Music.Linda Lewis

2011年9月15日 (木)

I do my best of impress / Linda Lewis

今回は、UKソウルの歌姫、リンダ・ルイスの曲を紹介しますが、本当のネライは、ローズ・ピアノの名演の紹介です。

リンダ・ルイスは、1950年ロンドン生まれ。
10代にビートルズの映画、「ヘルプ!」に端役で出演し、バンド活動、セッションボーカリストの後、1971年にソロボーカリストとしてデビュー。
常人の声域は、1.5オクターブもあれば、広い方ですが、リンダ・ルイスは5オクターブもの広い声域で、特に高音はヒバリのさえずりにも例えられるほどの美声です。
1971年「セイ・ノー・モア」、1972年「ラーク」、1973年「ファゾムス・ディープ」、1974年「ハート・ストリングス」は名盤と言われています。
この辺が、リンダ・ルイスの人気のピークで、徐々にアルバムの売れ行きも落ち、1980年代には活動を停止し、消息も分からなくなりました。

しかし1993年、突然、ジャミロクワイのファーストアルバム、「エマージェンシー・オン・プラネット・アース」にバックコーラスで参加すると、当時のアシッド・ジャズのブームやレア・グルーブブームから、1970年代の曲が良質のグルーブとして見直され、ロンドンやアメリカ、日本の多くのDJに取り上げられ、またサンプリングがラッパーに使われたりしました。
それがきっかけかどうか、1995年に、久々のソロアルバム「セカンド・ネイチャー」を出し復活、その後来日公演もしました。

この曲は、1975年の「Not A Little Girl Anymore」と言うアルバムに収録されている曲です。
アルバムジャケットは、米国版と英国版で異なります。

関係ないですが、このアルバムの「It's In His Kiss」、「Rock And Roller Coaster」に無名時代のルーサー・ヴァンドロス(故人/合掌)、「This Time I'll Be Sweeter」には同じくデニス・ウィリアムスが、バックコーラスで参加してます!?

冒頭にも述べましたが、この曲は大好きではありますが、リンダ・ルイスの5オクターブの音域を活かした曲だから、選んだのではありません。
ローズ・ピアノ(当時だとフェンダー・ローズ?)の名演だから選んだのです。
1980年代に、ベストアルバム(最初はコンピレーションだったかも)でこの曲を知り、その際には「Not A Little Girl Anymore」は入手困難。
これほどの名演ですが、初めて聞いて以来、永らく誰が演奏しているのか、謎でした。

Flute:Lenny Pickett
Congas:Darryl Lee Que
Bass:Clive Chaman
Drums, Percussion:Gerry Conway
Electric Piano, Synthesizer:Max Middleton
Guitar:Robert Ahwai

「Not A Little Girl Anymore」がCD再版され、判明した時にはビックリでした。
ローズ・ピアノの名演ではありますが、弾いていたのは、自分の大好きなローズ・ピアノの名人、マックス・ミドルトンだったとは!

マックス・ミドルトンは、1946年イギリスのアマシャム生まれ。1971年にキーボードとしてジェフ・ベック・グループ(日本では、第2期ジェフ・ベック・グループと呼ばれています)に参加し、名を上げます。
1974年には自らのバンド、ハミングバードを結成して、その後3枚のアルバムを出します。
セッションキーボーディスとしても、1975年に、ロックインストロメンタルの最高峰と言われた銘盤、ジェフ・ベックの「ブロウ・バイ・ブロウ」、「ワイアード」に参加し、ケイト・ブッシュ、クリス・レア、ナザレス、ストリートウォーカーズ、アレンピーコック等、多くの有名アーティストのアルバムに参加しました。
マックス・ミドルトンは、鍵盤楽器全般・・・ピアノ、クラビネットチェンバロ、シンセサイザーを弾きますが、中でも当時から、ローズ・ピアノの名人と言われていましたね。

ローズ・ピアノの先駆者で成功者と言う事もあり、当時からマックス・ミドルトンのフレーズの真似をする人が多く、実はこの曲も、「なんちゃってマックス・ミドルトン」が弾いているのかと思いました(笑)。

「Not A Little Girl Anymore」がCD再版されて知ったのですが、レコーディング会社をリプリーズからアリスタに移籍、それまで自分で曲を書いて歌っていたのが、このアルバムでは他の人が曲を書いたりしています。
名盤「ハート・ストリングス」の後のこのアルバムは、リリース当時駄作とされ、商業的にも失敗したのだそうです。
なんだか、こんな話をやまがたすみこのところでも書いたような・・・(笑)。
時代の流れも見据え、良い曲を書き続け、何年にもわたり商業的にも成功するのは、ほんのごく一部の人達です。

何が良いのかは時間が解決する事で、現在ではこのアルバムは再評価され、むしろリンダ・ルイスアルバムの中で、最も好きと言う人もいるほどです。
この文を書くに当たり、インターネットで調べると、この「I do my best of impress」を好きと言う人が多いのに、ビックリしますね。
ちなみに、ベースとギターは、ハミングバードのメンバーで、このアルバム制作に、マックス・ミドルトンが深く関わっていた事が、伺えます。

さて、曲に行きましょう。
出だしのチープなユニゾン(同じ音律での演奏)は、古臭くもあり、しかし普遍的にかわいいフレーズですね。

ノリの良い曲ですが、ベースの跳ねるようなリズム感が、この曲のリズムを素晴らしいものにしています。
ギターのロバート・アーワイのバッキングフレーズも、地味ながら、味わいのあるものです。
ギターは一部、オーバー・ダビング(音の重ね録り)していますね。

しかしこの曲では、何と言ってもマックス・ミドルトン。
以前にも書いていますが、オールド・ローズ・ピアノの名機は、ピアノ線が切れやすいので、あまり強く弾く事が出来ません。
弱々しいタッチで弾くので、雰囲気が気だるい感じとなり、それがこの楽器の味でもあります。

もうひとつ、強く弾いたり、和音では音が濁るという特徴もあり、ミュージシャンによって、音の濁りを嫌い、和音の音数を減らす人もいれば、逆に濁りを活かした演奏をする人もいます。
マックス・ミドルトンは、どちらかと言えば、前者のタイプですかね?

例えば、リンダ・ルイスの歌のローズ・ピアノのバッキングで、歌メロに絡むオブリガート(メロディに対する助奏)の妙。
時には白玉(2分音符以上の長く伸ばすフレーズ)、リズムを刻んでみたり、アルペジオ(分散和音)と縦横無尽ですね。
それでいて、フルートソロには、自身を目立たせず、フルートを活かすよう、リズムを刻みます。

エンディングのローズ・ピアノのソロは、まさに、お見事!!としか言いようにない、神演奏です。
フレーズを弾く時の、素晴らしいタッチの強弱を聞き逃さないで下さいね!

最初曲メロを受けて、ゆったりしたフレーズなんですが、例えば左手の低音部とかは、裏のリズムを刻んだりして、早いパッセージ(フレーズ)を意識させます。
そうして、右手のメロディも、跳ねるように16分音符を引っかけたりして、徐々に少し速いテンポの曲であるかのように、耳を麻痺させますね。
で、2:46頃から、ここぞという時に、流れるようなフレーズを畳み込むように披露します。
でもまたフレーズはゆっくり、もたったり、引っかけたり、じらしてみたり、刻んでみたり、畳み込んで来たり・・・セクシーで、聞いていて身もだえしそうです。

不思議なのは、この曲のローズ・ピアノでは、トレモロを使っていません。
トレモロとは、以前も書いていますが、奏法としてのトレモロではなく、別名ビブラート・ノブとも言われる、ローズ・ピアノの音をスピーカに左右に、回転するように揺らして出力する機能です。

音楽的に、トレモロを使わない理由が、説明出来ません。
同じアルバムの、「Not A Little Girl Anymore」では、思いっ切りトレモロを使っています。
パッと考えられるのは、以下の理由でしょうか?
①トレモロを使うのを忘れて、録音した(マサカネ・・・)
②トレモロは、MTR(マルチ・トラック・レコーダー)で左右2ch使いますが、何らかの理由でチャンネルが不足した

アドリブに使っているスケール(音階)や音使いも独特で、素晴らしいのですが、ここまでの話になると、アドリブ演奏者しか分からないでしょうから、書くと長くなりますし割愛します。
フェードアウトしちゃいますが、もっと聞かせて!!

http://www.youtube.com/watch?v=KFuVQl3TLa4&feature=player_embedded

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