考えても、異質な曲です。
バンドとしての方向性を模索して、このような曲を入れたのでしょうが、TOTOらしくない曲です。
でも自分、これらの曲も好きです。

この曲のメンバーは、下記の通りとなります。

ジェフ・ポーカロ:ドラムス
デヴィッド・ペイチ:ボーカル、キーボード
スティーヴ・ルカサー:ボーカル、ギター
スティーヴ・ポーカロ:キーボード、ボーカル
デヴィッド・ハンゲイト:ベース
ボビー・キンボール:ボーカル
ジム・ホーン:サックス
チャック・フィンドレー:ホーン

テンポは、♩=85(1分間に四分音符が85回)あたりでしょうか?
いわゆるミドルテンポで、実は演奏でこれくらいのテンポが、雰囲気を出すのが難しいです。

例えば「Misty」のように、ジャズでは何度も転調する曲があり、そのような曲の場合、xx調と規定する事が出来ません。
フュージョンやロックで、このようなケースは珍しいですが、この曲はそうです。

弱起で始まる曲メロのパターンは、AA'B型。
Aのパターンを2パターンひとくくりと解釈しています。

ついでに、自分なりに拾ったアレンジのコードも掲載します。

[A]
Gm7             Gm6
You never lose a minute, if in it there is love
Gm7                A#aug7     C7
And "old man time" always pulls you through
Gm7             Gm6
It's better not to depend on the morning dew
Gm7                 A#aug7     C7
For the rose you plant in your bed tends to you, honey you

[A']
Gm7            Gm6          Gm7          A#aug7 C7
Some folks take money, some take their life,some take forever to see
Gm7           Gm6
Blind faith, blind love, they're no mystery to me
A#7
You must take the time, for that's the fee

[B]
A#M7                  C7
It's worth the pain that makes the tears
CM7                    D7
It's worth the light of a million years
Bm7-5             E7
Only your love I can't explain,
Am7              D9 A#aug7 G#aug7
you are the flower for my rain

音階を表す時、C=ド、D=レ、E=ミ、F=ファ、G=ソ、A=ラ、B=シ(クラッシックではH)。

ジャジーでオシャレなコード進行、ジャジーなメロディラインで、アレンジはロックなのですが、面白いバランスで成り立っています。
この曲は、自分が作曲する際も、アレンジの際もとても参考になりました。
・・・がしかし、このコード進行の理論的背景は、さっぱり分かりません。

サビについてあえて言うなら、本来は曲の解決をするC7とかD7、E7のドミナント7thコードを当てて、むりやり(しかしスムーズに)転調させているように思います。
コードのルート音がA#M7(ルート音ラ#)→C7(ルート音ド)と完全Ⅰ度です。
C7を基点に、別の調のコードCM7に転調。
CM7(ルート音ド)→D7(ルート音レ)と完全Ⅰ度です。

D7からBm7-5にコードが進行しますが、Bm7-5の和音構成は、B-D-F-A。
これまでのコード進行だと、コードの期待値はDM7。
DM7の和音構成は、D-F#-A-C#。
DとAは和音構成が共通しています。
Bm7の和音構成なら、B-D-F#-A。
DM7の代用コードと想定されます。

Bm7-5(ルート音シ)→E7(ルート音ミ)だと、新たなコード進行のように見えますね。
しかしDM7(ルート音レ)だと→E7(ルート音ミ)と、ルート音が完全Ⅰ度なのです。
次に来るAm7は、曲の解決に向かわせるためで、ルート音はEの4度上です。
コード進行は、Ⅱm7-V7-Ⅰがジャズのポピュラーな解決法です。
Ⅱm7の代用コードはⅣ。
Eの4度上はAです。
最後のD7はEからするとルート音は7度上で、DはEメジャーのドミナント7th音です。
このコードを当てて、このサビを解決しているのかな・・・と。

この曲が、コードから作曲したのか、楽器を何も使わないで作曲したのか興味がありますね。
自分の予想は、コードから作曲した・・・です。
経験則で、このようなコード進行が成り立つと知っていて、この曲で使ったのではないかと予想します。

難点は、サビが盛り上がらないと言うか、この後にサビが来るのか?と言う感じのところですかね。
結局、ギターソロに入って、Bがサビだったのか!と気付く始末です。
AA'もBも同じリズムのリフと言うのは、アレンジとして単調なきらいがあります。
アレンジでがんばっても、Bを盛り上げるのは無理だと思いますので、この後に新たにサビをつけるべきだったと思います。

人間は、4小節とか8小節とかで循環する音楽に、予定調和的な心地よさを感じます。
Aは9小節、A'は7小節と、小節数が変則なのをお気づき頂けましたでしょうか?
Aのように、アレンジの要求で1小節多くなるのはたまにありますが、自分は初めて聴いた時A'は7小節でサビに入ってビックリしました。

2コーラス目はA'Bとなり、1コーラス目より短くするのは、曲の常道ですので、良いですね。
エンディングは、この当時こんな風に、曲メロと関係ない雰囲気で終わると言うアレンジがありましたが、自分は気に入らないです。
個々の曲のパーツは良い線行っているのに、もったいないと思います。

イントロは、ジャジーで美しいピアノ。
すぐに、ユニゾンのロック的なリフが来ます。
これだけオシャレなコード進行なのに、このリフがロックを感じさせます。

刻んでいるだけのはずの、ジェフ・ポーカロのハイハットが、ハネたように聞こえる気がするのが、素敵です。
ジェフ・ポーカロはこの時、全盛時な訳で、まさに唄うドラムが聴けます。
ギターソロで、やたらハイハットオープンを入れるのですが、自分はこのフレーズ好きではないですね。

サビで後ろにさざめく、シンセストリングスが美しいです。

ボーカルは、当時もあまり評判が良くなかった、スタジオミュージシャンボーカルのボビー・キンボール。
特に高温になると、金属的な、キンキンした声ですね。
自分も、それほど好きなボーカルではありません。



You are the flowerのギター・ソロについて


スティーブ・ルカサーのギターの音作りについて

2:09から2:53が、スティーブ・ルカサーのギター・ソロです。
1980年代後半くらいから、レコーディングでもライブでもライン撮り(ギターアンプを介さず直接ミキサーにつなぐ)となったと記憶しています。
ライン撮りは、ミキサーが、音を調整しやすいです。
反面、ギターの音は本来、ギターアンプで増幅したのが本来の音であって、ライン撮りはくぐもったような音になり、ギターの良さが出にくいと言う難点があります。
ギターの音作りに興味がないのでしょうか?
自分は、現在のスティーブ・ルカサーのギターの音が嫌いです。

この頃はまだ、ライン撮りじゃないと思いますが、今聞くと、それほど良い音とは思いませんね。
この曲のミキシングですが、全体的に高音がキンキンして、ミキシング自体も上手ではないと思います。
アンプも何か分かりません。
初期の頃は、マーシャルを使っていたような気もしましたが、エフェクター掛け過ぎて良く分からないです。

ギターはギブソンSGか、レスポールで、リアPUの音じゃないかと推察します。
エフェクターはコンプレッサー、コーラス、ディレイ、リバーブで、アンプで歪ませていると思われます。
コーラスの音にクセを感じるので、コーラスではなく、フェイザーを使っている可能性もあります。
音抜けが良くないですね。

コンプレッサー(ギターのアタックをまろやかに音を伸ばすエフェクター)をかけると、ギブソンSGとレスポールの違いは分かりにくくなります。

ちなみに、ギブソンでボディの木がメイプルトップ(上部の木が固い材質のメイプル)じゃないギター、ギブソンSG、フライングV、フアイアーバード、エクスプローラー等は、音の傾向は一緒で、音を聴いただけでは区別が付きません。
スティーブ・ルカサーは当時、レスポールもギブソンSGも両方持っていたはず。
レスポールはメイプルトップなので、コンプレッサーをかけないナチュラルな音ならば、音の立ち上がりがシャープになり、区別が付けやすくなります。

Gibson Les Paul

Gibson Les Paulの構造

Gibson SG

Gibson Flying V

Gibson Firebird

Gibson Explorer

Gibson Moderne



ギター・ソロのフレーズ全体について

スティーブ・ルカサーは確か、ジェイ・グレイドンの弟子的な存在だと記憶しています。
ぱっと思いつく限り、ボズ・スキャッグスのアルバムやAirplayのアルバムでも共演していますし、調べれば共演アルバムはもっとあるだろうと思います。

この曲のギターソロは、ジェイ・グレイドンっぽい、音使いが凝った、練り込まれたものです。
一方スティーブ・ルカサーは、ライブでアドリブをガンガンやる人です。
ただアドリブで、ここまで凝った音使いをするかな?・・・と。
このソロが、アドリブじゃない可能性もあります。

全体フレーズとしての特徴は、オシャレなスケールチェンジ、休符使いと3連符使い、前の小節からフレーズを始める・・・ですね。

ギターソロに入って、1音転調しますし、ギターソロが始まって8小節後にもう1度1音転調、ギターソロの終わり、17小節後にもう1度1音転調します。
コード進行を知らないと、とてもアドリブは出来ませんね。
このように、転調が頻繁な場合、プロの方でも多少アドリブ展開を練らないと難しいのでは?・・・と思います。

フレーズの出だしから、休符です。
音を出さないのも、音楽の重要なポイントで、この辺にセンスの差が出ます。
1小節目、5小節目、11小節目の音の頭を抜く、抜きフレーズがオシャレです。

前にレビューした、Then She Walked Away / Boz Scaggsでは、音の分布が揃っていたのに対し、3小節目、8小節目、12小節目のように、前の小節からフレーズを始めるとか変幻自在です。

3連符の多用も、センシティブでオシャレですね。
この曲からばかりではありませんが、良いギターソロはしばしば、上手に3連符を使います。
この辺は自分も影響を受けています。

2小節目、4小節目、6小節目、8小節目、10小節目、12小節目、14小節目と、きれいに偶数小節目の最後のフレーズは、次の小節に続くフレーズです。
こんなに予定調和的に、アドリブでこんな風なフレーズを弾けるものかな?・・・と。
アドリブだと凄技のプロでも、フレーズがもっと乱れます。
この辺も、このギター・ソロが、アドリブではないのでは?と思うゆえんです。

このギター・ソロを理解するためには、アベイラブルノートスケールを学ぶ必要があります。
しかも、アベイラブルノートスケールでも、音楽理論として難易度が高いです。
バッキングのコードと併せ、スケール展開していますので、コードが凝っているのと相まって、自分の解釈では8回スケールチェンジしていると考えます。
しかし構成音から、少ない回数なら3回のスケールチェンジとも解釈出来ますので、この辺は人の解釈によるでしょう。

素晴しいスケールチェンジで、これを会得すれば、アドリブを志すギタリストは大きな財産になります。
個々のスケールの話しは、各小節のコメントに書きます。

この曲のギター・ソロでは、自然にスケールチェンジしていますので、とてもオシャレです。
音楽に詳しくない方なら、気付かないと思います。

人間は、4小節とか8小節とかで循環する音楽に、予定調和的な心地よさを感じます。
先日の記事の、Then She Walked Away / Boz Scaggsのギター・ソロも、8小節のパターンでしたね。
また、By the Way / Red Hot Chili Peppersの譜面を見ても、4小節とか8小節で1つのパターンになっている事がお分かり頂けますでしょうか?

フレーズの展開は多彩ですが、4小節毎に上手にフレーズ展開して、流れに無理がありません。
小節の拍子も数えやすく、先日レビューしたSave Your Nights For Me / Kazu Matsui Projectのギター・ソロと比べ、ずっと整然としたものです。
必ずしも、整然としているから良いと言う訳ではありませんが。

以下、ギターソロの譜面となります。
転調が頻繁なので、ハ長調(C調)表記です。
和音の解釈については、サビのコードを転調しているだけなので、サビのコードに準じています。



1小節目-2小節目(2:08~2:14)

ソロ出だしが、ドラマチックで素敵ですね。
歌から、ギターソロの入りで、1音転調しているのは前述の通りです。

自分はアドリブと言えども、ソロの始まりと終わりは、だいたいどんな風にフレーズ展開するか決めていました。
プロの方は、どうなんでしょうか?
2小節目の終わりの、次の小節に続く3連符がオシャレです。

1小節目-2小節目は、Cリディアン・スケールです。
スケールとは音階の事で、Cリディアン・スケールとは、Cから始まるリディアン・スケールと言うタイプの音階の事です。
メジャーコード(コード=和音)に合わせる音階です。
スケールとコードは、表裏一体です。

Cリディアン・スケールが使われるのは、メジャー・コード、コード表記はCまたはC△(他にもCM、Cmaj)、和音はⅠ-Ⅲ-Ⅴ、C-E-G。
いわゆる、ドミソの和音ですね。
またはメジャー7thコードにも使われ、コード表記はCmaj7、CM7、C△7、和音はⅠ-Ⅲ-Ⅴ-Ⅶ、C-E-G-B。
この小節のアタマのコードがCM7ですので、コードとスケールは調和します。

リディアン・スケールの音階のタイプは、Ⅰ-Ⅱ-Ⅲ-Ⅳ#-Ⅴ-Ⅵ-Ⅶ。
音の間隔は、Ⅰ(1音)Ⅱ(1音)Ⅲ(1音)Ⅳ#(半音)Ⅴ(1音)Ⅵ(1音)Ⅶ(半音)となります。
メジャース・ケールの音階のタイプは、Ⅰ-Ⅱ-Ⅲ-Ⅳ-Ⅴ-Ⅵ-Ⅶですので、違いはⅣ度の音が半音上ると言う事です。
ⅠをCに当てはめると、C-D-E-F#-G-A-Bとなります。
もうこの辺で、付いて行けない人、多数でしょうね(苦笑)。

リディアン・スケールのⅣ#音をメジャー・コード、メジャー7thコードで演奏すると、ふわっとした響きになります。

2小節目は、コードに嵌めると、Dミクソリディアン・スケールも使えますが、Cリディアン・スケールで通していますね。

このドミナント7thコードは、転調させるためのものなので、従来のドミナント7thコードからトニックコードにいたる解決の役割は薄いと思います。
それに、次に来るのはトニックコード(D7の場合だとGまたはGm)ではありませんし。
ドミナント7thコードっぽくないので、Dミクソリディアン・スケールを使わなくて正解と考えます。



3小節目-4小節目(2:15~2:19)

3小節目のコードは、2小節単位目のD7を受け、DM7。
これも1種の転調でしょうね。
そのため、スケールもDリディアン・スケールになります。
スケールの構成音は、D-E-F#-G#-A-B-C#。
ちょうど3小節目に起承転結の転をもってくるあたり、整然としたフレージングです。

4小節目は、コードに嵌めると、Eミクソリディアン・スケールも使えますが、Dリディアン・スケールで通していますね。
音も高音から下がって行き、4小節目にパターンを解決します。
4小節目の終わりのつなぎも、3連符。



5小節目-6小節目(2:20~2:24)

5小節目のコードは、響きからC#m7-5じゃないかと思います。
和音はⅠ-Ⅲ-Ⅴ♭-Ⅶ、C#-E#-G-A#。
例えば、C#ロクリアン・スケールなんかが、このコードでもポピュラーなスケールです。

ロクリアン・スケールの音階のタイプは、Ⅰ-Ⅱ-Ⅲ-Ⅳ#-Ⅴ-Ⅵ-Ⅶ。
音の間隔は、Ⅰ(半音)Ⅱ♭(1音)Ⅲ♭(1音)Ⅳ(半音)Ⅴ♭(1音)Ⅵ♭(1音)Ⅶ♭(1音)となります。
ⅠをC#に当てはめると、C#-D-E-F#-G-A-Bとなります。
ロクリアン・スケールを使う場合、注意するべきは、Ⅱ度の音、この場合D音がアボイド・ノートだと言う事です。

アボイド・ノートは、アドリブの際、調性が悪いので忌諱すべき音と言う意味です。
使っていけないと言う訳ではなく、上手に使えば個性的な効果を上げる事も出来ます。

譜例では、D音を経過音として使っていますので、問題ありません。

またはC#m7-5を、C#m7と考えると、C#フリジアン・スケールとかC#ドリアン・スケールも使えます。
C#m7をEM7の代用コードと解釈すると、Eメジャー・スケールとかEリディアン・スケールも使えます。
ここも1種の転調でしょうね。

コードから類推するに、C#ロクリアン・スケールと解釈しました。

C#m7コードとの違いは、C#m7コードではⅤ度G#なのに対し、Ⅴ度の音が半音下がりG♮。
2拍目の16文音符に、G#音が出て来ますが、経過音ですし、この音使いはC#m7のもの。
4拍目にⅤ♭、G音が出て来て、しっかりC#m7-5とマッチします。
この辺の音使いは、素晴しいです。
フレーズ途中の3連符がオシャレです。

6小節目もそのまま、C#ロクリアン・スケールで通します。
6小節目のの終わりの4拍目も、前のフレーズの流れを受け、3連を使っています。



7小節目-8小節目(2:25~2:30)

7小節目も、8小節目も、大きな音階の変化はありませんので、そのままC#ロクリアン・スケールと解釈します。

7小節目のコードはBm7に思われ、他にBフリジアン・スケールとかBドリアン・スケールも使えます。
Bm7をDM7の代用コードと解釈すると、Dメジャー・スケールとかDリディアン・スケールも使えます。
ここも1種の転調でしょうね。

今度は、音が上って行きながらフレーズの解決をしていますね。
ここでもオシャレに3連符を使っています。
8小節目の終わりには、変化を持たせ、今度は16分音符で次の小節につなげています。



9小節目-10小節目(2:31~2:35)

前の小節のD7コードを受け、この小節の頭ではDM7に転調します。
大きな流れで言うと、ギターソロの8小節パターンで、次のパターンに1音転調しちゃいました。

スケールはコードから、Dリディアン・スケール。

9小節目から、10小節目にかけて、フレーズの音を下げて行きます。
10小節目の終わりから、次の小節にかけ、急に音を高く、弦飛びフレーズでドラマチックに展開させます。



11小節目-12小節目(2:36~2:41)

11小節目も、音階に大きな変化はなく、Dリディアン・スケール。

最初の頭抜きフレーズがカッコ良いです。
音が高いところから、低いところに展開してフレーズの解決を図っています。

12小節目は、F#7コードを受け、再びスケールチェンジします。
F#7コードの和音はⅠ-Ⅲ-Ⅴ♭-Ⅶ、F#-A#-C#-E。

ここのスケールはコードから、F#ミクソリディアン・スケールと解釈します。

ミクソリディアン・スケールの音階のタイプは、Ⅰ-Ⅱ-Ⅲ-Ⅳ#-Ⅴ-Ⅵ-Ⅶ。
音の間隔は、Ⅰ(1音)Ⅱ(1音)Ⅲ(半音)Ⅳ(1音)Ⅴ(1音)Ⅵ♭(半音)Ⅶ♭(1音)となります。
ⅠをF#に当てはめると、F#-G#-A#-B-C#-D#-Eとなります。
ミクソリディアン・スケールを使う場合、注意するべきは、Ⅳ度の音、この場合B音がアボイド・ノートだと言う事です。
実際のプレイでも、B音を避けていますね。

12小節目の終わりは、3連符ではありませんが、3連符っぽいフレーズではあります。



13小節目-14小節目(2:42~2:46)

13小節目のアタマのコードは、5小節目のコードの完全Ⅰ度上のコード、D#m7-5。
スケールも、5小節目の完全Ⅰ度上、D#ロクリアン・スケール。

スケールの構成音は、D#-E-F#-G#-A-B-C#となります。

このあたりから、ギターソロの終わりを意識しているのか、畳み込むようなフレーズですね。



15小節目-17小節目(2:47~2:54)

15小節目も、音階に翁変化はなく、D#ロクリアン・スケール。
C#m7ですので、使える音階は上記参照願います。

16小節目は、音階云々ではなく、クロマティック(半音ずつ)上るフレーズとかがあり、難しく考える必要はないでしょう。
使える音階は、これまでの流れだと、Eミクソリディアン・スケール。
スケールの構成音は、E-F#-G#-A-B-C#-Dとなります。

16小節目のコピーは、あまり自信がありません。
またフレーズも正確に5連符とかではなく、拍とか小節に無理やりねじ込む感じで弾きます。

17小節目には16小節目のE7コードを受け、EM7となります。
コードの構成音、G#音でフィニッシュです。


自分はTOTOのファーストアルバムでは、このギターソロが1番好きでしたが、仲間のギタリストに「1番はHold The Line」でしょう・・・と笑われました。
まあ、分かりやすさでは「Hold The Line」は、一番ですけどね。
今回これを書くに当たり、Webでこの曲のギターソロが、スティーブ・ルカサーの最高峰と絶賛している人が少なからずいて、ビックリしました。

譜面のギターソロは、短い範囲で自分のアドリブに利用させてもらうとか、そうじゃなくとも響きが面白いと思う箇所を真似、アドリブでやってみると、新しい世界が広がるでしょう。
コードについてもユニークなもので、勉強になるのでは?と思います。


今回の記事は、今までの中でも、もっとも難解だと思います。

ちなみに自分の音楽理論は、独学です。
耳コピーも大したことがありませんし、音大出とか、バークレイ卒の人が見ると、噴飯ものかも。

自分の音楽理論、20数年前に購入したスケールブック、スケール理論、コード理論の本がベースです。
スケールブックはイケてましたが、現在と違って理論書なんて使えねぇシロモノでしたが、それでも当時出版されてたものの中ではマシなものでした。
そこに、曲を耳コピーして解析したり、色々な人が言う音楽理論の断片をつなぎ合わせて、自分なりの理解をしました。

今ではWebに、もっと有用な情報が載っています。
でも音楽理論って・・・結局、全て理詰めでは説明出来ず、キモの部分は感性だったりしますけどね。



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2012年2月12日 (日)

Bonp Me / Greg Mathieson Project

そもそも、グレック・マティソン・プロジェクトを知っている人は、少ないでしょうね。
グレック・マティソンは、以前紹介した、ラリー・カールトンのRoom 335で、キーボードを弾いていた人です。
ラリー・カールトン、グレック・マティソンとも、クルセイダーズのサポートメンバーです。

実はこのアルバム、グレック・マティソンが、当時人気だったTOTOのギタリスト、スティーブ・ルカサー、ドラマー、故ジェフ・ポーカロ、ベーシスト、ロバート・パウエルで行ったセッションのバンド名です。
アルバムタイトルは、「ベイクドポテトライブ」
ベイクドポテトは、ロサンゼルスの有名なライブハウスの名前です。

先日紹介した、ブライアン・オーガーのライブ映像場所が、ベイクドポテト。
思ったより、小さなライブハウスですね。

アルバムは、グレック・マティソンのキーボードを盛り立てると言う内容です。
この曲では、スティーブ・ルカサーのギンギン(死語?)のギターも聞き所ですが、本当の目的は、ドラマー、故ジェフ・ポーカロの素晴しいプレイを聞いてもらいたいですね。

ジェフ・ポーカロは1970年代後半から、当初はジャズ/フュージョン系のドラマーとして頭角を現し、ボズ・スキャッグスのバックを務め、その際のバックミュージシャンでTOTOを結成し、これがまたヒットしました。
ジャズ/フュージョンの小技の利いた、オシャレなフレーズから、ノリの良い疾走感のあるロックまで、幅広く得意としていました。

ジェフ・ポーカロの台頭は、スティーブ・ガッドの麻薬中毒による戦線離脱と、無関係ではなかったでしょう。
しかし、スティーブ・ガッド以上に、幅広い音楽をカバー出来、しかも個性もあるジェフ・ポーカロは、様々なプロデューサーからも信頼されました。
一時は、有名ミュージシャンのアルバムのバックのドラムを、半ば独占状態と言えるほど務めていましたね。
1992年8月5日、キャリアの絶頂期に、自宅の庭で殺虫剤を散布中にアレルギーの心臓発作を起こし、亡くなったのは、本当に残念極まりない事でした。

面白い事に、ジェフ・ポーカロが注目され出した1980年当時の音楽仲間では、ジャズ/フュージョンをやってた人には、ロックに浮気したドラマーと見られ、ロック好きからは、ジャズ/フュージョン系ドラマーが無理やりロックに合わせて、叩いてると思われていました。
自分は、当初から大好きでしたけどね。
音楽仲間の友人達に、まるでドラムが歌を歌っているようだと、表現していました。
先に紹介した、ラリー・カールトンのRoom 335で、ドラムを叩いているのも、ジェフ・ポーカロです。

そもそもTOTOは、ロックにジャズ/フュージョンのオシャレで複雑なコード進行、フレーズの仕掛け、多彩なシンセサイザーを持ち込み、オシャレでポップに変身させました。
当時は普通にロックの分類でしたが、現在ではAORに分類する人もいますね。
TOTOの4枚目のアルバム、「TOTO Ⅳ(そのまんまや!)」のシングルカットされた曲、「Rosanna」のドラムは、ジャズ/フュージョンを聴く人にも、ロック好きの人にも絶賛されます。
しっかりしたシャッフルの3連系リズムに、時々入るスネアのゴーストノートのセンスの良さ。
シンセブラスの仕掛けに、かっこ良いフィルインと、それまでのジェフ・ポーカロの総決算とも言うべき、エッセンスが詰まっています。
「Rosanna」の素晴しいプレイは、様々な人が語り尽くしている感があり、あまりにもベタなので、このブログでは取り上げません。

「Rosanna」の素晴しいプレイについて気にになる方は、こちらジェフ・ポーカロの教則ビデオに、本人から語られています。
http://www.youtube.com/watch?v=IyMfuVyGT4M&feature=related

実は、ジェフ・ポーカロのプレイで、シャッフルビートのような、ミドルテンポに跳ねたようなビートとか、シンコペーション(アクセントをずらす)のフレーズには、名演が多いです。
例えばこのアルバムでも、自分が好きなジェフ・ポーカロのプレイは、実はこの曲ではなく、「Thank you」のシンコペーションプレイだったりします。
しかし自分の筆力の貧弱さか、「Thank you」のプレイの素晴らしさを、ドラムを知らない方に分かるように伝える自信がありません。
やむなく、分かりやすく、疾走感がありつつ、複雑さもあるビートの、この曲にした訳です。

本当は、尾崎亜美の「Prism Train」にしようかとも思ったのですが、「Prism Train」の当時、ドラムのハイハットシンバルをハーフオープンにして叩くのが流行っていました。
「Prism Train」も、ハーフオープンにて叩いていまして、この叩き方では、ビート感が出ないため、結局この曲に決定しました。

ドラムの個々の音について分からない方は、こちらジェフ・ポーカロの教則ビデオを参考にして下さい。
http://www.youtube.com/watch?v=zdaxu5rUjcQ

まあ、難しい事考えなくとも、聞けば爽快に分かりますけどね(笑)。

一応メンバーを再掲載します。
・keyboards:Greg Mathieson
・guitar:Steve Lukather
・bass:Robert Popwell
・drums:Jeff Porcaro

曲に行きましょう。
スティーブ・ルカサーのギターの、00:33トレモロアームを利かせたオープニングから、ビートを利かせたフレーズに移行します。
00:37バスドラム(以後バスドラ)とスネアドラム(以後スネア)を利かせたフレーズは、良くジェフ・ポーカロが多用していたフレーズでした。
00:44シンプルにスネアを鳴らして、イントロが始まります。
イントロのハイハットシンバル(以後ハイハット)のフレーズが、ハイハットをハーフオープンにして叩いています。
ドラムのパターンが始まると同時に、グレック・マティソンは、オルガンを奏でます。

00:55テーマメロは、グレック・マティソンのシンセ。
このシンセは、音からミニ・モーグでしょうか?
ドラムのハイハットはクローズで、たまに細かいリズムを刻みます。
2小節目のパターンの4拍目に、ハイハットオープンが入るのが、素敵です。
曲全体に言えますが、時々、バスドラが16分音符を刻んでいるのが、ノリの疾走感、ドライブ感を増していますね。
恐らく、バスドラのパターンは、アドリブでしょう。

01:18ここの16分音符のキメフレーズは、スネア→タム(L)→タム(R)→バスタム→バスドラの繰り返しです。
このフレーズは、世界中の色々なドラマーが、死ぬほどパクったフレーズですね。
ここから、01:36までのハイハットも派手なギターのフレーズに負けぬように、ハーフオープンで叩いています。
その後テーマメロをもう1度リフレインします。
02:17ハイハットはクローズに、少しハイハットの手数を多くし、バスドラも多目に入れて、ポイントでシンバルを叩き、盛り上げにかかります。

02:52ここからグレック・マティソンのシンセソロ。
テーマとは、別のシンセを使っていますね。
芯があるような太い音色を2つ、微妙にチューニングをずらし、広がりのある音色にしています。
この音色は、Prophet-5/10っぽいですね。ポリモーグの可能性もありますが。
03:17刻むように、細かいフレーズが、テーマメロと同じシンセですね。左手で、Prophet-5/10の音を伸ばしています。
03:38ここから、シンセの速弾き。
シンセの速弾きに合わせ、ドラムの手(足)数を増やしたり、シンバルを派手に叩いたり。

04:40シンセソロの終了と共に、ドラムも音を小さく叩きます。
04:49スティーブ・ルカサーのギターソロが開始しても、最初は同じ感じで、小さい音で叩き続けます。
05:07このあたりから、少しずつドラムのフレーズを派手にしたり、音量も大きくなって行きます。
ギターソロは盛り上げるまでが冗長で、単調で途中少々飽きますね。
もっと、手っ取り早く盛り上げ、変化に富んだフレーズで、聞かせるべきですね。
06:01からの速弾きは、スティーブ・ルカサーの手クセですね。
06:12からの速弾きも、手クセです。
最後にガツンと盛り上がりますが、ここから?と思ったところで、終わります。

頭のテーマメロに戻り、16分音符のキメフレーズにて終了。
どうでしょうか、まるでドラムが歌っているようだったでしょう?

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2011年5月 5日 (木)

Room 335 / Larry Carlton

 今回は、スティーリー・ダンAja(エイジャ)に入っている、Peg(ペグ)にインスパイアーされて作った曲、ラリー・カールトンの名曲、ルーム335を紹介します。

 1977年に発表された、ラリー・カールトンの、自身の名前が入ったのみのアルバム(邦題は、「夜の彷徨」)。
 良く、あちらの人(ってどっちだい!)のファーストアルバムは、本人の名前とか、バンド名のみとかが多いですよね。
 でもこのアルバム、ラリー・カールトンの3枚目ですが、メジャーなレコード会社からリリースと言う意味では、初のアルバムです。

 邦題「夜の彷徨」のトップを飾る曲で、ラリー・カールトンと言ったらルーム335と言うくらい、本人の代表曲です。
 ルーム335は、ラリー・カールトンが持つレコーディングルームで、335の数字は、愛用のギター、ギブソン・ES-335から採られています。
 関係ないですが、自分のHNのdaigo335も同じ理由です。

 もう34年も前の曲なのに、未だに世界中のギター少年を魅了し、YouTubeなんかに、コピー映像が多数アップされています。
 2011年には、B'zのギタリスト、松本孝弘と共演したアルバム、TAKE YOUR PICKで、キャリア43年にして初のグラミー賞・最優秀ポップ・インストゥルメンタル・アルバム賞を受賞しました。
 ラリー・カールトンは、2001年に、スティーヴ・ルカサーとのアルバム、「ノー・サブスティテューションズ」で、すでにグラミー賞を取っていましたね(笑)。失礼しました。

 良い演奏とは一体何なのでしょうか?
 答えは簡単で、自分が今持つ、100パーセントに近い演奏をする事です。
 でも、この100パーセントに近いと言うのが難しい。

 ギタリストにとって、自分の愛用のギターの魅力を100パーセント近く引出し、かつ自分の持つギターテクニックを100パーセント近く引き出せれば、素晴らしい演奏になります。
 ルーム335が素晴らしいのは、この100パーセントに限りなく近いからです。

 ここから先は、ギターに興味のある人以外、退屈な話ですので、YouTubeのところまで読み飛ばして頂いて、結構です。

 通常のエレキギターは、ソリッドギターと呼ばれ、木の固まりを削り出し、ギターの弦の響きを木の固まりが振動して共鳴し、それをピックアップと言うマイクで拾い、増幅して音を出す原理です。
 エレキギターのフル・アコースティック・ギターは、木の固まりではなく、ボディは板張りで、ギター内部が空洞になっています。
 そのため、ソリッドギターとは異質な、野太くて甘い音で、箱鳴りします。
 フル・アコースティック・ギターは、その音質から、ジャズに良く使われます。

 ギブソン・ES-335は、セミ・アコースティック・ギターと呼ばれるギターです。
 何が、セミなのか?つまり、ソリッドギターとフル・アコースティック・ギターの両方特徴を持つ、中間的なギターなのです。

 ギブソン・ES-335は、ボディは板張りで、ギター内部が空洞で、箱鳴りします。
 しかし、フル・アコースティック・ギターとの大きな違いは、ネックの継ぎ目から、ボディ内部にかけて、センターブロックと呼ばれる、木の固まりがあり、これによってソリッドギターの特徴ある木の固まりの振動音も出るのです。
 下図の右下の部分が、ギブソン・ES-335のトップの板を外したところで、茶色の部分がセンターブロックです。

 この構造のため、ギブソン・ES-335は、ロックからジャズまで、ジャンルを問わない、幅広い適合性があります。
 何より、ギブソン・ES-335の最大の特徴は、サスティン(音の持続)が長く、フロントピックアップ(ネック側のマイク)にした時の、太くて甘い音でしょう。この音は、セミ・アコースティック・ギター以外には出せません。
 セミ・アコースティック・ギターの特徴を最大限に生かすとすると、箱鳴りが分かりやすいよう、音を歪ませ過ぎず、フロントピックアップで、太く、甘い音を出す事なのです。

 さて、ルーム335がどんな曲なのか、おさらいをしておきます。
 イントロですが、Peg(ペグ)と聞き比べて頂ければ分かるのですが、パクリです。
 でも黙ってパクリだと問題になっているはずで、ラリー・カールトンは、スティーリー・ダンドナルド・フェイゲンの許可は取っていると思います。
 ラリー・カールトンは、Peg(ペグ)の没になったギターソロを弾いたと言う話があり、だとすると、どんな気分でこんなアレンジにしたのでしょう?
 素晴らしいアレンジに、魅了されたんでしょうね。

 曲の出だしはDmaj7で、スティーリー・ダンほどの凝りようではありませんが、それでもA9に11度の音を加えた等と言う、分数コードはバシバシ出て来ます。
 この曲をアドリブで弾く人にとって、メジャー・ペンタトニックブルース・ペンタトニック1本では到底太刀打ちできませんが、アベイラブルノートスケールを学べば、そう難しいものではありません。
 メジャー・ペンタトニックブルース・ペンタトニックと比べると、アベイラブルノートスケールでは、運指の難易度がが格段に上がります。

 しかし、この曲をアドリブで弾く人にとって、最大の難関は、AメロからBメロにつながる部分で、3小節に渡り(全フレーズという意味では4小節)転調しまくり、気分良くアドリブしていた途端、この転調部でぐちゃぐちゃになります。
 ここのアドリブは難しいですねェ。無難にこなすなら、ラリー・カールトンのパクるか、あくまでコード分解に徹するかです。
 自分のような、並み以下の腕前なら、この転調部に来るまでに、胃が痛くなりますね(笑)。

 ここからが楽しい音楽鑑賞の時間です。

 邦題「夜の彷徨」からのオリジナルです。音源はレコードのようで、レコード針のノイズが気になりますね。
 またサンプリングレートが低く、音質が良くないのは残念です。
 自分的には、この音質だと、ラリー・カールトンが弾く、ギブソン・ES-335のフロントピックアップの太くて甘い音、独特の箱鳴りは、良く分からないのでは?と思います。
 この曲のレコーディングメンバーが凄いんですよね。
 今となっては、全員スーパーミュージシャンで、このブログで、各々のミュージシャンの名演を取り上げたいと思います。
 ギター:ラリー・カールトン
 キーボード:グレッグ・マティソン
 ベース:エイブラハム・ラボリエル
 ドラムス:ジェフ・ポーカロ ※ルーム335だけ別のドラマーだったかも知れない
 パーカッション:ポーリニョ・ダ・コスタ

 ラリー・カールトンと同時代に活躍し、活躍ジャンルも被る、スーパーギタリスト、リー・リトナーとの共演です。
 リー・リトナーも、ギブソン・ES-335の有名な遣い手なのです。
 イントロ部から、曲のテーマまでラリー・カールトンが弾いていますが、ギブソン・ES-335のフロントピックアップの太くて甘い音、独特の箱鳴りが、お分かり頂けるでしょうか?
 これぞ、ギブソン・ES-335って音で、ソリッドギターやフル・アコースティック・ギターでこの音は出ません。

 第一ソロは、リー・リトナーで、ラリー・カールトン以上にジャジーなフレーズです。
 リー・リトナーは、フロントピックアップと、リアピックアップ(ブリッジ側のマイク)両方のフェーズインのサウンドで、カリッとした高域が抜けて、中低域が抑えられた音にして、結構歪ませています。
 リー・リトナーは、我が道を行く感じの音作りなんでしょうか?同じ型式のギターなのに、全然違う音なのが、分かりますでしょうか?
 そして転調部では、基本的にラリー・カールトンのフレーズを元に弾いています。

 対するラリー・カールトンのギターソロは、テーマと同じ音で、ギターの音を軽く歪ませ、ごまかしが利かない音にしています。
 リズム感、タイム感覚、フィンガリングの滑らかさ、どれを取っても一級品で、ごまかす必要などないですけどね。
 転調部は、この忙しい転調と言うのに、素晴らしい速弾きを、余裕綽々(よゆうしゃくしゃく)で弾きます。
 ギターを弾く人間にとっては、背筋が凍りそうですね(笑)。

 関係ないですが、曲終盤の、火の出るようなベースソロも凄いですよ。

 B'zのギタリスト、松本孝弘との共演による、ルーム335です。
 松本孝弘のギターは、ギブソン松本孝弘シグネチャーモデルで、これがソリッドギターです。
 ラリー・カールトンをリスペクトしているからなのか、フロントピックアップで弾いていますね。それにしても、ピックアップの出力が高いのか、もの凄く野太い、良いトーンを出すギターですね。
 そして転調部では、こちらも基本的にラリー・カールトンのフレーズを元に弾いています。

 ラリー・カールトンについては、フレーズこそ違えど、同様なんで割愛します。

 TOTOの元ギタリスト、スティーヴ・ルカサーとの共演による、ルーム335です。
 若い人には、TOTOと言うと、便器?としか思わないかも知れませんが、1980年代を代表するロックバンドなのです。
 自分には、スティーヴ・ルカサーのギターのモデルが分かりませんが、これもソリッドギターで、ギブソン・ES-335とは違う、ジョイントネックです。
 スティーヴ・ルカサーは、記憶に間違えなければ、ライン撮り(ギターアンプを通さず、直接音響にミックスする)だそうで、このこもったギターの音色が、自分は嫌いです。
 松本孝弘と比べ、全然音の抜けが悪いですよね。でも、ライン撮りは、現場の音響の作業が楽なのです。
 スティーヴ・ルカサーは、アベイラブルノートスケールを押さえつつ、ロックフィーリング豊かに弾いていますね。フレージングは素晴らしいです。
 そして転調部では、これはコード分解でしょうか?最後ちょっと尻切れてるんでしょうかね?

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